集会宣言 公益通報(内部告発)支援センターの設立にあたって


 このところ雪印乳業(雪印食品)、日本ハム(日本フード)、ダスキン(ミスタードナツ)、USJ、東京電力などで、従業員や関係者による内部告発によって、人びとの不信と不安を招く企業不祥事がつぎつぎと発覚しています。

 これらの事件は、もし内部告発がなければ、隠蔽されたまま、是正措置もとられずに放置され、いっそう重大化、悪質化したかもしれません。「儲けのためには手段を選ばない」、「バレなければ、違法行為も辞さない」という企業が多いなかで、安全や環境に重大な脅威をもたらす恐れのある行為や、悪質な違法・不正行為に対して内部告発を行うことは、笛を吹いて人々に危険を知らせ、公益をまもって社会正義を貫く勇気ある行動です。

 しかし、残念ながら、現実には、勇気をもって告発した社員が不当に解雇されるなど、不利益を受ける例が後を絶ちません。このような状況では、組織内での違法行為をたとえ知ったとしても、たいていの人はそれを告発することをためらうでしょう。

 こういう状況を改めるには、イギリスの公益開示法のように、国のレベルで内部告発者を解雇その他の不利益から保護する法律を制定することが必要です。内閣府は、食品の偽装表示等の違法行為が多発していることを受けて、消費者保護基本法の中に「公益通報者保護制度」を導入することを検討中です。しかし、その実現はまだ先だと言われています。また消費者保護に該当しない医療や環境の問題は除外されるのではいかと危惧されています。

 企業のレベルでも、従業員が不利益をうけることなく組織内の違法行為について経営上層に通報できる「スピークアップ制度」を導入することが求められています。しかし、実際には、こうしたスピークアップ制度を導入している企業はまだ少数にとどまっています。制度を設けているとしても、相談が会社の内部者や会社と利害関係のある者によって受付けられる場合は、窓口が信頼されないために、制度は有効に機能しません。

 以上のような状況から考えれば、国の「公益通報者保護制度」と企業の「スピークアップ制度」の導入を待つだけでは、企業等の違法行為による危険や脅威から市民をまもるにはきわめて不十分です。そこで私たちは、非営利の市民団体として、弁護士、公認会計士等の専門家集団が、企業、団体、行政機関等の違法行為について相談を受け、その防止と早期是正のために、相談者に対して法的な助言と支援を行う、「公益通報(内部告発)支援センター」を立ち上げることにしました。略称は公益スピークアップ・アドバイザー(Public Interest Speak-up Advisers)の頭文字をとってPISAとしました。

 本センターは、職場における違法行為を知っていながら、報復人事を恐れて告発をためらっている人や、どこにどのように告発してよいか迷っている人や、違法行為や告発者保護に関する法規について知らない人から、相談を受付け、その人の氏名を含む個人情報を保護しながら、問題の性質に応じて、必要な助言と支援を行います。その際の相談費用は一切無料とします。

 相談にあたる弁護士や公認会計士は、告発内容が真実だと判断した場合は、是正に向けた行動を取ります。しかし、その場合も、原則として、本センターから関係省庁やマスコミに対してすぐに伝えるのではなく、企業の場合は、まず企業に伝え、企業自身が当該行為の是正と再発防止の方策を速やかに講じ、対外発表も企業自身が行うように求めます。  私たちは、内部告発に関する民間アドバーザー・グループとして、また内部告発とその保護制度についての民間情報センターとして、活動することをつうじて、企業等の違法行為が少しでも少なくなるように努力していきたいと考えています。

 最後に、本センターの活動は、弁護士や公認会計士等のボランティアによって支えられますが、運営費と維持費をまかなうためには市民の方々のサポートが必要です。あなたのポケットマネーによる浄財をお寄せください。

2002年10月29日           
  公益通報(内部告発)支援センター


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