「関東うっちゃり会」活動月報No.002後編


◆登場人物◆
司会 多分、一番まともな人物
しんご(shingofgg) りんね天翔のサウンド担当&エグゼクティブプロデューサー(?)
たけし(TakeTake) りんね天翔のプログラム&グラフィック&企画と、その他の色々な作業担当

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2003.9.20 ジョナサン 妻恋坂店にて


しんご で、今日はいったいなんのようなの?
司会 後編ですよ。ずっとほったらかしだったでしょ。
しんご 後編? 小説の?
司会 なに言ってんですか。うっちゃり会ですよ。『りんね天翔』の座談会の後編。
しんご なんだよそれ。いまさらじゃねーか。
司会 まあ、たしかにいまさらなんですけど、前回、第二回前編とつけちゃったせいで後編をやらないと第三回に移れないんですよ。
しんご いいじゃんそんなもん、なかったことにしちまえば。だれも気づきゃしねーよ。
たけし いや、そういうわけにはいかないよ。もともと自分としんごで、二回に分担してネタ出していこうって企画したんだから、前編だけでやって後編やらなかったら片手落ちになっちゃうよ。それに、おれだけしゃべってしんごはやらないってんじゃ、おれ、しゃべり損じゃん。
司会 いや、べつに罰ゲームで座談会やってるわけじゃないので、しゃべり損ってことはないと思うんですけど……。
しんご でもさ、そう言ったってさ、実際にゲーム作ってたときからすげー時間たってるわけだよ。もう記憶もあやふやだよ。
司会 ええと、『りんね天翔』の初売りが、2003年3月2日に都立産業貿易センターでおこなわれたイベント「バトンでGO!!」においてですので、それから丸半年が経過していますね。
しんご 経過していますね、て冷静に言うこっちゃないだろ。半年だよ、おまえ。生まれたばっかの赤ちゃんだったら、そろそろ歯なんか生えてきちゃったりする頃だよ。そんな昔のことなんか憶えてねえよ。だいたいにして、前回の対談だってかなり前のことだろ。
司会 はい。前編の収録は5月15日におこなわれています。
たけし そういえば、あのときも場所はここだったな。
司会 ええ、場所のセッティングにはいろいろと悩んだんですが、気分を醸し出すためにもやっぱ秋葉っしょ、というわけで、ここにしました。
しんご なんか、おれらすげえ浮いてんじゃん。てそういう問題じゃなくてさ、前回から四ヶ月も過ぎてから後編収録ってそれもヘンだろ。
司会 いままでさんざっぱら予定組んだのに、そのたびにしんごさんが忙しいっていって延びのびになってきたんじゃないですか。やっと暇になったって聞いて急いでセッティングしたんですから、わがまま言わないでください。
しんご それにしたって、おれ仕事辞めたの昨日だよ。なにも翌日いきなり呼び出すことないじゃない。一日ぐらいゆっくりさせてくれよ。
司会 ダメです。今日やっておかないとイベント前に間にあいません。
たけし もう次の仕事は決まってるの?
しんご いや、なんにも。
司会 貯金で生活していくんですか?
しんご そんなもん、ありゃしないよ。
たけし だいじょぶなの?
しんご ダメなんじゃない。
司会 それじゃあ、なんで辞めたんですか?
しんご 二年も続けてさすがにしんどくなってきたんでな、とりあえず辞めてみた。
たけし あいかわらず破滅的な人生送ってるねえ。
司会 ちょっとマネできないですね。
たけし マネしたくもないけどね。
しんご おまえら言いたい放題だな。たちの悪い女に引っかかってないだけまだましだって思ってくれよ。
たけし しんごに女っ気のあるところなんて見たことないよ。
司会 そもそも引っかかりようがないですね。
しんご あのな。しまいにゃ殴るよ、きみたち。
司会 とにかく、さっさと始めてパパパっと終わらせちゃいましょう。
しんご なんかおまえ、ものすごい投げやりだな。前回とはぜんぜん違うじゃないか。
司会 そんなことはないっスよ。
たけし で、しんごは今回の『りんね天翔』では全部で何曲作ったの?
しんご ええと、全5ステージに一曲ずつ。それにボス曲、タイトルにエンディングだから……。
司会 タイトルには曲はついていません。
しんご あれ、そうだっけ。
たけし うん、タイトルは曲なしだね。曲が入るのはキャラセレクトからだよ。
しんご あれ、そうだっけなあ。タイトル曲が終わると同時にデモプレイに移動するとか、言ってた気がするんだけどなあ。
たけし はじめはそういう予定だったけど、やっぱタイトル曲はなしにするって言いだしたの自分じゃない。
しんご あ、そうなの。なんでそんなこと言ったんだろ。
たけし そりゃ、作るのがめんどくさかったからでしょ。
しんご ううーん。そう言われちゃうとなあ。
司会 しんごさんが『りんね天翔』のために作った曲は全部で11曲です。そのうち、キャラクターセレクト、後半ボス、5面ボス、及びラストボス曲の合計4曲が同人ショップでの委託販売時に追加された曲です。
しんご 11曲か。多いとも少ないともいえない微妙な数字だな。
たけし そうかな。自分としちゃ、かなりがんばってくれたと思ってるけど。
しんご そう言われるにやぶさかではないけどね。
司会 いつも思うんですけど、しんごさんって絶対謙遜しませんよね(笑)。
しんご 絶対ってこたないさ。ま、秘訣は漲る自信ね。
たけし 根拠のない自信なんだけどね(笑)。
司会 で、どうでしたか。作ってみた感想は。
しんご 時間がなかった。とにかく焦って作ったっていうのが一番記憶に残ってる。
司会 製作期間はどれぐらいだったんですか。
しんご どれぐらいなんだろ。
たけし しんごに曲の方を頼んだのが、自分が作りはじめてからちょっとたった頃だったよ。
しんご 一月の半ば過ぎだったよな。
たけし そうそう。
しんご そうだ、思い出した。あの頃、本業の方も忙しかったんで、実際におれが作りはじめたのって二月に入ってからだったんだよ。で、CDに焼く時間も必要だから、イベントの一週間前にはあげてくれってたけしに言われてたんだ。
司会 とすると、正味一ヶ月なかったんですね。
しんご うーん、すごいハードスケジュールだったんだな。そりゃ焦りもするわな。
たけし 一回、倒れたよね(笑)。
しんご あったあった、そんなことも。
司会 過労ですか?
しんご いや、インフルエンザ。あれは絶対たけしにうつされたんだと思うぞ。
たけし そうかもしれないね(笑)。自分はちょうど4面道中のパターン組んでるときにかかってたんだけど、しんごからメールがきてね。熱が下がらなくて仕事休んでるけど、とりあえず一曲できたから聴きにこいって。
しんご それでまたさらに悪化させたりしてな。
司会 そのとき作っていた曲はどの曲だったんですか。
たけし 2面か3面の曲じゃなかったかなあ。
しんご お互いの進捗状況を知るために、わりと頻繁に行き来してたから、どの曲っていうのはちょっと思いだせねえな。
たけし それで、次の曲はこんな感じだよって作りかけのを聴かせてくれるんだけど、だいたいドラムがドンドコ鳴ってあとはビープ音みたいなのがピコピコいってるだけみたいな感じで、大丈夫なのかと内心心配だった。
しんご 最終的には、そこそこ聴ける程度にはなってたでしょ。
たけし 途中経過を知っていただけにね、かなり豪華になったって印象は受けたよ(笑)。冗談抜きで、正直驚いた。
司会 『りんね天翔』の音楽がしんごさんに決まった経緯を伺いたいんですが。
たけし まあ、音楽を作れる人間が身近にしんごしかいなかったっていうのが最大要因なんだけどね。
司会 しかし、前作の『コメットさん☆輝いてティンクルスター』では違う方が曲を担当してらっしゃいますよね。
たけし うん。あのときはしんごが音楽できるとは知らなかったからね。
しんご そりゃそうだよ。そもそも、おれがはじめて曲作ったのが「コメットさん」だもの。
司会 そうなんですか。
しんご そうなんですよ。といっても、ほんとにまねごとみたいなもんだったけどな。いきなり、たけしから電話があって、急遽足りなくなったから一曲作ってくれって。無茶言うなって気がした。
たけし 「コメットさん」のときは、音楽をどうするかで本当に困っちゃってね。まったくアテがなかったから。結局、ネット仲間のスーさんに泣きついて、彼が専門学校に通っていたときの音楽科の友人っていう人を紹介してもらったんだけど、こっちの見積もりが甘かったせいで依頼していた曲数が足りなかったんだよね。その時点で、販売するイベントの一週間前切ってて、さすがにこれから追加依頼もできないっていう状況だったの。
司会 それで、しんごさんに?
たけし どうしたらいいんだって悩んでたところに、しんごが『テクノモーター』持ってたってひらめいて、とっさに電話で頼んだの。あのときはダメもとで考えてたね。できなかったら他のステージ曲を使いまわせばいいやって。
しんご ようするに、ほとんどアテにしてなかったってことだな(笑)。
司会 その『テクノモーター』というものについて、説明していただきたいんですが。
しんご 電子メディアサービスっていう会社がセガサターンのソフトとして発売した音楽シーケンスツール。ゲーム性はまったくなくて、純然たる作曲と演奏のためのソフト。平たくいえば、スーファミとかプレステででてた『かなで〜る』みたいなもんだな。
司会 あの『RPGツクール』なんかと連動していたやつですか。
しんご そうそう、それそれ。ただあっちの場合、入力が音符ベースでどことなくMIDIっぽいのに比べて、『テクノモーター』はピアノロールオンリーで音源自体に多少エフェクトをかけられるんだよ。強いていえばMODに似ているといえなくもないんじゃないかな。
たけし わかる?
司会 よくわかりません(笑)。
しんご つまり、作曲しやすいってこと。
司会 なるほど、よくわかりました(笑)。
しんご ただその反面、トラック数が実質4トラックしかなくて、そのうち1トラックはドラムトラックだからメロディーに使えるのは3トラック3音まで、なおかつ曲の途中で音源をロードできないとか、1パターン4小節区切りで作曲するんだけど、次のパターンに移るのにいちいち画面を閉じなきゃいけないとかね。
司会 ええと、つまり(笑)。
しんご ひたすら制約が多いってこと。とくに、曲作ってる最中に頭から聴けないってのにはまいった。
たけし あれは大変そうだったよね。見ている方ももどかしかったよ。
しんご だろ。頭のなかでリズムが乱れるんだよな。
司会 『テクノモーター』については後ほどまた伺うことになるので、先ほどの「コメットさん」の話に戻りたいのですが。
しんご ええと、なんだっけ。
たけし 「コメットさん」で初めて曲作ったってところ。
しんご ああ、はいはい、それね。『テクノモーター』自体は発売したときにすぐ買って、しばらくはいじってたんだけど、曲を完成させるまではいかなくてな。そうこうしてるうちに熱も冷めてきちゃって、ずっとほこりかぶってたんだよ。
司会 そんなある日、突然依頼がきたというわけですか。
しんご 依頼っちゅうか、まあ青天の霹靂っちゅうか。とにかく、おれには無謀としか思えんかった。
たけし もともと、しんごが音楽好きだっていうのはよく知ってたし、とくにゲーム音楽に関してはこだわりを持ってたみたいだから、作れるんなら一回聴いてみたいなと思ってはいたんだよ。
司会 で、どうだったんですか、出来の方は。
たけし うーん。
しんご なんだ、そのうなり声は(笑)。
たけし 仕事は速かったよね。頼んだ翌日には二曲仕上げてきてくれたから。おかげでステージとボスにうまいこと割り振れることができた。ただ、出来となると……。
司会 どうぞ。どんどん言っちゃってください(笑)。
たけし 悪い出来だったってわけじゃないんだけど、なんかこう、全体から見るとものすごい浮いてたんだよね。「コメットさん」っぽくないっていうのは、ちがう人に頼んでいた曲も同じことだったからぜんぜんかまわなかったんだけど、問題は、その人が作ってくれた曲ともかけ離れすぎてたってことだった。
しんご えらい悲愴感漂う曲だったよな。
たけし そうそう。最終面の音楽ってわけでもないのにね。
しんご あの曲は、昔も今もおれが大好きな平沢進が音楽を担当した、『デトネイター・オーガン』っていうビデオアニメのメインテーマのフレーズをいじって作ったもんなんよ。
たけし それは前にも聞いたことがある。だからあんな大袈裟に絶望的なメロディーなんだって納得したよ。
しんご そういうこと。絶望的ってところは、知らないうちにそうなっちゃっただけなんだど。
司会 パクったんですか。
しんご はい、パクりました。
たけし そんな嬉しそうに告白しなくても(笑)。
しんご だって事実だもん。まあ、どうしようもなくて破れかぶれにまねしたっていうよりは、あの曲を使ってなんとか作ってみたかったってニュアンスだけども。もうちょっと技術や才能があれば、あそこまであからさまにはならなかったと思うんだけど、生まれて初めて作曲する人間にそこまで求められてもねえ。
たけし まあね。聴くに耐えないって出来でもなかったし、頼んで作ってもらっちゃった以上、使わないわけにはいかないってわけでゲーム本編に収録したわけ。
しんご なんかおまえ、すごい敏腕プロデューサーみたいなこと言ってるな。
たけし ハッハッハ。ちなみに、あのときの曲は次のイベントで頒布するサントラに収録してあるから。
しんご いつのまにかボーナストラックってことで入ってた。
司会 そりゃ、金取れませんね。
しんご なんだと、このヤロー。
たけし ハッハッハ。
司会 それでは、「コメットさん」で音楽も作れるということが実証されたので、『りんね天翔』の音楽はすんなりしんごさんに決定したということですか。
たけし いや、そうでもなかったよ。しんごに依頼するっていう選択肢も考えなかったわけじゃないけど、正直な話、そんなに期待してなかったからねえ。
しんご ひでえ言いようだ。
司会 それはまた、どうして。たけしさん。
たけし だって、「コメットさん」以降、しんごが曲作ったって話、聞いたことなかったし。さすがに「りんね」は二、三曲ですますってわけにはいかないからね。「コメットさん」と比べると、製作の手間だけでも三倍くらいかかってるから、やっぱり他のゲームで実績のある人に頼むのが安全だと考えてたんだけど、とにかく時間がなくて探す手間もかけられなかったんだよね。そうこうしてるうちにも時間だけが過ぎていっちゃうし。
司会 しんごさんに依頼したのは、実は仕方がなく(笑)。
たけし ぶっちゃけ、その通り(笑)。もう、頭数だけそろえばいい。クオリティに関しては目をつむろうと。
しんご ほんとにひでえ言いようだ(笑)。つっても、こっちももとからそのつもりで承諾したからな。
司会 お互いに、かなり弱気な選択の結果だったんですね。
しんご ゲーム作りはじめたって話はさんざっぱら聞いてたんだけど、音楽はどうするんだって訊くととたんに口調が渋くなるんだよ。ネットでフリーの音源を探したりはしてるんだけど、とか言っちゃって。で、なんならおれが作るよって言った瞬間にパッと顔色が変わってね、ああそうっ、すげえ助かるよって(笑)。おれ、その瞬間に半端なもん作れねえなって思った。
司会 そのわりに、またもや『テクノモーター』ですね(笑)。
しんご ハッハッハッハッハッハ。しょうがないじゃない、それしか使えなかったんだから。
たけし でも、あの時点で新しい機材の使い方から覚えてたら、絶対完成してなかったよ。
司会 私は、なにか意味があって故意に『テクノモーター』で作曲しているのかと思っていたんですよ。
しんご ないない、そんなもん。掛け値なしに、これしか使えなかったってだけの話。
たけし 本当によくがんばってくれたと思うよ。自分が当初考えていたより、曲数なんかも増やしてくれたし。おかげで演出にもボリュームを出すことができたよ。
司会 具体的にはどのようなかたちで曲の発注をされたんですか。
たけし はじめは、全面的にお任せだったね。そもそも、しんごからして、おれが作る以上どんな出来でも文句言うなよって言ってたから。せいぜいステージ曲が前半と後半で2曲、ボス1曲にラスボス1曲、エンディングだけは作ってくれってお願いして、全部で5曲もあればいいやって考えてた。
司会 それが、最終的には初売り時に7曲、ショップでの委託販売時には11曲になりましたね。
たけし そう。いざ作りはじめたら、しんごがどうしても各ステージに一曲ずつつけなきゃいやだって言い張ったんだよ(笑)。
しんご だっていやじゃねえか。背景のグラフィックはちがうのに音楽がいっしょだったら、なんとなく損した気分になるだろ。
たけし まあ、そりゃそうなんだけどもね。
しんご それに、たけしの話聞いてたら、それぞれのステージにちゃんとした意図があって背景とかボスのキャラクターとか決めたみたいだからさ、それならそれぞれが引き立つように曲も作っていこうと思ったんだよな。あとは、正直、見てくれが決していいとはいえないゲームだからな。あれで音楽もスカスカだったら、あとあとなに言われっかわかんねえじゃん。そんなら、質的な面は勘弁してもらうとして、せめて曲数だけでもと思ってね。がらにもなくがんばっちゃったよ。
たけし 最初のうちは自分も、そんなに凝らなくてもいいよって言ってたんだけど、そのうちだんだん注文つけるようになったりしてね。
しんご ボスの曲はもっと戦隊物風にとかな。
たけし そうそう。頭悩ましてたよね、どうやってもガッチャマンにしかならんとか言って(笑)。
しんご そんなんばっかだったよ。
司会 各ステージの演出とおっしゃいましたが、もとのネタなどがあったんですか。
たけし そうだね。どっちかといえばこじつけに近いものもあるけど、ある程度は原作からとってきたね。
司会 たとえば?
たけし キャラクターはそもそも原作の登場人物だよね。ステージの背景で明確に意識したのは1面と4面。1面のボスの女の子はあいらって名前なんだけど、原作だとバックダンサーのオーディションシーンで出てくるんだよね。そのときにこの子に与えられた課題が、バトンで海を表現するってことだったの。そのときのコマの背景をステージのグラフィックにした。同様にバトンで迫りくる高波を表現したシーンを、ボス戦で弾幕にしてみたりね。
司会 あ、それでザパーンって描き文字が。
たけし そうゆうこと。原作の『くるくるりんね』を読んでると、ああいったたぐいの描き文字がたくさんあって、それがほほえましいと感じていてね。だからゲームでもちょこちょこ描き文字は使ってる。それから4面の宇宙について言うと、これはりんねが初めてバトン教室にやってきたときにフラットリストっていう技を成功させるんだけど、バックの背景が突然宇宙になるんだよね。火星人の親子がいたりするの(笑)。それがすごく印象的で、4面のボスをりんねにするって決めたときから、ステージグラフィックはあの宇宙しかないって。ムキになってドット打ちしたら、原作とは似ても似つかない宇宙になっちゃったけど(笑)。
司会 そういったことを踏まえたうえで、しんごさんに曲をお願いしていったわけですか。
たけし いや、そこまで細かいことは伝えなかったね。せいぜい、前半は明るめ、後半は落ちついた感じって言っただけだったと思う。あとは面のグラフィックだけ見せておまかせだったよ。
しんご 中華風にっていうのだけ、やたらとこだわってたよな。
たけし 3面だよね。ボスのちあきがおだんご頭だったんで、単純に中華風っていうのが思い浮かんだんだろうね。
しんご いや、あれはそんなレベルじゃなかったぞ。あの曲だけ、すげえダメ出しされたもん。なんか、けったいなトラウマでもあるのかと思った。
たけし そうだっけ(笑)。べつにそんなもんないんだけど。
しんご 結局、中華風にはできなかったんだけどね。中国旋律とか調べてるうちにわけわかんなくなっちゃって。
司会 でも、なんとなくそんな雰囲気はしますよ。
しんご あれはもともと2面の曲として作ったもんだったんよ。1面から順繰りで曲作っていって、3面の中華風ってので悩んだせいかパタッと作れなくなっちまってな。困ったあげくたけしにお伺いたてたら、こっちの方がまあそれっぽいってんで、ちょっと手直しして3面にしたの。
司会 そうだったんですか。2面の曲はあれはあれで、あのステージにしっくりくると思うんですが。
しんご 背景がでっかいひまわりじゃん。だからカンカンに照りつけるお日様のイメージってことでなんとなくサンバっぽいリズムに作り直したんだよね。
司会 はー、けっこう頭使ってんですね。意外です。
しんご おまえ、バカにしてんだろ(笑)。
たけし 5面の曲があがってきたときはびっくりしたね。なんだか、すごく凝って作ってくれちゃって。
しんご 最終面だからな。
たけし 自分としては、ボスラッシュのステージだし、もっと単純なループを想像してたんだけど。実際、ステージ自体もいままでの使いまわしってことでわりと簡単に作ってたから。それが、いざ曲聴いてみたら、イントロがあったり展開も起伏をつけてあったりで、やべえなって。
しんご おれとしちゃ、はじめからあの曲ありきで作ってきたからな。最初から最終面はこれでいこうと思ってたし。ただ、それだけにできあがりにはかなり不満が残ったね。
司会 どこか、失敗でもしてしまったんですか。
しんご そうゆうわけじゃなくてな。さっきもいったけど、「りんね」の曲は1面から順繰りで作っていったんだよ。だから、5面ともなるとツールの扱いにもこなれてきちゃって、できることとできないことの差がはっきりわかっちゃうんだよな。
司会 『テクノモーター』ですね。
しんご そう。やっぱり、使える音数がとんでもなく少ないっていうのが致命的だったね。曲作りはじめる前から、あの音とあの音は落として、これはこの音で代用してって考えてるうちに、どんどんスケールダウンしていくのね。展開に関してももっと色々考えてたんだけど、曲全体の長さが決まっちゃってるから、あれがぎりぎりだったんだよ。結果としてあれで完成ということにしたんだけど、やっぱりもうちょっとまともな機材使って作り直したいよね。
たけし 自分としても、あそこのステージには心残りがあるね。せっかくだから、あのイントロにあわせてなにかの演出をしてみたかったっていうのはいまだに考えてる。
しんご 『DARIUSU』な。
たけし あ、やっぱり『DARIUSU』なの?
しんご 最終面っつたら、あれしかねえだろ。おれは最初からあれを思い描いてたんだよ。
たけし なんだ、似たようなこと考えてたんだ。自分は『DARIUSU』の他に、神話調ってことでメガドラの『ジノーグ』とかを参考にして背景描いたんだけどね。
司会 なんですか、その『ジノーグ』って。
たけし うーん、なんて言ったらいいんだろ。
しんご すごいシューティングだったよな。
たけし うん。あれだけツッコミどころ満載で、なおかつけっこう遊べるっていうのもすごいよね。
しんご ステージクリアしたときのジングルが、ドリフのコントみたいでな。
司会 はあ。
たけし それじゃ、どんなゲームかまったく想像がつかないじゃない(笑)。ええとね、天使族と悪魔族の戦いっていうのがストーリーの横シューなんだけど、全編に渡って敵のキャラクターデザインがぶっ飛んでてね。
しんご 顔ね。とにかく顔がいたるところにある。それから、自機がものすごいちまちましたデザインでな。おれのなかじゃ、『ジノーグ』は『チェルノブ』に次ぐちまちまゲームなんだ。
司会 はあ。
たけし なんだって、そういうわけのわからん説明しかしないの(笑)。とにかく、神話調って部分で5面を作るとき参考にしたんだよ。
司会 ああ、それでボスに羽根が生えたりしてるんですか。
たけし うん。別に原作にはそういう描写は一切ないんだけど、まあ、ゲームの雰囲気としてね、なんとなく荘厳なものを出したかったから、羽根生やしてみた。音楽もそういうものを作ってきてくれたよね。
※後で確認してみたら、ゲーム中のサユリン先生に羽根は生えていなかったわけで...。でも、攻撃面、サウンド面、雰囲気共にこれまでのボスとの格の違いを出したいという意図はありました(TakeTake註)。
しんご あれは適当に音重ねていったらああなった。ほんとはオルガンじゃなくて、ちゃんとしたコーラスでやりたかったんだけど、そういう音が入ってなかったから。
司会 それは『レイディアント シルバーガン』の……。
たけし XIGAだよね。あの曲を持ってきてくれたときは、快哉を叫んだよ。これだよ、自分が欲しかったのはって(笑)。
しんご まあ、パクってばかりなんだけども(笑)。そうなると、やっぱちゃんとしゃべらせたかったよな。
たけし そうだね。いちおう、せりふなんかも考えてたんだけどね。「空が山吹色に輝いている」とか「私の野望は誰にも止められない」とか。まあ、あとのほうになるとだんだんめんどくさくなって、「ふがふが〜」とか「だめね、だめなのね」とかわけわかんないもんばっかり思いついてたけど。
司会 で、そのあと、6面というんですか、ラスボスになると曲調が一変して明るくなりますよね。
しんご あれか!! あれが一番困った曲だったんだよ。
たけし 一番時間かかったよね。
司会 そうなんですか。5面ボスにせよ、このラスボスにせよ、委託販売時に追加された曲ですよね。それはなにか関係があるんですか。
しんご そりゃ、あるだろうね。やっぱ一気に作ってたときから比べりゃ、テンションがた落ちだったもん。それに、あのときはおれが曲作り終わったら店に持ちこむってことで締め切りがなかったから。そうなると逆にダラダラしちゃってな、ほんとしんどかったよ。ボス曲を追加するだなんて言わなきゃよかったって、すげえ後悔した。
たけし あのラスボスの曲は、はじめ『バトルガレッガ』の「Erupter」みたいにしてくれってお願いしたんだよね。なんか、さっきからそんなのばっかだけど(笑)。まあ、ラスボス自体、おまけ的な意味でつけたし、余韻を残すようなラストじゃなくて、幕切れはスパッといきたかったから。
しんご それにはおれも全面的に賛成だったし、「Erupter」も大好きだったから、こりゃ楽そうだって思って作りはじめたら大間違いで。
司会 それはまた、どうして。
しんご うーん、なんでだろうなあ、よくわかんない。とにかくだめだったね。どこをどう絞ってもなにも出てこないって感じで、もう真剣に頭抱えちゃってな。あとこの曲作れば終わりなのにってところでプレッシャーの固まりになってたのかもかもしれないねえ。
司会 そのわりにできあがった曲を聴いてみると、これがまたノーテンキな曲に仕上がってますね(笑)。
しんご 弾けたんだよ、頭んなかのどっかが。パーンて。もうダメだあって机に突っ伏して、頭ぶつけた瞬間に全部できあがった。ほんとに。
司会 はー、そういうことってあるんですねえ。
しんご 不思議だねえ。
たけし でも、あるよね、もの作ってると。そういう瞬間がさ。なんていうか、神様が降りてくる瞬間が。
しんご 強引に引きずり降ろせれば、これほど楽なこたぁない。
たけし その通りなんだけど、なんかありがたみのない神様だな。
しんご こっち来いよって言うと、すいません、いま行きますとかな。
司会 ありがたみがないというより、情けない神様ですね。
たけし そうそう、追加した曲といえば、キャラクターセレクトの曲。
しんご いいよ、あれは。
たけし そお? なにげにあの曲好きなんだよね、無意味に豪華で。
しんご はじめてやったお客の度肝を抜ければ面白いと思って作った曲なんだけど、ドラムのテンポとか間違えてるしな。
司会 あれ、キャラクターセレクトの曲にドラムなんか入っていましたっけ?
しんご ……ほら、こういう奴もいるしな。おれとしちゃ、あれよりもちあき版のエンディングを作っときゃよかったと思ってるね。
たけし うーん、そうだねえ。やっぱり、せっかく二キャラいるんだから、エンディングも差別化を持たせればよかったよねえ。でも、そうなるとクレジットロールから作り直さなきゃならなくなっちゃう。
しんご それに関してはちゃんと考えていたんよ。歌詞だけ変えて、曲は音色とかドラムパターンをいじるだけで長さはそのまんまっていうふうに。
たけし なるほど、それならグラフィック差し替えるだけでなんとかなるね。
しんご まあ、いまとなっちゃ、もとのデータ自体なくなっちゃてるから、できないんだけどな。
たけし なんだ、それじゃ無理だよ。
司会 しかし、あのエンディングを見られた人というのはどれくらいいるんでしょうかね。
たけし うーん、どれくらいなんだろ。クリアしたっていう報告は幾つかもらったし、ネットなんかでも見かけるんだけどねえ。根気よくやりこんでくれれば、必ずクリアできると思うんだけど。
しんご おれは無理だね。5面の音楽さえ自分の耳で聴いたことないもん。エンディングなんて夢のまた夢。
たけし あ、それならコナミコマンド。
司会 はい?
たけし タイトル画面でコナミコマンド。
しんご ウソ!? ほんとに?
たけし うん。それだけだよ。
しんご 言えよ、そういうことはさ。
たけし あれ、しんごに言ってなかったっけ。
しんご 聞いてねえよ。
司会 よかったじゃないですか。これでエンディング歌えますよ。
しんご 歌わねえよ(笑)。

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