12/12/16

『ガラスの靴』(55年、チャールズ・ウォルターズ監督)

レスリー・キャロン主演のシンデレラ!チャーミングな小品です。
レスリー・キャロンとチャールズ・ウォルターズと言えばカルト的傑作『リリー』ですが、こちらはあまりカルトではありません。誰でも知ってるシンデレラというお話のイメージどうりというわけでもありません。ちょっとシンデレラが性格的に卑屈すぎる感じで、冒頭は見ていて辛いです。おとぎ話的な雰囲気を作るためなのか、ナレーションの多用もいまいちです。しかしハッピーエンドの約束されたおとぎ話なので安心して楽しめます。
ヒロインが夢想するミュージカル場面はローラン・プチ振り付けで、それを踊るレスリーは見事です。やはり彼女は本格的なバレリーナなのですね。私はその辺の技術はもちろんよくわかりませんが、圧倒され魅了されます。お世辞にも美人とは思えないものの、まあそれもまた彼女の魅力なのですが、踊りだすと指の先までエレガント。王子様はマイケル・ワイルディングで、レスリーの相手役なので大部分は吹き替えとは思いますが、多少踊ったりタイツ穿いたりしなくちゃいけないのが大変そうです。王子にしては老けてるんじゃないかなと見る前は思っていたのですが、案外様になっていました。
なにせ題材がシンデレラですから魔女が必要です魔女が!魔女は、おお、理想の老婆魔女優の一人、エステル・ウィンウッドです!出番は少ないですが場をさらいます。彼女が魔法を使う場面が一切ないのがあまりにも残念です。エステル・ウィンウッドは『魔法の剣』でも魔女を演じていますが、テレビドラマ『奥さまは魔女』のサブキャラクター、エンチャントラ叔母様を演じることになる由緒正しい魔女優です。
レスリーの継母は『媚薬』の中年魔女優エルザ・ランチェスターでした。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


12/12/15

『海の呼ぶ声』(48年、ヘンリー・キング監督)

孤児の少年と海を巡るメロドラマ。
個人的には子役映画は好みではないので点は辛くなってしまいますが、幸いにも子供可愛いねと愛でるような映画でもなく、大人の恋路を邪魔する子供でもなくて良かったです。
ヘンリー・キングにしてはわりと地味な感じがする作品でした。なんだろう、恋愛メロドラマではないからなのか、劇的な展開もなく、唯一少年の遭難と救出の場面はスペクタクルではありましたが。
主演は孤児のディーン・ストックウェル。そしてダナ・アンドリュース。ヒロインはジーン・ピータースです。ジーン・ピータースはデビュー2作目ですが、すでにふてぶてしく、そもそも彼女はデビュー作『征服への道』で既にふてぶてしく大きい存在感だったのです。ダナ・アンドリュースはフィルムノワールのアンチヒーローだけじゃなくてこういう役もよいです。

米版DVD−Rで鑑賞。
20世紀FOX


12/11/18

ついにこの時が来た。朗報!『ペリーヌ物語』

日本アニメーション名作劇場の傑作中の傑作、まさに名作ナンバー1の『ペリーヌ物語』がついにDVD−BOX化。遅いよ。いまさら廉価でDVD−BOXでなくてブルーレイのBOX出してほしいです。

我が最愛の、というのは何度かほかのアニメに対しても使ったフレーズですが、本当に本当の意味で、1、2を争う最愛のテレビアニメ(もうひとつは『魔法の天使クリィミーマミ』)。
名作劇場としては前年に『あらいぐまラスカル』翌年に『赤毛のアン』というまさに脂の乗り切った時期の、しかしその二つの名作に挟まれてしまったために目立たない存在ながら、観るたびに魂震える傑作です。『赤毛のアン』もこよなく愛していますが…。
フランス人の父を失ったペリーヌがインド人の母とともにボスニアからフランスを目指して、写真家業を営みながらロバと犬とともに旅を続ける前半部、さらに母を失い一人で苦難の旅をする中盤、そしてインド人の母を認めない祖父のいるフランスのマロクールについたペリーヌは祖父に孫であることをつけず、祖父の経営する繊維の大工場で名前をオーレリーと変えて働き始める・・・という後半部、それぞれに見ごたえがありますがやはり、名前を巡るスリルや、池のほとりの小屋でのサバイバル生活、女工から孫であることを知られぬままに13歳にして社長秘書へのサクセスなどの面白さに満ちた後半部が素晴らしい。そしてもちろん前半中盤があってこその後半部という構成です。

私はオーレリーの本当の名前がペリーヌだと暴かれる瞬間を忘れません。

それはついにペリーヌが幸せをつかんだ瞬間、間違いなく名作劇場最高の瞬間ですが、全編通して観なければ理解できない感動シーンです。廉価のBOX化されましたので、お見逃し無いように!


12/09/30

『The Forbidden Street』(49年、ジーン・ネグレスコ監督、イギリス)

う〜ん?なんだこれは。
ヴィクトリア朝時代を背景に、ブルジョワ娘が貧乏な画家と結婚するが彼は飲んだくれで、喧嘩して腕を振り払った拍子に階段から夫は落ちて死亡。それを目撃した老婆が彼女の無実を証明するが恐喝してくる。2年間脅迫者に監視されながら暮らしたところで、夫と同じ顔をした酔っ払いが現れる・・・。というなんだか陰謀の匂いのするお話なのに、ぜーんぜんそんなことはなくて、要は苦労した女が貧乏通りの繁栄とともに幸せになりましたというお話なのですが、私は全く腑に落ちません。夫と同じ顔の男が出てきたら普通は妻の財産もぎ取るための芝居と思うじゃない。
名女優シビル・ソーンダイクの老婆メイク及び演技が凄くて怖くて、何かきっとやらかすと思っていたらあっさり中盤でいなくなっちゃうし。中盤まではゴシックサスペンスっぽい雰囲気なんですよ。後半はコメディ色が出てきちゃって全体的にちぐはぐな映画でした。モノクロのジーン・ネグレスコ監督作はカラー作品よりも面白いと思っていたのですが残念極まりない。夫が落ちて死んだ階段の下に、夫と同じ顔をした男が酔っぱらって転がってくるという場面は良いですが…。
ヒロインはモーリン・オハラ。こんなバカな役でモーリン・オハラか・・・。夫とそれと同じ顔の男はダナ・アンドリュースの一人二役。前半の夫役では声を作ってるのでいつもの感じと違います。

米版DVD−Rで鑑賞。
20世紀FOX


12/09/30

『Josette』(38年、アラン・ドワン監督)

第一期アメリカ進出中のシモーヌ・シモン主演作!
富豪の父親が金目当ての女歌手ジョゼットに引っかかったのを阻止しようと息子二人は父親をニューヨークに無理やり送り出すが女も一緒にニューヨークについて行っちゃて、ジョゼットの出演するはずだったミュージックホールに代役で出演した女をジョゼットと勘違いした兄弟は彼女に惚れて・・・というロマンティックコメディ。職人監督アラン・ドワンにしては物足りない印象。この時代のこの設定ならばもっとはちゃめちゃなスクリューボールコメディになってもよさそうです。
シモーヌ・シモンの魅力だけで見る映画ですが、しかし彼女の個性がうまく出ているわけではなく残念です。彼女のアメリカデビュー作『Girls' Dormitory』(36年)は彼女のフランス女優らしさよく出ていて素晴らしいのですが、シモーヌのアメリカでの成功は第二期(『キャット・ピープル』『キャット・ピープルの呪い』)まで待たねばなりません。本作ではシモーヌが歌う場面が2回ありますが本人の声ですか。シモーヌ・シモンって歌う女優ですか。IMDbを見てもわかりません。ウィキペディアとか見るとダリル・F・ザナックは彼女をミュージカル女優にしようと目論んだらしいので本人の声なのかもしれません。
相手役はドン・アメチーとロバート・ヤング。

米版DVD−Rで鑑賞。
20世紀FOX


12/09/29

『シーザーの黄金』(64年、アンドレ・ド・トス監督、イタリア)

MGM資本のアンドレ・ド・トスとジェフリー・ハンターのイタリア出稼ぎ映画。ちゃんとド・トスの名前が監督としてクレジットにはあるのですが、IMDbを見るとイタリア人監督の名前しかなく、ド・トスは名前を貸したのでしょうか?
当時流行のイタリア製史劇っぽいB級アクション映画かとおもいきや、あまりB級臭さもなく冒険もなく、それなりにシリアスでそれなりに娯楽めいたまともな作品。私はてっきりシーザーの隠し財宝を巡ってヒーローがアクションを繰り広げるB級作と思い込んでいたので肩すかしです。実際には奴隷の建築技師が橋を作ったりダムを作ったりして金鉱山を探したりローマ人と闘ったりしてます。ずいぶんまともな映画だと思っていたら、技師が岩にぶつかってずっこけたとこで金塊が見つかったりしてバカバカしい点もあるにはありました。終盤のケルト人との戦いでは背景が絵なのでスタジオ撮影なのでしょうか。通常この手合いの映画は安上がりのロケで済ませてしまうものだと思うので、珍しいような気がします。
主演のジェフリー・ハンターはすでにアメリカでは落ち目だったのだろうとは思うのですが、そんな感じが全くなくてまだまだスターオーラをまとった男前です。
ヒロインはミレーヌ・ドモンジョ!彼女はこの手の作品に、『サビーヌの略奪』(ロジャー・ムーア主演)、『マラソンの戦い』(スティーヴ・リーヴス主演)など出演していますが、なんとなく不思議です。ミレーヌ・ドモンジョほどのスター女優がなぜと思ってしまいますが、本作は割とまともな映画なのでまあいいか。シルヴァ・コシナやクリスティーネ・カウフマンやヴィルナ・リージやジャクリーヌ・ササールさえもこの手の映画に出ていた時代だったのだし・・・。
悪役はかつての二枚目俳優マッシモ・ジロッティ。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


12/09/17

『丘の雷鳴』(51年、ダグラス・サーク監督)

宗教をテーマにしたとかメロドラマとか聞いていたので意外や意外、『誘拐魔』あたりを連想させもするミステリー/サスペンス系統の映画だった。なんというかテレビの尼さん刑事(デカ)とか尼さん探偵とかのノリの・・・。なんで尼さん刑事とかスチュワーデス刑事とかって刑事でもないのに刑事なんですか?まあそれはともかく、お話自体はそんなものに尼さんの苦悩を加味する程度でもサーク監督作品ですからテレビドラマとはもちろん全然違くて、映画的ではあるしサスペンス映画好きとしては楽しめました。
過去の新聞で事件の手がかりを見つけるために、ジャムや食器の棚に敷いてある新聞を探すという呑気さが浮世離れた修道女らしくて楽しく、かつ『誘拐魔』の呑気なおとり捜査を思い出させました。ほとんど修道院の中で展開する中、尼さんが洪水で浸水した道を舟で行く場面ではいかにもドライアイスで作った霧が漂い、安い感じとヨーロッパ映画っぽさが同居しています。
主役の尼さんにクローデット・コルベール。彼女が無罪を信じ救おうとする死刑囚にアン・ブライス。監視下に置かれた死刑囚なのであまり活躍しないのが残念ですが、登場間際の気が立った様子は珍しく『ミルドレッド・ピアース』の悪女役を思い出させました。すぐ大人しくなっちゃいますが。かつてジョーン・クロフォードを振り回したファムファタールとは思えぬほどにおとなしい役ばかりのアン・ブライスです。

日本版DVDで観賞。
ブロードウェイ。

米ユニバーサル版DVD−Rを購入したのですが、やはり字幕付きで見たかったので、日本版のBOXを購入してしまいました。
11月にはサークのBOX第4弾がブロードウェイから発売予定。


12/09/04

更新空いてしまいました。まだ見てくれている人がいらっしゃるでしょうか。パソコンが前回更新(5月3日)の翌日に壊れまして、すぐ新しいパソコンに買い換えましたが、パスワード忘れたり色々ダウンロードしたりするのが面倒で、ついついほおっておいてしまいました。
映画を見るのも面倒なのであまり見ていません。


朗報。

『時をかける少女』(83年、大林宣彦監督)
『天国にいちばん近い島』(84年、大林宣彦監督)
Blu-rayが9月28日発売予定!

80年代日本映画界を代表するアイドルであり映画スター原田知世がBlu-rayで甦る。まだ現役で活躍してますが。我が最愛の邦画『時をかける少女』でファムファタール原田知世を目撃しましょう。

『時をかける少女』のエンディングをYouTubeのリンク貼っておきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=kk3W5tLEm0w


朗報。

米20世紀FOXがDVD−Rをいろいろ出してますね。万歳!ジーン・ティアニーが、リンダ・ダーネルがジーン・クレインが、ベティ・グレイブルが、ジーン・ピータースがいろいろ見られるようになりますね!待っていればジーン・クレイン『Margie』、デブラ・パジェット『女海賊アン』『南海の劫火』も見られるようになるかも…。

米ワーナーアーカイブコレクションから『闘将スパルタカス』が『ヘラクレス・サムソン・ユリシーズ』が発売されました。見たかったイタリア産B級アクション史劇がパブリックドメインのボンクラ映像ではなくワーナーから発売とは嬉しい驚き。


12/09/03

『キャプテン・キッドと奴隷娘』(54年、ルー・ランダース監督)

B級海賊映画。何らかのカラー映画のはずですが私が見たDVD−Rはモノクロです。残念。クレジットに表示されていたカラー名は聞いたことない名前でしたが…。海賊映画はやはりカラーで見たいですよね。本作の場合、カラーでも面白くはなさそうですが。
主演はアンソニー・デクスター。ルドルフ・ヴァレンチノの伝記フィクション映画『ヴァレンチノ』を見てみたい。ヒロインはエヴァ・ガボール。悪名高いガボール姉妹ですが、ザ・ザにも増してB級的に下品です。

米版DVD−Rで鑑賞。
MGM


12/09/02

『The Girl in Black Stockings』(57年、ハワード・W・コッチ監督)

プールで発見された女の惨殺死体から始まる連続殺人事件を描いたテレビの2時間サスペンスドラマのような作品。面白みは全くありません。
主演はターザン俳優レックス・バーカー。その恋人がアン・バンクロフト。怪しげなマリー・ウィンザーと安っぽいマミー・ヴァン・ドーレンというB級らしさ。マミー・ヴァン・ドーレンはたぶん『先生のお気に入り』で歌ってるのしか見たことがないと思うのですが、すごいB級っぷりというか、いくらなんでも髪を漂白しすぎというか、プレイメイトの原型といった感じ。
アン・バンクロフトが太田と書いてある半被を羽織っていました。

米版DVD−Rで鑑賞。
MGM


12/07/09

『12 to the Moon』(60年、デヴィッド・ブラッドリー監督)

あちらではよく知られたトラッシュSF映画のようです。IMDbでの現在の点数2.4です。個人的には当時よくあったヘンテコSF映画といった感じです。まあ酷いですけど。12人の宇宙飛行士が月で死んだり消えたり、月人に襲われたり。
主演は『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』のケン・クラーク。ヒロインはMichi Kobiはミチ・コービーと読むのでしょうか、日本人もしくは日系人です。役名はヒデコです。シャワーシーンもあるよ。なにもあんな髪型じゃなくても・・・。月世界人の送っていたメッセージをいとも簡単に解読してしまうのが凄い(バカバカしい意味で)。
サイレント映画のスター、フランシス・X・ブッシュマン(『ベン・ハー』のメッサーラ)がゲスト出演。カメラはなんとジョン・アルトン。低予算映画の名手アルトンでもSF的な魅力の乏しさを救えなかったのは残念です。

米版DVD−Rで鑑賞。
SONY


12/07/08

『永遠の処女』(43年、エドマンド・グールディング監督)

スイスの田舎娘が年上の音楽家に恋するが、彼は彼女のいとこと結婚してしまい・・・というメロドラマ。ジョーン・フォンティーンが全編にわたって少女(たぶん14歳)を演じています。
豪華キャスト、大作な雰囲気の作品ですが、残念ながら後半はほとんど室内劇で面白みがありません。音楽家とその妻のすれ違いも面白みに欠けます。妻が悪女、悪妻ではないので。前半はジョーン・フォンティーンが濡れたぼさぼさの髪に質素な服と裸足で野山を駆け回る姿が清々しく楽しめます。
ジョーン・フォンティーンはこんな役が多いですね。忍ぶ恋だの日陰の女だの。『忘れじの面影』でも少女を演じていましたし。それにしても26歳くらいの女優が最初から最後まで少女を演じるなんてびっくりです。そして違和感があまりありません。彼女の妹役と並ぶとちょっとごつい感じはしますが。フォンティーンは本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされましたが、『聖処女』のジェニファー・ジョーンスが主演女優賞を獲得。43年は処女流行だったのでしょうか・・・。
音楽家をシャルル・ボワイエ。妻役は美女アレクシス・スミス。他にチャールズ・コバーン、メイ・ウィッティ、ピーター・ローレなど芸達者がわきを固めながらまったく活躍せず、もったいないです。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


12/06/17

『無謀な瞬間』(49年、マックス・オフュルス監督)

マックス・オフュルスがアメリカで監督した異色フィルムノワール。変な映画。オフュルス的に流麗な作品ではないのは、フィルムノワールなので仕方がないかもしれない。しかしちゃんと女性映画なのだった。
夫が長期出張中のクリスマスに娘を守るため死体を処理した家庭の主婦が、脅迫者から慕われるという無謀なお話。脅迫者との密会は、逢引のように見えてしまう。オフュルスは回転しない移動撮影でヒロインの動きを追いつつ、しかし彼女の動きを次々と妨害し、唯一妨害しないのが死体処理=無謀な瞬間ということらしい。
ヒロインはジョーン・ベネットがついに家庭の主婦、母親役を演じ、ここから彼女の母親女優というキャリアが始まるのでしょうか。とはいえファムファタールです。脅迫者のジェームズ・メイソンは別世界=良い家庭に住むヒロインに憧れて悪の道を踏み外してしまいます。なんというファムファタールださすがはジョーン・ベネットだ!ジェームズ・メイソンは寂れた恐喝者でありながらロマンティックロールという役をソフトに演じてメロドラマ的であった。

日本版DVDで観賞
ブロードウェイ


12/06/16

『眠りの館』(48年、ダグラス・サーク監督)

ダグラス・サーク監督のフィルムノワール。『ガス灯』(キューカー)とか『山羊座のもとに』(ヒッチコック)とかと同系列の催眠術ものサスペンス。
お話としては無理があるし、あまりに無謀な犯罪計画ではあるけれど、気楽にみる分には楽しめますが、サークにしてはいまいちな映画なのではとおもってしまう。クローデット・コルベールを亡き者にしようとたくらむ共犯者たちの結びつき、バックグラウンドが語られないので、いまいちわけのわからない犯罪になっているのかもしれないし、作品そのものも冷淡な印象。
主演はクローデット・コルベール、ロバート・カミングス、そしてダグラス・サーク監督なのでてっきりユニバーサルかと思ったら冒頭メアリー・ピックフォード・プレゼンツとあるので驚いた。当時の観客はまだスクリーンでメアリー・ピックフォードの名前を目にすることがあったのかと思うと不思議。コルベールと夫役のドン・アメチーはスクリューボルコメディ『ミッドナイト』で共演済み。あれもユニバーサルですね。
悪女のヘイゼル・コートはぎすぎすして妖艶で過剰に扇情的な衣装でファムファタール風ですが、あまり、というかほとんど活躍しません。そういえば40年代のサーク監督作のセクシー系の女たちは『パリのスキャンダル』のキャロル・ランディスとか、同時代のどの女優達より露出度の高い衣装を着ているような。ドイツ時代からして『世界の果てに』のツァラー・レアンダーのステージ衣装なんてすごい扇情的だったし、サーク的には大人しいつもりなのかもしれませんが。

日本版DVDで観賞
ブロードウェイ


12/05/04

『裏街』(年、デビッド・バトラー監督)

ファニー・ハースト(『模倣の人生』『悲しみは空の彼方に』)原作の3度目の映画化。1度目がジョン・M・スタール監督、アイリーン・ダン主演の名高いメロドラマ『裏町』(32年)で、2度目がロバート・スティーブンソン監督、マーガレット・サラヴァン主演『裏街』(41年)。
一度目と二度目を見ていないので比べようがありませんが、あらすじを読む限り3度目の映画化は大幅にお話が変わっているようです。より現代的に、ということでしょうか。オリジナルと2度目の映画化のヒロインは愛人のために仕事を捨て裏町でひっそりと暮らしているようですが、本作ではデザイナーとして成功しており、華々しい世界の住人です。
ジョン・M・スタールという30年代のメロドラマの巨匠の作品は50年代後半にダグラス・サークによって次々リメイクされ新たな傑作が誕生していくのですが、本作はその成功を再び狙った企画なのでしょう。残念ながら凡庸なメロドラマなのですが、個人的にこういうジャンルは好きなので、楽しめました。あまりにご都合主義な再開がたびたび起こってみたり、男の身勝手というか甘ったれが気になったりもするのですが。それになによりスタンリー・コルテスのカメラが素晴らしい。コルテスならではの冷え冷えした青にスーザン・ヘイワードの燃えるような赤毛が映えて美しい。
スーザン・ヘイワードの相手役は『悲しみは空の彼方に』『愛する時と死する時』のジョン・ギャビン。メロドラマにおける大女優の相手役を演じるにふさわしい、存在感のあまりないロマンティックな二枚目俳優で、ジョン・ギャビンなら甘ったれでも仕方がないかなと思ってしまいます。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


12/5/3

『浮気の計算書』(62年、ダニエル・マン監督)

夫の競馬狂をやめさせようと、妻が秘かにダフ屋になるコメディ。夫はディーン・マーティン、妻はラナ・ターナー!
人気絶頂期のディーン・マーティンがキャスティングのトップですが、ラナが主役の存在感。というよりもラナが魅力を振りまくのを楽しむべき映画でした。当時42歳くらいのラナは現代人の美魔女より老けているかもしれないのですが、しかしさすがにセックスシンボルとして鳴らした大スター、白や黒のナイトガウン姿は妖艶に、ブルーのネグリジェ姿は溌剌としたお色気で、まだまだ現役のセクシー女優っぷりです。マーゴ(『黒豹/レオパルドマン』)のフラメンコにあわせてちょっとステップを踏む様は軽快、コメディ演技も実にキュート。ラナの魅力にまいったかディーン・マーティンも溌剌としていました。
作品そのものはいかにも60年代的にありきたりなコメディではありましたが、楽しめました。

米版DVDで鑑賞。


日本版DVD発売情報。

『無謀な瞬間』(マックス・オフュルス監督)5月3日発売!
『眠りの館』(ダグラス・サーク監督)いつの間にか発売済み!

ドイツ映画界出身メロドラマの二大監督のフィルムノワールが見られるなんて嬉しい。サークは米版発売済みの『ショック・プルーフ』『パリのスキャンダル』も同時発売(三作セットBOXあり)。オフュルスはイタリア時代の2作品も発売(BOXもあり)。

『超時空要塞マクロス』ブルーレイBOX5月25日発売!
通常版と初回限定生産Complete Edition版。

ついにマクロス30周年です。私はComplete Editionを1月に予約済み。


12/4/22

『Death of a Scoundrel』(56年、チャールズ・マーティン監督)

死体で見つかった大富豪の死の真相を暴いていくメロドラマ風の作品。でもどちらかといえばブラックユーモアです。
死んだ富豪をジョージ・サンダースが演じ、その周りにイヴォンヌ・デ・カーロ、ザ・ザ・ガボール、コーリン・グレイ、ナンシー・ゲイツ(『三人の狙撃者』)といった美女達が集まって豪華というかB級的には豪華というか、スキャンダラスでメロドラマな雰囲気を盛り上げます。イヴォンヌ以外はいつの間にかフェードアウトしてしまうのが残念です・・・。せっかく美女を4人もそろえてるのでもっとかしましい感じがすると良かったのですが。
監督が脚本家の人なので、舞台劇的な映画ではあります。『My Dear Secretary』(カーク・ダグラス主演)というB級のスクリューボール的な作品を監督していますが、あちらはますます舞台劇的でした。本作はジェームズ・ウォン・ホウのモノクロ映像は良いですが、題材が題材なのでテクニカラーだったりすると皮肉っぽさが際立ったかもしれません。
しかしジョージ・サンダース主演作でテクニカラーは無理な相談でしょうね。本作でのサンダースはいつもの皮肉屋を演じていますが、あまりまじめに演じている感じがしません。ブラックユーモアだからか悲劇的な場面でもとぼけた感じで飄々としています。劇中、サンダースの兄を演じているのは、実の兄トム・コンウェイです。二年前に離婚したばかりのジャ・ジャ・ガボールも共演とあっては、サンダース家のホームムービーかと思ってしまいそうです。
ジャ・ジャ・ガボールはけばけばしく、ナンシー・ゲイツは控えめ。1940年代後半の20世紀フォックスの美女コーリン・グレイはまだまだ全盛期と変わらぬ美しさですが、やはりインパクトに欠け出番も少ないです。4人の女たちの中では、真相の語り部になるイヴォンヌ・デ・カーロがヒロイン的なキャラクターなのですが、彼女は同年『十戒』で大スターの仲間入りをするのにジョージ・サンダースがトップクレジットなのが不思議な感じ。街のあばずれ女からサンダースの仕事仲間になって豪華な衣装を纏うようになってもやっぱりあばずれという女で、サンダースとの馬も合ってなかなか良いです。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブ


12/4/15

『歴史は女で作られる』(56年、マックス・オフュルス監督、フランス)

マックス・オフュルスのあまりに有名な呪われた名作、2008年完全修復版をスクリーンで。デジタル上映。
以前、10年位前に見たビデオはもちろん修復版ではありません。この豪華絢爛一大スペクタクルをスクリーンで見られて嬉しい。この豪華さはどんなにお金をかけても今となっては表現できないことでしょう。
劇場でババリア王の訪問を受ける場面や、ババリア脱出の際の手前に来る邪魔なロープやストーブの煙突は一体なんだったのでしょうか。サーカス場面がちょこまかとせわしなくて、ヒットしなかったのも仕方がないかなあと思いつつ、サーカスの見世物にまで堕ちたファム・ファタールの悲哀にメロドラマ的魅力を見出します。マックス・オフュルスらしく装置はぐるぐる回転し、カメラもぐるぐる回転し、運命の女ローラ・モンテスの人生もまた旋回していくのです。
主演はフランスのセックス・シンボルであったマルティーヌ・キャロル。お世辞にも好きな女優ではないのですが、『女優ナナ』のときの馬鹿っぷりとは大違い。監督だけで女優はこうも変わるものでしょうか。

川崎市アートセンターにて鑑賞。


12/4/8

『吸血原子蜘蛛』(58年、バート・I・ゴードン監督)

ぜんぜん映画を見れてません。そして今年最初に見た映画がまた変な映画になってしまいました。巨大モンスター映画の迷匠バート・I・ゴードン監督作品。
いつもなら放射能の影響で巨大化するモンスターも、今回は最初っから巨大です。田舎町を闊歩する様はわりとのんびりしています。AIPらしく若者風俗がかるく織り込まれるゆるさもあり。バート・I・ゴードンはジャック・アーノルドでもゴードン・ダグラスでもないので、ゆるくて当然と思ってみれば、本作もなかなか楽しい作品です。

米版DVDで鑑賞。


12/2/12

朗報。
『あのアーミン毛皮の貴婦人』日本版DVD3月2日発売予定。
エルンスト・ルビッチの遺作+テクニカラー+ファンタジー+20世紀FOXのテクニカラー女優ベティ・グレイブル主演作という豪華さを見られるのは嬉しいことです。

岡田あ〜みんではありません!


12/2/12

YouTubeで見て聞くディーバ! 第2回

森口博子ふたたび
まさかまさかの「サムライハート」!
http://www.youtube.com/watch?v=1XI2SgY05U8&feature=related

こちらは88年当時の歌声
http://www.youtube.com/watch?v=tkGM1l6qgPs&feature=related

そしてまさかまさかの「薔薇は美しく散る」カバー!
http://www.youtube.com/watch?v=TqvB0BaT7-8&feature=related
振り付け演出がジャック・コールだったらよかったのに!

こちらはオリジナルの鈴木宏子「薔薇は美しく散る」
http://www.youtube.com/watch?v=wIq4rusqG6Y&feature=related

森口博子にはもっと活躍して欲しいです。ライブがあれば行ってみたいな。

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