10/12/18

『A Lady Without Passport』(50年、ジョゼフ・H・ルイス監督)

ヘディ・ラマールが『サムソンとデリラ』(49年)でキャリア第二のピークを築いた後、古巣MGMで出演した異国情緒物フィルムノワール。
お話はわりとありきたりな不法移民物スリラーなのですが面白いです。てきぱき調子よく進む序盤から、キューバの猥雑な街並みを整然と捉えながらも躍動するカメラワークが只者ではありません。B級映画の名匠ジョゼフ・H・ルイスによるロケの素晴らしさを実感しました。本作はMGMなのでB級作品とはいえませんが、B級的な臨場感が魅力です。
悪役がジョージ・マクレディ、ちょこっと出てくるスティーヴン・ゲレイが異国情緒物フィルムノワール『ギルダ』を思い出させます。『マカオ』とか異国情緒物はそんなに暗いイメージがないような気がするのは何故でしょう・・・。ジョン・ホディアクがハンガリー移民を装ってハンガリーなまりの英語を話し続けるのが滑稽です。
美女ヘディ・ラマールは第二のピークを迎えていたとはいえ、彼女の美の絶頂期は40年代前半なので、その美しさに陰りが見え隠れします。わりとヘディ・ラマールじゃなくてもよいようなキャラクターで、ルイスに美女を演出する気もあまり感じられないような。見せ場にかけるのが残念ですが、しかしそれでもファムファタール的魅惑を放つへディー・ラマールでした。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


10/12/18

最近見たテレビアニメの感想。

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『超音戦士ボーグマン』(全35話、88年、葦プロダクション)

葦プロらしいノリと勢いを持ちつつも、葦プロにしてはわりと常識的なSFアニメかもしれません。色彩感覚もわりと変じゃないし・・・。と思うくらい当時の葦プロは荒唐無稽で変な色彩のアニメの多いところでした。アニメ冬の時代を飾る一作。
先にレンタルビデオで傑作選を見たら面白かったので、中古LDを集めて全話鑑賞。全話見るとやはりノリと勢いが強すぎてちょっと飽きてきますね・・・。面白いですけど、まとめて見るには不向きです。テレビアニメなので週一で見るなら良いかもしれません。
当時はファンにキャラクター人気を集めた作品ですが、個人的には深みのないヒロインにあまり魅力を感じませんが、美貌の天才科学者にして小学校校長メモリーのファンです。やはり美女には悲劇が似合う・・・。
テレビ本編のDVD化はされていません。

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『機甲界ガリアン』(全25話、84年〜85年、日本サンライズ)

個人的には長い事幻となっていたテレビアニメ。LD化はされてますが、地上波で再放送なんてなかったんじゃないでしょうか。OP、EDテーマ曲が良いのと、主人公の美貌の母が生きたままクリスタルのようなものに閉じ込められて彫像のように飾られているということ以外、ストーリーもキャラクターもなんにも憶えていなかったのですが、しかしこの彫像になった母のインパクトは子供心にも強く印象付けられたものです。あまりまわりに見てる人もいなかったのですが毎週楽しみに見ていたという思い出だけで、今回思い切ってDVD-BOXを買って見ました。監督は『装甲騎兵ボトムズ』『蒼き流星SPTレイズナー』の高橋良輔なので、見て損はないという気持ちもあり、実際見てみると非常に面白くて止まらなくなりました。う〜ん素晴らしい。強いて難をあげるなら全25話では短すぎて後半の展開が速すぎるという点。

私が中古DVD−BOXを買ってしばらくしてから、中古よりも安い新装版BOXが発売されました・・・。せっかくなので買って見て下さい。

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『おちゃめ神物語コロコロポロン』(全46話、82年〜83年、国際映画社)

これもまた個人的には幻となっていたアニメ。中古DVD−BOXがすごい安かったので買って見ました。ギリシャ神話をモチーフにした吾妻ひでお原作のドタバタしたギャグアニメ。ものすごいノーテンキな、ものすごい根が明るいアニメですが、神話のパロディなので知的好奇心もくすぐられます。音楽は山本正之!
太陽神アポロンの娘ポロンがいっちょうまえの女神様目指して巻き起こす騒動がばかばかしくて楽しいですが、後半は魔法少女アニメへと変貌します。この前半と後半でストーリー展開ががらりと変わるのは『銀河旋風ブライガー』の四辻たかお監督の特徴なのでしょうか。ただ単にスポンサーのおもちゃメーカーからの要望なのでしょうか。
現代では死語になった言葉使い、根が明るいとかヘチャとかがむしろ新鮮で楽しい。美少女だの美少年だのといった現代的モチーフも適当な絵柄のオバカキャラクターばかりで好感が持てます。ギリシャ神話ではナイーブで気が難しいイメージのアポロンも、ここではものすごいお調子者です。国際映画社らしくいい加減な作画も内容に良く馴染んでいます。アニメは絵がきれいかどうかで見るものではありませんね。”根が明るい音頭”とか作ってしまう山本正之の天才振りにも感動します。


10/11/21

『人生の乞食』(28年、ウィリアム・A・ウェルマン監督)

ルイーズ・ブルックスが男装してホーボーするヒロインを演じ、『男装』のキャサリン・ヘップバーン、『サリヴァンの旅』のヴェロニカ・レイクのイメージの原点を見るだけでも魅力的です。長いサイレントの歴史ゆえにこれより前にも男装してホーボーするヒロインを演じた女優はいたかもしれませんが、最初の決定打がルイーズ・ブルックスだったと信じたいところです。そう思ってみれば、相手役のリチャード・アーレンも『サリヴァンの旅』のジョエル・マクリー的に薄汚れてても不潔感のない二枚目です。
義父にレイプされそうになったところを猟銃で撃ち殺したヒロインがたまたま朝食を恵んでもらいに来た浮浪者と手に手をとって逃げるという、どうしようもない底辺を描いて悲痛です。貧乏な男女の愛の物語は悲しくもナイーブです。藁の山で夜をすごす場面や男装のルイーズ・ブルックスが汽車に飛び乗るのをリチャード・アーレンが助ける優しくもあやうい描写が切なく感動的。とはいえ中盤で、浮浪者の集団に男装がばれるあたりは幕間字幕で話が進んでる感が残念だったような。終盤はルイーズ・ブルックスを我が物にしようとした浮浪者のボスのウォーレス・ビアリーが一転して男気を見せ場をさらいます。クレジットのトップはウォーレス・ビアリーでした。
ウィリアム・A・ウェルマンのサイレント映画を見るのは初めてです。『つばさ』もまだ見てません。


米版DVD−Rで鑑賞。
Classic Video Streams"The Actors:Rare Films of Louise Brooks Volume 3"

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また久しぶりの映画鑑賞になってしまいました。しかもサイレント映画の鑑賞は一年5ヶ月ぶりです。サイレントのページなんて作っておきながら・・・。その間にもサイレントのDVDがどんどん溜まってしまいました。


10/10/31

『Shoot to Kill』(47年、ウィリアム・バーク監督)

64分の極々低予算のB級映画。フィルムノワールというかむしろ犯罪アクション映画といった趣。64分の間ものすごいスピードであれよあれよと物語が展開され、つぎつぎと出来事が起こり、アクションも豊富。B級作品らしく活きの良さがとりえです。それだけに見終わったらきれいさっぱり忘れるタイプの作品ですが・・・。
回想の中でもさらに回想があったり、お話がつぎつぎねじれていったりします。演出的にも階段で殴り合いをさせたりその様子が壁に映ったりなど健闘してると思いますが、やはりすぐ忘れそうです。スターも不在。


米版DVDで鑑賞。
”50Movie Pack Dark Crimes"


10/10/30

『La vendetta dei gladiatori』(64年、ルイジ・カプアーノ監督、イタリア)
英語タイトルRevenge of the Gladiators

イタリア産B級史劇っぽいアクション映画。お世辞にも面白い映画ではありません。う〜ん見どころがないです。主演はジェーン・マンスフィールドの夫だったボディビルダーのミッキー・ハージティ。貫禄も威厳もなければ、表情に乏しく魅力もありません。


米版DVD−Rで鑑賞。


10/10/03

『The Black Castle』(52年、ネイザン・ジュラン監督)

ボリス・カーロフとロン・チェイニー・ジュニアが共演してますが、ホラーではなくジャンルとしてはいささか形容しがたい作品。強いていえば時代物のサスペンス・アドベンチャー映画といったところでしょうか。お話もあまりよくわかりませんが、からくりが仕掛けてある城には黒豹が居たり、ワニの池があったり、おつむの弱い怪人(チェイニーJr)がいたり、いかにも怪しい医者(カーロフ)がいたり、仮死状態になる薬をのんだりと、盛りだくさんで楽しめました。監督が『シンバッド七回目の航海』『ジャックと悪魔の国』『地球へ2千万マイル』のネイザン・ジュランだけあって娯楽に満ちていました。
主役はチャンバラ俳優のリチャード・グリーン。開幕早々チャンバラありなのが嬉しいです。悪の親玉はスティーブン・マクナリー。なかなかB級的に豪華キャスティングでした。ただしカーロフのキャラクタはー物足りません。


米版DVDで鑑賞。
米ユニバーサル。"The BORIS KARLOFF Collection"


10/10/03

『恐怖』(61年、セス・ホルト監督、イギリス)

ハマー+コロンビアのサスペンス映画。10年ぶりに家に戻ってみたら富豪の父親が出張でおらず継母と医者、運転手が迎え出るという、よくあるお話ゆえに安定感があって楽しめましたが、目新しさには欠けます。品が良い分おとなしい印象もあり、わりとすぐに忘れてしまうかもしれません。どんでん返しのおかげで”恐怖”など最初から無かったものになってしまったのも、見終わってから不満に残るかもしれません。それでもモノクロの上品な映像がサスペンスらしくて良いし、なかなか楽しめました。
主演にスーザン・ストラスバーグ、継母にアン・トッドとハマーにしては豪華といえないこともないキャスティングも魅力。スーザン・ストラスバーグの神経症的お嬢様ぶりはなかなかに可憐です。

DVDで鑑賞。


10/09/26

『剣侠ロビン』(50年、ゴードン・ダグラス監督)

ロビン・フッドの息子が主人公のテクニカラー・チャンバラ映画。76分の小品で、こじんまりとした印象ですが、気軽に楽しめました。
悪役の悪ップリがおとなしいので盛り上がりに欠けますが、チャンバラ映画らしく颯爽としています。ロビン(息子のほう)が兵士達を次々殺していく描写は、実にあっけらかんとして爽快ですらあります。ゴードン・ダグラスの職人監督らしさでしょうか。そのわりに悪の親玉の王様が殺されないのは不満が残るところです。なにもマグナ・カルタ大憲章にお話を絡めなくても良いと思う。
主役ロビン・フッドの息子はジョン・デレク。ハリウッド映画史においても一、二を争うかもという美男ですが、ハリウッド映画にあまり美男は向かないのです。本作においては実にアイドル的チャンバラ映画という風情です。
お姫様は『少佐と少女』や『モーガンズ・クリークの奇跡』の妙に迫力があり押しの強かった子役時代を終え、なんだか普通になってしまって残念なダイアナ・リンです。庶民的なのでお姫様には向いてないし活躍もありません。
リトル・ジョンを演じたアラン・ヘイルは同じ役を『ロビン・フッド』(22年、ダグラス・フェアバンクス主演)、『ロビン・フッドの冒険』(38年、エロール・フリン主演)でも演じています。でもフェアバンクス版はまだ見てません。

米版DVDで鑑賞。
米ソニー。


10/09/23

『The Black Room』(35年、ロイ・ウィリアム・ニール監督)

ボリス・カーロフ主演の由緒正しい古典的B級ホラーの良品。
双子にまつわる呪われた伝説を持つ男爵家に生まれてしまった双子の兄弟をカーロフが一人二役で演じます。冷酷残酷悪徳非道な男爵と、ブダペスト帰りの洒落者の弟の演じ分けも実に巧みでその力量に感服するものの、やはり似合うのは悪役で、善良な洒落者の方は見た目に無理がありました。
70分の小品ながらも気品あるクラシカルな佇まいを堪能しました。監督はユニバーサルのベイジル・ラズボーン主演「シャーロック・ホームズ」シリーズをほとんど監督したB級映画における映像の魔術師ロイ・ウィリアム・ニール。本作もまた悪夢的な映像の魅力に溢れています。結婚式の場面で犬がワンと鳴いて反対する演出もまた素敵。
ニール監督作はもっと色々見られると良いです。どうやら対ナチものの戦意高揚プロパガンダに仕立て上げられたらしい『Sherlock Holmes and the Secret Weapon』のDVDがあるのでそのうち見ますが、それよりもマリア・モンテスとジョン・ホールのテクニカラー冒険映画『Gypsy Wildcat』が見られると嬉しい。

米版DVDで鑑賞。
米ソニー。”BORIS KARLOFF ICONS OF HORROR COLLECTION"


10/09/18

『Blond Ice』(48年、Jack Bernhard監督)

脚本にエドガー・G・ウルマーも関わっているという由緒正しいB級のフィルムノワール。
恋人に未練を残しつつ富豪と結婚したヒロインが、金のために夫を殺し、脅迫者を殺し、新たに捕まえた婚約者を殺し、のし上がろうとするというお話。いかにも低予算らしいセット空間が侘びしく映画的に広がらず、題材が題材なのでもうちょっとメロドラマ風になっても良いかと思いますが、それもまたB級ゆえに流麗な悪女物にならないのが残念です。わりと評判は悪くない作品のようですが、あまり楽しめなかったのが正直なところ。
ファムファタールを演じたレスリー・ブルックは『晴れて今宵は』のリタ・ヘイワースの妹役とか『カバー・ガール』のリタのライバル役とか演じていた脇役女優。氷のように冷酷な悪女を演じるには魅力、迫力共に不足しています。
ヒロインに何度も捨てられる恋人はディアナ・ダービン主演の屋外ミュージカル『Can't Help Singing』のロバート・ペイジ。
監督はシネカラーの着ぐるみ怪獣映画『Unknown Island』(DVDタイトルは『ジュラシック・アイランド』)やB級フィルムノワール『死刑囚に聞け!』の人。奇想天外なお話とはいえ『死刑囚に聞け!』のほうが迫力があって面白かった印象。

米版DVDで鑑賞。
VCI。


10/09/12

今年もまた夏の暑い2ヶ月間、映画を見ずに過ごしました。リージョンフリーDVDプレイヤーが3代目になりまして、こんどのプレーヤーは停止ボタンを押しますと、液晶画面に「SとOP」と表示されるお茶目な奴です。もうしばらくブルーレイプレイヤーは買わないつもりですが、昨日『忍風カムイ外伝』(69年)Blu-ray BOXを注文してしまいました。わー。

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『The Climax』(44年、ジョージ・ワグナー監督)

『オペラの怪人』(43年)は25年版のセットを修復して再使用していますが、本作はそのセットをもう一度使いまわしたオペラ物のテクニカラーホラー映画です。と言っても『オペラの怪人』と同じく今日ではホラーとは言いがたいサスペンス映画。
10年前に愛人のオペラ歌手を殺した医者が、愛人と同じ歌声を持つ新進オペラ歌手に催眠術をかけ歌声を奪おうとするお話。ごくごくありきたりなクラシックホラーという気もしますが、しかしテクニカラーでオペラでホラーという華麗さに心惹かれます。セットはもちろん豪華だし。催眠術をかけられたヒロインは故にあまり動きがないキャラクターなのが残念ですが、催眠を破って歌う事ができるかという終盤はなかなか盛り上がります。
主演の医者はボリス・カーロフ。まあいつもの変質狂をいつものように演じています。
ヒロインを演じたのは43年版『オペラの怪人』のスザンナ・フォスター。あまり魅力的ではないのが残念ですが、実は歌う場面の少ない『オペラ〜』より歌を豊富に披露して楽しめます。これでもうちょっとオペラのプリマドンナに相応しい存在感があればなあ。
ヒロインの恋人に40年代ユニバーサルのエキゾチックな二枚目俳優ターハン・ベイがエキゾチックじゃないキャラクターを演じて、なかなか良いです。ヒロインの初舞台で思わずプログラムを食っちゃう描写の可笑しさに好感。
回想にしか出てこない殺されるオペラ歌手に傑作フィルムノワール『Black Angel』(46年)のファムファタール、ジューン・ヴィンセント。トーマス・ゴメズのオペラ座支配人やゲイル・ソンダーガードの怪しいメイドなど脇役も渋く充実。


米版DVDで鑑賞。
米ユニバーサル。"The BORIS KARLOFF Collection"


10/07/11

『伝説の英雄ロビン・フッド』(48年、ハワード・ブレザートン監督)

B級のロビン・フッド。カラー作品ですが、なにせB級なのでテクニカラーではなくシネカラーのため、発色が悪いです。それはそれで味と言えるかもしれません。かつて発売・レンタルされていたビデオは68分でしたが、米版DVDは72分です。どちらにしてもまさにB級らしい気軽に見れるチャンバラ映画で、脚本のおそまつさも微笑ましく、てきぱき簡潔に進む展開とチャンバラで充分楽しめました。
マリアン役には『シャーロック・ホームズ殺しのドレス』のB級女優パトリシア・モリソン、お姫様にB級のヴァージニア・メイヨことアデル・ジャーゲンス。
主演はジョン・ホール。ユニバーサルでのマリア・モンテスとのコンビも終わり、B級作品への出演となりましたが、まだまだ二枚目です。ロビン・フッドにしては落ち着いている感じがしなくもありません。


米版DVDで鑑賞。
米ソニー。


10/07/10

『Night of the Demon』(57年、ジャック・ターナー監督、イギリス)

RKOホラーの傑作『キャット・ピープル』、『ブードゥリアン/私はゾンビと歩いた!』、『レオパルドマン/豹男』のジャック・ターナーのホラー再び!でもコロンビア製。素敵に面白い映画で満足満足。ちゃんと超常現象も起こるホラー映画ですが、むしろ良質の巻き込まれ型サスペンス映画といった趣があります。主人公とヒロインの険悪な出会いとか、ところどころに散りばめられたユーモアも良いアクセントになって、クラシックサスペンスの魅力を堪能できます。とはいえもちろん例のアレが現れる場面では暗闇の向こうから細かい光が集まって煙になり迫ってくる描写の異様な恐ろしさに興奮するし、主人公がカルト教団の教祖の家を夜探索する場面のドキっとする演出もさすがはジャック・ターナー。教祖の母が滑稽ながらも哀れで心に残ります。傑作。
主演はダナ・アンドリュースが寄る年波にも負けずケーリー・グラント的二枚目キャラを演じていて良いです(もちろんグラントより若いはずですが)。ヒロインはペギー・カミンズ。『拳銃魔』は見ていません。教祖の母はアテネ・セイラー。
ちなみに私が観たのはイギリス公開95分版。


米版DVDで鑑賞。
米ソニー。日本語字幕つき。アメリカ公開82分版『Curse of the Demon』も収録。


10/06/28

『幻の女』(44年、ロバート・シオドマク監督)

妻の殺害容疑をかけられた社長が当日一緒にいた変な帽子をかぶった女。しかし目撃者は全員そんな女は見なかったと言う。獄中の社長の容疑を晴らすべく女秘書は幻の女の捜索を始める・・・というフィルムノワール。真犯人が観客に早い段階で明かされてしまうので、ミステリーとしては多少物足りないけれど、いかにもフィルムノワール的なムードが魅力的な佳作。
事件の真相を探り奔走するのがタフガイではなくて、女秘書というのが珍しいフィルムノワールですが、しかしそれが美女エラ・レインズであるということに意義がある。1940年代というアメリカ映画史上空前の美女の時代において最もクールで鋭い美貌のエラ・レインズは、ヴェロニカ・レイクやローレン・バコールと同じ系列の女優とみなす事もできようが、しかしアラン・ラッドやハンフリー・ボガートのようなスクリーン上の特定のパートナーは持たなかった。獄中の男の無実を晴らす『狂った殺人計画』や男の危機を救いに馬で駆けつける『拳銃の街』といったエラ・レインズの最たるイメージがやはり『幻の女』にありました。エラ・レインズにパートナーは不要です。男達はただ彼女に救い出されるのを待っていれば良いのです。最もクールな美女はか細い肉体にもかかわらず最もタフな美女でもありました。
涙に濡れたように潤んだ瞳はしかし射抜くように鋭い眼差しで、目撃者のバーテンダーを怯え震えさせます。商売女の扮装で目撃者のドラマーに近づく様子も素人女探偵の魅惑に満ちて楽しい。彼女に目をつけられた目撃者達は、彼女の責任ではないのですが破滅せざるを得ないのです。エラ・レインズは”幻の女”よりもずっとファムファタールだったのです。
男達はやはりエラ・レインズの迫力に対向できないようで、彼女が密かに恋をする社長のアラン・カーティスも、サイコな芸術家フランチョット・トーンも精彩を欠き、フィルムノワールの不気味な名優トーマス・ゴメスですらもその暗い雰囲気を多少醸すのみ。
女素人探偵にロマンス、そして40年代的南国趣味(カルメン・ミランダの実妹Aurora Miranda)まで堪能できる娯楽作ではありました。


日本版DVDで鑑賞。
ジュネス企画。


10/06/19

『Nefertiti, regina del Nilo』(61年、Fernando Cerchio監督、イタリア)
NEFERTITI, QUEEN OF THE NILE

エジプト第18王朝のファラオ、アクエンアテンの后ネフェルティティの有名な彫像に秘められたドラマを題材にしたイタリア製B級史劇というか恋愛映画。できればこういう映画はB級ではなくて、恋愛映画でもなくてファムファタールのメロドラマ的大作史劇にして欲しいと思ってしまうのです。わりと史劇らしいお膳立てがなされますが、やはり壮大さやドラマティックさに欠けます。所詮イタリア製B級史劇です。が、しかし見なくて良い作品というわけにはいかないのは・・・。
1940年代20世紀フォックスの清純派大スター、美女ジーン・クレインのイタリア出稼ぎ映画なのです。彼女と同時代の20世紀フォックスのファムファタール美女達がエキゾチック路線で売り出されたのに対して、彼女はエキゾチックな役どころは非常に珍しいです。60年代になってイタリアに出稼ぎとなれば容貌は期待できないかもと思ってましたが、なんですかこの若さは!よくよく考えれば40年代の美女とはいえスターになったのが早かったので61年当時では36歳くらいですが、場面によっては乙女にすら見えるときもあります。王妃のコスチューム姿は煌いて非常に美しい。出稼ぎというマイナスのイメージがまったく似合わない女優ですね。演出が演出なので見せ場はあまりないですが、戦闘中に着飾って現れて威厳を見せる場面などは大スターの貫禄があって良いです。悪女でもなくファムファタールでもないので、貪欲でもなければ業が深くもないのが残念ですが、彼女らしい清純派の延長線上の女王の魅力がありました。
ジーン・クレインほどのスターになりますと、共演者もそこらのイタリアB級俳優とはいかないようで、やはりアメリカからヴィンセント・プライスとエドモンド・パードムが共演しています。プライスはジーンの父親で悪の司教。パードムはジーンの恋人で例の彫像を作った彫刻師。プライスは意外にもエキゾチック衣装が似合いませんが、いかにも悪人風情で場をさらいます。パードムは『エジプト人』(54年)や『プロディガル』(55年)で史劇の大スター候補として売り出された人ですが、特徴も貫禄もない俳優で当時はイタリア製B級史劇に流れていました。本作では変な髪形なのでますます魅力がありません。
監督は美女デブラ・パジェットのイタリア出稼ぎ映画『Cleopatra's Daughter』の人。


米版DVD−Rで鑑賞。


10/06/18

『The Return of Doctor X』(39年、ヴィンセント・シャーマン監督)

62分の短さでキビキビとテンポ良く進むホラー映画。ちょっとホラーらしからぬテンポの良さかもしれませんが、なかなか雰囲気も悪くなくて、死んだはずの舞台女優が生きて現れたりする不気味さも良いです。コメディに走りたがるキャラクターを配したりするのは30年代のホラー的ではあるけれど、もう30年代も末期のためか監督の個性なのか、笑い要素は控えめです。鍵のかかってないドアに手を置いたらドアが開いてずっこける場面なんかも大騒ぎにならなくて、あまり邪魔になりません。ヴィンセント・シャーマンの監督デビュー作。
ハンフリー・ボガートがいかにも生気のない白塗りの姿で現れ、気分を盛り上げます。なかなかホラー映画が似合っています。あんまり活躍しないヒロインはローズマリー・レイン。プリシラ・レインの実姉ですね。主役は記者のウェイン・モリスと医者のデニス・モーガンに別れてしまってどっちつかずですが、顎がしゃくれてる俳優という印象しか持っていないデニス・モーガンが若くてピカピカなので驚いた。


米版DVDで鑑賞。
”Hollywood's Legends of Horror Collection”
2009年2月28日参照。


10/06/10

最近見たテレビアニメの感想

『銀河旋風ブライガー』(全39話、81年〜82年、国際映画社)

アステロイドベルトの無法地帯で宇宙の始末屋家業を営む”J9”のメンバーが巨大ロボットブライガーを駆り弱き人々の復讐を請け負っているうちに、複数の犯罪組織コネクションと対立し、またヌビアコネクションの若き統帥カーメンカーメンの木星大爆破”大アトゥーム計画”を阻止すべく太陽系の運命背負って、「お呼びとあらば即参上!」する巨大ロボットSFアニメ。
リアルタイムで見ておらず、作品そのものの存在もディスクユニオンでサントラが復刻されるまで知りませんでした。最近YouTubeでオープニングを見て曲(山本正之!)とアニメーションに衝撃を受け、全話見てみました。
ウィキペディアの受け売りを書けば50年代の軽妙なアメリカ探偵ドラマを意識し、SFアニメ必殺シリーズと称され、『ルパン三世』をモチーフにしたキャラクターのSF巨大ロボットアニメということになります。現代の眼で見ると、ものすごい80年代らしさが強烈かつ新鮮で素敵です。
低予算の国際映画社らしく作画面では年代を考慮してもイマイチな印象ではありますが、しかしめちゃくちゃ面白いです。脚本とキャラクターのアニメかもしれませんが、しかし全39話を通しての構成も良く、終盤に向かってどんどん盛り上がります。キャラクターはというと、個人的には手垢のついた『ルパン三世』よりも新鮮に感じました。紅一点のエンジェル・お町(本名はマチコ・ヴァレンシア)が”J9”のメンバーとは恋人にならないのも好ポイント。ちなみに私はとばし屋・ボウィのファンです。
巨大ロボットのほうはあまりにも強すぎて、ほぼ毎回出てきたら敵が爆破みたいな感じでお粗末かもしれませんが、80年代初期らしいといえばそうかも知れないし、国際映画社だからしょうがないとも思うかもしれないし、とはいえ”J9”の大活躍はロボットあってのものなのでまあいいか。ところでこのアニメのロボットはシンクロン原理とかで宇宙船が巨大化・変形してロボットになるもので、変形はともかく巨大化はありなのかな・・・とは思ってします。
国際映画社のアニメは低予算で絵がわりといい加減ですが、なかなか好みかもしれません。リアルタイムでは『おちゃめ神物語コロコロポロン』と『若草の四姉妹』を見てました。『ブライガー』のあと、『銀河烈風バクシンガー』『銀河疾風サスライガー』とシリーズが続きますが見ていません。
また一つ最愛のアニメに出会えました。

レンタルDVDで鑑賞。

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『超時空要塞マクロス』(全36話、82年〜83年、タツノコプロ)

言わずと知れた名作、超有名作ですね。知らない人は日本人じゃないかゼントラーディーの人なのでしょう。たぶんリアルタイムで見ていて、再放送も何度か見ていますがなにせ子供の頃の事なので、少なくとも20年ぶりくらいの再鑑賞です。さすがに日本のテレビアニメ史に名高い作品はめちゃくちゃ面白いのだった。27話までは・・・。
マクロス艦隊の若きパイロットとアイドル、年上の女の三角関係と、地球人対文化を持たない巨人ゼントラーディ軍の戦いを同時進行で描く当時としては斬新な手法は、今見ても尚輝いています。そしてまたリン・ミンメイは永遠のヴァーチャルアイドルとして輝き続けます(声は飯島真理)。
全編に漂う物憂げな雰囲気に心惹かれます。ミス・マクロス・コンテストだのノーテンキなことをしてるわりになんでしょうこの哀愁は。やはり『マクロス』は特別なテレビアニメです。しかし面白いのはゼントラーディ軍との戦いが終結する27話までで、その後は三角関係のごたごたばかりで興味をそがれます。27話で完結にして欲しかった。
その後現代に至るまで続編が作られ続けていますが、本作と劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(84年)以外見ていません。去年あたりパチンコ屋の前を通るたびアンニュイな気分になったものです。

レンタルDVDで鑑賞。

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『重戦機エルガイム』(全54話、84年〜85年、日本サンライズ)

『ブライガー』『マクロス』といっしょに見ていた分、ちょっと割を食った感じがしなくもありません。面白いですが、作品の完成度は今一歩。若手中心で作られたという本作は富野由悠季監督の次作『機動戦士Zガンダム』の習作という感じもします。富野作品らしいわかりずらい世界観と胡散臭い気取った台詞回しは、ますますまとまりがないように思います。
最終的に主人公と結ばれる女がヒロインとも呼べないようなキャラクターで、最初から主人公に付きまとうヒロイン的な少女にも魅力がないのが不満ですが、もう一人主人公に惚れて敵から寝返る赫い髪の女ガウ・ハ・レッシイが良いです。しかし後半出番がガクッと減るのが残念です。

レンタルDVDで鑑賞。

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『リボンの騎士』(全52話、67年〜68年、虫プロダクション)

日本のテレビアニメ創始者の栄光がギラギラと光り輝きます。いや素晴らしい。放送当時はモノクロ放映だったのでしょうけど、カラーで製作されています。そこらへんも栄光のなす賜物。有無を言わさない圧倒的なパワーを感じてしまいます。
女として生まれるはずの子が天使のいたずらで男の心も飲み込み、王家に生まれるが女児に王位継承権がないため王子として育てられるという、見事な設定。男装ものはアニメでも魅力的です。主人公サファイアが女だとばれお姫様として国民に受け入れられる中盤の後、X連合によるシルバーランド侵攻編は戦争の脅威を描いて路線変更となりますが、男の心を持つヒロインである必要性も薄れ、またX連合の正体が曖昧で物足りない気もします。とはいえサファイアが、あるときはリボンの騎士に、あるときは亜麻色の髪の乙女に変装し活躍するという心躍る物語は、ファンタジーにも満ち溢れ非常に魅力的なのです。
キャラクターでは海賊ブラッドと魔女へケートが良いです。海賊好きと魔女好きはアニメでも同様です。どちらもたまにしか出てこないですが、それぞれ終盤に見せ場となるエピソードを持って出番が終わるので嬉しい。


DVDで鑑賞。
日本コロムビア。『リボンの騎士』コンプリートBOX。

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『銀河旋風ブライガー』は既にDVD-BOXを購入し、再鑑賞までしてしまいました。今は『おちゃめ神物語コロコロポロン』と『どろろ』、『NG騎士ラムネ&40』を見ています。
先日ブックオフで『機動戦士Zガンダム』ブルーレイボックス1が7000円で売ってたので買ってしまいました。ブルーレイの再生機持ってないのに。


10/06/06

『5 Against the House』(55年、フィル・カールソン監督)

朝鮮戦争帰りの4人組が大学に復帰というのが如何せん変な感じです。年はそれなりに取っていても大学生のフィルムノワールかあ・・・、どうもらしくないなあと思っていました、ブライアン・キースが錯乱するまでは!しかしお話が進むのが遅くてちょっと退屈。お話は朝鮮戦争帰りの大学生4人組がリノのカジノから大金強奪を計画するというものですが、主人公とその恋人の恋愛事情に話がそれすぎます。フィル・カールソンはこないだ観た『Scandal Sheet』も物足りず、好きな監督だけに残念です。
主演はガイ・マディソン。二枚目ですが没個性でフィルムノワール的な渋さも暗さもなく面白みはありません。キースはプレイボーイでサイコという珍しげなキャラクター。4人組の他の二人は場違いなアルヴィ・ムーアと『シンバッド七回目の航海』や『ジャックと悪魔の国』のカーウィン・マシューズ。
ヒロインは本格的に売り出される直前の美女キム・ノヴァク!すでにもうスターオーラをビシビシ発して美しく魅力的です。ナイトクラブの歌手を演じて、『夜の豹』では吹き替えだった歌声も本作では吹き替え無しなのが嬉しい。でもやはりファムファタールではありません。


米版DVDで鑑賞。
COLUMBIA PICTURES FILM NOIR CLASSICS 1
5月16日参照。


7月発売の米SONY ”COLUMBIA PICTURES FILM NOIR CLASSICS2”にはキム・ノヴァク主演『殺人者はバッヂをつけていた』収録。8月にはやはり米SONYから”Kim Novak Film Collection”が発売予定。単品発売済みの『ピクニック』『媚薬』『夜の豹』の他、『女ひとり』『真夜中』を収録予定らしい。


10/06/05

『恐怖の精神病院』(46年、マーク・ロブソン監督)

RKO一連のヴァル・リュートン製作ホラーと言いつつホラーではなくて18世紀の精神病院を舞台にしたサスペンス映画。精神病院の改善を訴えるヒロインを疎ましく思った院長が、策略して彼女を精神病院に収容してしまう・・・という物語。精神病院も患者達の様子も凄まじいわけではないですが、題材が題材だけにじわりと怖い。もうちょっと汚れた様子や拷問があったらもっと怖かったかもと思いつつ、このくらいが品良くて40年代ホラーの良さでもあります。勝気というより意地っ張りのヒロインが患者達を手名づけていく様子も微笑ましく楽しいし、院長の末路もありがちながらも印象的で良い。なかなか面白い作品でした。どことなく御伽噺めいたカメラはニコラス・ムスラカ。
院長はボリス・カーロフ。ヒロインは『死刑執行人もまた死す』のアンナ・リー。慇懃無礼なカーロフにリーもなかなか負けていません。アンナ・リーが強気なヒロインをむしろ意地悪そうに演じているので、好感は持ちにくいですが結果としてカーロフに対向できています。
ヴァル・リュートン製作ホラーのなかではジャック・ターナー、ロバート・ワイズに一歩引けをとるロブソンですが、本作は『The Seventh Victim』と同じくらいにロブソンのベストかと思います。
リュートン・ホラーの顔である端役女優エリザベス・ラッセルは本作ではあまり印象に残らないのが残念です。珍しくクレジットありなのになあ。


米版DVDで鑑賞。
”Val Lewton Horror Collection”
2008年12月20日参照。


10/06/05

『襲い狂う呪い』(65年、ダニエル・ホラー監督、イギリス/アメリカ)

H.P.ラブクラフト原作のAIP製作ホラー映画。監督はやはりAIPのアラン・ポーものホラーで手腕を振るった美術監督のダニエル・ホラー。
怖い怖いという噂を聞いていたので、怖いの苦手な私は恐る恐る観たのですが、あまり怖くありませんでした。4月に観たラブクラフト原作の”ポー”ものホラーでやはりダニエル・ホラーが美術監督をつとめた『怪談呪いの霊魂』のほうがおどろおどろしいムードがあり怖かったと思います。あちらには美女デブラ・パジェットも出演していたこともあり画面に艶があったので、同じAIPのB級作でも風格さえありましたが。
本作は隕石が人を化け物にするという、ゴシックなムードの中にもSF色がちらつくのが特色かとは思うものの、故におかしな事になる終盤を思うとSF色控えめなホラーのほうが奥床しくて良いように思います。
主演はボリス・カーロフ。終盤の変身後は怖いというより滑稽ですが、演じているのは別人ですね。


米版DVDで鑑賞。
MGM。『ダンウィッチの怪』(70年、ダニエル・ホラー監督)を併録。


10/05/16

『契約殺人』(58年、アーヴィング・ラーナー監督)

変な映画。50年代も終わりになると犯罪映画もフィルムノワールから別物へ変化していったのかもしれないけれど、それでもやはり変な映画。プロの殺し屋を描いた映画は『拳銃貸します』とか、もしくは殺人会社を描いた『脅迫者』とかあるけど、本作はもっとライトな感じ。ちょっとフランス映画みたいな雰囲気はギター音楽のせいかな。オープニングで身だしなみを整えるクールな殺し屋は、最初は無口だったのがいつの間にか饒舌になっちゃって、彼がターゲットを殺すのを見届けるお目付け役の二人がギャグ要員になっちゃって、う〜ん、なんとも形容しがたい可笑しさ。
主演はヴィンス・エドワーズ。私は『ベン・ケーシー』を見たことがありません。なかなか不適な殺し屋がさまになってます。クールなんだけどマッチョすぎてもうちょっとスタイリッシュにスマートでも良いのでは・・・。お目付け役1からはスーパーマンと呼ばれ、お目付け役2からは惚れられてしまうのが可笑しい。
ラーナー+エドワーズの『City of Fear』が次の"COLUMBIA PICTURES FILM NOIR CLASSICS 2"に収録予定なので楽しみです。


米版DVDで鑑賞。
COLUMBIA PICTURES FILM NOIR CLASSICS 1


10/05/16

『The Sniper』(52年、エドワード・ドミトリク監督)

ブルネット女性への憎悪を抱え込んだシリアルキラーの精神病ものフィルムノワール。主人公が性犯罪を犯したわけではないですが、話はそっち方面まで踏み込んだりして、当時としては衝撃的題材だったかもしれません。わりと面白かったのですが、題材と俳優の演技に頼った作品かもしれません。監督はアメリカ映画史の嫌われ者エドワード・ドミトリク。
主人公が異常なのを自認して救いを求めつつ、殺人を繰り返すという暗さなのですが、サンフランシスコでのロケの多様がその精神の病を表現していないような気がします。IMDbではロケを賞賛する声が多いのですが・・・。煙突工事夫を狙撃犯が撃ち殺す場面の緊迫感は良いです。カメラはバーネット・ガフィ。
B級俳優のアーサー・フランツが殺人衝動に悩み苦しむ様子を演じてなかなか良いです。刑事にアドルフ・マンジュー。最初の犠牲者にB級の悪女マリー・ウィンザー。悪女役でもないしさっさと死んじゃいます。


米版DVDで鑑賞。
COLUMBIA PICTURES FILM NOIR CLASSICS 1
米ソニー。以下収録作。
『The Sniper』(52年、エドワード・ドミトリク監督)
『5 Against the House』(55年、フィル・カールソン監督)
『殺人捜査線』(58年、ドン・シーゲル監督)
『契約殺人』(58年、アーヴィング・ラーナー監督)
『復讐は俺に任せろ』(53年、フリッツ・ラング監督)


10/05/09

『海賊船シーデビル号の冒険』(53年、ラオール・ウォルシュ監督)

その豪勢な邦題とラオール・ウォルシュ監督作ということから想起される痛快チャンバラ海賊・・・海賊なんて出ません。海賊船なんて出ません。せいぜい二人乗りの漁師の船、申し訳程度に帆が張ってあるけどその程度です。チャンバラもなし。イギリス侵攻を企むナポレオンのもとに潜伏する女スパイを巡って漁師の主人公がイギリスとフランスを漁船で行ったり着たり、女を連れてったりさらったりの反復です。
ウォルシュはこの頃『艦長ホレーショ』(51年)、『世界を彼の腕に』(52年)、『海賊黒ひげ』(52年)と海洋アドベンチャー映画を続けて発表していましたが、本作がその最後の作品になりました。山田宏一はその著書『ビデオラマ』で『海賊黒ひげ』を、海賊映画の神話を崩壊させた云々と語っていますが、本作はその神話の残り火のようなものかもしれません。『海賊黒ひげ』も実はあまり面白い映画ではないのですが、女スパイを演じた美女リンダ・ダーネルのおかげでまた見たくなる作品です。
本作の女スパイは当時エキゾチックな美人女優として海賊映画だのアラビアンナイト映画だので活躍したイヴォンヌ・デ・カーロ。あまり好みの女優ではないけれどアバズレな女スパイ役なのでまあいいか。『海の無法者』(50年)という変な海賊映画がありますが、あちらの方が賑やかなぶん悪趣味でバカバカしいけど楽しかったような。
ヒーローは大スターになる前のロック・ハドソン。ものすごいセックスアピールむんむんです。その肉体を手を変え品を変えアピールしてます。私はてっきりロック・ハドソンが海賊の若き頭領とか海賊船に潜伏する正義のなんかなのかと思ってたのでちょっと残念ですが・・・。漁師役とはいえチャンバラ見せて欲しかった。当時は『決斗!一対三』(52年)、『限りなき追跡』(53年)とウォルシュ作品への出演が続いていました。
ウォルシュにしてはいまいち、かつ海賊出ませんが、テクニカラー、冒険、女スパイとロック・ハドソンでそれなりに楽しめました。


米版DVDで鑑賞。
VCI。


10/05/05

『Bad for Each Other』(53年、アーヴィング・ラパー監督)

”Bad Girls of Film Noir 1”に収録されている作品ですが、フィルムノワールという印象はありません。サークやミネリほどのものではないとしても50年代的なメロドラマという印象。朝鮮戦争帰りの軍医が炭鉱の町に帰るが、上流社会に入り込み富豪の娘と婚約。母や看護婦からお金よりも大事なものを諭されて思い悩むというようなお話。
『アメリカ交響楽』や『初恋』などあまり共感できない主人公を描くアーヴィング・ラパー監督作。本作は50年代的メロドラマということもあり好みのジャンルなので、わりと共感しやすいほうだったかも。主人公の心の動きはわかり辛いところもありますが。
主演はチャールトン・ヘストン。ちょっと感情が読みづらいのはへストンの責任もあるかもしれません。ヒロインはリザベス・スコットとダイアン・フォスター。『宇宙戦争』のアン・ロビンソンも出演。本作でのリザベスは悪女ではなくて、単にわがままで享楽に耽る金持ち女。ジャン・ルイの豪華な衣装も着こなして、メロドラマ路線は案外似合うように思いました。
リザベスはデビュー直後のチャールトン・ヘストンと『虐殺の街』で共演していますが見ていません。


米版DVDで鑑賞。
”Bad Girls of Film Noir 1”
4月18日参照。


・・・米版DVD発売情報!米Olive Filmsから

『虐殺の街』(50年、ウィリアム・ディターレ監督)が7月発売予定!しかも

『武装市外』(50年、ルドルフ・マテ監督、ウィリアム・ホールデン主演)

『対決』(51年、ルイス・アレン監督、アラン・ラッド主演)も同時発売予定。素晴らしい!

米ソニーの”The Film Noir Collection: Volume 2”も7月発売に決まったようです。米ワーナー”Film Noir Classics Collection 5”も7月。米VCI『紐育秘密結社』は6月。なんでしょう今年の夏はにわかにフィルムノワールの季節です。


10/04/28

『Trapped』(49年、リチャード・フライシャー監督)

イーグル・ライオン・フィルムズお得意のセミ・ドキュメンタリー・タッチのフィルムノワール。偽札事件を調査する財務省の秘密捜査員のお話ですが、どちらかといえば主役は悪役のほうな感じなのが『T-Men』(アンソニー・マン)とは違う感じで、本作の方が小粒な印象。そんなに迫力もないく、悪役も犯罪組織という感じがあまりしなくて、個人を追いかけてるようでパっとしません。アクションもあるし短く簡潔で多少面白いですが。それにしても、Tメンって警察じゃないんですよね。日本人の私にはなじみが薄く、またよく理解できない存在です。
主演はロイド・ブリッジス。う〜んパっとしないなあ。この悪役じゃ迫力に欠けるのも仕方がないかと思います。秘密捜査員はジョン・ホイト。終盤はジョン・ホイトの方が主役っぽくなってきます。セミ・ドキュメンタリー・タッチの作品は主人公がはっきりしないのが多くて、物足りないことが良くあります。冒頭でちょっと出てくる銀行員はトミー・ヌーナンですね。
ロイド・ブリッジスの恋人役が伝説的悪女バーバラ・ペイトンです。好みの女優ではありませんが、そのハリウッド・バビロンを彩るアンチヒロインの伝説はやはり興味深いです。


米版DVDで鑑賞。
”50MoviePack Dark Crimes”
2008年11月30日参照。


10/04/25

『摩天楼の影』(53年、マックスウェル・シェーン監督)

ハンガリーの移民船に乗ってアメリカに密航した主人公が、船から逃げ出して紐育を逃惑う移民・難民もののB級フィルムノワール。いかにもB級らしく紐育ロケが多いのが本作の見どころの一つになっています。B級とはいえコロンビア製なのですが、こんなに大胆なロケを敢行できたのは、主演がイタリアの大スターとはいえアメリカ映画初出演のヴィットリオ・ガスマンだからでしょうか。ダイナミックなカメラは『The Killer That Stalked New York』と同じくジョセフ・バイロック。船舶からジャンプ、迫り来る列車に向かってジャンプ、高層ビル屋上の逃亡劇とアクションも豊富。特に地下鉄場面は印象深いです。
紐育を彷徨う主人公が貧乏女と出あって愛が芽生える様は、相手がグロリア・グレアムということもあり感動的です。こんなに貧乏で映画のエンディングの後は二人で生きていけるのかと心配になってしまいそうな、底辺を描いた作品ではありました。とっても面白かった。
ヴィットリオ・ガスマンは前述のとうりこれがアメリカデビュー。この後もしばらくアメリカ映画に出演しますが、見ていません。とても好きな俳優だけど、アメリカ映画に向いていたのかどうか・・・本作の場合移民ものであること、IMDbに書いてる人がいましたがロケが多いため多少ネオ・レアリズモみたいな雰囲気もあり、ガスマンの持つ雰囲気に上手く合ってはいます。
グロリア・グレアムは貧乏で蓮っ葉な女を情け深く演じて素晴らしい。食堂で他人の食いかけを盗んだり、コートを盗んだりする超貧乏なグロリア。悲壮感漂います。
『宇宙戦争』のヒロイン、アン・ロビンソンも出演。
監督のマックスウェル・シェーンは超B級映画専門の脚本家出身。監督作はコーネル・ウーリッチ原作催眠術もの超低予算フィルムノワール『Fear in the Night』(47年)を見ています。どちらもB級とはいえ、やはりパイン・トーマス・プロダクションとコロンビアではプロダクション・バリューがぜんぜん違うので『摩天楼の影』の方がずっと見栄えがいいです。


米版DVDで鑑賞。
”Bad Girls of Film Noir 1”
4月18日参照。


10/04/25

『Parole, Inc.』(48年、Alfred Zeisler監督)

仮釈放制度を廻る不正を暴く潜入捜査官の活躍を描いた犯罪映画・・・IMDbでフィルムノワールにジャンル分けされたので期待してしまいましたが、これはぜんぜんフィルムノワールではありません。妙に明るいです。そして面白くありません。う〜んがっかり。
主演はMichael O'Shea。ヴァージニア・メイヨの旦那ということしか知らない。愛嬌のあるおかしな顔で、おかしな声の野暮ったい俳優。


米版DVDで鑑賞。
”50MoviePack Dark Crimes”
2008年11月30日参照。


10/04/24

『Inner Sanctum』(48年、ルー・ランダース監督)

62分の超低予算フィルムノワール。しかし、その割に面白いです。汽車のなかでイライラしている女の隣に座った盲目の老人が、彼女に聞かせるお話が本編になります。駅のホームで女を殺した若い男が死体を汽車に投げ込む姿を子供に見られてしまう。男は逃げようとするが洪水のため町に留まるはめになり、下宿に泊まるがそこには件の子供も住んでいた・・・というお話。
汽車、下宿、公園という極々限られた場所しか出てこない低予算っぷりです。しかし殺人者のターゲットが子供の為か、雰囲気が暗く陰惨でなかなか迫力があります。62分という短さもキリッと引き締まっていて良いのではないでしょうか。子供がかぶってる帽子にタケコプターが着いてるのは、作品の雰囲気にあってないですが・・・。
しかし、本作を特色付けるのはその語り口。『夢の中の恐怖』みたいですね。IMDbには『トワイライト・ゾーン』みたいと書いてる人もいましたが。
主演で殺人者役のチャールズ・ラッセルにもうちょっと映画を背負って立つ度量があれば尚良かったのですが、没個性で通りすがりの端役みたいな俳優なので、作品そのものに魅惑が生まれてこないのは残念。
ヒロインはアンソニー・マンの傑作B級フィルムノワール『たそがれの恋』の悪女メアリー・ベス・ヒューズ。本作では、チャールズ・ラッセルが殺人者だと気がつきながらも誘惑し都会へ出ようとする悪女でもないし良い娘でもない微妙なキャラクターを演じています。もともとは20世紀フォックスが売り出しを図った形跡がある女優なので、超低予算映画にしては魅力的ですが、プリシラ・レインとベティ・グレイブルのB級版といった感じがします。


米版DVDで鑑賞。
”50MoviePack Dark Crimes”
2008年11月30日参照。

先日、家にあるフィルムノワールものの未鑑賞DVDも減ってきた、と書きましたがこれがあることを忘れていました米Mill Creek Entertainmentの”50MoviePack Dark Crimes”。
『Guest in the House』(44年、ジョン・ブラーム監督、アン・バクスター主演)
『Parole, Inc.』(48年、Alfred Zeisler監督)
『Please Murder Me』(56年、ピーター・ゴッドフリー監督、アンジェラ・ランズベリー主演)
『The Scar』(48年、スティーヴ・シークリー監督、ジョーン・ベネット主演)
『Shoot to Kill』(47年、ウィリアム・バーク監督)
『Trapped』(49年、リチャード・フライシャー監督)
と、いったパブリックドメインもののB級フィルムノワールがまだ未鑑賞でした。ついでに『ヒッチ・ハイカー』(アイダ・ルピノ監督)も別のDVDセットであったのでした。気軽に見るならやはりパブリックドメインものに限ります。


10/04/24

『Scandal Sheet』(52年、フィル・カールソン監督)

スキャンダラスなネタが売りの新聞会社の編集長が20数年前に捨てた妻と偶然再会し、今は名を変えて別人として生きる編集長は突発的に妻を殺してしまい事故死に見せかけるが、事件に興味を持った部下が犯人探しを大々的に新聞記事にしたため、次第に追い詰められる・・・というフィルムノワール。原作はサミュエル・フラー。『大時計』みたいなお話ですが、あちらは巻き込まれがたサスペンス。
殺人者がジリジリと追い詰められていく様がギトギトと暑苦しく息詰まります。ただしダイナミックな躍動感には欠けるかな・・・。たぶん主人公は殺人者の編集長で、真実が暴かれるのを恐れる心理描写がメインのキャラクターであまり動きがないせいでしょう。むしろ動くのは部下の若手記者のほうなので、こちらも主人公っぽい感じがしますが、俳優の格にあまりにも差がありすぎます。
編集長を演じたのはブロデリック・クロフォード。灰汁が強くて苦手な俳優ですが、こういう憎まれ役がいなくては面白くないので仕方がないですね。いかにも嫌味な悪役を演じてさすがの存在感。
若手記者役はツルツルピカピカの美男ジョン・デレク。睫毛がバシバシと生えそろい、気恥ずかしいほどの美男っぷり。エキゾチックな雰囲気もありますが、これだけ美男だと個性に欠けるというか、存在感に欠けるというか、当然ブロデリック・クロフォードの存在感には太刀打ちできません。個人的にはこの人のアラビアンナイト系映画と海賊映画とボクシング映画『裸の天使』を見てみたいのですが。
ヒロインはドナ・リード。あまり好みの女優ではありませんが、役のせいもありよりいっそう物足りません。女新聞記者を多少勝気にお硬く演じます。
監督は『アリバイなき男』(52年)が面白いB級アクション映画の職人監督フィル・カールソン。本作はあまりフィル・カールソン向きの題材ではないかもしれません。


米版DVDで鑑賞。
The Sam Fuller Film Collection
米ソニー。以下収録作。
『It Happened in Hollywood』(37年、ハリー・ラクマン監督、サミュエル・フラー脚本)
『Adventure in Sahara』(38年、D・ロス・レダーマン監督、サミュエル・フラー原作)
『Power of the Press』(43年、ルー・ランダース監督、サミュエル・フラー脚本)
『Shockproof』(49年、ダグラス・サーク監督、サミュエル・フラー脚本)
『Scandal Sheet』(52年、フィル・カールソン監督)
『クリムゾン・キモノ』(59年、サミュエル・フラー監督)
『殺人地帯U・S・A』(61年、サミュエル・フラー監督)


10/04/24

『Maciste Against Hercules in the Vale of Wo』(61年、マリオ・マットリ監督、イタリア)

当時流行のイタリア製B級怪力映画の自己パロディ。二人のプロレスプロモーターがタイムマシンに乗ってヘラクレスやマチステのいる時代に飛んじゃったというコメディ。バカバカしく野暮ったく笑えません。ヘラクレス役の人は知りませんが、マチステ役はカーク・モリス。
同じタイムスリップものヘラクレス映画なら『The Three Stooges Meet Hercules』(62年、エドワード・バーンズ監督)の方がずっと楽しい映画。


米版DVDで鑑賞。
Alpha。


10/04/23

『Two of A Kind』(51年、ヘンリー・レヴィン監督)

富豪の財産乗っ取りのため行方不明の息子のかわりを適当に見繕う悪女とその恋人、そして富豪の息子に仕立て上げられる男のフィルムノワール風メロドラマ。なんか変な映画でしたが、75分くらいの短い映画なので、まあいいか。
主演はエドモンド・オブライエン。行方不明の子供が、アラン・ラッド(『烙印』)とかダニエル・ダリュー(『背信』)になって戻ってくるならともかく、エドモンド・オブライエンになって戻ってきてもあまり嬉しくないんじゃないかなー、と思ってしまうと本作はもう無理のある映画なのではなかろうか。
悪女はリザベス・スコット。このキャラクターが何考えてるんだかよくわかんないキャラクターで、それはリザベス・スコットのせいでもないのだけど、不満が残ります。もっと徹底して悪女じゃないといけません。作品の評価も下がってしまう。とはいえ、リザベスはいつものようにギスギスと品がなく悪女を演じます。計画に加担したばかりのエドモンド・オブライエンにキスを迫られ冷たく跳ね除ける姿、続いてそれなら計画を降りると言うオブライエンに逃がすものかと飛びついてキスをする様子だけ見ても、いかにも冷淡で狡猾な感じがします。リザベス・スコットはちっとも好みの女優ではないので、ついつい悪く言ってしまいますが、とはいえ40年代から50年代のファムファタール女優としてやはり気になる存在で、彼女が出てるなら見てみようかという気になります。
実は悪女リザベス・スコットを凌いで富豪の姪っ子のテリー・ムーアが場をさらいます。彼女が出ているところだけ、楽しい映画になってしまいます。エドモンド・オブライエンから”スクリューボール”とあだ名される彼女を見ていると、本当にテリー・ムーア主演のスクリューボール・コメディがあればいいのにと思ってしまう。キャラクター的にはフィルムノワールでは目立ってこない良い娘の一種でしかないのに、やはり”スクリューボール”はフィルムノワールでも強かった。ただもちろん彼女の存在が本作を変な映画にしている一因ではあります。これでリザベスがまっとうな悪女ならまた印象も違ってくるのだろうけど。


米版DVDで鑑賞。
”Bad Girls of Film Noir 1”


10/04/22

米版DVD発売情報。

最近フィルムノワール消費量が激しいです。家にあるフィルムノワールものの未鑑賞DVDも減ってきたし、そろそろ補充したいところ。そんななかもう出ないかと思っていた、米ワーナー”Film Noir Classics Collection 5”がついに7月発売予定。

収録作は
『影を追う男』(45年、エドワード・ドミトリク監督、RKO)
『Desperate』(47年、アンソニーマン監督、RKO)
『The Phenix City Story』(55年、フィル・カールソン監督、アライド・アーティスツ)
『Dial 1119』(50年、ジェラルド・メイヤー監督、MGM)
『札束無情』(50年、リチャード・フライシャー監督、RKO)
『暴力の季節』(56年、ドン・シーゲル監督、Lindbrook Productions)
『タイムリミット25時』(46年、ハロルド・クルアーマン監督、RKO)
『死への招待』(50年、ヴィンセント・シャーマン監督、ワーナー)

とまあ、今までのFilm Noir Classics Collectionのなかでも一番地味なラインナップ。このB級っぷりは好事家は喜びそうかもしれないけど、今回はこれ買わないつもり。興味のあるスターがあまりにも不在なんだもん。
『影を追う男』と『札束無情』はレンタルビデオで鑑賞済み、『タイムリミット25時』もむかしレンタルビデオがあったようです。今はなかなか見つからないかもしれませんが。


米VCIからは『紐育秘密結社』(55年、ラッセル・ラウズ監督)も発売予定。


10/04/18

『The Killer That Stalked New York』(50年、Earl McEnvoy監督)

キューバからダイヤモンドを密輸した女・・・彼女は天然痘まで紐育に運んでしまった!という『暗黒の恐怖』みたいなお話の多少セミ・ドキュメンタリー・タッチ風のフィルムノワール。なかなかに面白いです。こういうちょっと良いB級映画が日本未公開なのは残念ですね。
『暗黒の恐怖』と違って伝染病もちの犯人が逃げて走ってのアクションはほとんどありませんが、天然痘の伝染被害拡大を食い止めようと奔走する医師たちの姿や、主人公と接触した人たちを見て、こいつは感染するぞといったスリルはあります。一方主人公に対しては、夫の指示でダイヤを密輸したのにその間妹と夫ができちゃって、ダイヤが届いたら病気の自分を捨てて出て行っちゃって、妹を問いつめにいったら後悔した妹は自殺しちゃって、夫への恨みと共に病状はますます重くなる・・・という負のスパイラル。夫に裏切られた女の情念と伝染病が上手くあってなかなか効果的です。主人公を演じたイヴリン・キースの病気メイクもどんどん恐ろしくなっていき、迫力が出てきます。そのわりに語り口、ナレーションは明るい感じなのがセミ・ドキュメンタリー風の欠点ですね。悪人の夫までちゃんとワクチン接種してるのが可笑しい。終盤は妻対夫の対決やビルの窓際でのクライマックス等ありまして、最後まで緊迫感も持続しました。ああ、面白かった。
美女ドロシー・マローンが看護婦役でちょこっと出演しています。クレジットは4番目ですが、台詞もちょこっとのほとんどチョイ役です。いくらなんでもそれはひどいだろうと思ってしまう。端役時代のリチャード・イーガンもT-MEN役でちょこっと出演。
監督のEarl McEnvoyはIMDbで見ると『姉妹と水兵』とか『ドリアン・グレイの肖像』とか『甦る熱球』の第二班監督の人ということです。監督作は本作を含め3作だけらしい。


米版DVDで鑑賞。
”Bad Girls of Film Noir 1”
SONY。収録作は
『The Killer That Stalked New York』(50年、Earl McEnvoy監督)
『Two of A Kind』(51年、ヘンリー・レヴィン監督)
『Bad for Each Other』(53年、アーヴィング・ラパー監督)
『摩天楼の影』(53年、マックスウェル・シェーン監督)


10/04/17

『Mystery Street』(50年、ジョン・スタージェス監督)

”Film Noir Classic Collecton Vol.4”に収録された作品ですが、フィルムノワールというよりは犯人探しのサスペンスといったところ。砂浜で見つかった白骨死体を科学捜査で被害者を特定し、容疑者を見つけるが真犯人は・・・という2時間サスペンスドラマみたいな内容ですね。なので苦手なジョン・スタージェスのわりにお気楽に楽しめました。多少セミ・ドキュメンタリータッチな雰囲気もあり、ハーバード大学の教授が警察に協力するという内容はちょっと珍しげかもしれません。カメラはジョン・アルトン。
主役の刑事はリカルド・モンタルバン。主人公だけあって当然よく動くのですが、お話の焦点が彼にないせいかあまり目立ってきません。もしかしたら容疑者の妻に多少のトキメキを持っているかもしれないもののよくわからず、作中まったく背景がわからないキャラクターだったかもしれません。ハーバード大学の教授には『潜行者』にも出ていたターザン俳優ブルース・ベネット。被害者と同じ下宿人は『マーティ』のベッツィ・ブレア。
下宿の大家を演じたエルザ・ランチェスターが場をさらいます。若い下宿人にガミガミ言い、隠れて酒を飲み、ドレッサーにはマッチョの写真が貼ってあるといういかにも独身大家といったキャラクターを嬉々として演じている感じが楽しいです。『大時計』といい本作といいフィルムノワールには不似合いなほどコミカルで浮いた存在感。
被害者役はジャン・スターリングが演じ、最初の十数分は彼女がほとんど主役かと思うような存在感です。でもさっさと死んでしまう上に白骨死体になってしまいますが・・・。そろそろあばずれキャラの演技派女優として認知されだしてた頃なんではないかと思うので、その扱いはどうなのと思わないでもありません。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/04/17

『Maciste contro lo sceicco』(62年、ドメニコ・パオレラ監督、イタリア)

時代も場所も適当に現れるイタリア映画界原産のヒーローマチステが今度はアラビアとスペインに登場。米題『Samson Against The Sheik』と言いまして、私はてっきりアラビアンナイト風の怪力映画かと思ったのですが、なんですかスペインってとずっこけました。イタリア産B級怪力映画なので、まあ仕方がないです。ところで今回(?)のマチステはスペイン人らしいです。同時代のマチステ映画に比べるとヨーロッパに馴染んじゃってますねー。
主演は『アマゾンの女王』『獅子王の逆襲』『Ursus in the Land of Fire』(米題)のマッチョ俳優エド・フューリー。演技過剰な感じと色気過多な感じがしますが、コメディセンスがわりとあって同ジャンルのマッチョ俳優のなかでは好きなほうです。美女エレイン・スチュワートと共演した『蛮族の逆襲』を見てみたい。
悪のシークは『チャタレイ夫人の恋人』の森番、『太陽がいっぱい』の刑事を演じた二枚目俳優エルノ・クリサ。
米版DVD−Rはモノクロで収録。本来はイーストマンカラーらしいのに残念です。お世辞にも面白い映画ではないので、まあいいか。監督は『Pirates of the Coast』『ヘラクレス/闘神伝説』『ヘラクレス/モンゴル帝国の逆襲』『Hercules and the Tyrants of Babylon』などB級アドベンチャー映画のドメニコ・パオレラ。


米版DVD−Rで鑑賞。
PR Studios。『Tharus, Son of Attila』『The Conqueror of Corinth』『Samson Against The Sheik』(すべて米題)の3作を収録。


10/04/13

『続・恐竜の島』(77年、ケヴィン・コナー監督、イギリス)

前作『恐竜の島』は英アミカス・プロの作品でしたが、何故かその続編は米AIP作品(アミカスはクレジットなし)。前作の主人公ダグ・マクルーアが海に流したメッセージを頼りに恐竜の島へ足を踏み入れる冒険者達・・・。続編だからとたかをくくっていましたが、これもなかなか面白いです。翼竜と複葉機の空中バトルが早々にあったり、ステゴサウルスで複葉機を引っ張ったりで前作よりも楽しいじゃないか・・・と思っていたらば何故恐竜の島に鎧兜の武者がいるのと中盤でずっこけました。武者の登場で途端に失速します。終盤は前作同様に火山の爆発が起こりまして、でもあきらかに火薬をドンドンと爆破している様に苦笑しながらも、その中を走る俳優達にハラハラしてしまいました。いやあ、やはり冒険映画は楽しいですね。エンドクレジットの夕陽が幻想的で美しいのも満足。
ダグ・マクルーアは本作ではゲスト扱い。主役はパトリック・ウェインにバトンタッチ。その名前のとおりジョン・ウェイン御大の息子ですが似てませんね。ちょっと品行方正すぎる感じがしますが、『シンドバッド虎の目の大冒険』のシンドバッドでもあるので、70年代冒険映画のヒーローとして記憶したい。
原始人(?)を演じたダナ・ギレスピーの盛り上がるおっぱいも見どころ。


米版DVDで鑑賞。
MGM。A面に『恐竜の島』を収録。


10/04/12

『恐竜の島』(75年、ケヴィン・コナー監督、イギリス)

70年代秘境アドベンチャー映画。本当は60年代までが好みだけど、70年代もこの手のジャンルならば見てみようかという気になります。エドガー・ライス・バローズ原作。
恐竜の島にたどり着くまで30分弱かかります。思わずいつ恐竜が出てくるんだよと待ち遠しいですが、でも実はこの序盤もけっこう面白いです。191X年のドイツ軍潜水艦を乗っ取ったり反撃にあったりまた鎮圧したりでてんやわんや。このまま恐竜のことは忘れてもいいかもと思っているうちにようやく恐竜の島にたどり着きますが、最初の恐竜登場でドキッとします。今見れば安易な特撮もレトロな感じがして楽しい限り。やはり冒険映画は良いですね。意外に幻想的な景色があったりと侮れません。
主演はダグ・マクルーア。思わず原始人も慕う原始人顔が頼もしい。ケヴィン・コナーとお馴染みのダグ・マクルーアは70年代アドベンチャー映画のヒーローです。


米版DVDで鑑賞。
MGM。B面に『続・恐竜の島』を収録。


10/04/11

『潜行者』(47年、デルマー・デイヴィス監督)

ハンフリー・ボガート+ローレン・バコール3度目の共演作。変な映画でした。
脱獄した主人公の死刑囚が整形するまで一切顔を見せず、カメラもまたほとんど一人称カメラ(主人公の見てるもののみを映す)なのでどうにも落ち着かない。主人公が物を取ろうとするとカメラも一緒に動いて主人公の手を追うのだけど、ぎこちない感じで、人物もまたカメラと向き合う形でしか写らず居心地が悪い。一人称カメラの映画はすでに『湖中の女』が本作のちょっと前に撮られていたのだけど、映画の見せ方としては結局定着しなかったようです。ちなみに全編一人称カメラのフィリップ・マーロウものフィルムノワール『湖中の女』は見てません。本作の一人称カメラは30分くらいで終わってしまいますが・・・。
脚本家出身のデルマー・デイヴィスですが、本作はとってもご都合主義に溢れていています。主人公が出会う人間がほとんどお話にかかわってくる、もしくは主人公を落としいれようとするというのはいかにも出来すぎです。
しかしなかなか面白い映画ではありました。暗く寂しい雰囲気とは裏腹に豪華な音楽はフランツ・ワックスマン。バコールの住む豪華なアパートメントの内装はいかにも40年代のエレガンスだし、バコールのキャラクターこそご都合主義の塊ですが、まあいいかなという気にさせるくらいボギー+バコールのカップルはやはり魅力的だし。
とはいえ、ボギー+バコールを凌いで強烈な印象を残すのがアグネス・ムーアヘッド!この名女優はフィルムノワールの悪女まで演じていたのですね。美しくない中年のけばけばしく、けたたましく、ヒステリックな悪女像はあまりフィルムノワールではお目にかかれないものです。多少演技過剰な感じはしますが、それすらも上手いと感じさせるあたりがアグネス・ムーアヘッドの素晴らしさ。根性悪っぷりも筋金入りで、その末路の衝撃たるや、『A Life at Stake』のアンジェラ・ランズベリーを凌ぐのは当然としても、『黄金の腕』のエリノア・パーカーよりもさらに強烈かもしれません。


日本版DVDで鑑賞。
ワーナーホームビデオ。


10/04/10

日本版DVD発売情報。

『テキサス』(66年、マイケルゴードン監督)
紀伊國屋より6月発売予定。アラン・ドロン、アメリカ進出中の一作にして西部劇という変り種が祝DVD化。同じくアメリカ進出中の『泥棒を消せ』(65年、ラルフ・ネルソン監督)も発売して欲しい。


10/04/10

『暴力行為』(48年、フレッド・ジンネマン監督)

暗い暗いフィルムノワール。戦争の傷跡を描いて心をえぐる暗さです。勧善懲悪ではない、そもそも誰が悪役なのかという複雑な人間模様。
地方で幸せに暮らしている主人公のもとにある日突然殺人者が迫る。それは大戦中の戦友でナチの収容所で主人公が犯した過ちを死を持って清算させるためにやってきたのだ・・・というお話。
フィルムノワール本には必ずといっていいほど名前が出て来る良く知られた名作なのですが、今見たい気分の題材ではなっかたのであまり気乗りしませんでした。主役二人のどちらにも感情移入できないのもその原因の一つ。良い映画なんですけどね。
追われる男がヴァン・ヘフリン。追う男がロバート・ライアン。どちらも見事なまでに異様なフィルムノワール俳優で、本作でも灰汁の強い個性で暗い雰囲気を撒き散らします。
ヴァン・ヘフリンの妻役は映画デビュー2年目の若々しい21歳くらいのジャネット・リー。
気乗りせずに見たけれど、とはいえその陰惨な暗さは心に深く突き刺さります。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/04/10

『流砂』(50年、アーヴィング・ピシェル監督)

ミッキー・ルーニー主演のフィルムノワールという変り種ですが、彼の身長と同じく小粒な出来栄え。勤め先から20ドルくすねた男が次から次へと流砂に飲まれたように不運に見舞われ犯罪を繰り返すお話はフィルムノワールらしいのですが、ファンタジーやらSFやらといった夢のある映画を撮っていたアーヴィング・ピシェルだからなのか妙にお気楽モードで、特に終盤にはずっこけます。ミッキー・ルーニーだからそんなに悲惨にならないのかもしれません。
ルーニーは子役時代を過ぎてもその面影を残し、それでいて老けて可愛げのないおっさん小僧といった感じで、やはりフィルムノワールには向かない印象。ピーター・ローレがいかにも悪役風情でさすがの存在感ですが、ちょこっとしか出て来ないので残念。
悪女はジェームズ・キャグニーの実妹ジーン・キャグニーが演じているのが珍しいかと。ただし場末の悪女といった感じであまり魅力的ではありません。ちょっとごつすぎます。
ルーニーの善良な恋人役にバーバラ・ベイツ。『イヴの総て』で最後にちらっと出てきて印象を残した人ですが、なかなか魅力的です。卑屈なキャラクターなのが残念。


日本版DVDで鑑賞。
ファーストトレーディング。500円DVD。


10/04/04

『怪談呪いの霊魂』(63年、ロジャー・コーマン監督)

AIPにおけるロジャー・コーマンのエドガー・アラン・ポー・シリーズの第6作目・・・と言いながら原作はポーではなくてH.P.ラブクラフトなんだそうな。
私が見たAIPのホラー作品の中でも今のところ最も怖くて面白い作品です。ロジャー・コーマンやるじゃない。さすがはB級映画の帝王!名高いポー・シリーズ1作目『アッシャー家の惨劇』や2作目『恐怖の振子』よりずっと怖い。B級であることを感じさせない美術、画面作り、キャスト、そして雰囲気も素晴らしい。ポーではなくてラブクラフト原作の為かなんだかよくわからない禍々しさがあり、ダークで恐ろしい雰囲気を形成しています。
カメラはいつもの、AIPお抱えのフロイド・クロスビー。『タヴウ』(ムルナウ)や『真昼の決闘』のカメラマンがなぜAIPでB級作品ばっかり撮ってるのかわかりませんが、彼の功績は大きいです。主演もいつものヴィンセント・プライスでこれは目新しさがなくて悪くはありませんが普通。他にエリシャ・クック・ジュニアだのロン・チェイニー・ジュニアだのが出てきます。ここまではB級感漂うキャスティング。
ヒロインは、おぉ、美女デブラ・パジェットがつとめ彼女の最後の映画出演になりました。まだスターオーラも衰えていないデブラほどの美女がAIPのB級ホラーに何故出演していたのかという疑問は、時代が彼女のようなエキゾチックで本格的な美貌を必要としなくなっていたからと思っていますが、しかし結果的に本作にAクラスの華々しさを与えています。虐げられる妻を演じながらも意志が強いところを見せて頼もしい限り。黒くツヤツヤの髪をたらしてゴージャスなナイトガウンをまとった姿は実に美しい。
ラブクラフトの原作はもちろん読んでいないのです(ポーもだけど)。諸星大二郎の漫画によく出てくるアレの元ネタということしか知りませんが、そんな恐ろしいものを読めるはずがありません。
本作の美術監督ダニエル・ホラーが監督した『襲い狂う呪い』(65年)がまたラブクラフト原作で怖いらしいですが、あまり怖すぎると見れないのです。


米版DVDで鑑賞。
MGM。リージョン1。


10/04/04

『燃える大陸』(51年、サム・ニューフィールド監督)

最低映画の監督サム・ニューフィールドのストップモーション・アニメーションの恐竜が蠢く冒険映画。IMDbでも2点台と最低な部類の点数で、評判の悪い映画なのですが、サム・ニューフィールドにしては全然ましなほうだと思います。確かに面白い映画ではないのですが。チャチな出来栄えでもストップモーション・アニメーションで動く恐竜なんて志が高いではないですか。私の見たDVDは全編モノクロですが、オリジナルは秘境の場面だけ緑色に染色されてたらしく、オリジナルを見てみたかったかなと思わせられます。
でもやはり最低映画の監督なので、色々と粗があります。脚本も酷いです。草食恐竜しか出てこないのも辛いところ。肉食恐竜も出なくて恐竜を恐怖の対象にできるのか・・・。
主演はシーザー・ロメロ。


日本版DVDで鑑賞。
オルスタックピクチャーズ。


10/04/03

米版DVD発売情報。

”The Barbara Stanwyck Collection”
米ユニバーサルより4月27日発売予定。収録作は
『紐育の顔役』(37年、アルフレッド・サンテル監督)
『The Great Man's Lady』(42年、ウィリアム・A・ウェルマン監督)
『The Bride Wore Boots』(46年、アーヴィング・ピシェル監督)
『The Lady Gambles』(49年、マイケル・ゴードン監督)
『All I Desire』(53年、ダグラス・サーク監督)
『There's Always Tomorrow』(56年、ダグラス・サーク監督)

バーバラ・スタンウィックのユニバーサル版BOXが登場!『レディ・イヴ』が入ってないのは物足りませんが、あれはプレストン・スタージェスのBOXに入っているので仕方がないですね。そのかわりダグラス・サークの『There's Always Tomorrow』と大好きな『All I Desire』が入っているので買いです。


『戦うロビン・フッド』(46年、ジョージ・シャーマン、ヘンリー・レヴィン監督、コーネル・ワイルド主演)
『伝説の英雄ロビンフッド』(48年、ハワード・ブレザートン監督、ジョン・ホール主演)
『剣侠ロビン』(50年、ゴードン・ダグラス監督、ジョン・デレク主演)
『シャーウッドの剣』(60年、テレンス・フィッシャー監督、イギリス、ハマープロ)

米ソニーより5月11日発売予定。すべて単品発売です。
コロンビアのロビン・フッドもの映画が一挙DVD化。欲を言えばロビン・フッドもの以外にもコーネル・ワイルドの『千一夜物語・魔法のランプ』とかジョン・デレクのアドベンチャー映画とかも発売してくれると良かったのですが。
『戦うロビン・フッド』と『シャーウッドの剣』は日本版中古ビデオを持っているので買いません。『伝説の英雄ロビン・フッド』は以前は新宿TUTAYAにレンタルビデオが置いてあったのですが、借りようと思ってる間になくなってしまったので、これを気に見たいところ。


10/03/28

『Fourteen Hours』(51年、ヘンリー・ハサウェイ監督)

ビルの15階の窓から自殺を図ろうとする男とその騒動を描いた作品。傑作です。とっても面白いです。ヘンリー・ハサウェイ監督作では『死の接吻』さえ凌ぐ傑作かも。
自殺しようとする主人公と彼の周辺の人物、自殺を止めようとする警察の攻防、はるか15階の様子を見上げる人々の様子をセミ・ドキュメンタリータッチで生き生きと描き出しています。15階の生々しさがセットとロケが組み合わさって圧巻です。人間関係のえぐさも面白い。
主役は『夜歩く男』『The House on Telegraph Hill』『Tension』のリチャード・ベースハート。危い精神状態の主人公を演じて上手いです。そしてやはり奇妙な雰囲気が漂います。自殺をやめるよう説得する警官にポール・ダグラス。こちらもいつものとおりの安定感と存在感。
騒動を見守る離婚調停中のブルジョワ女役でグレイス・ケリーが映画デビューしました。すでに光り輝く美しさ。
やはり騒動を見守る若い女に美女デブラ・パジェット。こちらはさらに光り輝いて場をさらいます。思わず通行人のジェフリー・ハンターが一目ぼれしてしまうほどに。デビューしたばかりのグレイス・ケリーはともかく、すでに若手スターだったデブラやジェフリー・ハンターが群衆の中の一人なんてすごい贅沢な!デブラやグレイス・ケリーがこれだけ輝いてしまうと主人公の元婚約者役のバーバラ・ベル・ゲデスがちょっと気の毒ですね。
主人公の母親役にアグネス・ムーアヘッド。チョイ役でサンドラ・グールドも出演。アグネスはTVドラマ『奥様は魔女』のもちろんエンドラ役を演じた名女優。サンドラもまた『奥様は魔女』の二代目グラディスさんでおなじみですね。


米版DVDで鑑賞。
FOX。リージョン1。


10/03/28

『吸血鬼ボボラカ』(45年、マーク・ロブソン監督)

RKOのヴァル・リュートン・ホラーの一つ。吸血鬼ボボラカの迷信が残る孤島で伝染病が広がり島に滞在していた人たちが次々と死んでいくうちに、迷信に取り付かれた将軍は・・・というお話。残念ながら起伏があまりなく72分と短い作品ですがわりと退屈です。終盤”早すぎた埋葬”からはドキドキして面白くなり、これぞRKOヴァル・リュートン・ホラーと思えるのですが。暗がりの中を歩くヒロインが風にたなびく白い裾を見かけるあたりがクラシックホラーの醍醐味ですね。美しくも不安に満ちた怪奇幻想。
将軍役はボリス・カーロフ。厳格な軍人が伝染病による死に直面し、迷信に憑かれる様を演じて凄みがあります。ヒロインは『七月のクリスマス』(プレストン・スタージェス)、『銃弾都市』『コロラド』のエレン・ドリュー。
マーク・ロブソン監督作は同じヴァル・リュートン製作のホラーでもジャック・ターナー『キャット・ピープル』『レオパルドマン 豹男』『ブードゥリアン/私はゾンビと歩いた!』、ロバート・ワイズ『キャット・ピープルの呪い』『死体を売る男』に比べるとイマイチかなと思います。もう一作『恐怖の精神病院』が残っているので、そのうち見てみよう。

米版DVDで鑑賞。
”Val Lewton Horror Collection”
2008年12月20日参照。


10/03/28

『法に叛く男』(55年、ルイス・アレン監督)

いまいち地味なワーナー製フィルムノワール。誤って無実の人間を死刑に追いやってしまった検事が、酔いどれて落ちぶれ、ギャングお抱え弁護士になるが、娘のように可愛がっていたかつての部下を救うため、ギャングと闘う法廷もの。イマイチもの足りない印象。『三人の狙撃者』が面白いルイス・アレン監督作なのですが。
主演はエドワード・G・ロビンソン。私のお目当ては、まだスターになる前のジェーン・マンスフィールド。歌手役ですが歌声は吹き替えです。やはりまだスターオーラがありません。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/03/27

『Side Street』(50年、アンソニー・マン監督)

『夜の人々』(ニコラス・レイ)のファーリー・グレンジャーとキャシー・オドンネルの再共演フィルムノワール。当然のごとく貧乏カップル役です。『夜の人々』は貧乏でも教育はある程度受けたほうがいいという身も蓋もない感想しか持っていないのですが、本作もまあそうかもしれません。低高差のある撮影はいかにもアンソニー・マン監督作らしいですが、いつものジョン・オルトンではなくてこちらも名手のジョセフ・ルッテンバーグ。セミ・ドキュメンタリーを引きずっているような冒頭のナレーションもマンらしいかもしれません。
パートタイムの郵便配達夫が配達先から思わず大金を盗んでしまったが、犯罪がらみの金だったため命を狙われるというお話。ファーリー・グレンジャーの濃い顔が汗だらだらで暑苦しい事この上ないです。
前述のように『夜の人々』のコンビ再共演であり、それが目玉と思われますが、私のお目当てはジーン・ヘイゲン。『アダム氏とマダム』でデビューし、本作と同年には『アスファルト・ジャングル』の一ヒロインを演じ、『雨に唄えば』では悪声のサイレント女優リナを演じた変な女優。本作では酒場のすれた歌手を演じ、妙に可笑しくて哀れな雰囲気でした。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/03/27

『ドクターX』(32年、マイケル・カーティス監督)

2色方式テクニカラーのホラー・サスペンス映画。2色方式テクニカラーの微妙な色彩はあまり美しくなく、ホラームードを低下させています。これならモノクロの方が良いのでは。謎解き主体のサスペンスは退屈です。もっとホラー傾向が強ければ良いのだけど。泥臭いコメディリリーフも良くない。犯人探しのバカバカしい実験で、容疑者の博士達が椅子に手錠で括り付けられ身動きできない状態で、彼らの目の前でまさに本物の殺人が行われようとしている、という場面は楽しめました。
翌年の二色方式テクニカラーホラー映画『肉の蝋人形』と同じくマイケル・カーティス監督、ライオネル・アトウィル主演、フェイ・レイがヒロイン。フェイ・レイはこの年、『猟奇島』と本作、翌年には『肉の蝋人形』と『キング・コング』に主演し元祖スクリーミング・クイーンとして映画史に名を刻みました。マイケル・カーティスはホラーに向いてません。


米版DVDで鑑賞。
”Hollywood's Legends of Horror Collection”
2009年2月28日参照。


10/03/22

『醜聞殺人事件』(52年、ヴィンセント・シャーマン監督)

インドの王子アリ・カーンと結婚して映画から遠ざかっていた美女リタ・ヘイワースの3年ぶりの復帰作です。もうそれだけ。それだけの映画です。当然スター主義にのっとって、相手役には名コンビのグレン・フォードを添え、フィルムノワールといってもモノクロの濃い映像ではなく、異国情緒漂うムードのなかで蠢く犯罪を背景に繰り広げられる恋愛映画。ですが、それで充分楽しいです。しかも超ド素人とはいえスパイの真似事までしてくれるリタを見られるだけでも良しとしましょう。
リタ・ヘイワースは始終深刻そうな表情で穏やかだけど、踊るときだけ狂乱するファムファタールで抜群の存在感。さすがにちょっと老けましたが(34歳くらい)、美しく官能的に輝いています。神と結婚したら男は不幸せ云々といったヒロインを語る内容の台詞がありましたが、実生活でもそうだったのかなと思わせられます。リタ・ヘイワースはラブゴッデスだもんね。
グレン・フォードは何のためにいるのか、リタ・ヘイワースとラブシーンを演じるためだけにいるような感じのキャラクターを演じていて、ちょっと気の毒。
リタ・ヘイワースとグレン・フォードのファンならば楽しめる映画でした。夜の雨のベランダにタバコを吸いに出たグレン・フォードが暗闇に眼を凝らすと先に来ていたリタが居て、リタがタバコを吸った瞬間暗闇の中にその美しい顔が浮かび上がる場面が印象的でした。
『悲しみは空の彼方に』の黒人のお母さんファニタ・ムーアがリタのメイド役で出演。


米版DVDで鑑賞。
SONY。日本語字幕なし。リージョン1。


10/03/22

『孤島の愛情』(52年、スチュアート・ヘイスラー監督、イギリス)

第二次世界大戦中に軍艦が爆破され生き残った男と女が孤島にたどり着き、という南海冒険映画・・・というにはあまりにも冒険がなくて、せっかくの孤島もあまり探険せず、もともと30年前は原住民が住んでいたという設定なので、住むところは残ってたりで苦難はありません。中盤になって島に飛行機が不時着し女が二人の男の間で揺れるラブロマンスものになってしまっているので、この邦題なのねと納得したしだいですが・・・。
主役は我が心の美女リンダ・ダーネル!南海の孤島でばっちりメイクを決めたリンダが、お手製のリゾート風衣装をまとう姿は艶やかに美しく、しかし遭難した人には見えません。でもいいのです娯楽映画だから。
一緒に難破する海軍兵士にこれが本格的映画デビューのタブ・ハンター。若くてピカピカですね。50年代のトップアイドルですがやはり個性に欠けます。
リンダとタブが歳が離れているので(8歳くらい)、後から来た男にヒロインが奪われてしまうというのは見ていてなんだかなーと思ってしまいました。白いリゾート風ドレス姿の官能的に輝くリンダ・ダーネルは年下男が思わず遠くから呆然と見つめてしまう色香に満ちて美しく、年下男のせつなさに説得力を与えています。まあ、タブ・ハンターは実生活では同性愛者だった事で有名ですが・・・。


米版DVDで鑑賞。
VCI。字幕なし。リージョン未確認。


10/03/21

『Tension』(49年、ジョン・ベリー監督)

ドラッグストアの薬剤師が逃げた妻の不倫相手を殺すべく、眼鏡からコンタクトに変え名前を変え住所を変え別人に成りすまし殺人を計画するが、新しい生活で知り合った女に恋をし、妻も殺人計画も忘れる事にしたそのとき妻が不倫相手を殺し、犯罪をなすりつけてきた・・・というフィルムノワール。怖いですね素敵ですね。お話だけでも愉快ですが、実際見てみるとこれがなかなか楽しい良いフィルムノワールです。
うだつの上がらない薬剤師が別人になりすまし、新しい生活を始めるワクワク感。そして知り合う女がまだスターになる前のシド・チャリシーときているのだ!ただ楽しいだけではなくて、暗く複雑な人間模様も秀逸。キビキビとお話が進むのも心地よい。ただし、中盤からバリー・サリヴァンの刑事が出しゃばりすぎるのはよくありません。赤狩りでハリウッドを追われたジョン・ベリー監督作。
主演は『夜歩く男』『The House on Telegraph Hill』の奇妙な二枚目俳優リチャード・ベースハート。神経質そうで、インテリそうで、印象が薄そうな雰囲気がむしろ個性的で印象に残るという人で、わりと好きな俳優です。本作では知的でソフトな雰囲気を生かして妻に逃げられる弱弱しい男から、別人に変身するという役が上手くぴたりとはまっています。
主人公が引っ越した先で恋に落ちる女は前述のとおりシド・チャリシー。彼女は30歳を過ぎてからの方が美しいのだけど、純情可憐で好印象。
主人公を陥れる悪妻、悪女はオードリー・トッター。フィルムノワールに馴染み深い人ですが、『罠』しか見ていません。なので悪女役は始めて見ました。薬剤師の妻役という庶民的なキャラクターにしてももっと美しいファムファタールでも良いのになーと思ってしまうあたり、物足りないかもしれません。場末感が漂います。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/03/21

『ゼロへの逃避行』(50年、ジョン・ファロー監督)

精神異常もののフィルムノワール・サスペンス。自殺未遂で運び込まれた女と医師が恋愛関係に陥るが、女が父親と説明していた相手が実は歳の離れた夫で、医師と夫が口論しているうちに弾みで夫が死んでしまう・・・が、という物語。
ヒロインは精神不安定だし、主人公は頭をぶつけて意識が朦朧としているし、そんなかなでのメキシコ逃亡劇は暑苦しいが、それほど盛り上がらないような気がしました。ジョン・ファローのフィルムノワールなら『大時計』の方が面白いです。どちらも巻き込まれがたサスペンスですが。
主役はロバート・ミッチャム。『過去を逃れて』とか『マカオ』『仮面の告白』『天使の顔』とか基本的には同じようなキャラクターですね。すべてRKOだ。本作では頭が朦朧としている分、頼りない感じです。
ファムファタールはフェイス・ドマーグ。『抜き射ち二挺拳銃』の悪女の人ですが、むしろ『宇宙水爆戦』と『水爆と深海の怪物』でカルトSFヒロインとして記憶にある人。ファムファタール役とはいえあまり魅力的とは思えず、スパンコールのドレス姿がぬめぬめした蛇を思わせました。そういえばユニバーサルSFホラー『Cult of the Cobra』ではコブラになったらしいですが見ていません。
ジョン・ファローの奥さんモーリン・オサリヴァンがロバート・ミッチャムの恋人役でちょこっと出てきます。


米版DVDで鑑賞。
”Film Noir Classic Collecton Vol.4”
2009年4月12日参照。


10/03/20

『炎の女』(65年、ロバート・デイ監督、イギリス)

MGMと英ハマープロの合同企画〜。しかし作品自体はあからさまにハマー色です。H・ライダー・ハガードの『洞窟の女王』の何度目かの映画化作品。
ウルスラ・アンドレスがキンキラした髪飾りをしている写真を見て以来の憧れの映画だったですが・・・。ファンタジー・アドベンチャーとしてのファンタジーも、アドベンチャーもどちらも物足りません。冒険映画好きとしては、幻の都クーマまでの苦難をしっかり描いて欲しいところです。そしてもうちょっと変な映画でも良かったのに。
ウルスラ・アンドレスは珍しく幻の女、夢の女、ファムファタールです。多少儚げな雰囲気を出しているのも珍しいですが、動きの少ないキャラクターはやはり物足りません。美しいには美しいのだけど、本作ではちょっとインパクトに欠けました。
ウルスラの相手役というか主役のジョン・リチャードソンは『血ぬられた墓標』、『恐竜100万年』の人。ピーター・カッシングとクリストファー・リーが出てくるだけでもハマー印。
同じ原作の『洞窟の女王』(35年)は米版DVDを購入済ですが、まだ見ていません。もっと楽しい映画だといいけど・・・。

米版DVD−Rで鑑賞。
Warner Archive。画質良。字幕なし。


10/02/21

『暗黒街の女』(58年、ニコラス・レイ監督)

シネマスコープ、メトロカラーのギャング映画系フィルムノワール。時代設定も30年代初頭で多少のミュージカル要素もあるという変り種。
ミュージカル要素はもちろん美女シド・チャリシーのダンスナンバーなのです!ヒロイン/ファムファタールが歌手役で歌うフィルムノワールはけっこうあると思いますが、ダンサー役というのは『雨に唄えば』『バンド・ワゴン』の踊るファムファタール、シド・チャリシーならではですね。エロティックなダンスナンバーはキッチュなゴージャスさであまり好みではありませんが・・・。ロバート・テイラーの相手役としてはなかなか良い組み合わせだと思います。
サスペンス色があまりなく、ミステリー要素もなく、ギャング映画かつ暗黒街を舞台にした恋愛映画といった趣の、ノスタルジーな雰囲気優先映画といった感じ。

米版DVD−Rで鑑賞。
Warner Archive。画質良好。字幕なし。


10/02/07

去年から見ていた懐かしのテレビアニメ。全話見たものが多少まとまったので感想。

『魔動王グランゾート』(全41話、89年〜90年、サンライズ)
私の最愛のテレビアニメの一つ。録画ビデオを持っているので何度か見ていますが、ここ6年ほどは故障したビデオデッキに最終巻が飲み込まれてしまい見ることが出来ませんでした。今回『魔神英雄伝ワタル』を見終わった後に久しぶりに見たくて、ビデオデッキを解体してテープを取り出そうと決心したものの、試しに普通に取り出しボタンを押してみようとコンセントを入れたとたんに何もせずにテープが排出されました。今まで何度努力しても取り出せなかったのに、これは今こそ『魔動王グランゾート』を見るべき時期が来たという事に違いありません。
『魔神英雄伝ワタル』の後継番組であるため、あからさまな二番煎じですが、柳の下にドジョウは二匹いたのです。それどころか『ワタル』さえも凌駕する傑作!小学五年生の地球人、遥大地が月の裏側の世界ラビルーナを邪動族から救う旅に巻き込まれる「おもしろマジカル」がコンセプトのファンタジーSFロボットアニメ。元気いっぱいながらも礼儀正しい主人公ゆえに作品そのものが『ワタル』に比べて優等生的な感じはしますが、どのエピソードも満遍なく面白く、一定のクオリティーを保ち続けるのが素晴らしい。中でも氷に閉ざされた第二エリア(第32話〜37話)は終盤目前という事もあってか絶好調。何度か見ているのでノスタルジー的な感傷はあまり持ちませんでしたが、何度見ても新鮮でワクワクしてしまいます。キャラクターも皆大好き。主人公大地の他、邪動帝国の美の象徴エヌマ(悪役)が好きなのは当然です。
DVD−BOX欲しいですが既に廃盤、中古は高額で取引されているので買えません。Blue-rayBOXが発売される日を待ちます。TUTAYAではよくレンタルされていますが非常にわかり辛い背表紙なので見つけづらいかも。
録画ビデオで鑑賞。


『太陽の勇者ファイバード』(全48話、91年〜92年、サンライズ)
『勇者エクスカイザー』から8作続くサンライズ勇者シリーズの第2作目。宇宙エネルギー生命体が車に宿った『エクスカイザー』と同軸設定の作品ですが、本作で主人公ファイバードは車に宿らず失敗作のアンドロイドに宿り見た目は人間なため、『エクスカイザー』にあった秘密のお友達という感覚が薄いのが残念です。しかし見た目イケメンのファイバードが蝶を見ては「鳩ですか?」、チュリーップを見ては「スミレですか?」とボケた発言をし、敵との戦いになると地球を学ぶために見たテレビの時代劇の影響でベランメエ調の喋り方に変わるのが楽しい。前作に比べよりキャラクター性はでましたが、キャラクター人気に寄りかかっている感じはしました。心が純粋な宇宙人が主人公なので、作品そのものものどかでほんわかした心温まる巨大ロボットアニメになっています。
BRAVE-BOXと題されたDVD−BOX1、2で鑑賞。現在は全話収録のメモリアルボックスも出ています。レンタルDVDは出ていないようです。


『鎧伝サムライトルーパー』(全39話、88年〜89年、サンライズ)
リアルタイムでは第30話から見てました。なので全話見るのは今回が初めてですが、社会現象をも巻き起こしたアニメがまさかこんなに・・・駄作だったとはと驚いてしまいました。
現代の新宿に突如、妖邪帝王阿羅醐率いる妖邪界が出現。人間界を制覇しようとしたとき、鎧をまとう5人の少年達が現れ妖邪と戦うというお話。
特に設定等の説明もないまま、正義のグループ5人の仲間意識、結束が深まるエピソードもないままに戦うだけの前半部は非常に退屈。中盤の展開もバカバカしくお粗末さまでした。キャラクターもぜんぜん魅力を出せないでいるのに、本作が起こした社会現象は5人の美形キャラクターに起因するというのだから変だなー。敵の女妖邪・迦遊羅が出てくる第28話から途端に面白くなりだしますが、単に私が悪女好きなせいか?でも全39話のうち28話から面白くなってもなんだかな〜と思ってしまいます。しかもこの終盤では主人公グループ5人のうち3人が第25話〜34話まで妖邪界に囚われの身になったままでほとんど出番がありません。彼らのファンの人たちにも優しくない。ちなみに私は主人公グループでは天空のトウマがわりと好きですが、彼は終盤も主人公・烈火のリョウともども活躍します。敵の4魔将の一人で中盤で改心する鬼魔将・朱天童子がやたらとかっこよくて大活躍で今回見てお気に入りになってしまいました。
ビデオレンタルで鑑賞。
DVD−BOXは現在廃盤、中古はわりと高値設定で取引されているよう。朱天のためにBlue-rayBOXが発売されたら買うかもしれません・・・。レンタルDVDは出ていないようです。


GEOで100円レンタルをしてるので見たことのない作品も見てみましたよ。

『ドラゴンクエスト』(全43話、89年〜90年、スタジオコメット)
リアルタイムでは1話だけしか見たことがありませんが、最近ドラクエ4をプレステでプレイしてたせいもあり見てみました。お話自体はドラクエ3を元にし、当時発売間近だったドラクエ4販促のために製作されたアニメだそうです。
うーん、すごい。これは酷い。駄作もいいとこです。ゲームをアニメに直してもなんだかチープな雰囲気が漂ってしまいますね。ゲームで聴いた音楽もアニメでは浮いてしまいます。浮いているといえば、声優の声もなぜか浮きまくり。でも一応全話見ることが出来たのは、ゲームに対する愛着のせいかな。4の登場人物ミネアがゲスト出演したりするし。
GEOでDVDレンタルで鑑賞。レンタル版は総集編にあたるエピソードが収録されてません。


『装甲騎兵ボトムズ』(全52話、83年〜84年、日本サンライズ)
素晴らしい。名高い作品とは知っていたけれど、見る機会に恵まれず。放映当時私は5歳くらいなのでリアルタイムで見ても理解できなかったかもしれないけれど、もったいないことをしました。見てればよかった。
とはいえ、今から26年も昔のテレビアニメで、見たことのない作品を”名作である”という以外の予備知識なしにいきなり見るのはためらいがありましたが、監督:高橋良輔は『蒼き流星SPTレイズナー』『機甲界ガリアン』、キャラクターデザイン:塩山紀生は『ガリアン』と『鎧伝サムライトルーパー』を見ているので、すんなりと絵や作風にも慣れて違和感なく見れました。作画監督に『レイズナー』のキャラクターデザイナー谷口守泰が参加しているので、あちこち『レイズナー』とダブって見えたりもしますが、『レイズナー』の方が後のアニメですし・・・。
ハードボイルドなSFロボットアニメです。このざらついた感覚。アニメでこんなに孤独や哀愁を感じさせるなんて素晴らしい。主人公の年齢設定が18歳と若いのがあまりにも似合いませんが、ターゲットになる視聴者がそのくらいの年齢なのでしょう、たぶん。ずっと年上にしか見えない、思えないので問題なし。主人公によってたかり金儲けの手段にしようとしていた連中が徐々に仲間になっていく過程あってもなおハードボイルド。ヒロインは人為的に強化されたPS(パーフェクトソルジャー)故に、後の『機動戦士Zガンダム』のフォウ・ムラサメやロザミアのように、『機動戦士ガンダムZZ』のプルUのように、ファムファタールです!
私の最愛のテレビアニメの一つになりました。魂の震えるアニメ。
GEOでDVDレンタルで鑑賞。


『太陽の牙ダグラム』『聖戦士ダンバイン』『天空のエスカフローネ』はそれぞれDVD1巻で断念しました。ので、感想は無しで。


1月に発売されたばかりの『ニルスのふしぎな旅』新装版DVD−BOXと2月発売予定『装甲騎兵ボトムズ』新装版DVD−BOX1を今日注文しちゃいました。
2月には『忍風カムイ外伝』(1969年)Blue-rayBOXが発売予定です。欲しいけどBlue-rayを見られる環境にないのでしばらく我慢の子。


10/02/05

『世界終末の序曲』(57年、バート・I・ゴードン監督)

今年やっと二本目の映画鑑賞もまたB級SF映画。なんでもでっかくしちゃう特撮SF映画の迷匠バート・I・ゴードン作品。日本未公開。『終末の兆し』の題で知られる作品ですが最近『世界終末の序曲』の題でDVD化されました。
ミスター・ビッグことバート・I・ゴードンが本作で巨大化させるのはイナゴ。放射能汚染で巨大化したイナゴが人を襲うお話。接写したイナゴの映像を合成しただけのテキトーな特撮が実にお粗末なただのB級作品のはずですが、これが凄く面白いです。バート・I・ゴードンにこれだけ緊迫感を持続させられる演出力があったなんてびっくりしました。特撮にもっと力が入っていればもっと評価される作品になっていたかもしれませんが、このままでも充分に50年代SF映画の代表作の一つと言って良い出来だと思います。ヒロインがただの敏腕記者ではなくて、「年齢を瓦礫で数える」と言うような従軍記者なとこがグッときます。ラブシーンらしいラブシーンもなく、恋愛描写は多少匂わせる程度なのもB級SFにしては珍しく、好感が持てます。
主演は『スパイ大作戦』のピーター・グレイヴス。この人の実兄ジェームズ・アーネスは巨大アリが襲い来る傑作SF『放射能X』に出ていたし、巨大生物SFに縁深い兄弟なのですね・・・というか二人ともB級SFによく出ているからね。
ところでゴードン監督作『戦慄!プルトニウム人間』(57年)は1940年代20世紀FOXの三番手クラスの二枚目俳優グレン・ランガンが落ちぶれてから出た映画なので見てみたいのですが、ゴードン監督にとっても代表作っぽいのに何故かソフトが出ておらずちょっと残念。


日本版DVDで鑑賞。
オルスタックピクチャーズ。


10/02/05

日本版DVD発売情報。

『幻の女』(44年、ロバート・シオドマク監督)
ジュネス企画より5月発売予定。
私のまだ見ぬ憧れの映画がつぎつぎとソフト化されていくので嬉しい限り。今度は我が心の美女エラ・レインズの代表作がジュネス企画とはいえ発売されるのは手放しで嬉しい。
尚、同時発売は我が心の美女ジェニファー・ジョーンズがこの上なく美しく輝く『ボヴァリー夫人』(ミネリ)!


10/01/20

また米版DVD発売情報。

Sea Devils『海賊船シーデビル号の冒険』(53年、ラオール・ウォルシュ監督)
米VCIより3月発売予定。
これもメチャクチャ見たかったウォルシュのテクニカラー海賊映画!主演はロック・ハドソンとイヴォンヌ・デ・カーロ。『夏の嵐』(サーク)といい『孤島の愛情』(ヘイスラー)といいマイナーな映画会社の作品を拾い上げてDVD化してくれるVCIは実にありがたいです。


10/01/19

『トリフィドの日〜人類SOS!』(62年、スティーヴ・セクリー監督、イギリス)

今年最初の映画鑑賞はへんてこB級SF映画です。こんな映画にもフィリップ・ヨーダンがかかわっていた!
ブラウン管のテレビで見てもDVDの画質があまり良くないですが、高画質だったらかえって特撮の荒が目立ちそうなので、これはこれで良しとしましょう。地球に降り注いだ流星群の光で失明した人々と、彼らを襲う突然変異の人食い植物の恐怖!を描いた作品で、こういうのはモノクロの方が相応しいと思いますが、イーストマンカラーです。眼の治療中で流星群を見られず失明を免れた主人公と、彼を治療していた医師が失明してしまう逆転が面白いです。主人公とは直接かかわらない孤島の灯台で暮らす科学者夫婦の様子も平行して描いているのはなんとなく不思議。
主役はハワード・キール。歌いません。


日本版DVDで鑑賞。
RUNコーポレーション。


10/01/18

映画の感想を書かずして、またも米版DVD発売情報。その発売を知ってあまりにも興奮してしまいましたので。


Alice in Wonderland『不思議の国のアリス』(33年、ノーマン・Z・マクロード監督)
米ユニバーサルより3月発売予定。
映画ファンなら誰しも一度は見たいと願う作品がついに見られるようになる!作品そのものの出来はもちろん知りませんがもはやどうでもよく、ケイリー・グラントが偽海亀、ゲーリー・クーパーが白のナイトという絶妙なキャスティングをただただ目撃したい欲求に駆られるばかりです!


The Norma Talmadge Double Feature

米KINOより3月発売予定。
『お転婆キキー』(26年、クラレンス・ブラウン監督)
『法に泣く女』(23年、フランク・ロイド監督)

The Constance Talmadge Double Feature
米KINOより3月発売予定。
『桃色の夜は更けて』(24年、シドニー・フランクリン監督)
『Her Sister from Paris』(25年、シドニー・フランクリン監督)

サイレント時代の姉妹スター、ノーマ・タルマッジとコンスタンス・タルマッジのDVDも発売予定。しかも相手役はロナルド・コールマン作品が3作!


10/01/04

昨年は11月以降映画を見れませんでした。休みがなくて、という日々が今年も3月まで続くので、やはりしばらく見れそうにありません。そんなわけで今年の目標は”映画のDVDを買い控える”です。買わなくても見てないDVDがいっぱい、いっぱいあるもんね!

と、言いつつ米版DVD発売予定情報。

Island of Desire『孤島の愛情』(スチュアート・ヘイスラー監督、52年、イギリス)
米VCIより1月26日発売予定。我が心の美女リンダ・ダーネル主演のテクニカラー冒険映画です。タブ・ハンターの本格的映画デビュー作でもあります。


Bad Girls of Film Noir 1

米ソニーから2月9日発売予定。収録作は
『The Killer That Stalked New York』(50年、Earl McEnvoy監督)
『Two of A Kind』(51年、ヘンリー・レヴィン監督)
『Bad for Each Other』(53年、アーヴィング・ラパー監督)
『摩天楼の影』(53年、マックスウェル・シェーン監督)

Bad Girls of Film Noir 2
米ソニーから2月9日発売予定。収録作は
『Night Editor』(46年、ヘンリー・レヴィン監督)
『One Girl's Confession』(53年ヒューゴ・ハース監督)
『Over-Exposed』(56年、ルイス・セイラー監督)
『Women's Prison』(56年、ルイス・セイラー監督)

The Sam Fuller Film CollectionやThe Film Noir Collection: Volume 1を発売したばかりの米ソニーがThe Film Noir Collection: Volume 2が出る前にもう悪女もののB級フィルムノワールBOXを発売予定。ほとんど聞いたことのないような作品群は、イヴリン・キース、ドロシー・マローン、リザベス・スコット、テリー・ムーア、グロリア・グレアム、アイダ・ルピノ、ジャン・スターリング、オードリー・トッターといったお馴染みの女優から、ジャニス・カーター、クレオ・ムーアといった聞いた事のない女優までを網羅したBOX。男優陣もエドモンド・オブライエン、チャールトン・へストン、ヴィットリオ・ガスマンとなかなか豪華かも。


昨年10月から見続けているテレビアニメは懐かしいので今年も引き続き見る予定。既に『魔神英雄伝ワタル』『勇者エクスカイザー』『太陽の勇者ファイバード』『NG騎士ラムネ&40』『ジャングルブック少年モーグリ』のDVD−BOXは購入しました。テレビアニメのBOXのほうが部屋に物が増えなくて良いです。

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