読売新聞 火曜日夕刊 『発信する仲間たち』2002/12/10より

子どもシェルター <30>

  

◇ いわれなき「高校生バッシング」 ◇




 国連子どもの権利委員会が九八年六月に採択した、日本での「子どもの権利条約」の履行状況についての最終所見は、非常に厳しいものだった。

 所見は、婚外子への児童手当支給の平等化など三項目を「歓迎」する一方で、条約についての広報やNGOとの協力の不十分さ、子どもの意見表明権が保障されていないなど二十二項目の「懸念」を表明、独立した実施監視機構の設置など二十二項目の「勧告」を日本政府に突きつけた。

 しかし、政府や社会がこれを真剣に受け止めたとは言いにくい。象徴的な例が、一部マスメディアによる「高校生バッシング」だ。ジュネーブでの意見発表の後、「制服の廃止を訴えた高校生は、国連委員に『貧しくて制服も買えない子どもに比べ、君たちは格段に幸せ』とたしなめられた」などの冷ややかな報道が相次いだ。

 DCI(子どもの権利のための国連NGO)日本支部の福田雅章代表(一橋大学名誉教授)は「当日の録画ビデオでも、委員からそんな発言はなく、記事はねつ造。背後には『豊かな国にいて何の不満があるのか、この甘ったれ』という高圧的な子ども観がある」と話す。事実、何人かの子どもたちは、発言がもとで周囲の大人から非難された。

 委員の実際のコメントは「国際社会の面前で発言できたのだから、君たちは幸せ」「私たちが皆さんの発言によって変わったように、皆さんの周囲も変わる」だったという。日本の審査で議長を務めたカープ委員も同年十二月に来日した際、発言を改めて称賛し、「心ないメディアが彼らをおとしめた」ことに憤りを表明した。


98年12月に来日したカープ・国連子どもの権利委員会委員。各地で子どもたちと会い、「堂々と自分の意見を述べて」と励ました。(写真省略)

子ども問題NOW!
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