2月6日「シェイクダウン〜長いコント、する〜」
始めに。
この月、大阪、名古屋、東京でそれぞれ、「長いコント」「漫才」「コント」と
各地で違った内容のイベントを打つシェイクダウン、この日は第1弾の
大阪・ワッハ上方。シェイクの漫才イベント、コントイベントは見たことが
ありましたが、「長いコント」というのはどういう風になるんだろう?とワクワク
するシェイクの単独大好きなわたし(^^)。わたしにとって、この日が6回目の
シェイクのイベントとなりました。実は、ネタの単独イベントではシェイクが
いちばんたくさん行っています。それだけ好き、それだけ面白いということですね。
VTR
字幕、「新・進化論」・・・
act1「崩壊」
ナレーション「世界は崩壊した。テレビは、ただのハコになった」
ある地下施設。サイレンが鳴り響き、施設が一部損傷、とのアナウンス。
そこへ、後藤さんが逃げ込んでくる。そこに既に居た久馬さんと、出逢う。
久馬さん、黒髪だ・・・染めたのかな、いや、ヅラかな。
お互いの存在にびっくりするふたり。地上では核兵器による爆撃が起こっている。
「僕は、何とかここに逃げてきたんですけどね。どうやら核システムが暴走した
らしいですよ」。新聞記者をしていたという後藤さんは語る。
「新聞記者?めっちゃカッコええですやん(と、食いつく久馬さん)」
「いや、でもタブロイドですよ」
「わっ!(手にした名刺を放り投げる久馬さん)」
「何しますのん!?」
(その後、タブロイド紙のスクープに載っていた羽の生えたネズミの妄想に
悩まされる久馬さん・・・)
ここは、日本の地下にある、昔進められていた大地下都市計画の名残。
予算不足で今は閉鎖されているここで、久馬さんは昔、コンピュータエンジニアを
していたらしい。そこを辞めたあと、借金を背負ってしまい、借金取りから逃げるため
にここにやってきたんだ、と後藤さんに対して語る。半年間住んでいたら、地上は
核にやられてしまった。別に家族も恋人もいないからいいけれど・・・
ここは、いろんな設備があるんだ、と久馬さんは説明する。
固い金属でできたボイスレコーダー、100曲の音楽が入っているボックス、
地上波を捉えられるラジオ・・・どれもちょっと、間が抜けている。
そして、ここで暮らしていけると言うのだが、
「水とか食料はあるんですか?」
「水は、地下水が・・・」
「いや、地下水は放射能で汚染されてますよ!?」
「じゃあ、保存しておいた水があるから」
「どれくらい?」
「なんと・・・ペットボトルに、20本!!」
「いや、あのね。。。?」
そんな水不足の中、シャワーを浴び出す久馬さん。バスローブを着て出てきた姿
は、髪の毛がずれている(笑)。後藤さんのしばらく見つめたあとの「・・・ヅラですか?」
の問いかけが可笑しい。しかもカップラーメンを食べ出す久馬さん・・・
もう自分の置かれた状況をあきらめたのか、地上に残してきた恋人の話を
し出す後藤さん。ちょっとシリアスな演技がいい。けたたましいサイレンが鳴り響き、
身構える後藤さんだが、アナウンスは「お湯が沸きました」(笑)。そして、
「どうしてこんなことになっちゃったんでしょうね・・・」
自問自答ともとれる問いかけに答える久馬さん。
「人が、最初に道具を作ったのは、敵を倒すためだったんですよ。
そのときから、我々人類は滅びる運命にあったんです」
BGMがグッと怖いものに切り替わる。
「あんた、コンピュータエンジニアだったって言ってたな・・・まさか・・・」
「僕はね、ここに死にに来たんですよ。核兵器を持っている国は、たいてい
セキュリティがしっかりしているけれど、中にはセキュリティの甘い国もある。
そこに忍び込んで、核兵器を作動させたら、あとは簡単でしたよ」
軽い調子で「自爆装置が作動しました。」とのアナウンス。
ラジオからは音楽が聴こえる。「最後の曲になりました」流れてくるのは「星に願いを」・・・
第1幕終了。
後藤さんと久馬さんが、我々人類の、最後のふたりだったのです。
この幕だけで、約50分弱の「長いコント」。コントというよりも、お芝居といった
ほうがいいでしょう。すっかり引き込まれたまま、第2幕へ。
VTR 核の冬、人類や高等生物の滅び、そして人類は原始の時代からを再び
やり直し、3万年の時が過ぎていったと語るナレーション。それに合わせて出る
単語だけの大きな字幕が、雰囲気をますます盛り立てる。
act2「ミッシング・リンク」
ここは、今でいう旧ソ連のような共産主義の世界。人は、職業や居住・思想は
もちろん、外出などすらすべて国に管理されて生きている。学問は、「アカデミー」
という組織が全てを支配し、大学という場所はアカデミーからの知識をもらい、
それを研究する組織として存在しているのだと、ナレーションは語る。
「だが、その支配者層に反発する人間も出てきていた。この若い考古学者
ふたりもそうである」
ふたりが、地底探検隊のような格好をして登場する。舞台は、洞窟のようなセット。
「すごい発見をしたんや」と語る後藤さん。「何かの貯蔵庫みたいなんや」と、
久馬さんを無理矢理地底に連れていく。苦労してたどり着いたその昔の貯蔵庫には、
何故かどこかで見たことのあるカップ麺の容器などが転がっている。
アヒルのお丸、ネズミなども・・・
「わっ、羽の生えてないネズミ!」
「うわ、ほんまや・・・新種のネズミやな。これだけでも大発見や」
そして後藤さんは、ここで3万年前の人骨を見つけたと言い出す。
これは、アカデミーの言う「人類は1万年前に生まれた」とする定説をひっくり返す
ものであり、同時に、アカデミーの存在意義に疑問を呈するものでもある・・・
そこまで後藤さんがしゃべったとき、急にライトにまぶしく照らされ、ふたりは反逆者
として政府の組織に襲撃される。
逃げるふたり。ふたりのパントマイムが笑いを誘っている・・・ライトは、チカチカ照らし、
ふたりの姿はまるでホログラフみたいにも見える・・・このシーンはしばらく続き、
ちょっと、ぼーっと眺めてしまった。
「ここまで来たらもういいやろ」
とふたりは腰を下ろす。昔話をし出す久馬さん・・・「昔はよう走ったな・・・」
小さい頃の話。大学に入って再会したときの話。そして久馬さんは、
自分がアカデミーの一員であることを告白する。後藤さんが大学に入った時点から、
危険分子として見張っていたとも・・・
「オレを調査するために、お前ずっと一緒におったんか!?」
「それだけやない・・・」
「うそつけ!!」
久馬さんを怒鳴りつける後藤さんの演技に思わずハッとしてしまう。
そこへ、再び政府の組織に追いつかれ、久馬さんの「こいつは優秀な学者や、
アカデミーに入れてくれ!殺さんといてくれ!」の嘆願も空しく、後藤さんは
射殺される。しかし「オレを殺したってムダや。3万年前に人類がいたという証拠を、
ラジオ局に預けとんねん」という言葉を後藤さんは残す。
ラジオの声が流れる。
「3万年前、人類がいたことを照明する、ボイスレコーダーが見つかりました。
これがその声です・・・」
ここまでが第2幕。ラストでは笑わされるものの、ストーリーのあまりの壮大さに、
だいぶボウッとして来ていたのがこのへん(笑)。だけど、このあとまだまだ
ストーリーは大きくなっていった。もう、シェイクのふたりに付いていくので精一杯。
笑いとシリアスのバランスがちょうどよくて、ほんとここで終わってしまっても、
充分満足のいくイベントなのに、まだ続くなんて・・・
act3「因果」
うって変わって、近未来仕様の舞台セット。ピンク色の髪の毛の久馬さん。
シルバーの服からは、背中に羽根が生えている。変なサングラスをかけて
「バーチャルドラッグ」なるものを楽しんでいる模様・・・ちゃらんぽらんと漫才
したり、Mr.ボールドにリンゴを投げたり(笑)。登場した後藤さんも同じような格好。
でも背中に生えた羽根は久馬さんのよりちょっと短くて、なんだか天使みたい。
この世界では、人間には必ず羽根が生えているということらしい。
バーチャルドラッグにのめり込む久馬さんに「何NGKいちばん前で見とんねん」と
ツッコんでいる。
久馬さんは、さきほどの舞台から1000年経ったこの世界で何かの研究を
している博士。後藤さんは、彼と幼い頃から一緒に暮らしてきた助手。
ことわざについて語り合っているふたりだが、ふとしたことから「因果」の話になる。
「昔にやったことは帰ってくる」・・・今の人類が生まれる前に存在していた人類が
滅びたのも、全ての人が加害者で、全ての人が被害者だったんだ、と久馬さんは言う。
「そんなもんですかねぇ・・・」
ここで再び、いや、この人類にとっては初めての核戦争が勃発する。
ふたりは、かねてから博士が用意していた宇宙船に乗ってこの星を脱出する。
ここでは宇宙船に備え付けられた数々のスイッチを巡ってコント「スイッチ」が
繰り広げられるけれど、これはそのままワチャチャでネタにできそうなので割愛
します。しかし、博士はここへ来て急に、後藤さんに向かって「パパって呼んでみて」
なんてしつこく言ったりして後藤さんを辟易させたり、ちょっと様子がおかしい。
それを察した後藤さんは、博士の日記を盗み読みして、重大な事実を知ってしまう。
博士の口からそれを聞き出すまでにえらい時間がかかるのだけれど、
後藤さんは、博士が3万年前の人類の骨から作り出したクローン人間だと
いうのだ。「失敗作やけどな」(笑)。「いや、大失敗や!」「おい!」
「この船は、ある星で人類の新しい歴史のシミュレートを行うために、男女6人と
雌雄200体を載せ走行しているのだ」
「ということは、これから3万年前の歴史が繰り返されるのですね」
「そうだ、ということは・・・そのうち<ろくなもんじゃねえ>を歌う歌手が出てくる・・・」
「違うやろ!」
後藤さんは、その新しい世界で神として、人類を指揮するために連れてこられたという・・・
「しかし、博士は・・・」
「ワシに甘える猶予はないで」
・・・博士は、胃を悪性の腫瘍に冒されていることを告白する。この船が目的の
星に着くまでにはもたないだろうとも。そして予想通り博士は逝き、
後藤さんはひとりで目的地へ向かう。「目標、太陽系第3惑星!」
(ナレーション)「・・・こうして、我々人類が生まれた・・・」
幕が閉じる・・・・ご、後藤さんがこの世界の神様だったの・・・!?(笑)、失敗作なのに?
なんていう驚きよりも(当たり前)、このイベントから受ける衝撃というのはものすごかった・・・
エンディング
羽根の生えた格好のまま、ふたりが登場。大拍手で迎えられる。久馬さんてば
自分のことを開口一番「いや〜、芝居心があるね〜」と言って後藤さんをあきれさせ
ていて(笑)。たしかに第2幕で後藤さんが死ぬところのオレの演技はおかしかった
って、自分で言うてました。次回の名古屋公演の告知なども。
「漫才ということで、このイベントの漫才バージョンです」「無理やろ!」。。。
いや、ちょっと見てみたいよ?
(もう名古屋も終わったんですね。とても良かったということで、あぁ、やっぱり行きたかったぁ・・・)
もう終わりかと思ったところへ、再び字幕。
「3万年もの時に渡ってお送りしてきました。ね、本当に<長いコント>だったでしょ?」
・・・フフフ、こういうところは絶対に、いつものシェイク。
感想。
97年7月のなんばグランド花月の「シェイクダウン20th」、ブリッジのVTRで、
後藤さん主演の、こういう風な地球規模にスケールの大きいマジ芝居をしていた
のを見て、「シェイクってこんなこともできるんだ」と感心して、そしてこの日の
イベントを観たから、きっとシェイクのやりたかったことがいっぱいに詰まったイベント
だったのだろうということが分かりました。でなければ、これほどにまで完成度の高い
内容にはなりません。核だの人類だの宇宙だの、小難しい台詞もふたりは
さらっとこなし(笑)お芝居としてだけでもすごくよくできていて、
しかもいつものシェイクワールドもふんだんに散りばめられて笑いのテイストも充分、
それでいてこの見終わったときの普通じゃない満足感っていうのは、シェイクのイベントも、
お笑いライブそのものもたくさん行っている方だと自負するわたしが初めて味わうもの
でした・・・きっと、これからもこれ以上のものは味わうことはできないんじゃないかと、
なんだか悲しくさえ思ってしまいました。この余韻を、どう処理しろというのでしょう・・・
シェイクダウン・・・すごいすごいとは思っていましたが、正直ここまでのコンビとは
思いませんでした・・・