すーさんのバンコクコラム その9
 

バンコク・カラオケ事情とVCD
 


 

今やKARAOKEは完全な世界語です。
そして、タイでもみんなカラオケ大好きです。

しかし、シーンによってその存在は大きく異なります。
日本人駐在員はカラオケクラブによく顔を出し、そこで歌いますが、目的は
カラオケだけでなく、おねーちゃんと仲良くおしゃべりすることだったりします。
日本のキャバクラ風の仕様でピアノラウンジになっていてカラオケをなくしている店も
たまにありますが、基本はカラオケとおねーちゃんは切っても切れない関係にあります。

だけど、実際にはカラオケなんてなくたっていいんじゃないかと思います。
みんな、おねーちゃんとお話してればそれで充分楽しいからです。

キャバクラにカラオケなくたって問題ないでしょ?

さて、じゃ、マジ歌いたいときはどうするの?って話になりますが
ここバンコクでは日本のビッグエコーも進出しているほど、ボックスが充実しています。
若い人のグループなどはボックス中心で盛り上がります。

タイのモノの相場にしてはクソ高いけど、私も時々ビッグエコーに顔を出しています。
当然、女性の友達(日本人)が一緒の時だけですが・・・・・。(男だけじゃ、さすがに行かん。)

で、他のオヤジのタイ人などはどうしてるか?ってーと、

実はかなりの人が自宅でカラオケしてるのです。

このことと、これからお話するVCD(ビデオCD)とは密接な関係があります。

日本でも一時VCDが出回ったのを記憶している方もいらっしゃるかと思いますが
DVDの急速な普及で姿を消してしまいました。
存在すら知らない人も多いのではないでしょうか?

音質や画像のクオリティ追求は映画に向けられ、カラオケ自体はご存知のように
ローランド社の弛まぬ営業努力から【通信カラオケ】の時代を迎えてしまったからです。

通信カラオケはケーブルから各部屋に送り込まれた音のデータを音源モジュールとシーケンサー
でデジタル演奏させるという優れものですが、少ないトラック数に強引にデータを詰め込んでいるため
音がチープで、生音にはほど遠いという欠点があります。

しかし、一方で完全なデジタルデータですからキーコントロールやスピードチェンジに違和感がないし、
新曲入荷が異常に早くできるという客側のメリット、ディスクやハードの在庫を抱えなくて済むという
店側のメリットもあり、今後も日本ではこのシーンはしばらく変わらないだろうと言われています。

ところがタイには通信カラオケがありませんから、なんらかのディスクをかけなければなりません。

このことが爆発的なVCD文化を作り上げました。
レーザーディスクに比べコンパクトで扱いやすいVCDは業務用だけでなく、家庭用にも凄い勢いで
普及することとなったのです。AV関連の家電製品を買う時の基準にVCDが再生可能かどうか
が大きな購買判断となることから、ミニコンポのセットですらVCD再生機能搭載は当たり前になっています。


自宅のDVD再生デッキ。ちゃんとVCDも再生可能で売られていた。
最初はどうでも良かったが、ついてて良かった!と今ごろ実感。

そして、映画やエロも勿論ですが圧倒的な人気を誇るのがカラオケ用
VCDソフトです。この背景には日本では考えられない独自の発想がありました。
 

それはアーティストのニューアルバム発売と同時に完全にそのアルバムと同じ
レコーディングのVCDカラオケを発売してしまうことです。

これが優れもので、全曲ミュージックビデオ構成になっていて、その画面上に歌詞が
載るという仕組です。敢えてボーカル部分を消すよう操作しなければCDと同じ音で
再生できます。むしろCDではなくミュージッククリップ集と言った方が分かりやすいでしょう。


タイで人気のロックバンド【ローソー】(ロー・ソサイエティの意味)の
CD【レッドアルバム】(左)と同時発売されたカラオケ用のVCD(右)。
これさえ覚えておけばローカルのカラオケでもヒーローに!

DVDなどでベストやライブの映像を手に入れることはできてもアルバムまんまってのは
なかなか難しいものです。お気に入りのアーティストのニューアルバムの曲が
丸々カラオケVCD一枚に映像付きで入っているわけですから曲覚えるのも楽ですし
絶対カラオケには存在しないようなマイナーな名曲も必ず収録されているという点も評価対象でしょう。

でも、その実態といえば、本チャンCDのボーカルトラックが自由に抜けるようになっているだけなので
日本のカラオケのような【ガイドメロディ】は入っていません。
ですから、或る程度歌唱力がないとハズします。(要はバンドで歌うのと同じなのです。)
一方、上手い人は本物と同じ演奏メンバーの音で歌えるので気分は最高って奴です。

そういったあらゆる利便性で、このVCDカラオケソフトは一般カラオケ店や高級クラブはもとより
家庭にも広く出回ることになったのです。値段も安く、一枚450円程度で手に入ります。

おお、そりゃいい。今度タイに行ったら買ってみようかな?
と思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、残念ながら
ここでお話してるのは全てタイのミュージシャンの話です。

私はタイのロックバンドや楽曲が結構好きなのでこのVCDをフル活用して曲を覚えています。
タイのバンドやロックは、日本でいうところの、甲斐バンド、チューリップ、浜田省吾系の
懐かしい和製ロックサウンドに近いものがあり、なぜか異常な親しみが湧くのです。

また、画面に出る歌詞ですがタイ語のほかにアルファベットで補足されているので、意味が
全く分からなくとも、そのまま読めば問題なく謳えます。
しかし、突っ込んで訳してみると非常にタイ語の勉強になります。

詞の世界ですから表現は難しいですが、辞書には載っていない活きた言葉がたくさん入っているのです。
日本語でいうところの【俺はただ、お前だけを見つめていたい】なんて表現も市販のタイ語学習関連本には
絶対の載っていません。(俺が作って売ろうかな?)

しかし実際に街ではこういう言葉がやりとりされて、文化を創っているわけですから
知らないとマズいわけです。教科書どおりに【私はあなたを愛しています】なんて真剣に言ったって
武田鉄矢じゃあるまいし、寒い外国人と思われてしまいかねません。

そういった意味で普通の男女が普通に使う言葉を覚えるにはカラオケは絶好の
勉強ツールと言えるのです。


画面に現れるタイ語と無理やり充てたアルファベット文字。
ちょっと読み方にコツがいるが、慣れれば楽勝。


 

さて、ところでこのカラオケVCDが日本でもあったらとしたら?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・凄いことです。
 

例えばサザンとかのニューアルバムが出る際に値段が同じで
ビデオクリップ、カラオケ、映像歌詞付きのビデオCDも同時発売になるってことですから。

勿論、選曲や構成はそのアルバムと完全に一致しています。
音質も全く同じで、日本のカラオケのように売れないミュージシャンがアルバイト
で打ち込んだようなチープな音じゃありません。

サザンやサポートメンバーのその音で気持ちよく歌えるってわけです。

よくシングル版にカラオケバージョンがオマケで付いていますが、あれの映像・歌詞
付きでしかも全曲カバーだと想像していただければ、その魅力を理解しやすいのではないでしょうか?

でも、そんなのが仮にあったとしても、日本じゃカラオケは通信ですよね。やっぱり。

ま、これはタイのお話ですから・・・・・・・・・・・・・・・。
 

あー、通信歌いてーなー。
 

(2002年 2月 28日)

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