13/12/15

ジョーン・フォンティーン死去


13/12/09

エリノア・パーカー死去


13/11/03

『ボリス・カーロフのスリラー 恐怖の館』(60年〜62年)

第一話『歪んだイメージ』(60年、アーサー・ヒラー監督)

ボリス・カーロフがホストを務める一話完結型ドラマ。その第一話。でももうボリス・カーロフが何故かメガネをかけて登場するだけでテンションあがっちゃいます。
お話は、若き副社長にストーカーをする女と、副社長に嫉妬をもつ郵便係、それぞれの精神異常が絡み合うサスペンスでなかなか見ごたえがあります。ストーカー女はなんか恋愛感情で突っ走るというより、@お金を貯めて獲物を探しに都会へ出てくる→A好みのビルを見つけて従業員になる→B若くして成功している男を見つける、というぐあいに冷静にストーカー対象を探しているところに寒気がします。冒頭から彼女の鋭く迫力ある眼差しを副社長に向ける場面をフューチャーしていて映像的にも怖いです。いっぽう、それとは別にメッセンジャーボーイが副社長に嫉妬し、自身と副社長を同一視していくというサイコぷりもあり、サイコとサイコに狙われる男というのがスリリング。終盤、メッセンジャーボーイが副社長宅へやってきてから暗闇に潜むまでなかなか緊迫感もあり、おおっと思いましたが、その末路はちょっと不満が残ります。
副社長役にレスリー・ニールセン、その妻役にダイアン・フォスター。カメラは『我が道を往く』のライオネル・リンドンです。どうりでテレビドラマにしては良い感じが・・・。監督はテレビドラマ時代のアーサー・ヒラー。

DVDで観賞。
コスミック出版


13/11/02

『ダヴィンチ・コード』(2006年、ロン・ハワード監督)

最近の映画を久々に見たぞ珍しい、と思ったらもう7年も前の映画だったのね・・・。時が過ぎるのは早いですね。
キリスト教的グロいサスペンスを期待して観たらあんまりグロくなくて拍子抜けしました。わりと単純なお話に149分はやはり長い印象で、もうちょっとコンパクトにまとめてもいいのになーと思いつつ、それなりに面白かったのですが、次々に謎が簡単に解けて行ってしまうのはうーん、謎解きの面白さには欠けるような。聖杯探索ということもあって舞台が秘境ではない『インディー・ジョーンズ』的アドベンチャーという感じがしてしまいます。まあそれも面白い要素なのかもしれません。
お話的には全ての謎を知っている人がいるというのに、わざわざ謎を解く鍵とかパスワードとか必要あるのかな、と疑問に思ってしまいます。ダヴィンチ・コードとかいってるくせしてあんまりダヴィンチじゃなきゃいけない理由がないし。そして黒幕がバチカンとか謎の組織とかでないので拍子抜けします。ご都合主義も甚だしい。
イアン・マッケランが場をさらいました。

DVDで観賞。
ソニー


ここ見てる人がいるのかなー。うーん。


13/10/27

『仮面の男』(44年、ジーン・ネグレスコ監督)

ジーン・ネグレスコ監督の長編第一作。評判が良いので期待して見ました。お話がサクサクと小気味よく進んでいくうえ、回想に次ぐ回想で展開するフィルムノワール/サスペンスで楽しく見ました。原作は古典的犯罪小説ということですが、いつものように読んでおらず、とはいえ、死体で発見された大物犯罪者ディミトリアスの謎を作家が調べに各地へ飛ぶというのは、やはり心踊るし、ピカレスクロマンもあって良いです。
しかしディミトリアスを知るシドニー・グリーンストリートが出てくると会話主体になってしまうのが残念で、急にもたもたした印象になってしまう。その他の場面ではむしろ急ぎすぎなくらいで、場面転換さえ前の場面の音を引きずっているようなのに。
物語を導く作家役はピーター・ローレ。まあほぼ主演です。Mr.Motoシリーズの彼が大好きなので、作家とはいえ探偵役で主役というのが嬉しい。犯罪者役でも本職の探偵でもない彼が、暗い犯罪者ばかりの中を飄々として泳いでいく感じが面白いです。
ディミトリアス役にはザカリー・スコット。謎の大ボス的犯罪者にしては貫禄がないのが残念ですが、回想場面では若いチンピラがだんだんと凶悪犯に成長していく感じがあるし、なんとなくエキゾチックな俳優なので、アンチヒーローの雰囲気も出ています。
というわけで、非常に地味なキャスティングの映画でしたが、それもまた良いものです。
ジーン・ネグレスコは50年代シネマスコープ作品群よりも、40年代モノクロスタンダード作品の方がやはり面白いです。

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


13/10/26

『魔人ドラキュラ』(31年、トッド・ブラウニング監督)

超有名作ですが初めての観賞。ほとんど音楽がなくてびっくりしました。サイレントのサウンド版ならぬ、トーキーのサウンドなし版的な。でもってタイトルで流れるのが何故『白鳥の湖』なのか・・・。お話もわけわかんなくて、調べたら監督がどんどん脚本を削ってしまったせいらしいのですが、それにしてもドラキュラが何しにイギリスに行くのかとか、ドラキュラの3人の妻はトランシルベニアに置き去りにしたのかとか、ルーシーの末路はとか気になります。
退屈といわれることもあるようですが、わりと楽しめました。怪奇映画好きだからでしょうか。音楽がないのも独特な雰囲気作りに役立っているようにも、思えなくもない。今の目で見るとコウモリの特撮がチャチなのは残念だし、肝心のベラ・ルゴシが魅力的でないのがどうかなと思ってしまいます。城の地下らしき地べたに棺桶が無造作に置かれ、そこから吸血鬼どもが出てくるのもちょっと侘しい。納骨堂とかさあってもいいのでは・・・。しかし、ドラキュラ城の暗くて埃とクモの巣にまみれた巨大な室内セットの豪華さに目を見張り、うごめく3人の妻たちの不気味さが素敵です。この妻たち活躍しないけど。
そしてなんといってもレンフィールド役のドワイト・フライの狂気演技がもう最高。傑作『フランケンシュタイン』(31年)の傴男の人ですね。几帳面なイギリス人といった感じで登場したのに、ドラキュラに血を吸われ気が狂ったようになって、ハエが食べたいとか、クモが食べたいとか、可笑しいかぎり。
本作と『フランケンシュタイン』ならば、私は『フランケンシュタイン』ボリス・カーロフ派。
トッド・ブラウニング監督作を見るのは初めて。ロン・チェイニー主演サイレント映画のDVDをいくつか所持しているのでそのうち見てみます。
本作のスペイン語バージョンも機会があれば見てみたいです。

DVDで観賞。
ユニバーサル。


13/10/20

『世にも不思議な物語』(59年〜61年)

第2シーズン、第33話『時空を超えた再会』(60年、ジョン・ニューランド監督)

日本でも放送されたらしい1話完結型テレビドラマですが、私は生まれてないので見たこともありませんし、コスミック出版からDVDが出るまで全く知りませんでした。シリーズを通してほぼ全話監督のジョン・ニューランドがホストとして不思議な出来事を紹介するシリーズらしいです。
さてお目当てはジョーン・フォンティーン主演のタイムトラベル物ロマンス!DVDジャケット裏の小さい写真でジョーン・フォンティーンを見つけてついDVD購入してしまいました。ところがびっくり、ジョーンの相手役は若きウォーレン・ビーティだ。なんかすごいカップルなような。
中年夫婦が雪山のロッジ(?)で別れ話をして、アル中から立ち直った妻が旦那を追い出すように帰らせるが途中、車は事故にあい旦那は意識を失う。その瞬間、妻のロッジに若者が道に迷ったと尋ねてくる・・・というお話。ビーティは老けメイクで中年役、若者役はそのまんま。
ネットで調べたら割と評判よさそうで楽しみだったんですが、やはりテレビドラマ的で物足りません。CM抜いて25分くらいですが、時間の問題でなく、演出の問題ですね。台詞ばっかりで、ほとんどジョーン・フォンティーンの演技力にのみ頼っています。しかも台詞を喋っているのはほとんどウォーレン・ビーティばっかり。ホストで出てくるニューランドを合わせて出演者がたった4人というのもさびしい限り。ほとんどロッジのなかで話しているだけでした。ビーティが車の中で意識を失った瞬間、大雪が降るロッジの外に人影が現れるのは良かったです。妻が元アル中なので医者が幻覚と疑ったりするのもスパイスではありました。

DVDで観賞。
コスミック出版
10枚のDVDに20話収録。


13/10/13

『ボリス・カーロフのスリラー 恐怖の館』(60年〜62年)

第8話『監視人』(60年、ジョン・ブラーム監督)

ボリス・カーロフがホストを務める一話完結型テレビドラマシリーズです。店でテレビドラマのDVDセットかよへへんと馬鹿にしつつボリス・カーロフに惹かれて手に取ったらジョン・ブラームの監督作が入ってたので思わず熱狂し買ってしまいました。
カーロフは番組の冒頭にちょっと出て事のあらましを喋ってキャストの紹介をしたらキメ台詞を言うだけで、内容には関わってきません。カーロフが恐怖ブランドの品質証明ということでしょうか。IMDbによると後期になるとゴシックホラー傾向が高まるそうです。うーんカーロフらしい。
避暑地で不道徳な若者を狙った殺人事件が発生するというサイコサスペンスです。冒頭からいきなり殺害シーンで既に犯人の面も割れているので、彼の次なるターゲットとその結末にはらはらするのですが、50分ではお話が膨らないのが残念です。もう何人か死んでくれないと、精神異常者の連続殺人事件というにはちょっと弱いような。彼の精神異常の経緯も良くわかりません。しかし、さくさく進むお話と、不気味な雰囲気とで楽しんでみられました。犯人が聖書の言葉(?)を口癖のように呟いてるのが『狩人の夜』(ロートン)っぽい不気味さです。かつての教え子の青年に付きまとい監視しているのもちょっと同性愛っぽいかもしれず奇妙です。『戦慄の調べ』『謎の下宿人』『危険な女』などのサイコサスペンス/フィルムノワールの傑作、佳作を監督したジョン・ブラームらしい題材なのだろうとは思うのですが、やはり迫力、風格には欠けます。それがテレビドラマだからなのか、テレビドラマの仕事に流れてしまったからなのかはわかりませんが。
出演者はテレビドラマらしく地味ですが、スターになる前のリチャード・チェンバレンが犯人に狙われる元教え子役で出ていました。

DVDで観賞。
コスミック出版
10枚のDVDに10話収録。映画監督になる前のアーサー・ヒラー監督作が3本、俳優ポール・ヘンリード監督作が1本、ミッチェル・ライゼン監督作が2本、ジョン・ブラーム監督作は本作を含め2本です。


13/10/10/12

『My Favorite Blonde』(42年、シドニー・ランフィールド監督)

ボブ・ホープ主演の反ナチプロパガンダものサスペンスコメディ。同じテーマで『腰抜けスパイ騒動』(43年)があります。
ヒロインはマデリーン・キャロル。そのためなのか、ヒッチコック的な巻き込まれ型サスペンス描写も散見されました。ホープが偽の医者にふんして講演に駆り出されるのは『三十九夜』のパロディだったのかもしれません。その割にだいぶ野暮ったくて、やはりスマートなサスペンス描写を望むのは酷でしょうか。
ギャグはなかなか楽しくて全体的には満足しました。楽屋落ちのギャグもかつてラジオのスターであったホープらしく、ラジオからホープ自身の放送が聞こえてくると、役の上のホープが「こいつはいけ好かない。」と言ったり、案の定ビング・クロスビーが出てきたり。
舞台芸人のホープの相棒がペンギンで愛らしく、もう少しお話に絡んでくると良かったのですが。

米版DVDで観賞。
ユニバーサル


13/09/22

『太陽に向かって走れ』(56年、ロイ・ボールティング監督)

『猟奇島』(32年)のリメイクですが、もはや全くの別物。人間狩りが主題ですが、狩りそのものを楽しむ不気味なホラーであった『猟奇島』に対し、こちらは戦後メキシコのジャングルに隠れ住むナチスのスパイが、それを知った遭難者を追い詰めるというもの。これはこれでとても面白いです。遭難するまでにけっこう時間があり、その間メロドラマチックではありますが、もたもたしている感じもなくて良いです。遭難して助けられた屋敷の秘密、そして狩りの始まりとスリリング。でも割と安心して観ていられます。『猟奇島』に比してですが・・・。
主演はリチャード・ウィドマークがニヒルな世捨て人を時にチャーミングに時にうーん、ワイルドというか狡猾に演じます。逃げる途中の罠の作成なんて、『猟奇島』にもあるんだけど、ウィドマークが作るとなんか狡猾な感じがしてしまうところが、また良いのです。ヒロインと会って日が経ってないのにもう結婚する気満々だったりしてチャーミング。
そして安心して観ていられる理由はウィドマークよりもこちら、ヒロインを演じたジェーン・グリアです。フェイ・レイと違っていかにも足手まといにならなそう。実際はそうでもなかったんだけど、見終わってもやっぱりジェーン・グリアはタフなイメージです。『過去を逃れて』の悪女役以上に『仮面の報酬』の頼りがいあるヒロイン像が忘れられない。
ロイ・ボールティング監督の映画は今回初めて見ました。本作もかなり面白かったんですが、
”映画の國”のコラムによれば、40年代と60年代のイギリス時代の方が面白いそうです。うーん、でもこれ相当面白かったですよ。スター俳優の華やかさでは本作が一番かもしれません。もっと見たいけど私はスターで映画を選ぶからDVDを買ってまで見ないなーと思ったら・・・もう一本アメリカで撮った『Sailor of the King』(53年)のDVDを既に持ってました。ジェフリー・ハンター目当てで買っといたんですが、監督までは気が回らなんだ。

米版DVD−Rで観賞。
MGM


13/09/21

『La montagna di luce』(65年、ウンベルト・レンツィ監督、イタリア)
米DVD題Sandok

マレーシアを舞台(?)に寺院の秘宝ダイヤモンドを盗み出す冒険映画。と言いつつマレーシアなのか、インドなのかよくわからないんですが。マレーシアにもマハラジャっているんですか?中盤までそれなりに楽しく見たのですが、主人公が仲間を裏切ったり、裏切られた仲間が追いかけてきたりで、どうなのかなーと思っていたら、終盤はまったく訳が分からなくなります。DVD化にあたってカットでもされたのかと思ってしまいますが、どうなんでしょう。たぶんもともといい加減な映画なんだと思う。ウンベルト・レンツィだし。
『七人のあばれ者』『豪勇ペルシウス大反撃』のリチャード・ハリソン主演。二枚目の割にいつも頭が薄いのが気になるリチャード・ハリソンも今回は鬘をしているような気もしないではないのですが、生え際が凄いのでいいんだか悪いんだか。肌の色を黒く塗って現地人に化けたり無理がありますがご愛嬌。マッチョでふんどしで現地人に変装・・・うーんうーん。同時期にギリシャっぽい怪力ヒーローとか、マカロニウェスタンとか、スパイアクションとかやってる中で、これが一番変かも。

米版DVDで観賞
Mya Communication


13/09/15

『世界一の剣闘士』(62年、ミケーレ・ルーポ監督、イタリア)

マーク・フォレストがイタリア原産の怪力ヒーロー、マチステを演じた3作目。
7人の剣闘士を雇って女王の治める平和な国を乗っ取ろうとする悪漢に立ち向かうマチステ。今回のポイントは7人の剣闘士が敵だという点ですね。侍でもガンマンでも剣闘士でもたいてい7人そろえば味方に付くものなのですが。話運びが悪くて、マチステが出るまで20分、悪の親玉が出るまで45分もかかったり、泥臭いお笑いに時間をかけすぎたりで気分がのれません。
4作目の『鉄腕マチステ』(63年)が同じくミケーレ・ルーポ監督でなかなか面白く今回も期待しましたが、残念でした。
マーク・フォレストはこのジャンルでは好きな俳優なのですが、今回は肉弾戦になると何故かスタント使用なので見せ場もなく残念です。
同ジャンルの主演マッチョで後にマカロニウェスタンの悪役になるダン・ヴァディスが7人のうちの一人で、こちらはちゃんと肉弾戦してるのになー。

米版DVDで観賞
RETRO Flix


13/09/14

『恋するレオタード』(55年、マルク・アレグレ監督、フランス)

音楽学校の若い女学生二人が、その教師をしているオペラ歌手の中年男に恋をし振り回される様子を描いた、わけのわからない映画。二人のヒロインはそれぞれコメディタッチと悲劇的に分類され、なんとも中途半端。
主演はジャン・マレーと元気なヒロインを若いブリジッド・バルドー。悲劇的なヒロインは、わあ珍しや『我が青春のマリアンヌ』(55年)で主人公の少年を沐浴で誘惑した挙句、シカの大群に復讐されるのが忘れがたい卑屈で貧相なブロンド女優イザベル・ピアだ。『我が青春のマリアンヌ』以外で見ることはなかったイザベル・ピアは、メーテルのモデルになったマリアンヌ・ホルトよりもインパクトが強かったのだけど、IMDbで調べてみたら出演作も極々少ないのですね。中年男のくれたキスが愛がないものだったことを知って気絶し、絶望に沈む少女を演じていかにも貧相で卑屈で薄幸です。バルドーの方は同じ男とキスどころかセックスまでしてるのに愛がなかったんでコンチクショーと奮い立つ・・・。脚本はバルドーの旦那ロジェ・ヴァディムです。うーん呆れた。
ジャン・マレーは我がまま気ままなプレイボーイの歌手を演じて、ぶっ飛ばしたくなりますが、悪くはないです。まあそういう役だから。
バルドーの級友役の端役でミレーヌ・ドモンジョを発見!これもIMDbで調べたらデビュー2作目でした。30年代ハリウッドのスクリューボールな名脇役ミシャ・オウアが出ているのが良いです。
監督はバルドー主演、ヴァディム脚本の『裸で御免なさい』(56年)のマルク・アレグレ。あれも受け入れられない映画だった。ヴァディムのせいなのか?『チャタレイ夫人の恋人』(55年)は悪くないように思ったけど、どちらかといえばその兄弟イブ・アレグレのほうが良い監督かも。


13/09/08

『不思議の国のアリス』(33年、ノーマン・Z・マクロード監督)

『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を原作にまぜこぜにして映画化された本作、一度ははみたかった映画をついに見た・・・ら、変な映画であった。例えば、原作にもある描写なのですがしゃべっている相手や居る場所がいつの間にか他の人、他の場所に変わってしまうというのは映像で見せられると釈然としません。いくらなんでも前後がつながらないと感じてしまいます。二つの原作を混ぜたのでエピソードがてんこ盛りすぎるのもややこしい。まあオールスターで見るおふざけ映画と思えばよいのかもしれません。終盤のアリスが女王になったお祝いの会でロウソクから火花があちこち噴き出すのがよいです。アニメみたいだな。ちなみにオイスターの歌はアニメそのもので描写されます。
出演スターのほとんどは、目だけが被り物から出てるとか、顔の半分につけ物をしているとか、全身被り物といった状態で、顔がわからないのでクレジットはわざわざ使用後、使用前の写真付きで紹介されます。
オールスターといっても今となってはよくわからない人も多々いますが、ゲイリー・クーパーの白のナイトが禿ずら付け髭でましなのと、エドナ・メイ・オリヴァーの赤の女王は存在感があります。エドワード・エベレット・ホートンの帽子屋も似あっているような。
そして何より興味深いのは偽ウミガメを演じたケイリー・グラント!着ぐるみにすっぽり入って顔なんてちっともわかりませんが、ちゃんと中に入ってたのでしょうか・・・。デビュー翌年の映画でもうスターに混ざってこんなのに出てるのが凄い。まだコメディ向け俳優としての実績もないのによりによって偽ウミガメを演じさせたキャスティングの人が凄いと思います。ケイリー・グラントは歌も一曲歌います。

米版DVDで観賞。
ユニバーサル


13/09/08

『王女テラの棺』(71年、セス・ホルト監督、イギリス)

英の老舗ハマーのホラー映画。エジプトの墳墓から見つかった王女テラの死体は生きているのかのように血を流し続けているのであった。う〜ん腕の切断面がグロいです。斧(?)で切り取られた手首にピロッと肉片というか皮が垂れてる描写も身の毛が逆立ちます。それを山犬の群れに与えるなんて、思わずヒーっと声が出そうです。
現代に転生した王女テラが何をしたいのかよくわかりません。そもそも古代エジプトでもなにしたかったんだかほぼ描かれないのですが、善でも悪でもない存在、それらを超越した存在、じゃあなんなのという回答はありません。娘がテラの転生した存在と知りつつ愛し、テラ復活を阻止しようとする考古学者の父とか、テラの力をコントロールして利用したがるかつての考古学者仲間とか、皆さん何をしたいのかはよくわからないのですが、まあ要はテラを復活させたい人とそうでもない人たちがてんやわんやして死んでいくのを見せるホラーです。それで十分面白いです。映像も美しい。70年代だというのにまだテクニカラーというのが良いのです。
ハマーのサスペンス映画の佳作『恐怖』(61年)のセス・ホルト監督作。

DVDで観賞。
ユニバーサル


13/09/07

『Il boia di Venezia』(63年、ルイジ・カプアーノ監督)
米題The Executioner of Venice

レックス・バーカーとガイ・マディソンのイタリア出稼ぎチャンバラ映画。主人公と彼を狙う死刑執行人が実は生き別れの親子という因縁は悪くないと思うのですが。悪役が主人公の婚約者に横恋慕して、主人公を亡き者にしようと企み無実の罪で投獄し、一度は死んだと思われた主人公を思いヒロインが修道院に入ると、海賊を募って修道院を襲わせます。ショボイ悪役ですな。そんな理由で使われる海賊もちょっと考えたらいいのに、と思ってしまいます。そして悪役とチャンバラの決闘がないと物足りません。題材が題材なので死刑執行人が斧で・・・。その結末で晴れやかに主人公とヒロインのキスで締めないでください!
レックス・バーカーはあまり見せ場がなく残念でした。『Black Devils of Kali』の後、58年あたりから出演作がほとんどイタリアやドイツへの出稼ぎ映画になりますが、まだかっこいいです。すでに美女ラナ・ターナーとは離婚していました。
ガイ・マディソンは貧相で迫力のない悪役でした。
ルイジ・カプアーノはチャンバラ好きの監督のようですが、やはりターザン俳優ゴードン・スコットのイタリア出稼ぎチャンバラ映画『The Lion of St. Mark』(米題、63年)しか見ておりません。あちらの方が面白かったですが、あれもところどころ思わずずっこけながら見ました。なんだか同じ場所でロケをしているような。

米版DVD−Rで観賞。
SinisterCinema


13/09/07

米題『Black Devils of Kali』(54年、ジャン・パオロ・カレガリ、ラルフ・マーフィ監督)

紹介したタイトルは米題です。見始めてなんだか変だなーと思ったら前後編作品の後編だったらしく、10分くらい前回のお話が続きます。でも米版なので再編集されているかもしれず、その辺ちょっと怪しいです。IMDbで調べるとどうやら前編『I misteri della giungla nera』後編『La vendetta dei Tughs』という作品になるようです。
ターザン俳優レックス・バーカーのイタリア出稼ぎ映画です。54年というわりと早い時期のハリウッドスター(?)のイタリア出稼ぎですね。『海賊船長』(52年)のラルフ・マーフィー監督も一緒に出稼ぎしているようです。
インドを舞台にした冒険映画ですが、お粗末さまでした。本来はカラー作品ですが、私の見たDVD-Rはモノクロ、トリミング、画質悪、後編のみという悪条件ですが、それにしても面白くないです。前後編に分けるほどの大作映画なのか・・・?という疑問がわきます。安そうだし。アクション場面もずいぶんやる気のない緊張感もない演出。悪漢の放った蠍に自ら飛び込んで刺されるってどうなの?そのくせなんで死なないの?何がしたいのかよくわかりません。
ラルフ・マーフィーは『海賊船長』しか見てませんが、あれは『海賊ブラッドの逆襲』(ゴードン・ダグラス監督)の続編でなかなか面白いのですが。出稼ぎ映画だからしょうがないのかな。
レックス・バーカーはターバンとか巻いてるので、カラーで見たらエキゾチックで良かったかもしれません。ターザンのシリーズも終わり、イタリア出稼ぎになったようですが、当時は美女アーレン・ダールと離婚して、美女ラナ・ターナーの旦那でした。バーカーのターザン映画はDVD-Rを集めたのですが、ジョニー・ワイズミュラーのターザンもまだ観終わってないので、もうしばらく見れませんね。残念。

米版DVD−Rで観賞。
SinisterCinema


13/09/01

『Aloma of the South Seas』(41年、アルフレッド・サンテル監督)

南の島の族長の息子が儀式で花嫁を決めた後、15年間アメリカで教育を受け大人になって帰ってくると、父は死んでおり許嫁と再会し、従兄弟と対立するという、南海映画。
私が見たのはYoutubeの小さい画面の画質も良くないものですが、とはいえ、テクニカラーの南海映画はたわいもなく、微笑ましく、ひと時の夢のよう。今となってはこうした類の映画はいろいろ事情もあって造られなさそうだし、わざわざ新作映画で見たがる人もいなそうです。南の島の人々を白人が演じているという、昔の映画ならではの可笑しさも作り物めいているのですが、しかしこの時代の映画ならばまだ南海物の夢と冒険が映画に満ちています。15年ぶりにアメリカから帰ってきたら父親が病死していたのにもうちょっと感慨はないのかとか、従兄弟との争いももっと権力争いにならないのかとか、思わないでもないのですが、南の島の暖かくて自然に満ちて、おおらかで豊かな心地の場所ではあまり争いらしい争いなんて考えられませんもんね。
悪役は極々小さい子供のころから反旗を企てる悪役なのが因縁話めいていて興味深いです。ヒロインの少女の映った池の水面が揺れると大人になったヒロインに交代するのも良い。反乱に機関銃が使われるのが物騒だけど、あまり大規模の反乱でもなく、そのかわり南海映画らしく火山の噴火で幕を閉めます。
主演はドロシー・ラムーアとジョン・ホール。『ハリケーン』(フォード)のコンビですが見てません。ドロシー・ラムーアはお得意のエキゾチック南海娘の気の強いヒロインを演じて魅力的です。歌も一曲披露。allcinemaONLINEで最初の映画化サイレント版『南海のアロマ』(26年、トゥールヌール)に出演していることになってますが、IMDbには載ってないので記載ミスと思われます。
ジョン・ホールは若い族長を演じてあんまりエキゾチックでもないんですが、清々しく男前です。この後マリア・モンテスとコンビでテクニカラーのエキゾチックヒーローになります。IMDbを信じるなら白人とタヒチのお姫様の息子(でも出身はカリフォルニア)という出自で、まんま映画みたいな人ですね!
ちょっと良い脇役女優ドナ・ドレイクが出演しているのがうれしい。ドロシー・ラムーアが何かしでかすと彼女は許嫁の身なので、代わりにドナがお仕置きされるのが可笑しい。
南海映画ももっと見たくなったので、『ハリケーン』もそろそろ見よう。

Youtubeで観賞。


13/08/31

『謎の大陸アトランティス』(61年、ジョージ・パル監督)

アトランティス大陸の崩壊を描いたファンタジーSF冒険映画。パル監督作だけあってなかなかに楽しい。冒険心もたっぷり、そしてパルの映画を見る楽しみである特撮も魅力です。主人公が夢に見た青い肌の海神は、ところどころ色が剥げて酷かったけど・・・。ここは『アルゴ探検隊の大冒険』(63年)に負けます。しかし巨大魚型潜水艦がかっこいいし、セットも豪華に見えます。終盤のアトランティス崩壊はセットや模型のほか、フィルムの流用も混ぜてまして、現代の目で見ると不自然な部分もありますが、迫力もあります。大陸が一つ海に沈んだらすごい津波が来そうだし、そんなに短時間で沈むもんでもないと思うんですが。人を獣頭に変えたり、クリスタルからレーザー光線が出たりてんこ盛りです。レーザーにあたると一瞬で消えちゃうんですが、悪役だけは骨だけ残る。アリーナの決闘では三角形型の掘り下げたリングで火が地面を燃やす中、巨漢と闘ってますが、でもそこちょっとジャンプしてふちに捕まれば逃げられるよね。そのあと水がざぶざぶ入ってくるとプールのようになってますますふちに捕まって逃げられるよね。とまあ、可笑しなところも突っ込みどころも多いなりに、やはり冒険と特撮とで夢もあり楽しい作品でした。
主演のアンソニー・ホールが気持ち悪くて困る。もうちょっとましな若手俳優はいなかったのか。IMDbを見るとファビアン・フォートの歌を作詞したりしてる人だそうです。ヒロインのジョイス・テイラーは高慢ちきな王女様役ということもあり、イラついて感じが悪いし、悪役のジョン・ドールは『ロープ』の時よりさらに気持ち悪い顔をしている。ファビアンあたりの主演だったらよかったのになー。

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


13/08/31

『ヴァレンチノ』(51年、ルイス・アレン監督)

アメリカへのダンス興行への船旅中、ルドルフ・ヴァレンチノはアメリカ人女性とアバンチュールを楽しむ。アメリカについてジゴロ的ダンサーになっているとき彼女に再会するが、彼女はサイレント映画のスター女優ジョーン・カーライルだった・・・というルドルフ・ヴァレンチノを題材にした恋愛伝記映画ですが、フィクションです。ヴァレンチノ以外のキャラクターは実在しないですし。彼の死後25年ではあまりに関係者が生存しすぎていたということでしょう。製作にあたって色々訴訟も起こったようです。
長いこと憧れの映画でありながら期待はしていなかったのですが、思ったよりも楽しめました。バレンチノのキャラクターはまるで『コブラ(毒蛇)』(25年)の彼のよう。プレイボーイだけど一人の女をいちずに愛し、友情もあり。ちょっといい人に描かれすぎな気もしますが。映画のハイライトは『黙示録の四騎士』の役を得るためにプロデューサーの誕生パーティーに潜入してアルゼンチンタンゴを踊る場面。割と長いこと踊ってます。いくつかヴァレンチノ主演作を再現しているので、本物を見たくなります。『血と砂』などの後、『シーク』を撮ったことになってます。
主演はこれがデビューのアンソニー・デクスター。容貌はヴァレンチノに劣るし迫力にも欠けるけれど、雰囲気はよく出ています。逆に、雰囲気が出すぎていて50年代のテクニカラー作品では浮いているような。題材が題材なので仕方がないですね。思ったより好感。
ジョーン・カーライルを演じたのは美女エリノア・パーカー。さすがに大女優の風格と美しさです。後半動きが少なくなるのが残念です。
パトリシア・メディナが共演女優兼親友役で気丈なところを見せ、デクスターとアルゼンチンタンゴも踊ってます。


13/08/28

『Anno 79: La distruzione di Ercolano』(62年、ジャンフランコ・パロリーニ監督、イタリア)
米題79 A.D.

イタリア製B級史劇っぽいアクション映画。だらだらと安っぽくいつまでも続くので飽きてしまいました。せっかくのマッチョな主人公が常識の範囲内の強さで怪力も披露しません。終盤はなし崩し的に火山が噴火してその隙にめでたしめでたしです。
主演は『ヘラクレスの怒り』や『Goliath and the Giants』(米題)のブラッド・ハリソン。今回なかなか悪くないです。
監督はやはり『ヘラクレスの怒り』の人。『ヘラクレス〜』はブラッド・ハリスが襲い迫りくる象に思わず「ストップ!」というと象が大人しく去っていきます・・・。

米版DVD−Rで観賞。
SinisterCinema

『ヘラクレスの怒り』はYoutubeで観賞できます。


13/08/25

『The Female Animal』(58年、ハリー・ケラー監督)

映画スターのヴァネッサはスタジオでの軽い事故から救ってくれたエキストラのクリスに惹かれ交際を始めるが、彼女の養女が偶然クリスと知り合い・・・というソープオペラ的なメロドラマ。若い男が自尊心のためにスターである女と別れ、その自堕落な若い娘に惹かれるというのが50年代後半らしいメロドラマだと思いつつ、困ったことに本作の根底を覆す存在がいる・・・。
ヘディ・ラマール!映画史上最も美しい女優と言われる美女ヘディ・ラマールの引退映画です。当時の女優は現代人に比べるとどうしても老けるのが早いのですが、ヘディ・ラマールにはそれが当てはまりません。当時の彼女は45歳くらいですが、35歳前後の出演作と比べて年を取っていません。未だにゴージャスに美しく、瞳が輝きます。彼女があまりに美しいので、養女も年の若い男も、あんまり年下に見えない・・・。スター女優のジゴロになりたくないという男の自尊心だけではちょっと説得力に欠けてしまいます。キャラクター的にもちょっと強引ではあるけれど、性格も悪くなく、愛情もあり、母親としても娘に近すぎず遠すぎずで、娘がアル中になるほどの理由が母にない。となるとわざわざ老けて見えるアル中の娘を選ぶ必要があるのかな。もっとジョーン・クロフォードのような母親キャラクターでないと納得できません。しかし、それは監督なり脚本家なり娘役の女優のせいであってヘディ・ラマールのせいではありません。彼女はその美貌と色香と若さで肉食系女子を演じてピタリとはまっています。メロドラマも良く似合いますが、そのキャリアの中では意外に少ないような。本作や『The Strange Woman』のようなメロドラマにもっと出てほしかったと思います。
ヘディ・ラマールの若々しさと美しさを証明することになってしまったのは、養女役のジェーン・パウエル。当時29歳くらいですが、すでに老いの影が見え、クローズアップに耐えず、娘にも見えません。姉妹くらいになら見えるかも。
相手役は最低映画『ロボット・モンスター』から這い上がってメジャーに出演していたころのジョージ・ネイダー。出演場面の半分くらいは上半身裸でいかにもソープオペラです。実生活ではゲイの人。
危険なスタントシーンの撮影中にジェーンとジョージ・ネイダーが並んでみているのを見つけたヘディが橋の上から思わず滝つぼに落ちるという冒頭は良い出だし。そこからフラッシュバックになりますが、ちょっとわかりづらい繋ぎ。ヘディがジョージ・ネイダーを愛する過程、ジェーンとジョージが愛し合う過程がそれぞれあまりないので、いささか虚しい。それがソープオペラかもしれません。


13/08/24

『Close to My Heart』(51年、ウィリアム・キーリー監督)

不妊症の妻が子供を欲しがり奔走し養子をとることにするが、コラムニストの夫は子供の出自を知ろうと奔走するお話。
前半は妻の子供を欲しがる気迫が怖いし、後半は夫の捜査活動(?)に重点が置かれ子供が家族の一員になっていく様子があまりないような。夫が養子への愛情に目覚めた感じもないのに、その終盤は唐突であった。ペットの犬も子供の代わりに飼いはじめたのにほとんど活躍もなく残念。『愛のアルバム』(41年)とか『My Blue Heaven』(50年)とかほどの苦難はなく、チャンバラ映画とかセミドキュメンタリータッチのフィルムノワールの監督ウィリアム・キーリーにはあまり向いていない題材かもしれない。とはいえ、妻の神経症的描写や、探偵のように子供の出自をつきとめついには牢獄でその実の父親と対面するあたりは、ちょっとノワール的雰囲気もあった。夫があまり養子縁組に乗り気でなくて、妻に押し切られてしぶしぶという様子が、現実的でちょっと考えさせられる。
夫役はレイ・ミランド。妻役にはジーン・ティアニーが美しすぎて、そんな煌めく非現実的美女が子供が欲しいとか、家庭物のドラマとかちょっと違和感あるような。現実のジーン・ティアニーは、妊娠中にファンにキスをされ麻疹が移ってしまい、そのため生まれてきた子供が知恵遅れになるという悲劇に苛まれていたわけで、それを思うとこの役柄は痛々しくその子供にかける執念が現実的になってしまう。夜泣きする子供を別の部屋で心配するジーン・ティアニーの顔にかかった影と瞳の輝きのコントラストは、フィルムノワールのように不吉で美しい。
養子斡旋所の調査員にフェイ・べインター。子供の出自の最初の手がかりになる崩れた女に『たそがれの恋』の悪女メアリー・べス・ヒューズがやつれメイクで老けていた。

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


13/08/23

『The Fat Man』(51年、ウィリアム・キャッスル監督)

歯科医の墜落死を警察は事故死とするが看護婦は探偵に捜査を依頼する。歯科医に最近来た患者の歯型X線写真がなくなっており・・・というミステリー。
この時代でフィルムノワールではないちょっとコミカルな探偵ものもわりと珍しいような。視覚的に魅せないので、映画的とは言い難いのでしょうが、テレビの探偵もの的に見ればわりと楽しめます。探偵がタイトルのとうり太ったおっさんで、美食家のキャラクターが面白いです。
主演のJ. Scott SmartはIMDbで見るとuncreditedばっかり。よく主演になれたなと思ったら、本作は彼の主演するラジオショーの映画化のようです。なるほど。もともとキャラものだったわけです。
脇役時代のロック・ハドソンが歯型の患者役でクレジット3番目。でも出演シーンは回想シーンのみ。その妻役にジュリー・ロンドンが綺麗なところを見せています。看護婦役は『湖中の女』のジェーン・メドウズ。
監督はギミックに走る前のウィリアム・キャッスル。

Youtubeで観賞。


13/08/18

『ハーヴェイ』(50年、ヘンリー・コスター監督)

1.91mの見えない巨大兎を友に持つ男が巻き起こすドタバタを描いたコメディ。ずっとスルーしてましたが、もっと早く見ればよかったです。精神病ものコメディかと思ったらそうでもなくて、画面には映らない兎の姿の妖精が存在するかは観る人に委ねられるとうわけでもないのね。それでもなおファンタジーというべきか、精神異常コメディというべきか悩んでしまう曖昧さを持っています。ヘンリー・コスターは既に『気まぐれ天使』『幸福の森』というファンタジーの佳作を監督しているので得意分野だと思いますが、元が舞台劇ということもあり、演劇臭さが残っています。でもとても面白かった。
主演は『素晴らしき哉、人生!』(キャプラ)のジェームズ・スチュワートがあののったりした穏やかな口調と表情で精神異常にも見えなくもないし、善良にも見えるという曖昧さ。
スチュワートの姉役は精神異常スクリューボールコメディの傑作『毒薬と老嬢』(キャプラ)のジョセフィン・ハル!もう画面に出てるだけで可笑しいです。彼女を見るために本作があると言っても過言ではありません。
ジョセフィンの娘役は『幽霊と未亡人』に小姑役で出ていて、一度見たら忘れられないヴィクトリア・ホーン。そして精神科医役のセシル・ケラウェイは『奥さまは魔女』『ジェニーの肖像』『幸福の森』とハリウッド・クラシック・ファンタジーの常連です。なんという好キャスティング!

DVDで観賞。
ユニバーサル


13/08/18

『海賊の王者』(60年、アンドレ・ド・トス監督、イタリア)

スティーヴ・リーヴス主演、アンドレ・ド・トスのイタリア出稼ぎ映画。ド・トスのキャリア終盤の映画です。脚本にド・トスの名前があるので、わりと気合の入った映画なのかも。IMDbを見るとプリモ・ツェリオも監督として書いてあります。プリモ・ツェリオはロッド・テイラーとルドルフ・マテのイタリア出稼ぎ映画『海賊魂』にも名前を連ねているので、チャンバラ好きの様子。
奴隷にされたイギリス人のヘンリー・モーガンが奴隷船を奪って海賊になり、パナマを襲うお話。彼を買ったパナマ総督の娘とのロマンスもあり。と、あらすじだけ書けば普通の海賊映画なのですが、ド・トスでもそこはイタリア製マッスルアクション映画。海賊島のボスとスティーヴ・リーヴスが決闘になるとリーヴスは半裸で肉体を披露。スティーヴ・リーヴスはミスター・ユニバース等を総なめにした伝説的ボディビルダーだからむしろ脱がなきゃ。そのチャンバラはなかなかワイルドで悪くないのですが、剣が折れて劣勢になるとボスを締め上げて剣を奪い取ります・・・。うーん、チャンバラの爽快さに欠けてしまいました。それでも前半はなかなか楽しのですが、後半のパナマ進攻になると失速。海賊が陸の上にいてはいけないのですね。
ヒロインはお人形さん的に動きが少なく、演じるヴァレリー・ラグランジェもあまり魅力はありません。スティーヴ・リーヴスの相手役はシルバ・コシナ、ヴィルナ・リージ、ジャクリーヌ・ササール、クリスティーネ・カウフマン、ミレーヌ・ドモンジョと豪華女優が多いので、本作はその点ちょっと物足りないです。脇役もあまり活躍せず。
スティーヴ・リーヴスは演技は固いですが、精悍でなかなか様になっています。せっかくイタリア製アクション映画でスターになったのに、アメリカ映画界に凱旋しなかったのは残念です。


13/08/17

『閉ざされた扉』(48年、オスカー・ベティカー監督)

バッドになる前のベティカー監督のサスペンスというかフィルムノワールというか、極々低予算の犯罪映画。警察に追われる裁判官が精神病院に隠れ潜んでいることに感づいた女記者は新米探偵に依頼をし、彼を患者として病院に送り込む・・・というお話。見るからに低予算で本当に精神病院かいなと思ってしまうこじんまりしたセットもお粗末なのですが、なかなか楽しめました。原題が二つあって、『Behind Locked Doors』と『Human Gorilla』。閉ざされた扉の影には精神異常のレスリングの元チャンプがうごめくというあたりが、どうかな・・・と思ってしまいます。
主演はリチャード・カールソン。『大アマゾンの半魚人』などなどのクラシックSFのスターですが、『All I Desire』(サーク)の夫役とか『キング・ソロモン』の兄役とか好きな俳優です。『キング・ソロモン』では妹思いの兄役ですが冒険映画にはあまりにソフトなキャラクターで、本作もまた40年代の暴力に満ちた犯罪映画のハードボイルドな探偵とは思えないようなソフトな探偵ぶりです。
ヒロインの女記者は『若草の頃』『雲流るるはてに』のルシル・ブレマーの引退映画。

Youtubeで観賞。


13/08/17

『オペラの怪人』(62年、テレンス・フィッシャー監督、イギリス)

由緒正しき英ハマーのクラシック・ホラー。やはりホラーの名門としては映画化したい題材なのだと思うのだけど、題材そのものがホラーに向いてないのではなかろうかと思ってしまいます。ロン・チェイニー主演版(25年)はサイレントだからそうでもないのですが、クロード・レインズ主演43年版となるとトーキーゆえに既にミュージカル風の題材になってしまって、本作もまたその路線に傾倒し、また怪人に同情的に描かれすぎ、怖くない。
怪人のマスク姿は異様と言えば異様なのだけど、顔全面を覆い片目だけがのぞく、ぼろい包帯の布を固めた雰囲気のマスク姿でわりとみっともない。殺人もせむしの下男みたいのが理性がなくて殺すような感じで、ホラーゆえにショックな殺人シーンを無理やり入れているような。
テクニカラーで描写されるオペラ座の地下が美しくて汚くて混沌としていたのが印象的。オペラ座の地下に川が流れ込んでるので、下水というわけではないのかもしれないけれど、濁っていて汚らしく、その中をすいとんの術をしてみたり、格闘したりするのがどうにも・・・。すいとんの術は原作にもあるのでしょうか、25年版ではロン・チェイニーもしていました。
怪人役はハーバート・ロム。ヒロインはお世辞にも美しくなく、歌も吹き替え。その相手役にハマーの『吸血鬼の接吻』にも出ていたエドワード・デ・スーザ。

米版DVDで観賞。
ユニバーサル


13/08/14

『Mr. Moto Takes a Vacation』(39年、ノーマン・フォスター監督)

ピーター・ローレが日本人エージェント、ミスター・モトを演じたシリーズ8作目にして最後の作品。ついに8作すべて見てしまいました。
冒頭、シバの女王の遺跡発掘現場にドイツ人考古学者に変装したミスター・モトがいます。白人が日本人に扮したキャラクターがさらにドイツ人に変装するという・・・。日本人である必要性がもはやないものの、毎度魅力的なキャラクターです。礼儀正しく穏やか、洒落者で切れ者で機敏で変な日本人。これで終わりと思うと寂しいです。なので最後の作品だけ見るのを伸ばしていたのですが・・・。あと何作か、ピーター・ローレにはミスター・モトを演じてほしかったですが、時代が許さなかったでしょうね。ユニバーサル『透明人間』シリーズの『Invisible Agent』(42年)では日本人の悪役イキト男爵を演じているピーター・ローレです。
サイレント時代の暗い二枚目俳優ジョセフ・シルドクラウトがまだ43歳くらいなのですが、白髪のかつらをつけて老人を演じているのが面白いです。なんでしょう、二枚目扱いされるのが嫌になっていたとか・・・。『ゾラの生涯』は見ておりません。

米版DVD観賞。
Mr. Moto Collection: Volume 2
ワーナー


13/08/13

『青空に踊る』(43年、エドワード・H・グリフィス監督)

フレッド・アステア主演のミュージカル。
第二次世界大戦中、戦果を挙げた兵隊が10日間の休暇をもらって身分を隠して女性カメラマンに付きまとう映画。普通にストーカー過ぎて恐ろしいんですけど・・・。ミュージカルコメディなのでその辺は不問なのでしょうか。昔の映画にはよくあるパターンと言えないこともないし。なんだか全体的に倦怠感が漂う作品。演出にやる気が感じられません。私の見たパブリックドメインの500円DVDの画質が悪いのでそう感じてしまうのかもしれません。かなり低予算に見えるのもそのせいでしょうか。ロバート・ライアンがアステアの戦友で出てくるとものすごい違和感です。アステアにテーブルの上でスネークダンスを踊れというあたりは、ほとんどフィルムノワールの脅迫シーンになってしまいます!とまあそんなわけで非常に不自然かつ不愉快で酷い映画でしたが、アステアが踊りだすと途端にその場面だけ楽しめます(スネークダンス以外は)。ミュージカルナンバーも別段魅せる演出もない平凡なものなのですが、やはりアステアが踊ると違うんですね。アステアがジンジャー・ロジャースの友達と言ったり、既に2作共演していたリタ・ヘイワースの名前が出る辺りは内輪受け。
ヒロインはジョーン・レスリー。まだ18歳くらいですが、大人っぽいと言えば聞こえはいいけど、どちらかと言えばずいぶん老けて見える・・・。いつものように地味で、存在感も魅力にもかけます。『ヨーク軍曹』を見ていないので、彼女に対する評価を固めるのは時期尚早かもしれませんが。歌は吹き替えなのですが、にもかかわらず下手な歌なのは何故。
アステアは踊らない場面では好感が持てませんでした。

パブリックドメインのDVDで観賞。
コスミック出版


13/08/12

『In the Meantime, Darling』(44年、オットー・プレミンジャー監督)

富豪出身の新妻が夫の駐屯地の下宿でその他の兵隊妻とともに共同生活するが爪はじきにされてめげるお話。IMDbにはコメディとあるのですが、これのどこがコメディですか。可笑しなところなど一つもありません。新妻が庶民感覚からずれているので、浮いてしまうのも仕方がないような、とはいえ最初から彼女に突っかかってくる女もいたりでかわいそうだし・・・というどっちつかずの映画。これも戦意高揚映画なのかなあ。ぜんぜん面白くありませんでした。
オットー・プレミンジャーのわりと初期の監督作。コメディとは言い難いし、新妻も悪いような周りの人も悪いようなという曖昧さに限ってはプレミンジャーらしいのかもしれませんが・・・。この映画の次の作品が『ローラ殺人事件』という大傑作になるのだから、一気に化けるものですね。
主演は極初期の美女ジーン・クレイン。役名ありでは2作目にして主演作。彼女はあまりコメディ向きの女優ではないし、役柄のせいで痛々しいのが残念。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/08/11

『ジャングルの逃亡者』(52年、ジーン・ネグレスコ監督)

ジャン・ルノワールがアメリカで監督した『スワンプ・ウォーター』(40年)のリメイク。あちらはモノクロ、こちらはテクニカラーでヒロインが父と一緒に沼地暮らしをしているのが違うところ。そして両方ともなんとウォルター・ブレナンが同じ役で出ています!
『スワンプ・ウォーター』はやはり独得な変な映画だったということを再確認いたしました。こちらは普通の映画です。ウォルター・ブレナンが蛇にかまれて蘇生する場面もちゃんとありますが、『スワンプ・ウォーター』では妙に可笑しかったあのシーンもこちらは可笑しさを誘いません。テクニカラーで撮影した湿地帯の様子は興味深いし、冒険風でこれはこれでそれなりに面白いです。ヒロインが沼地でサバイバル生活をしているのが大変そうです。
ウォルター・ブレナンは見た目があまり変わってませんが、本作の方が穏やかな感じかもしれません。娘と一緒に暮らしている分、安定しているのかもしれません。
主演はジェフリー・ハンター。ちょっと優等生すぎるきらいがありますが好感が持て、テクニカラーに良く映えています。
ヒロインはジーン・ピータース。好きな女優ですが、本作ではあまり調子がよくないのかもしれません。彼女は本来テクニカラーに映える女優(『征服への道』『ナイアガラ』)ですが、いまいち肌艶がよくないような。化粧っ気がない役なのでそう見えるのかもしれません。ジェフリー・ハンターや恋のライバルのコンスタンス・スミスがテクニカラーに良く映えているので残念です。不機嫌なヒロインを野性的に演じているのは良いのですが。ジーン・ピータースは貫禄があるので、同年代の男優との共演は男優の方が格下に見えてしまいます。ジェフリー・ハンターも、ロバート・ワグナー『折れた槍』も。まあジーン・ピータースはもっと大物になるべきだった女優なのでそれでよいと思うのですが。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/08/10

『Slightly Dangerous』(43年、ウェズリー・ラッグルス監督)

平凡な人生に退屈したヒロインが、人生をリニューアルするために家出をして髪をブロンドに染め、名前を変えて生きていこうとした矢先軽い事故にあい、名前を聞かれたので新しい名前が思いつかずわからないと答えたら記憶喪失と勘違いされたので、それ幸いと富豪の行方不明の娘に成りすましたものの、ヒロインの失踪の責任を取らされた勤め先のマネージャーが追いかけてきててんやわんやするコメディ。
こういうコメディだからかもしれないけれど、わざとらしくて作り物めいた感じ。ソーダー売り場に努めるヒロインが仕事に慣れすぎて退屈なのを証明するために目隠しをしてパフェやらソーダーを作る描写は楽しく、そのまま楽しさが続けばよかったのですが、ヒロインが新しい名前を考えているところや富豪を信じさせようと考えている場面で内心がナレーションになってしまうあたりからどうにも白々しくなってしまいました。結末もアイデンティティが崩壊しっぱなしでよかったのかなー。本当の家族とかどうするんだろ。
主演は美女ラナ・ターナー。22歳くらいのラナは若々しく、コミカル演技もそれなりに楽しくキュート。コメディも悪くはないですが、時折内に秘めた暗い情熱がふと表情に現れたり、この世の春を謳歌する傲慢さ、業の深さが現れたりします。すでに『美人劇場』(41年)でメロドラマを演じて圧巻だったことを思うとやはりコメディよりメロドラマで見たい女優だとあらためて思いました。
相手役はロバート・ヤング。いつものように白々しい男優。大げさなコメディ演技は悪くないのですが、やはり浮いてしまいます。とはいえ、面白い部分はロバート・ヤングが負っています。富豪のボディガードに何度も殴られたりして可愛そうで可笑しくて。
富豪夫婦にウォルター・ブレナンとメイ・ウィッティ!なんという夫婦役。その他ユージン・パレットやワード・ボンドが出ています。

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


13/08/10

『Sansone contro i pirati』(63年、Tanio Boccia監督、イタリア)
米題『Samson and the Sea Beast』

イタリア製B級マッスルアクション映画。海賊に襲われた帆船の女たちを奴隷売買から救って、海賊島壊滅するお話。海賊が海賊らしいのは冒頭の帆船襲撃だけで、あまり海洋ものという印象もありません。なにせイタリア製B級マッスルアクション映画なので、チャンバラもなく半裸のマッスルヒーローが怪力を披露。気軽にみる分にもどうでもよい映画です。花火のシーンで城の塔のてっぺんから火花が吹き出してるのにびっくり。あちらの花火ってああいうのなの?生で見てみたい感じです。この手の作品のお約束的なワニとの格闘ではゴムのワニと闘っていてひどいです。あからさまに動かないワニ・・・。子供もだませないような子供だましです。その間、空中に吊り上げられたヒロインがギャーギャーわめいて煩い。『Fire Monsters Against the Son of Hercules』『首狩族の襲撃』という最低映画の監督グイド・マラテスタの脚本なので、仕方がないと思います。
主演はベニスの船頭出身のマッチョ俳優カーク・モリス。俳優の顔をしていないので、パッとしないのは仕方がないのですが、お粗末さまでした。今年観た『ヘラクレス・サムソン・ユリシーズ』(64年)の方がずっとましですが、この人の主演作でB級トラッシュアトランティス冒険映画『The Conqueror of Atlantis』(米題)が困ったことに好きです。

米版DVD−Rで観賞。
SinisterCinema

『The Conqueror of Atlantis』はYoutubeで見れます。
気絶していたカーク・モリスがお姫様に助けれられ目が覚めると「まだ寝てるに違いない」と言ってまた気絶するのが何とも好きです。


13/08/04

『The Shocking Miss Pilgrim』(47年、ジョージ・シートン監督)

ベティ・グレイブル主演のテクニカラー・ミュージカル!
19世紀、タイピングスクールを卒業したヒロインが、ボストンで初めての女性タイピストになり、彼女を雇うことに反対した社長とのロマンスと女性参政権運動に巻き込まれる、というお話。
全く知らない映画で地味そうだなと見る前は思いましたが、思いもかけずに良い映画でした。20世紀フォックスらしさを残しつつ、でも野暮ったくない。ミュージカルシーンが舞台やショーではなく、気持ちが歌になりセリフが思わず歌になるタイプなのはこの時代の20世紀フォックスには珍しいと思います。ダンスらしいダンスがないのが残念ですが、それもあまり気になりません。オレンジ基調のテクニカラーは温かみがあり美しく、レオン・シャムロイの繊細なカメラワークが光ります。夜、ベティ・グレイブルがロウソクの明かりを消しながら歌う場面の美しさ。
ベティ・グレイブルは女性参政権運動に巻き込まれつつも、キリキリしないヒロインを演じて好感が持てます。いつものようにテクニカラーに良く映えていましたが、お得意の脚を見せる機会はほとんどなくやはり踊ってほしかったような。彼女がタイプライターの動力(?)を足で踏むのを男たちが思わず注目するくだりは微笑ましい可笑しさ。やはりベティ・グレイブルは脚なのですね。久しぶりに全盛期の若々しいベティを見られて満足です。
相手役はディック・ヘイムズが可笑しな顔で二枚目を務めます。踊らないディック・ヘイムズには気持ちやセリフが歌になるこの手のミュージカルの方が向いてます。
ベティの下宿先の大家のエリザベス・パターソンをはじめ下宿の人々や、ディック・ヘイムズの身内の人々等、脇役も魅力的に描けて良い映画でした。
監督は『三十四丁目の奇蹟』や先日見た『Apartment for Peggy』のジョージ・シートン。『Apartment for Peggy』も考えてみれば脇役は魅力的に描けてました。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/08/04

『World Without End』(56年、エドワード・バーンズ監督)

火星へ航行中の宇宙船が暴走し、不時着した先は500年後の地球で大変というSF映画。アライドアーチストのわりに豪華な感じのするセットとテクニカラーが珍しい。ですが、わりとよくあるタイプのSFで、500年後の地球は案の定原爆戦争の後、先祖がえりのミュータントが蔓延り人々は地底に潜って貧相に暮らしているという・・・。なんとなく子供だましな感じで、テクニカラーな分、荒が隠れないのです。巨大クモもいかにも作り物めいてしまって、子供向けのアトラクションのよう。元の時代に帰ることはさっさとあきらめてしまって、問題になるのは地底基地内でのいざこざと、ミュータントとの争いに終始してしまいました。
主演は『世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す』のヒュー・マーロウ。ヒロインは『三人の狙撃者』のナンシー・ゲイツ。先日見た『The Land Unknown』のショーン・スミスや『鮫の呪い』のリサ・モンテルといったB級な人たち大集合が素敵です。そして特筆すべきはスターになる前の、脇役時代のロッド・テイラーが準主役級で出演。『タイム・マシン/80万年後の世界へ』(60年)の下地はもうできてたのですね!タイムワープしたうえ、ちゃんと先祖がえりのミュータントとも戦ってるし。キャラクター的にあんまり主演スターになってからのマッチョなコミカルキャラとあまり変わらないので笑ってしまいます。存在感もヒュー・マーロウよりはっきりしていていました。
監督は『蝿男の逆襲』『惑星X悲劇の壊滅』のエドワード・バーンズ。どちらも未見です。やはりタイムワープ物の『The Three Stooges Meet Hercules』(62年)がなかなか面白いです。

米版DVDで観賞。
ワーナー


13/08/03

『Call Me Mister』(51年、ロイド・ベーコン監督)

戦後の日本を舞台にしたテクニカラー・ミュージカル。当時の日本にはほとんど馴染みのなかったベティ・グレイブル主演というのが不思議な感じがしますが、日本ロケはしていないようです。あまり日本である必要性もないような。まあ日本未公開なのですが。無責任で優柔不断の男とその馴染みの女の繰り広げる恋模様は退屈だし、ミュージカルナンバーも少なすぎ、バズビー・バクレーが演出したというミュージカルナンバーも印象に残りません。ロイド・ベーコン監督のミュージカルは今年はこれで3作見たのですが、どれもあんまり面白くないなあ。
ベティ・グレイブルは最初のミュージカルナンバー”JAPANESE GIRL LIKE 'MERICAN BOY”で黒髪のかつらに着物を着て歌うのが珍しい。容色の衰えが寂しいです(35歳くらい)。もう少し歌って踊る場面が欲しいところ。
相手役はダン・デイリー。今年2月に亡くなったデイル・ロバートソンがベティに横恋慕する役どころでダン・デイリーのキャラクターがいまいちなので、こちらを選んだ方がいいんじゃないかと思ってしまう。デビュー直後のジェフリー・ハンターもちらっと出ています。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/08/03

『洞窟の女王』(35年、アーヴィング・ピシェル、ランシング・C・ホールデン監督)

『キング・コング』のメリアン・C・クーパー制作のファンタジー冒険映画。英ハマーも『炎の女』として映画化したH・ライダー・ハガード原作。
『炎の女』があまり面白くなかったので、こちらも期待せずに見ましたが、やはりあまり面白くはないです。メリアン・C・クーパーなので特撮と冒険を期待してしまいますが、特撮的にも冒険的にも見どころは少ないような。
主演は初期の、といってもすでに37歳のランドルフ・スコット。なんの魅力も出てません。
恋人役のヘレン・マックは初期ケーリー・グラント主演のコメディの佳作『お化粧と接吻』のドライなヒロインを演じて印象的な人。本作では特に活躍しませんが、なかなかきれいなところを見せていました。『キング・コング』の続編『コングの復讐』にも出ているようですが見ていません。洞窟の女王役のヘレン・ガハガンはファムファタール的な魅力に乏しく、『炎の女』のカルト女優、ウルスラ・アンドレスの方がよいです。

米版DVDで観賞。
KINO VIDEO


13/07/29

『This Time for Keeps』(47年、リチャード・ソープ監督)

今年6月に亡くなった水着の女王エスター・ウィリアムズ追悼。
戦中に負傷兵として病院にいたオペラ歌手の息子が慰問をしてくれた水中ショーのヒロインを戦後に尋ね、そのまま劇団に誘われ恋に落ちるが、父のおぜん立てした婚約が新聞で発表され・・・というかなりどうでもよいお話。お話がつまらないのは、まあミュージカルだから仕方がないとしても、この下らないお話を105分もかけてだらだらと絞まりない演出で退屈に仕上げたのはリチャード・ソープ監督。ソープの映画は『ゼンダ城の虜』(52年)しか面白くないです。
ミュージカルナンバーも少ないです。エスターの水中、水上ミュージカルも『ザッツ・エンターテイメント3』で紹介されたシーンだけです。そのほか2回ほど泳ぎますが。
相手役のジョニー・ジョンストンは何の魅力もなく、俳優の顔立ちでもなく、歌いますがどうでもよいです。エスターは共演の男優には恵まれなかったなとあらためて思ってしまう。
エスターの保護者気取りで実は彼女に惚れているジミー・デュランテが野暮ったくもほろ苦い。エスターのお婆さんがメイ・ウィッティで、ただいるだけで存在感があり何もせずとも場をさらう。オペラ歌手の父親はラウリッツ・メルヒオールという本職の人らしく、何曲か歌いますが、場違い感がぷんぷんします。いつものようにザビア・クガートが楽団とともに登場し、多少コミカルな演技をするのを見ていると、クガートを父親役にしてしまえばよかったのにと思わないでもないのですが、本人役だとそうもいかないでしょうか。エスターの元の恋人役の人が『湖中の女』(47年)で殺される人でした。『遊星よりの物体X』『水爆と深海の怪物』のケネス・トビーが慰問先の負傷兵の一人でちらっと出ています。カラーで見るのは初めてですが、ものすごい赤毛で驚いた。
エスター・ウィリアムズはテクニカラーに輝いて美しく、明るく健康的で、水に濡れても崩れることのない笑顔も素晴らしい。エスターが歌うと上手くはないのですが、元が世界記録保持者の水泳選手ということもあって、歌は本職ではないのだからとついつい点が甘くなります。ダンスも同じく、やはり多少なりとも歌って踊ってくれるのは嬉しいものです。演技もうまくはないがひどく下手というわけでもないという中庸さではありますが、やはり彼女の真価は水中、水上ミュージカルであり、その輝きは映画史において唯一無二の存在。できればヴィンセント・ミネリの演出でエスターを見てみたかった。本作のエスターはゴージャスな白い毛皮と白いドレスをストリップして歩き水着になるかっこよさ。水着の女王たる風格が漂いました。

米版DVDで観賞。
TCM SPOTLIGHT ESTHER WILLIAMS VOLUME2
ワーナー


13/07/28

『The Deadly Mantis』(57年、ネイザン・ジュラン監督)

日本では『極地からの怪物 大カマキリの脅威』のタイトルで割と最近DVDがリリースされた、氷づけされた古代の巨大カマキリが現代に甦っちゃって人を襲うは空を飛ぶはで大変な由緒正しきユニバーサルSF映画。その巨大カマキリのインパクトの強さに一度は見てみたかったのですが、あまりに期待が大きすぎたのかそれほど面白くあありません。いかにB級SFといってもそこはユニバーサルなのですが、雑な映画作りにがっかりします。お粗末さまでした。
脚本がひどいのか、演出が悪いのか、主人公が途中で変わってしまうのが残念です。ヒロインもなぜ関係者的に扱われているのかよくわかりません。他の映画からのフッテージの流用が多いのが違和感あります。対巨大カマキリ戦もしょぼいです。レーダー基地を襲ったカマキリに基地の内部では兵隊たちが争うように銃を手にするのですが、実際に外でカマキリと闘うのが二人だけってどういうこと?終盤のマンハッタントンネルでの戦いもカマキリ何にもしてこないよと白けてしまうのです。そのかわりカマキリの巨体の不気味さはなかなかよく、飛行シーンもかっこいい!
監督は『地球へ2千マイル』『シンバッド七回目の航海』『H.G.ウェルズのS.F.月世界探険』のネイザン・ジュランですががっかりしました。
中盤でイヌイットの村が襲われる場面がやけに迫力があるのですが、そのフッテージ流用元は『S.O.S. Eisberg』(33年、アーノルド・ファンク)だそうです。レニ・リーフェンシュタール主演のファンクの山岳映画がこんなところに・・・。これのアメリカバージョン『SOS氷山』(33年、ティ・ガーネット監督)がユニバーサルだそうなので、そういう関係なのでしょうか???

米版DVDで観賞。
THE CLASSIC SCI-FI ULTIMATE COLLECTION VOLUME2
ユニバーサル


13/07/27

『Target Hong Kong』(53年、フレッド・F・シアーズ監督)

香港を舞台にした冷戦もののB級アクション映画。30年代の映画からフィルムを多数流用しているらしく、その分雰囲気が古いです。お世辞にも面白くないです。『世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す』のフレッド・F・シアーズ監督。
主演はB級SFに多数主演したリチャード・デニングなので、こういう映画もついつい見てしまいます。ヒロインはナンシー・ゲイツ『三人の狙撃者』が中国人娘を演じています。
IMDbには71分とありますが、私が見たDVD-Rは61分でした。

米版DVD−Rで観賞。
ソニー


13/07/21

『世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(56年、フレッド・F・シアーズ監督)

今年5月に亡くなったストップモーションアニメーションの巨匠レイ・ハリーハウゼン追悼。
UFOが地球を襲撃して大変というタイトルまんまのSF映画。UFOがくるくる回転しながら飛行する様子と建築物崩壊をストップモーションアニメーションで表現したというだけなのが寂しい作品なのですが、しかしそれが本作を凡百のUFO襲来映画と一線を画すものにしています。UFOの質感とか動きとか奇妙で魅力的です。昔UFO焼きそばのコマーシャルに使われてましたよね〜。まあでもストップモーションアニメーションのモンスターが闊歩する他のハリーハウゼン特撮作品に比べればどうしても地味です。終盤のワシントン襲撃なんかも大部隊の襲撃って感じはなく、対する人間側も秘密兵器それだけの数しか用意してないの?と思ってしまうB級らしい貧相な感じは否めませんでした。
監督は『人類危機一髪!巨大怪鳥の爪』が面白いフレッド・F・シアーズ。原作はカート・シオドマクなんですね。
主演は『地球の静止する日』にも出ていたヒュー・マーロウが頼りなく、ヒロインは『地球へ2千マイル』のジョーン・テイラー。

日本版DVDで観賞。
ソニー


13/07/20

『The Land Unknown』(57年、ヴァージル・W・ヴォーゲル監督)

南極にある謎の温暖地域を調査に行ったら墜落して遭難して原始世界に迷い込んで大変というSF恐竜映画。なかなかに面白い。トカゲ恐竜の合成がいささか残念なのと、ティラノサウルスの着ぐるみが野暮ったいのはご愛嬌。首長竜が鰭を交互に動かしてるのが新鮮。そうか爬虫類ってそうだよねと妙に納得してしまった。モノクロで映された太古の世界のセットと背景画も雰囲気良く、カラーでないのがむしろクール。10年前に先に遭難して野性に目覚めた博士と一悶着あったりするのはよくあるパターンかもしれないけれど、なかなかスリリング。もう少し恐竜と食肉植物の活躍は欲しかったかもしれません。
監督は『モグラ人間の叛乱』のヴァージル・W・ヴォーゲル。あちらもなかなか面白かったような。
主演は後にターザン俳優になるジョック・マホニー。ターザン的に頼りになります。密林を背景にするのもすでに様になって運動神経もよさそうな。紅一点のショーン・スミスは老いたジャネット・リーみたいな顔の人。パイロット役のウィリアム・レイノルズはサークの二つのメロドラマ『天はすべて許し給う』『いつも明日がある』でそれぞれ感じの悪い息子を演じていた人で、本作でも微妙に感じの悪さを漂わせてました。

米版DVDで観賞。
THE CLASSIC SCI-FI ULTIMATE COLLECTION VOLUME2
ユニバーサル


13/07/15

『ローズ・マリー』(54年、マーヴィン・ルロイ監督)

オスカー・ハマースタイン2世、オットー・ハーバッハ原作の3度目の映画化。1度目はもちろん、有名な2度目の映画化も見てません。
山出しの娘ローズ・マリーを巡る恋愛模様とインディアン酋長殺人事件という割とくだらないお話。ローズ・マリーが惚れる男がろくでもない感じなので、どうなのかな・・・と思ってしまう。ハワード・キールの着る赤い制服がロケとセットの山々に映えて印象的なのと、インディアンのダンスナンバーがバズビー・バークレーらしくて素敵。
ローズ・マリーを演じたのは歌う女優アン・ブライス。フランス人猟師の娘を演じて可憐です。"Free To Be Free""Indian Love Call"ともう1曲歌います。
ローズ・マリーが惚れる山師がフェルナンド・ラマスでアン・ブライスと歌う"Indian Love Call"は良い雰囲気なのですが、歌い終わるとにたっと笑みを浮かべいやらしい感じの二枚目ぶりです。ローズ・マリーの父親の友人で彼女に惚れる騎馬警官隊がハワード・キールで無骨とはいえこちらの方がましなのでは…と思ってしまうのです。
『地球へ2千マイル』のジョーン・テイラーが山師に横恋慕するインディアン娘を演じて、アクロバティックなミュージカルナンバーを踊っています。岩場から放り投げられて男たちがキャッチ!

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


その他の主なテレビアニメ30周年 1983年のテレビアニメ
(来週あたりちょこちょこコメント書く予定)

『未来警察ウラシマン』

『装甲騎兵ボトムズ』

『聖戦士ダンバイン』

『いただきマン』

『銀河疾風サスライガー』

『銀河漂流バイファム』

『伊賀のカバ丸』

『キャプテン』

『愛してナイト』

『ストップ!!ひばりくん!』

『ななこSOS』

『スプーンおばさん』

『みゆき』

『キャッツ・アイ』

『キャプテン翼』

『キン肉マン』

『パーマン』


祝!

テレビアニメ『魔法の天使クリィミーマミ』(83年〜84年)が30周年です!

とどのつまりは『魔法の天使クリィミーマミ』から始まるスタジオピエロ魔法少女シリーズもまた30周年記念です。でもまだブルーレイBOX化の予定は聞こえてきませんね。


朗報!

テレビアニメ『タッチ』(85年〜87年)がブルーレイBOX化!7月〜8月発売。

テレビアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』(85年〜86年)がブルーレイBOX化!9月発売。

テレビアニメ『メイプルタウン物語』(86年〜87年)がDVD化!9月〜10月発売。

『レイズナー』はLDBOXを持っていますが予約してしまいました。『タッチ』は最近原作をまとめて読んだら2か月間ほど感動が続いて困りました。


13/07/10

『The Crooked Web』(55年、ネイザン・ジュラン監督)

大戦中のドイツで起こったアメリカ兵殺人事件を捜査する為、潜入捜査官が犯人の恋人とその兄と偽って犯人に近づく犯罪映画。最初からすでに妹分は犯人の恋人となって登場。後から兄貴分が妹を尋ねてくるふりをして犯人に接触するという以外、これと言って特徴のない、スリルもサスペンスもない、面白みもない作品。案の定、偽の兄妹は恋人同士で、犯人がちょっと目を離すといちゃいちゃしたりして、潜入捜査官ならそれらしくふるまわんかと思ってしまいます。まあ偽の兄妹がキスするのを目撃した犯人に、目のゴミをとってもらってただけと言いわけしてそれを信じる犯人もどうにかしている。どっちかと言えば、犯人より捜査官の方が悪役みたい。
監督のネイザン・ジュランはちょっと好きな監督なのですが・・・。今年5月に亡くなったレイ・ハリーハウゼンの特撮映画のうち『地球へ2千マイル』『シンバッド七回目の航海』『H.G.ウェルズのS.F.月世界探険』といったとりわけ面白い作品を監督しているのがネイザン・ジュランです。ボリス・カーロフも出たアドベンチャー系ホラーっぽいサスペンス映画『The Black Castle』とかロック・ハドソン主演のアラビアンナイト系『王者の剣』とかわりと面白くて好きなのですが、アドベンチャー系で手腕をふるう人かもしれません。西部劇は面白くなかったし。
主演はリチャード・デニングとマリ・ブランチャード。『ジュラシック・アイランド』『大アマゾンの半魚人』『ロボット大襲来』『原子怪獣と裸女』『黒い蠍』などといったクラシックSFの名作珍作に主演(『大アマゾン〜』は準主役)しているリチャード・デニングはそれ故についついひいきになってしまいます。リチャード・デニングにもハリーハウゼンの特撮SFがあればよかったのですけど、ハリーハウゼンの大師匠ウィリス・H・オブライエンの『黒い蠍』があるからまあいいか。

米版DVD−Rで観賞。
ソニー


13/07/07

『The Secret Garden』(49年、フレッド・M・ウィルコックス監督)

言わずと知れたバーネット『秘密の花園』の映画化作品。コッポラ製作総指揮の『秘密の花園』(93年)なんかに比べればずっとずーっと良くできた映画化と思います。雰囲気も良く出ています。そして通常はモノクロ、甦った花園の場面になるとテクニカラーになるというのがお楽しみです。まあ残念ながらテクニカラーになるタイミングにタメないのでちょっとあっけない感じはします。そもそも庭をよみがえらせる労力を全く見せないのはどうかと思うし、それに伴いわがまま癇癪持ちお嬢様メアリーと、病弱癇癪持ちお坊ちゃまコリンが人間的に成長するさまもあまり描いておらず、後半は物足りない印象。フレッド・M・ウィルコックスは名犬ラッシー物を監督した人ですが見ておりません。家庭小説好きとしてはラッシーも見てみるべきかもしれません。クラシックSFの傑作『禁断の惑星』の監督でもあります。
主演はメアリー役のマーガレット・オブライエン。コリン役にディーン・ストックウェル。二人がギャーギャーと悲鳴を上げて対決する場面がものすごく煩くて映画館で見たら大変だこりゃと思いましたが、名子役対決はより恐ろしく大きい悲鳴を上げたマーガレット・オブライエンの勝ちです。巧みな演技も素晴らしいけれど、かわいい盛りを過ぎて(12歳くらい)MGM作品も最後、全盛期最後の作品となってしまいました。他にハーバート・マーシャル、エルザ・ランチェスター等の出演が格調を高めています。
バーネット原作の映画化作品では『小公子』(36年、ジョン・クロムウェル)は良いですけど、『テンプちゃんの小公女』(39年、ウォルター・ラング)は受け付けません。『小公女』はどうしたってテレビアニメの名作劇場『小公女セーラ』(86年)です。名作劇場には『小公子セディ』(88年)もありましたがあまり覚えてません。NHKのテレビアニメ『ひみつの花園』(91年)も面白かったと記憶しております。

米版DVD−Rで観賞。
ワーナー


13/07/06

『Princess of the Nile』(54年、ハーモン・ジョーンズ監督)

ハリウッド製アラビアンナイトチャンバラ映画。個人的には大好きなジャンルです。13世紀エジプトのお姫様が踊り子に扮してベドゥインに対しレジスタンス活動したり、バグダッドの王子と恋に落ちたりするお話。えーと、でもエジプトっぽさは全然ないですが。ふつうにアラビアンな感じ。しかし、1950年代にもなるとアラビアンでエキゾチックな背景は夢を失いつつありますね。40年代のマリア・モンテス『アリババと40人の盗賊』やモーリン・オハラ『船乗りシンバッドの冒険』の有無を言わさないアラビンナイトドリームは既にありません。とはいえ、テクニカラーで映された色彩とチャンバラ、冒険に心踊ります。
主演は美女デブラ・パジェットとジェフリー・ハンター。エキゾチック美女デブラはドイツ製インド冒険映画『大いなる神秘』と同じノリのダンスを踊っております。エジプトもインドも変わらないのが白人のノリです・・・。ジェフリー・ハンターもなかなかエキゾチックな衣装が様になってますが、なんだか二人ともアイドル的な感じだったかも。
端役でジャック・イーラムとリー・ヴァン・クリーフが出ています。ちょっと良い脇役女優ドナ・ドレイク『海賊ブラッドの逆襲』『アリバイなき男』がデブラのお付の女官で出ているのがうれしい。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス

youtubeでも見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=ScfZrJg3anM


13/06/30

『恋ごころ』(48年、フレデリック・デ・コルドバ監督)

今年4月に91歳で亡くなった歌う世紀の少女スター、ディアナ・ダービン追悼。本作はダービンの引退作です。
恋人との仲がぎくしゃくしているホワイトハウスの電話交換手メアリー。大統領宛に電話をしつこくかけてくる男をあしらったり、大統領にデート相手を見繕われたりしているうちに求婚者が3人になっててんやわんやするロマンティックコメディ。正直なところ、ディアナ・ダービンの引退映画にしては大人しくて物足りない印象。
ディアナ・ダービンはメエ・ウェスト(下段参照)と同じで大スターすぎて、その作品の多くがディアナの魅力だけで見る映画になってしまう。監督はヘンリー・コスターとフランク・ボーゼージくらいしか恵まれず、大人になってからは相手役もせいぜいジョセフ・コットン、フランチョット・トーン、ロバート・カミングスでしょう。そのせいで作品が小粒すぎるんです。ユニバーサルのトップスターなんだからもっとお金をかけてあげればいいのになあ。引退映画までこんなに地味じゃなくてもいいのになあ。ボーゼージとあと何作か組んでほしかったなあ。
本作のディアナ・ダービン(27歳くらい)は、瞳が輝いて生き生きして愛らしいです。特に公園でフィガロの結婚を演じて見せる場面が素晴らしい。葉っぱの髭をつけてチャーミング。引退したのが惜しまれます。大人になったディアナは作品ごとに、太ってたり痩せてたり、可愛くなかったり、そうかと思えば煌めいて愛らしかったりと容姿が定まらずそれによって作品の評価もだいぶ変わってしまうのですが、引退映画のダービンが魅力的なのは嬉しいです。いつもは大人になっても子役時代の身振りが染みついている彼女も、ようやく大人っぽくなってきているのですが。
ダービンの相手役には、しつこい電話男がドン・テイラー(『花嫁の父』)とエドモンド・オブライエン。ドン・テイラーはボーっとして印象になく、怪優エドモンド・オブライエンも大人しく、40年代のこの人ってこんなどうでもいい役だったのかな。

米版DVD−Rで観賞。
ユニバーサル

『春の序曲』(43年)より 一番好きなダービンとその歌声
http://www.youtube.com/watch?v=inV3RlOTOXM

『私はあなたのも』(47年)より 未見
http://www.youtube.com/watch?v=-iqmKbU3pY8

『恋ごころ』(48年)より
http://www.youtube.com/watch?v=Mol_ttm6uVI


13/06/30

『Every Day's a Holiday』(37年、 A・エドワード・サザーランド)

メエ・ウェスト主演のコメディにもかかわらずあまり面白くないです。メエの個性とインパクトだけで見る映画・・・というのはいつもそうなのですが、それにしても。ローウェル/ハーディとかアボット/コステロとかダグラス・フェアバンクスの『ロビンソン・クルーソー』のA・エドワード・サザーランド監督作品。
メエ・ウェストが黒髪のかつらをかぶってフランス人に変装して歌う場面で、毛皮のコートを脱ぎ捨てるとお付のモブが下から布を持ち上げてそれが幕になっていくとこは、小林幸子も真っ青なすごい迫力。幸子の巨大セット衣装に比べれば仕掛けなんてささやかなものですが、その迫力はやはり映画でありメエ・ウェスト自身の物なので、幸子完敗です。比べる方がおかしいですね。映画館で見たら凄かったろうなと思う(後でyoutubeで見たらどうってことなく感じた。せめてテレビ画面で見ましょう)。
メエ・ウェストは本作でパラマウントを去った後、ユニバーサルで『My Little Chickadee』(40年)、コロンビアで『The Heat's On』(43年、未見)、ずーっと後になって『マイラ』(70年)、『結婚狂奏曲セクステット』(78年)に出るだけなので、本作はその全盛期最後の作品と言えるかもしれません。

米版DVD−Rで観賞。
ユニバーサル


13/06/29

『Apartment for Peggy』(48年、ジョージ・シートン監督)

自殺志望の大学教授がたまたま知り合った若い主婦とその旦那に、家の屋根裏に居つかれて、いつしか生きる意義を見出す系のお話。通常、現実においてはそういう系は家の乗っ取りとか財産目当ての殺人とか犯罪系になってしまいますが、『三十四丁目の奇蹟』の翌年のジョージ・シートン監督作とあってはハートウォーミング系な作品です。でもなんとなくぼやけて、面白みはあまりなく、物足りない印象。コメディでもなく、悲劇でもなく、ドラマらしいドラマもなく、盛り上がりません。ただでさえ家に居つくなんて信じられないのに、拾ってきた猫や犬を飼っていくずうずうしさにげんなりします。ヒロインの夫が戦後大学に戻って学生をしている設定で、そんな学生の妻たちが夫と会話が合うように教授に講演会を開いてもらうくだりと、教授の自殺騒動はちょっと楽しくて良いです。
私の見たDVD−Rは色状態が芳しくなく、テクニカラーの魅力がよくわからないものの、元々テクニカラーで撮るような作品でもないような。
主演は清純派美女ジーン・クレイン。なんだか珍しくスクリューボール系の早口を披露していますが、似合っていません。しっとりおっとりふわふわ系が似合う彼女。早口で押しの強いキャラクターを演じても、やはりふわふわして可憐さがのぞいてしまいます。とても好きな女優ですが、同時期の20世紀フォックスの看板女優達ジーン・ティアニー、リンダ・ダーネル、ジーン・ピータース等と比べるとインパクトは薄いです。
旦那役はウィリアム・ホールデンがそつなくこなし、あまり印象に残りません。教授役は『三十四丁目の奇蹟』のエドマンド・グウェン。実生活では同性愛者だったエドマンド・グウェンはサンタクロースとか大学教授とか浮世離れた役が似合います。
ジーン・クレインも出た『哀愁の湖』で美女ジーン・ティアニーが登場する場面で流れた音楽が全編にわたって使われているのが、なんとなく不思議。音楽自体は暗くはないのですが美貌のファムファタール登場といずれ訪れる惨劇を想起してしまうのです。そんなわけでハートウォーミングな作品には不似合いでした。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/06/23

『Carnival in Costa Rica』(47年、グレゴリー・ラトフ監督)

南米はコスタリカのお祭りの季節に結ばれる2組のカップルのすったもんだを描くテクニカラー・ミュージカル・コメディ。もたもたした演出であまりにたわいないお話を96分もかけて描き、ミュージカルナンバーも垢抜けず、観光的な魅力もない映画。せめてミュージカル的に楽しめればよかったのですが、記憶に残るようなミュージカルナンバーもなし。
主演はディック・ヘイムズとヴェラ=エレン。お世辞にも二枚目とは思えないディック・ヘイムズと美人とは思えないヴェラのカップルは映画的に心躍らないです。とか言いつつ、本作を見たのはなんとなくヴェラ=エレンを見たくなったからです。
ほとんど素人と見間違えそうな素朴な顔のヴェラ=エレンは白人とは思えぬほどに銅は長いは脚は短いはで、その上地味と来ていますが、屈託ない笑顔のチャーミングさはサミュエル・ゴールドウィン、ダニー・ケイのコメディ群で証明済みだし、踊ると素晴らしいダンサーです。残念ながら彼女のダンスの能力をフルに見せてくれるナンバーが少なすぎました。踊っているときも長いスカートなのでダンサーには珍しい細い脚が生み出すステップも良くわからず不満が残ります。ヴェラの歌は吹き替えですが、歌手であるディック・ヘイムズは逆に踊れないので、やはり不満が残るところです。
他にアン・リヴィエール、J・キャロル・ナイシュ、シーザー・ロメロ、そしてセレステ・ホルムが出ています。それぞれ名優、名脇役とは思うのですが、それにしてもセレステ・ホルムほどの女優がなんでこんな軽いコメディリリーフなんだろうと思ってしまう。顔も扱いもベティ・ギャレットみたいで不思議な印象。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/06/08

『The Loves of Edgar Allan Poe』(42年、Harry Lachman)

エドガー・アラン・ポーの暗く悲惨な人生を描いた伝記映画。ただ単に暗いだけ、人生を追っただけなので面白くないです。せっかくの好材料、伝記物であっても怪奇幻想風にしてもよかったのでは?と思ってしまう。そもそもこんなに次々喧嘩を繰り返しては貧乏になっていく人なんて、伝記映画じゃなくてもみたくないような。
ポー役はジョン・シェパード。わりと二枚目。彼を裏切る恋人にヴァージニア・ギルモア。『西部魂』とか『スワンプ・ウォーター』の時はアリス・フェイ似の古臭い顔と思ったけど、ここではわりと美人。
ヒロインは美女リンダ・ダーネル。せっかくのリンダ・ダーネルですからもっと幻想的美女として演出してほしかった。ジェーン・ダーウェルまで出しておいて、せっかくの俳優がもったいない映画であった。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/06/02

『Where Do We Go from Here?』(45年、グレゴリー・ラトフ監督)

第二次世界大戦中のアメリカで身体検査で落とされて入隊できない主人公が、偶然拾ったランプの精に助けられ(?)、過去に飛び歴史上の舞台に次々と遭遇するテクニカラー・ミュージカル・コメディ。なんだかとっ散らかった騒がしい紙芝居のような印象。歴史の舞台が次々変わるという点ではオムニバス的なのかもしれませんが、あまり面白くありません。ミュージカルナンバーも印象に残らず。主人公をもてあそぶ彼女と、彼に惚れるヒロインがそれぞれの時代にも同じ顔で出てくるとかちょっと面白そうな感じはしますが、それもいまいち良さになってません。ネタバレすると、主人公が過去の時代のヒロインと同じ顔の女を現代に連れてくるのですが、そうしたら現代にはヒロインが二人にならなきゃおかしいと思うのですが、一人しかいない結末なの。???消えた女がかわいそうな・・・と脚本、演出等とっ散らかっているのです。
主演はなんとフレッド・マクマレー。歌ってますが、あまり上手くないので本人の歌声かも。多少踊ったりもします。意外だ。でもあまりテクニカラーに映えず、そもそもフレッド・マクマレーが入隊検査に落ちるなんてありかな。『凱旋の英雄万歳』のエディ・ブラッケンあたりがやる役です。ドタバタして。
ヒロインはジョーン・レスリーがいつものように目立ちません。控えめで善良な役じゃますます目立ちません。
主人公をもてあそぶ浮気性の女は先日見た『I Wonder Who's Kissing Her Now』のジューン・ヘイヴァー。わりと嫌われ役な感じですが、キャンティーンで働く設定の女を本当に悪女にするわけにもいかないのでしょう。これもお気楽に描写しています。歌って踊って、ジューン・ヘイヴァーのほうが目立ちます。
ところで実生活でのジューン・ヘイヴァーは売れっ子女優になった後、53年を最後に突如映画界を引退し尼僧になる修行を受け、それをあきらめフレッド・マクマレーと結婚(お互い2度目)するという不思議なキャリアの持ち主です。グーグルで画像検索するとマクマレーとの幸福そうな写真が出てくるので、ちょっと安心します。離婚もなかったようですし。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/05/26

『Meet Me After the Show』(51年、リチャード・セイル監督)

ブロードウェイのスターとプロデューサーの倦怠期夫婦が夫の浮気嫌疑から離婚問題に発展しすったもんだするミュージカル・コメディ。なんとなくスクリューボールコメディの香りがします。『He Married His Wife』(40年、ロイ・デル・ルース監督)という作品のリメイクだそうです。『He〜』も初めて知ったタイトルですが年代的にそして題名的にスクリューボールかもしれませんね。
主演はベティ・グレイブルとマクドナルド・ケリー。本作を見る前にIMDbを見てしまいまして、元々ベティ・グレイブルにダリル・F・ザナックがケーリー・グラントと共演させてやると言っていたのが結局マクドナルド・ケリーに落ち着いてしまったということです。ベティもさぞやがっかりしたろうなと、ひどいことを思ってしまいますが、ケーリー・グラントだったらもっとスクリューボールっぽくなっていたかもしれません。
離婚調停中のベティが事故って記憶を失ったふりをしてマイアミに飛び、7年前に戻ったふりをして当時のはっちゃけたダンスナンバーを踊ってみるとベティの容色が衰えているのでちょっと痛々しい面白さと、マクドナルド・ケリーが牢屋に入ってみたりとなかなか楽しくて良いのですが、ちょっと絵空事というか感情がこもらないというか間の抜けた映画ではあります。『彼女は二挺拳銃』とか『結婚しましょう』『マラガ』のリチャード・セイル監督作(後2作はマクドナルド・ケリー主演ですね)。
先日見た『The I Don't Care Girl』と同じくジャック・コールが振り付けたミュージカルナンバーがかっこよくて楽しめます。冒頭の老紳士を伴ってベティが踊るナンバーと最後に仮面の男達と踊るナンバーは同じくコールが振りつけた『紳士は金髪がお好き』の草案といった感じがします。『地上に降りた女神』を思わせるギリシャ神話風のナンバーはベティがボディビルダーと踊って可笑しいですが、やはり『紳士は金髪がお好き』のジェーン・ラッセルとマッチョ達を思わせ悪趣味です。ベティのダンスも豊富だし満足しました。
マクドナルド・ケリーも一曲歌ってますが本人の声でしょうか。脇役はエディ・アルバート、フレッド・クラークが固めています。『The I Don't Care Girl』にもダンサーで出ていたグウェイン・バードン(『くたばれ!ヤンキース』)がやはり踊ってます。彼女はジャック・コール振り付け作でよく見かけます(『南国夜話・夫は偽物』『愛欲の十字路』)。ジャック・コールからボブ・フォッシーへの架け橋的存在なのでしょうか。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/05/12

『The I Don't Care Girl』(53年、ロイド・ベーコン監督)

1910年代のブロードウェイのスターEva Tanguayを題材にしたミュージカル。伝記というほどまともなお話ではないです。タイトルどうりの破天荒なヒロインの行動を追ったというだけなので、あからさまにヒロインの性格が悪く思えてしまう。お話はつまんないし、演出も中途半端だけど、ミュージカルナンバーがかっこいいので楽しめてしまいました。
冒頭、ヒロインが舞台に登場して歌いだすと調子っぱずれで、舞台監督らしき人が「何がトラブルがあったようだ」と幕を下ろすと、そこからタイトルクレジットになるので、ヒロインにいったい何がと興味を惹かれる良い出だしなのですが、まったくトラブルの内容が描かれませんでした!ふざけてるなあ。ちなみにこのシーンはジーグフェルドフォーリーズの舞台と思しき設定なのでゴージャス。クレジットがあけると場所は50年代の20世紀フォックスのスタジオに移って、プロデューサーがEva Tanguayの映画を作るために彼女にまつわる人たちの証言を集めており、フラッシュバックにつながっていきます。やはり興味を惹かれるのですが、う〜ん語られる内容がどうでもいいようなお話でがっかりなうえに、中途半端な終わりを迎えます。
ヒロインが男に振り回されてギャーギャーわめいてばかり・・・。ヒロインを演じたのはミッツィ・ゲイナーです。演技力不足なのか、役に合わせてなのかわめいてばかり。彼女の歌も妙にガナリ立てて歌ってます。
しかし、ジャック・コール振り付けのミュージカルナンバーは良いです。黄色と黒の衣装でミッツィが歌って踊る”I Don't Care”と賭博場で踊る”Beale Street Blues”は50年代らしくてかっこいい!ミッツィとジャック・コールは『魅惑の巴里』でも組んでますが、あれに連なる感じのダンスです。『魅惑の巴里』の方がより洗練されていますが。
ミッツィが踊ってオスカー・レヴァントが演奏するミュージカルナンバーも良いです。オスカー・レヴァント素晴らしいです。オルガンを弾いてくるっと振り向くと別の楽器をポポポンッと弾いて余裕のパフォーマンスです。もちろん本職のピアノを弾く場面も豊富にあって大満足です。オスカーとデヴィッド・ウェインが彼女の人生から退場してもヒロインを見守る仙女(男だけど)のように、ミュージカル場面になると着ぐるみ来たり救世軍のおばさんになったりしながら登場するのがおかしくて良いです。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/03/10

『I Wonder Who's Kissing Her Now』(47年、ロイド・ベーコン監督)

作曲家ジョセフ・E・ハワードを題材にしたミュージカル。惚れっぽい男がそばにいるヒロインには気が付かずに他の女ばかりを追いかけるというお話は、実在の人物を扱ってるのにいいのかな・・・。当時はご本人まだ存命だったようですが。
ミュージカルナンバーが少なくて、ヒロインが舞台ではモブなのでそれにともない歌い踊るのは脇役が多くなってしまうというジレンマ。ものたりないです。お話も正直面白くなくて、女を追いかけてはふられ、それをヒロインのせいにする男というバカさ加減。演出もダラダラした印象。アーネスト・パーマーの華麗なテクニカラーでも救えません。
ヒロインは『ドリー・シスターズ』でベティ・グレイブルの感じの悪い妹を演じていたジューン・ヘイヴァー。『The Girl Next Door』を見ると良く踊る女優なので、ミュージカルナンバーが少なくて残念です。彼女の方が魅力的なのに、他の女にうつつを抜かす主人公にいらいらします。損な役でした。
ジョセフ・E・ハワードを演じたのは『情無用の街』『闇の曲がり角』のマーク・スティーブンス。どちらかというとハードボイルドよりこちらの方がらしいような・・・。歌は吹き替えですが。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/02/03

『The Brasher Doubloon』(47年、ジョン・ブラーム監督)

レイモンド・チャンドラー原作のフィリップ・マーロウ物ハードボイルド・フィルムノワール。20世紀フォックスですが、ほとんどが室内ロケで72分のわりと小品な雰囲気です。
富豪の老婦人からコレクターズアイテムの盗まれたコインを探すよう依頼を受けたフィリップ・マーロウ。老婦人の不良息子、情緒不安定な秘書、古物商、ニュースフィルムのカメラマンなど怪しげな人間がうごめく中、いつしか次々と死体が・・・という感じのお話。
フィリップ・マーロウに限らずよくあるハードボイルド探偵もの的な魅力がますますB級っぽい感じはありますが、好きな人には魅力でしょう。女に手が早く、口八丁、拳銃の罠も隙を見て脱出とまあそんな感じです。スタジオセットの裏通りでの追跡シーン以外、ほとんど外のシーンがないのがどうしても安っぽい感じがするのですが、富豪のお屋敷周辺はいつも強風なのが雰囲気を出していて良いです。ヒロインが情緒不安定なのがさらに雰囲気を出していますが、そのぶん魅力に欠けてしまったような気もします。
『謎の下宿人』『旋律の調べ』『危険な女』といったニューロティックなフィルムノワールの傑作佳作の監督ジョン・ブラームとしては、ちょっと物足りないですが、情緒不安定なヒロインやその雇い主などブラーム的かもしれません。
マーロウを演じたのはジョージ・モンゴメリー。『オーケストラの妻たち』なんかにも出てますが、二枚目アイドル路線からタフガイ路線へ転換していたころでしょうか。ハード・ボイルドな探偵にはちょっと軽妙すぎるような。ストレートに二枚目過ぎて渋さに欠けるというか。
ヒロインを演じたのは『記憶の代償』のナンシー・ギルド。この人は美人なのかそうじゃないのかがよくわからないです。写りによってはエラ・レインズ級の美女に見えるし、次の瞬間はまったく美人じゃなく見える・・・。登場シーンはドアののぞき窓から顔だけ突然現れて、しかもベストショットで美しくドキッとします。美女と不美人(というか美人だけど映画女優的には普通レベル)の間を行ったり来たりするあいまいな存在感はノワール的魅力のうち・・・なのかなあ。う〜ん。マーロウを拳銃で脅してポケットを探るために服を脱ぐよう指示したもののマーロウがシャツまで脱ぎだすと顔を背ける初心さとか、マーロウからキスの仕方を教わったりとか、フィルムノワールのヒロインにしては可笑しな役でした。
老婦人役はフローレンス・ベイツがいつものように存在感たっぷり。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/01/27

『Sweet Rosie O'Grady』(43年、アーヴィング・カミングス監督)

20世紀フォックスの野暮ったいけど華麗なテクニカラーミュージカル。とはいえスクリューボールコメディ『恋は特ダネ』(37年)を焼き直し19世紀に舞台を移しミュージカル化したものということで、わりとスクリューボール的な色合いも残っていました。イギリスの舞台女優のヒロインをアメリカの新聞記者があばずれに書いたものだから、復讐のためヒロインは新聞記者を恋人だとよその新聞に言いふらし・・・というお話。74分と短めな時間の中でミュージカルナンバーも豊富、で尚且つドタバタもとなるとなかなか時間が足りなかったような気もしますが、軽く楽しめます。
主演はベティ・グレイブル。ブロンドにもかかわらずテクニカラーに良く映えて魅力的です。野暮ったい女優なので、スクリューボール的所作はちょっと物足りないところもあるし、ダンスも一生懸命踊ってる感じがしてしまうのですが、ダンスも歌も豊富で楽しめます。ピンナップガールという言葉が先行してしまって、その軽いイメージで侮ってしまいそうですが、当時は大スターなのでやはり華やか。出演作品も豪華絢爛です。ベティのテクニカラーミュージカルをもっといろいろ見たいです。
相手役はロバート・ヤング。ベティ・グレイブルがロバート・ヤングを笑いものにする為、彼のマスクを被った男と踊るミュージカルナンバーが不気味で滑稽です。
ベティの親友役にヴァージニア・グレイ。若いヴァージニアを初めて見たような・・・。アドルフ・マンジューが何度か殴られて場をさらいます。
『恋は特ダネ』(37年)とそのリメイク『That Wonderful Urge』(48年)はどちらもタイロン・パワー主演です。タイロン・パワーの米版BOXに収録されているのでDVDを持っているのですが未だに見ておりません。本作もどうせならタイロン・パワーだったらよかったのに。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/01/26

『ゴールデン・コンドルの秘宝』(53年、デルマー・デイヴィス監督)

貴族の遺児が冷酷な叔父の陰謀で下働き扱いされ、成長して逃げ出しインカ帝国はマヤの秘宝を求めて旅するテクニカラー冒険映画。残念ながらあまり面白くないのは、船旅はまったく描かれないし、秘宝発見に至る謎解きも罠もスリルもないからです。
主演はコーネル・ワイルド。そろそろいい加減カーリーヘアが似合わなくなってますが、天パなので仕方がないですね。フェンシングでオリンピック出場経験の腕前もこのジャンルにもかかわらず披露してくれません。デルマー・デイヴィスなにやってんの。
冷酷な叔父にジョージ・マクレディ、その悪い令嬢に若いアン・バンクロフト、ヒロインに『Man in the Attic』のコンスタンス・スミスが出ています。
ところで本作のオリジナル『激闘』はモノクロ南海冒険映画で、タイロン・パワー、ジョージ・サンダース、フランシス・ファーマー、美女ジーン・ティアニーの豪華な作品で、なおかつ冒険心もあり情緒もありの面白い作品でした。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


いまさらですが、去年はあまり映画を見なかったので今年は頑張って多くの映画を見たいと思います。サイトも10年以上経ってしまいまして、現代は個人のホームページよりブログとかツイッターとかSNSの時代だし、そっけないものですがまだ細々と続けていきたいと思います。


13/01/20

『MY GAL SAL』(42年、アーヴィング・カミングス監督)

19世紀の作曲家ポール・ドレッサーを題材にした伝記ミュージカル。やはり伝記というほど真面目に生涯を追っているわけではなく、軽い恋愛・コメディ物です。冒頭の家出の場面から良い雰囲気、続く詐欺の片棒を担がされて町の人にリンチを受けて捨てられる場面、さらに旅芸人に拾われて女芸人との恋と別れ、となかなか良いです。続いてヒロインと出会うと割とどうでもよい恋模様が語られて、ヒロインと同じマンションの前の部屋に越してきたりする主人公に興ざめしますが、そのかわりミュージカルナンバーが増えて楽しめます。
ポール・ドレッサーを演じたのはヴィクター・マチュア。歌も2曲披露しますが吹き替えでしょうか。IMDbを見てもわかりません。
タイトルロールを演じたのはリタ・ヘイワース!20世紀フォックスの華麗なテクニカラーの野暮ったいミュージカルでリタ・ヘイワースを!まあ彼女はいつものようにテクニカラー映えしないのが残念です。歌は吹き替えと思いますが、しかし踊り映えする女優なのでミュージカルナンバーが豊富で満足です。20世紀フォックスのミュージカルスターであったアリス・フェイやベティ・グレイブルとはまた違う、リタ・ヘイワースならではのスレンダーな魅惑を放ちます。
監督は『Girls' Dormitory』と『ドリー・シスターズ』が好きなアーヴィング・カミングス。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス


13/01/19

『海賊魂』(62年、ルドルフ・マテ監督、イタリア)

ロッド・テイラーとルドルフ・マテのイタリア出稼ぎ海賊映画。マテのキャリア最後期の一本です。マテの作風って未だによくわかってないのですが、本作はマテにしては面白みがありません。IMDbでは監督にプリモ・ツェリオの名前もあるので、マテは名前を貸しただけかもしれません。
ロッド・テイラーはというと『タイム・マシン』(60年)と『鳥』(63年)の間の出演作です。『愛情の花咲く木』とか『旅路』の脇役の後、『タイム・マシン』でスターになったはずですが、同年イタリア出稼ぎ映画『アマゾンの女王』に出ていて、翌年は『101匹わんちゃん』の声優をしています。なんだかキャリアの上昇がつかみにくい人ですね。本格的に大スターの仲間入りしたのが『鳥』からということなのでしょうか。
ロッド・テイラーが胸毛をもさもさしながらチャンバラをしています。もさもさ。あまり海賊とかチャンバラに向いてないような・・・。部下役のキース・ミッチェルが同じオーストラリア出身の似たような顔、体系の俳優で印象が薄まってしまいます。
アメリカ大陸でインディアン娘といちゃいちゃするのは面白かったですが、メリー女王やスペインの陰謀やらつめこみんでる割に盛り上がらず、帆船同士の海戦もあったのですが、私の見たDVD−Rが退色、トリミングバージョンだったので、迫力もよくわからず。

米版DVD−Rで観賞。
SINISTER CINEMA

現在はワーナーアーカイブコレクションからも出てるので、そちらを見た方がよいと思います。


13/01/14

『ヘラクレス・サムソン・ユリシーズ』(64年、ピエトロ・フランチーシ監督、イタリア)

出た。イタリア産B級史劇っぽい筋肉アクション映画!(棒読み)
スティーヴ・リーヴス主演『ヘラクレス』『ヘラクレスの逆襲』のピエトロ・フランチーシ監督による由緒正しいヘラクレス映画。でも主演はスティーヴ・リーヴスではなく、たぶん続編でもないような。海の怪獣退治に出たヘラクレスとユリシーズ一行が遭難して怪力サムソンに出会って協力して悪女デリラ一味を倒すお話。えー。
海の怪獣がトドなのを見た瞬間がっかりしました。張りぼてでもいいから何かモンスターを見せてください。トドは海獣ですけどさ・・・。とはいえ、くだらなくても冒険映画は楽しいものです。筋肉ヘラクレスと筋肉サムソンの肉弾戦なんてばかばかしいけど面白いです。発泡スチロールの岩でできた遺跡ががつんがつんと壊れていったり。
ヘラクレスを演じたのはカーク・モリス。同ジャンルの主演男優の多くはアメリカやらのボディビルダーですが、カーク・モリスは珍しいイタリアはベニスの船頭出身です。この人の出た同ジャンルの『The Conqueror of Atlantis』(米題)が好きですが、本作の方が多少風格が出ています。
悪女デリラのリアナ・オルフェイはデリラを演じるほどの美貌もオーラもありませんが、ヘディ・ラマール『サムソンとデリラ』ほどの絶世の美女がこんな映画に出てもしょうがないので、リアナ程度で我慢いたします。

米版DVD−Rで鑑賞。
ワーナーアーカイブコレクション


13/01/13

『アカプルコの出来事』(65年、アレクサンダー・シンガー監督)

ラナ・ターナー、キャリア終盤のメロドラマ。メキシコのリゾート海岸にあがった死体の愛人とその旦那を巡るメロドラマですが、犯罪もなく、お話も演出も起伏なくだらだらしています。ラナのメロドラマはすべてみたいですが、これは面白みがなくて残念でした。
美女ラナ・ターナーもさすがに老けました(44歳くらい)。翌年は『母の旅路』ですから・・・。イディス・ヘッドの衣装が大胆で年齢的に無理があったような。それでもさすがにラナ・ターナーは悲劇的に絵になる女で、あおむけに寝そべっている姿なんて全盛期を彷彿させます。
海岸でジゴロを漁る悲しいあばずれ女でルス・ローマンが出ています。役のせいかもしれませんがルスはもうすっかりおばさんでした(43歳くらい)。かつては彼女も美女だったのですが。なんだか『ピクニック』の頃のロザリンド・ラッセル風になってました。
ラナの夫役にクリフ・ロバートソン、ルスをもてあそぶジゴロにヒュー・オブライエンがそれぞれ肉体美を披露。やはりこういう映画はどうしても女優より男優が格下です。

米版DVD−Rで観賞。
ソニー


13/01/12

『ゴールデン・ガール』(51年、ロイド・ベーコン監督)

南北戦争のころの女優ロッタ・クラブツリーを題材にした伝記ミュージカル。伝記というほど真面目に生涯を追ってはなくてもっと軽い恋愛物です。20世紀フォックスらしい美しいテクニカラーと野暮ったいミュージカルナンバーで、軽く楽しめます。
序盤、街にローラ・モンテスが興行にやってきます。ローラ・モンテス!運命の女!『歴史は女で作られる』のヒロインですね。ヨーロッパから流れてアメリカに来ていたころ。いざアメリカ映画で見ると不思議な感じがします。このあとオースラトリアにまで流れていく流転の女・・・。ローラ・モンテスを演じたのは知らない女優ですが、魅力もないし踊りも下手で残念でした。
そんなローラ・モンテスに憧れ女優、というか歌手兼ダンサーへの道を進むヒロインにふんしたのはミッツィ・ゲイナー。割と好きな女優です。日本ではビデオレンタル、DVD時代を通して、よりによって『ショウほど素敵な商売はない』と『南太平洋』くらいしか簡単にみられなかったので、いまいち魅力がわからないような。50年代トップレベルのダンサーですが、ヴァージニア・メイヨをシャキッとさせたような顔とスタイルの良さと庶民的キャラクター性が野暮ったいです。お世辞にも美女ではないですが、『夜は夜もすがら』とか『魅惑の巴里』とか見るとずっと魅力的です。本作ではその庶民的野暮ったさで女優にあこがれる少女を演じてキュート。ミュージカルナンバーが少な目のような気がしますが、達者なダンスも披露。
後半のタップダンスから衣装早替えでバレーを踊るような華々しいミュージカルナンバーがもっとあるとよかったです。巡業で行く先々で人気が上昇して出迎えとショウの規模が膨らんでいく描写をもっと描いてほしかった。

米版DVD−Rで観賞。
20世紀フォックス

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