鶴巻孝雄・東京成徳大学2003年度講義概要

2003年度通年
生活文化演習   日本伝統文化学科3年次専門選択必修 2単位
講義概要
「病をめぐるフォークロア」がテーマです。前近代社会では、病(なかでも流行病)は、人びとが直接身体にこうむる災厄として、もっとも大きなものの一つでした。その病に、どのように向かい合ったのかを、歴史学・民俗学・医学史・絵画史などの成果をふまえて学ぶことで、生活文化・民衆生活意識の深層に迫りたい。近世・近代の錦絵・瓦版・絵画などを積極的に利用します。なお、できるだけ早い時期に自分のテーマを見つけ、自発的な調査・研究を進めることを課題とする。
使用テキスト:参考文献を適宜指示します。
評価方法:出席と授業態度。とくに、議論参加への積極性を見ます。また、年2回のレポート審査。
授業計画(前期)
病に関わる錦絵(疱瘡絵・麻疹絵・コレラ絵など)、瓦版、疫神詫び証文などの解読を中心におこない、その過程で後期に自分が取り組むテーマを見つける。
授業計画(後期)
病に関わる民間信仰の事例を、それぞれがテーマを決めて調査・分析し、報告する形で進める。房総地域の民俗事例にできる限り寄り添う形で進めたい。
2003年度通年
日本文化史(現代)   日本語・日本文化学科2年次専門選択 4単位
講義概要
「日本民族」の単一性が強調され、それへの批判から、「多民族」性が強調され、さらに「日本民族」の自画像の描き方が問われはじめた。世界的に見ても、移民や難民の増大が多民族社会を必然化している。「民族(の境界)」、あるいは「差異」とは何かを考えながら、現代日本人の自画像を検討する。
使用テキスト:小熊英二『単一民族神話の起源』新曜社
評価方法:出席、授業態度と、レポート審査。
授業計画(前期)
はじめに―単一民族論とは/人類の起源―VTRを見ながら/日本人の起源@ABCD―VTRを見ながら/国境と民族の境界をめぐって/蝦夷とアイヌの歴史/琉球と「日本」/日本とアジアの関係史/小熊英二『単一民族神話の起源』を読み始める
授業計画(後期)
小熊英二『単一民族神話の起源』を読む
2003年度前期
近世文化史研究   日本語・日本文化学科3年次専門必修 2単位
講義概要
近代社会の価値観にどっぷりつかって生きている私たちには、前近代社会の生活の仕組みや生活の基盤にある価値意識がきわめて異様にみえる。まずは〈異文化〉に接触するという心構えで、近世の人びとの価値的な世界を生活文化の視点からのぞく。社会史や民俗学の成果をふまえると同時に、異国人の見た日本人・日本社会像からも、おおいに学びたい。
使用テキスト:適宜、資料を配付する。参考文献・論文は、授業の進行に合わせて紹介する。
評価方法:出席と授業態度。レポート審査。
授業計画
騒動に見る正当性観念@―価格をめぐって、A―商業的利得をめぐって、B―土地所持をめぐって/村の法@―盗み・放火と自検断、A―盗人入札/送り出しの習俗―疫神送り・人形送り/若者の力と役割/女性の位置―離婚をめぐって/世直り・世直し―村の習俗から/鯰絵のなかの世直し/ええじゃないかと世直し―乱舞・仮装/シャリヴァリと共同体のモラル―規律維持をめぐる習俗/宗教のなかのユートピア/異国人の見た「日本人」「日本社会」/殿様とは何者か―権力と民衆
2003年度後期
近現代文化史研究  日本語・日本文化学科3年次専門必修 2単位
講義概要
近世文化史研究で学んだ、近世期の民衆的な生活世界(民俗・習俗)や権力・民衆関係が、国民の形成、政治の大衆化、経済の資本主義化・自由主義化として特徴づけられる近代に直面したとき、そこにどのような葛藤・せめぎ合いが起こり、民衆生活はどのような変貌を遂げるのかを学ぶ。
使用テキスト:テキストは使用せず、適宜、資料を配付する。参考文献として2点あげておく。@『岩波講座日本通史第16巻近代1』、A鶴巻孝雄『近代化と伝統的民衆世界』(東京大学出版会)。
評価方法:出席と授業中の態度。レポート審査。
授業計画(後期)
公論的世界の誕生/国家の語り、国民の呼びかけ―百姓の武芸と武装/百姓的治者の成立―地域の危機管理/文明開化@―投書の時代、A―村の中の啓蒙派知識人、B―民俗の犯罪化、C―教育・徴兵/新政反対一揆@―奇怪な流言、A―被差別民の文明開化/経済的自由と平等主義@―経済的自由、私的所有のもとで、A―負債・米価をめぐる観念、B―平等主義の系譜/自由民権運動の経験/伝統的な民衆世界と近代化
2003年度通年
現代日本の歴史  学部共通1、2年次選択 4単位
講義概要
前期は、昭和前期の歴史を、映像資料をみながら通史的な学びたい。後期は、現代日本の位置を見定めるために、憲法を造ろうとした人々の活動に焦点をあて、戦後の昭和史を概観したい。憲法が置かれている状況を冷静に分析し、国際社会における日本の将来についても考察したい。
使用テキスト:授業中に資料配付。参考文献は、授業中に指
評価方法:出席、授業態度と、レポート審査。
授業計画(前期)
昭和史概説/VTR―満蒙開拓/VTR―日中戦争/VTR―銃後の生活/VTR―少国民たち/VTR―若き兵士たち/VTR―敗戦体験/VTR―占領/沖縄戦@A/VTR―原爆投下@A/VTR―アメリカ日系人の第2次世界大戦/VTR―東京大空襲/VTR―東京大空襲をどう伝えるか
授業計画
(後期)
「明治憲法」の成立、文明的世界への参入/明治期の私擬憲法起草運動@A/明治憲法と日本の近代/「日本国憲法」の制定過程@A/戦後の民間憲法草案起草運動/VTRを見る@/GHQ草案と戦後憲法/VTRを見るA/憲法の男女平等規程/VTRを見るB/改憲の思想と動向@A/「琉球」から見た憲法
2003年度前期
日本事情   学部共通1年次特設科目(留学生) 2単位
使用テキスト:資料を適宜配布する。
評価方法:出席と発言。
授業計画(前期)―15回の内5回を歴史分野とし、私が担当。
1、「日本」の領域
2、「日本史」の時代区分
3、「兵」からみた「日本」通史
4、「対外交流史」からみた「日本」通史
5、「日本国憲法」の成立事情と現状
2003年度前期
日本史概説   臨床心理学科自由選択 2単位 2年次
講義概要
戦争の世紀だった20世紀の意味を考えるために、「戦争(闘い)」「武装」「兵士」と「民衆」の関係を歴史的にさかのぼり、古代―中世―近世―近代の変遷のなかで考察する。誰が兵士となったか、を明らかにすることが、それぞれの時代を語ることになるよう、講義する。歴史を年表ふうに暗記するのではなく、日本の歴史の流れを学生自身が語ることができるようになることが課題。
使用テキスト:藤木久志『飢餓と戦争の戦国を行く』朝日選書
評価方法:出席と授業態度。とくに、テキストの予習状況を見る。最後に、レポートを課す。
授業計画
なぜ兵士の歴史なのか/古代の兵制と「兵(つわもの)」の誕生/戦国時代の戦争―学生によるテキスト発表@/戦国時代の社会―学生によるテキスト発表A/中世の兵と農―学生によるテキスト発表B/中世の領主と百姓―学生によるテキスト発表C/兵農分離社会の成立―「豊臣の平和令」/兵農兵農分離社会の特質@―身分制的役分担社会/兵農兵農分離社会の特質A―殿様と百姓(領主の危機管理)/兵農分離社会の崩壊@―国家の危機/兵農分離社会の崩壊A―百姓の武装/兵農合一社会の成立―近代国民兵の誕生/近代の戦争@―国境線をめぐる争い/近代の戦争A―「文明」による世界分割/20世紀の戦争