■美人は修羅界に生まれる

 地獄・餓鬼・畜生の三悪道に加えて、四悪道ともいわれているのが修羅界です。古代インドの神話に阿修羅という者がおり、帝釈天と常に争いを起こしていました。この事から、争いを好む人のことを「阿修羅のようだ」と、いうようになり、縮って修羅というようになったのです。

 世の中には、いつもいつも人と争っていないと気分が落ち着かない人がいます。会社は営業部で、同僚といつも成績を競い合います。仕事が終わると、麻雀やパチンコ等で勝負します。日曜日には競輪・競馬・ボートレースで一日過ごします。たまにテレビを見る時は、プロ野球とプロレス、新聞はスポーツ紙・・・こんな人は昔から多いはずです。

 このような人は、陽気の修羅道とでもいうのでしょうか。陰気の修羅道もあります。こちらの方が本当の修羅道でしょう。

 地位でも何でも、自分より絶対人を上にいかせない。どんな陰険な手口を使っても人をたたき落とします。子供の頃から学習塾へ行かせ、勉強の楽しさより、勉強は人と争って勝つ為のものと思わせ、中学・高校・大学・社会と修羅道一本やりの人生です。

 これは陰気な修羅道といえるでしょう。この修羅道の社会的総和が、猛烈な企業間戦争となり、国家の争いとなり、先を争って地球の資源を食いつぶし、地球の破滅を早めています。戦争・公害・環境破壊、すべて修羅界のなせるわざなのです。

 仏様の御説法に静かに耳を傾け、修羅道は四悪道の一つであると、全人類が気がつく必要があります。

 いつもいつも修羅界に身を置いている人は、自然と姿形が醜くなるといわれます。その理由は、諸天善神にまで喧嘩を売ってしまうので、自然と悪形になってしまうのです。

 また他の理由では、修羅界は喧嘩に勝つ事ばかり考えてますから、相手を恐がらせる為にも顔は醜い方が良いので、そうなってしまうのです。仏像のような温和な顔の修羅界はいないのです。

 修羅界の女性は、男性と闘争する為に表面の美形を求めます。修羅界とも知らずに近寄ってきた助平達を、化粧の美により修羅界の世界に引きずりこみます。水商売関係の女性の厚化粧は、自己の醜い修羅界を厚く覆い隠す為なのです。

 しかし、年と共に修羅界の醜い姿はその本性を現し、近寄るのも恐ろしい顔になるのです。大毘婆沙論などに詳しく書かれています。

 また修羅界は「諂曲{えんごく}なるは修羅」ともいわれ、諂曲とは心がひん曲がった事をいいますから、修羅界はねじくれた心に発生します。捻じ曲がった心だからこそ常に人と争いを起こさなければいられないのです。

 その醜い心を隠す為に、外に向かって仁・義・礼・智・信の五常を説き、自分でも五常を固く守ろうとします。その目的は人に勝つ為なのです。

 世間一般の人は、五常を修する人を見ると、偉い立派な人と勘違いし、聖人と思ってしまいます。五常に隠された修羅の道を見抜かなければなりません。

 仁とは目上・同僚・後輩の区別した態度を取る事であり、ヤクザ仲間の出所祝いやお葬式で、ぺこぺこ頭を下げるのも礼のうちに入ります。

 智は仲間内の智恵者の意味であり、仲間の発展に智恵を出します。信は仲間内の信用という事です。

 これらの徳目により、修羅界の命を覆い隠していますから、本人も他人もその命の本性を見向く事ができないのです。仏教から見れば、仁・義・礼・智・信全てが修羅界の役に立つ技術と見れるのです。

 この修羅界の住所はどこかというと、海のほとり波打ち際がその住所だといわれています。波打ち際は「ザザァー ザザァー」と、一瞬の休みなく闘争をしているからでしょう。

 また、修羅は身の丈、八由旬ともいわれ、体が異常に大きいといわれます。我々が怒った時、大切な人に手を挙げたり、自分の大切な物を壊したりするのは、怒った瞬間に修羅界になり、自分が急に大きくなってしまい、相手が小さくなってしまうのです。相手が大きく見えたら、とても壊したりできません。そして身を滅ぼすのです。

 阿修羅天に生まれる業因は、下品(少しの)十止悪と十善行が原因です。十止悪とは、不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不綺語・不両舌・不悪口・不貪欲・不瞋恚・不邪見であり、十善行とは救生・布施・梵行・誠実語・質直語・和諍語・不浄観・慈悲観・因縁観であります。

 世間ではこれらの徳目は良いとされているので、止悪(悪を止める)とか、十善行(十の良い行い)等いわれているのに、仏教ではこれらは下品の(少しの)善行の場合には、これらの徳目をいくら行っても、修羅界にしか生まれないと説かれているのです。

 もっとも地獄界・餓鬼界・畜生界から見れば、修羅界はまるで天国に見えることでしょう。しかし、修羅界の次は大地獄へ行くから、修羅界は問題なのです。

 日蓮聖人は「此の国の人々、今生には一同に修羅道に堕し、後生には皆阿鼻大城地獄に入らん事疑い無き者なり」と云われ、仏道修行なき今の、修羅界強き日本人の衆生全てが、来世に地獄に行くといわれています。

                            (続く)