第2回 「WGPマシンについて」

 前々回から始まったオフ企画「WGPでポン!」。結構好評を博していただいているようで、ほっとしています。質問が来なかったらどうしようと思っていました(笑)。今後は2週1回を基本ペースとして、希に週間で進めていく予定ですので、よろしくお願いします。
 では、早速2回目を始めましょう。今回はマシンやチームに関する質問を中心にお答えしていきます。

Q:WGPに参加するチームの種類は?
A:
 WGPのチームは大きく3種類に分けられます。

(1)ワークス
 メーカーが威信をかけて開発した最新レーサーを走らせるチームです。当然、マシンの戦闘力、チームの総合力ともにトップクラスです。

(2)サテライト
 最新、または型遅れのワークスマシンを借り受けて、メーカーとは別に運営されるチームです。セットアップデータなどはメーカーから供給されますが、スペシャルパーツの供給順はワークスが先になるので、戦闘力はどうしても劣りがちです。

(3)プライベーター
 市販レーサーを買って、自ら運営しながら参戦しているチームです。戦闘力は型遅れのワークスに一歩劣るため、上位に食い込むことは希です。

 現在、ワークス参加しているメーカーは日本のホンダ、ヤマハ、スズキ、イタリアのアプリリアがあります。また、市販車メーカーとは別にエルフやチームロバーツ(モデナス)といったレース車両専門メーカー(のようなもの)があります。特に、チームロバーツはF1でも有名なトム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)製の車体にマレーシアのモデナスという二輪メーカーのエンジンを積んだレース専用車両を、チームオーナーであるケニーロバーツ自らがプロデュースするという、F1のような体制で戦っています。ケニーはF1のようにメーカーに頼らないマシンを開発して戦うことをめざしています。
 また、今期 GP250 で辻村選手が駆って活躍したテクニカクスポーツの AC26M は、テクニカルスポーツが開発した車体にホンダ市販レーサー RS250 のエンジンを独自にチューンして積んだマシンです。こんなマシンも走っています。

Q:各レースのバイクの違いについて教えてください
A:
 WGPには GP125、GP250、GP500 の3クラスがありますが、それぞれの一番大きな差は、エンジンの排気量にあります。数字はそのままエンジンの排気量を表します。それぞれの簡単なレギュレーションをまとめてみましょう。
 GP125:単気筒 125cc
 GP250:単気筒または2気筒 250cc
 GP500:最多で4気筒 500cc
そして、ミッションは6段まで制限されています。

 では、各クラスのマシンの概況について。まず GP125 ですが、マシンの取り得る仕様の選択幅が極端に狭いので、各メーカーのマシンにそれほどの差がありません。また、このクラスには純粋なワークス活動はない(限られた有力ライダーへのスペシャルパーツ供給がある程度)ので、レースではライダーのポテンシャル(技術、体力、体格)が全面に出る、イコールコンディションのレースが行われています。ダンゴ状態が続くのもこのためなんです。
 GP250 も、選択幅は若干あるものの、現在では気筒をV型に配置するエンジン形式が主流となっています。が、各メーカーがワークス活動を行っていることもあって、メーカーによるマシンの戦闘力の格差は GP125 よりも目立ちます。近年はパワーのアプリリア、旋回性のホンダという図式でしたが、ガソリンが無鉛になる来年からは若干変わるかもしれません。
 GP500 になると、ちょっと違ってきます。つい数年前まではV型4気筒エンジンばかりが主流でしたが、昨年あたりからV型2気筒エンジンやV型3気筒エンジンのマシンが出てきました。エンジン構成のバリエーションがもっとも多いクラスと言えるでしょう。

 ここでちょっと、気筒数の違いによるマシンの違いについて説明しましょう。気筒数によるエンジン出力、エンジン重量、レギュレーション上の車重は次のようになっています。

  気筒数       1 2 3 4
  出力     低い←       →高い
  エンジン重量 軽い←       →重い
  車重     軽い←       →重い

 気筒数が多いと、それだけ高回転まで回るので、出力は高くなりますが、部品点数も多くなるので、重量は重くなります。また、その出力差をレギュレーションで補えるように、気筒数が少なければ最低重量が軽くなります。軽いということは、すなわち、コーナーリング速度を上げることができるのです。ですから、2気筒でそれなりのパワーが出せるならば、コーナーで4気筒をカモることも不可能ではありません。こうした考え方から生まれたのが NSR500V(2気筒) や KR3(3気筒) なのです。

 シャーシ(フレーム)については、細かい差はあるものの、どこもアルミ製や一部カーボンを使った、エンジンのサイドを直線的に通るツインスパーフレームと呼ばれる形式が主流になっています。もちろん、剛性のバランスによるシャシーの影響も多大にあるのですが、車重の軽いバイクにおいては、まずエンジン形式が車体のキャラクターを決定しているといっても過言ではないでしょう。

Q:WGP以外にも世界を舞台にしたものがあると聞いたのですが。
A:
 はい、あります。世界スーパーバイク選手権(WSB)が、それです。こちらも、WGPと同じく世界を転戦して年間チャンピオンを争います。日本では菅生が年間カレンダーに組み込まれています。WGPがレース専用のレーサーで争われるのに対し、こちらは市販車をベースにしたマシンで戦われます。使われるマシンは4ストローク。4気筒だと 750cc.2気筒だと1000cc が上限排気量となっています。排気量に差があるため、車重はどちらも同じになっています(車重は '97 シーズンから等しくなりました。それまでは2気筒のほうが軽かったんです)。
 WSBでも日本人が活躍していまして、ここ数年、永井康友(故人 レース中事故で他界)、吉川和多留、柳川明が入れ替わるように年間参戦しています。今年は柳川選手が海外ラウンドでの日本人初優勝を果たしました。来年は、今年の全日本スーパーバイクチャンピオン・芳賀紀行の参戦が噂されています。しかし、残念ながらレギュラーでの全戦中継放送はいまのところ行われていません。
 ま、WGPをF1とすればWSBはITC(国際ツーリングカー選手権)やGT選手権(?)みたいなもんでしょうか。

<WGP情報>
 来シーズンにかけて、なにやら怪しい動きがあるようです。GP125 クラスの参加規定が変更される模様です。
(1)1998 年に最初に GP125 にエントリーするライダーは、25 才以下でなくてはならない。
(2)1シーズンを終了しているライダーは最高3シーズン、2シーズン以上を終了している場
  合は最高2シーズン、97年以降の125ccチャンピオンは以降の125ccクラスにはエントリー
  できない。
というレギュレーションが提案されているようです(http://www.dorna.com)。これが適用されると、ベテランライダーには辛い状況になると予想されます。なにより、チャンピオンになったら次シーズンの参加が不可というのは痛いですね。上のクラスに行くのが当然と考えられますが、GP250 にはワークスがいるため、ワークスマシンでなければチャンピオン争いはまず不可能。成績がでなければチームから解雇されることになるわけで・・・。この問題がどうなっていくか、専門誌等にも注視しながら、経過を報告していきたいと思います。

参考文献:
「RIDING SPORTS」誌 各号
 「NSR500 ハイパー2ストエンジンの探求」
  つじつかさ、グランプリ出版、1995


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