高松高裁で現職警官の内部告発会見直後の見せしめ配転に違法判決


2008年10月1日掲載 

 2008年9月30日、高松高裁において、愛媛県警の現職警官・仙波敏郎氏に関わる不正経理内部告発事件の判決がありました。告発会見前の呼び出し面談や県警本部長の関与についての判断は、一審より後退していますが、報復的異動については「明らかに社会通念上著しく妥当性を欠くもの」で「違法である」としています。以下に、判決より当該部分を抜粋して掲載します。


3)本件配置換えの違法について
ア 違法事由
 配置換えは、基本的には、組織構造、それぞれの職の職務内容、職員の個々の状態、能力、適性及び勤務実積等を総合的に勘案して高度に合目的、技術的見地からなされる裁量行為であるというべきであるが、特段の理由がない限りは定期異動など特定の時期に行われているのが通常であり、職員も合理的な理由や必要性がなければ勤務場所を変更されたり、職務の担当の変更を命じられることがないということについて合理的な期待を有するというべきであるから、特定の職員に対する嫌がらせや報復のためになされる場合はもちろんのこと、その必要性に関する判断に社会通念上著しく妥当性を欠くところがあるような場合は、違法となるというべきである。
 本件配置換えは、前記16)ないし11)認定のとおり、現職の警察官である被控訴人により愛媛県内の警察内部で裏金作りが行われていたことを内容とする本件記者会見が実施されたわずか4日後の平成17年1月24日に内示され、被控訴人の反発にもかかわらず、その2日後の同月26日にそのための新たな配置先の部署の新設のための訓令の一部改正が行われ、その翌日である同月27日に辞令の交付が行われたものであるが、新設された企画係の担当事務は前記112)認定のとおりであるところ、その事務内容自体からしてこれを新設する緊急の必要性があるとは認め難いほか、被控訴人のこれまでの経歴や担当職務ともほとんど無縁であり、被控訴人がこの部署に適任とは考え難い上に、被控訴人の年齢や経歴等からしても、敢えてこの時期にこのような新たな職務を意に反してまで経験させる意味があるのか疑問であって、他にこのような配置換えをこの時期に行うことの必要性や合理性の存在を首肯させるような事情は証拠上見当たらない。以上によれば、本件配置換えは、職務上ないし人事上の必要性や合理性とは全く無関係に、本件記者会見に端を発して実施されたものというほかなく、配置換えの権限者である木下課長が敢えて本件配置換えに及んだ意図は、本件記者に至る経緯や本件記者会見の内容に照らすと、捜査費不正支出問題に対する県警側の組織的対応とは別の行動をとった控訴人に対する嫌がらせないし見せしめのためと推認されるところであり、明らかに社会通念上著しく妥当性を欠くものというべきである。
 したがって、本件配置換えは違法である。

(抜粋以上)

判決についてのコメントはPISA事務局長、阪口徳雄弁護士のブログをご参照ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/57012085.html

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