ヘッケルフォン(The Heckelphon)

 作曲家 リヒャルト・ワーグナーが1876年、ウィルヘルム・ヘッケルのもとを訪れ、この楽器製作の為の創案を示した。そのサウンドのイメージは ”ダブルリード楽器のまさに王様と言うべき音、オーボエの1オクターブ下の音域で柔らかな音色を持ち、それでいてアルペンホルンのような力強さを持っている”というものであった。

 数十年後、最初にヘッケルフォンが公衆の前に現れたのは、1904年、バイロイトの”ヴァンフリート館”であった。(ちなみにヴァンフリート館はワーグナーの住まい。しかし彼はすでに1883年に没している)この時点までにバリトン音域のオーボエを作り出す試みがこの時ほどの成果を挙げられたことはなかった。

 その理由として、ヘッケルフォンという楽器が、音域の拡大とその丸いサウンドを生むベルによって、音程と表現力に関してオーケストラで使用されることに適したものに制作された点が挙げられる。

 運指は、コンセルヴァトワールシステム、フルオートマチックで通常のオーボエと同様。ベルの先にエンドピンが付いていて床に置いて演奏する。長さの異なる3種類のヴォーカルによって、様々な音程に対応できるようになっている。


リード

 実は私は正式な形や寸法を知りません。ファゴットのリードをそのまま使うこともできますし、実際そのようですが、私にはそれだと音がばらつく気がします。そこで私の場合ファゴットのリードをもとにしますが、背骨の立ったやや厚めのもの物を使い、先端に少し段を付けサイドをまっすぐにしてオーボエ的な要素を取り込んでいます。またコントラファゴットのリーマーで穴を広げないとヴォーカルに入りません。あらかじめ太めに組んだものをファゴットの人に作ってもらうこともあります。


ヘッケルフォンが使用されている楽曲

「サロメ」「エレクトラ」「祝典前奏曲」「アルプス交響曲」(リヒャルト・シュトラウス)

「ヘッケルフォン、ヴィオラ、ピアノの為のトリオ」(ヒンデミット)

「交響曲第9番」(ヘンツェ)

「アメリカ」(ヴァレーズ)

など


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