'99 World Grand Prix 〜Round 15 ブラジル〜

 WGPもチャンピオン争いはいよいよ佳境に。ここブラジルGPで二つのクラスのチャンピオンが決定するかもしれません。日本人初の GP500 ワールドチャンピオンに向けて、タディ岡田は最終戦まで粘ることができるのか? 注目のレースが幕を開けます。

・GP125 〜ベテラン健在〜
 GP125 のチャンピオン争いは混戦模様ですが、アルツァモラ、メランドリ、東の3人にほぼ絞られたといってもよいでしょう。その3人、予選はメランドリがポール、東が2番手とフロントローをゲットしたのに対し、アルツァモラは12番手スタート。難しいレースになりそうです。
 序盤からメランドリがトップをキープしてレースをリード。後ろに上田、ロカテリを引きつれてひた走ります。アルツァモラも後方から順位を上げてきて5番手まで順位をアップ、東も9番手まで順位を下げたものの、トップグループと同じペースで走行。3秒ほど後ろの位置でトップグループを追い上げます。
 レースが動いたのは残り3周。虎視眈々とトップをうかがっていた上田がスパートをかけます。バックストレートでトップエンドが異様に伸びるメランドリを相手に、スリップに付かせない頭脳的な走りでトップをキープ。それでも一度はメランドリにトップを譲るものの、ファイナルラップのバックストレート先の高速コーナーで外から再びぶち抜いてそのままゴール。今期初優勝でベテラン健在を印象付けました。
 メランドリは2位、アツツァモラは3位、東は6位でフィニッシュ。これでチャンピオン争いは、
 アルツァモラ 207
 メランドリ  201
 東      190
ということになり、東にはちょっと厳しくなりました。

・GP250 〜天才の証明〜
 こちらはロッシが年間チャンピオンに王手をかけて望みます。一方のランキング2位の宇川は、自身が優勝しなければ無条件でロッシがチャンピオンという状況。圧倒的に不利な状況でレースに臨みます。
 その宇川、予選は振るわずに9位とますます厳しい状況です。一方のロッシは2番手スタートと好位置をキープ。フロントローはジャック、中野、カピと今シーズンを沸かせた面々が並びます。
 望みを繋ぎたい宇川はスタート位置からのジャンプアップに成功し、序盤に3番手まで順位を上げます。しかし、ロッシもこの先頭集団の後方5位につけ、このレースでもトップを狙う走りを展開。そして6周目バックストレートエンド、「チャンピオンは俺だ」と言わんばかりに宇川をパス。ペースの上がらない先頭集団のペルジーニ、カピロッシをも次々とパスし、先頭に出ます。が、この後、先頭集団はコースの至るところで順位を入れ替えるバトルを展開。誰が勝ってもおかしくない状況が続きます。
 残り5周の時点でトップは宇川。ときおり“らしくない”意地を見せ、トップをキープしつづけます。が、残り3周のバックストレート、ロッシが aprilia パワーにものを言わせてトップを奪取。そのままスパートを駆けてファイナルラップまで逃げ切ってゴール。文句なしでチャンピオンを奪取しました。GP250 にステップアップして2年目でのタイトル獲得です。
 宇川は最後に意地を見せるも2位。残念な結果になりましたが、この最後に見せた意地があれば、来年に期待できるでしょう。

・GP500 〜17 年ぶりの奪還〜
 チャンピオンに王手をかけてこのレースに臨んだアレックス・クリビーレ。自力決定の条件は10位以内だが、負傷の影響があるのか予選は13番手・3列目からのスタート。一方、勝って最終戦に望みを繋ぎたい岡田は5番手・2列目からのスタート。はたして、チャンピオンシップを駆けた最後のレースとなるのか。24周後の結果に向けて、シグナルはブルーに代わった。
 負けられない岡田は序盤から2番手に付け、逃げを打つケニー・ロバーツを射程圏内に捕らえつづける。今シーズン、日本人最多の3勝を挙げた男は、プラン通りのレースを組みたてる。一方のクリビーレ、10番手の最低ライン近辺をキープし、いつになく慎重にレースを組みたてる。いつも通りの岡田と、らしくないクリビーレ。しかし、らしからぬミスをしたのは、岡田だった。
 中盤、後ろから追い付いてきたノリックとビアッジが加わり、トップグループは一気に4台に。その争いの中の、バックストレートからの進入だった。岡田は痛恨のブレーキミスを喫してしまう。コースアウトした岡田は復帰するものの、10位に後退。一方のクリビーレはこのとき6位。こうして流れは完全にクリビーレに向かった。
 一方、トップ争いは白熱する。ノリック、ロバーツ、ビアッジの3台が抜きつ抜かれつの熱いレースを展開する。この争いの中に HONDA がいないというのは、また皮肉な光景だった。勝負はファイナルラップ、最終コーナーまでもつれ込む。最後の抜きどころを押さえ切り、最終コーナーのインを占めたノリック。ところが、ビアッジがアウト側から強引に被せにかかる。観衆がどよめく。しかし、インに付き切れなかったビアッジの隙間に、今度はノリックがマシンを強引にねじ込む。2台の YZR はカウルを接触させながら立ちあがり、結局、インにいたノリックが先にゴールラインを駆けぬけた。阿部“Norick”典史、執念の勝利だった。
 そしてチャンピオンシップは、クリビーレが6位でフィニッシュ。スペイン人初の GP500 チャンピオン誕生となった。“KING”ケニー・ロバーツ・シニアに持ち去られて以来、アメリカとオーストラリアが独占してきた GP500 チャンピオンの座は、17 年ぶりに誕生の地・欧州に帰還する。

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