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□宮崎駿のアニメ作品
*1978:未来少年コナン
*1979:ルパン三世 カリオストロの城
*1984:風の谷のナウシカ
*1986:天空の城ラピュタ
*1988:となりのトトロ
*1989:魔女の宅急便
*1992:紅の豚
*1995:On Your Mark(位置について)
*1997:もののけ姫
*1968:太陽の王子 ホルスの大冒険(場面設計、原画)
*1991:おもひでぽろぽろ(制作プロデューサー)
*1994:総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ(企画)
*1995:耳をすませば(脚本・絵コンテ)
○コミック版〈風の谷のナウシカ〉:月刊『アニメージュ』連載
第1巻 1982(昭和57)年2〜5月
第2巻 1982(昭和57)年10月〜1983年5月
第3巻 1983(昭和58)年5〜6月 1984(昭和59)年8〜12月
第4巻 1985(昭和60)年1、2、4、5月 1986(昭和61)年12月、1987(昭和62)年1月
第5巻 1987年2〜6月、1990年4〜7月
第6巻 1990年7月〜1991年5月
第7巻 1993年3月〜1994年3月
脱稿1994年1月28日
4巻―1987(昭和62)年5月1日刊 5巻―1991(平成3)年6月10日刊
6巻―1993(平成5)年12月20日刊 7巻―1995(平成5)年1月15日刊
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1、物語の背景
a)歴史と現在(《コミック》版より)
*ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は、数百年のうちに全世界に広まり、
巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり、大気をけがし生命体をも意のままに作りかえる巨大産業文明は、1000年後に絶頂期に達し、やがて急激な衰退をむかえることになった。「火の7日間」と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ、地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく、永いたそがれの時代を人類は生きることになった。
*「腐海」とは:滅亡した過去の文明に汚染され不毛と化した大地に生まれた新しい生
態系の世界を言う。蟲たちのみが生きる有毒の瘴気を発する巨大な菌類の森にいま地表は静かに覆われている。
*巨大産業文明の群が、時の彼方に去ってより千年、セラミック時代終末期。風の谷は
海から吹き抜ける風によってわずかに腐海の毒から守られる辺境の土地であった。
b)青き衣の者の伝説
*《アニメ》:その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし。
失われし大地との絆をむすび ついに人びとを青き清浄の地に導かん。
*《コミック》:その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし。
失われた大地との絆をむすばん。
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2、《アニメ》のあらすじ
*ナウシカの“腐海遊び”、師であるユパとの久しぶりの出会い、巨大の王蟲との邂逅、
風の谷での住民とユパの交歓。
*トルメキアの大型飛行船の風の谷への墜落:物語は一挙に緊迫化する。
*飛行船には、捕らわれたラステル(ペジテの長の娘―アスベルと双子の兄弟)と掘り
出された巨神兵(ペジテに埋もれていた旧世界の怪物)が収容されていた。
→ラステルはナウシカに、「積み荷を燃やして」。
*クシャナの風の谷侵攻:飛行船団で、つまり大軍で(ただし、ペジテにも大軍が残さ
れていた、という設定になっている)。クシャナ軍は、ジルを殺し、風の谷を占領。
*トルメキア軍(クシャナ軍)は初めから侵攻目的で風の谷を襲う。ジルもすぐ殺され
る。
*怒りを爆発させたナウシカは、ジルの部屋で、ジルを殺した下級兵士を殺害し、装甲
兵とまで刃を交える。ユパの仲裁で、事なきを得る。
*ナウシカは、捕虜となって、クシャナに同行。ペジテへ向かう。
*ユパ、出発前に地下でナウシカに会い、土と森の植物・瘴気の関係について、ナウシ
カが独自に到達した【知】に、驚愕する。
*クシャナの飛行編隊は、ペジテの王子アスベルの攻撃を受ける。ナウシカのテレパシ
ーで、アスベルは攻撃を躊躇。そこを、打ち落とされる。
*ナウシカは、切り離されてしまった風の谷のバージを救出しようと、ミトとともにメ
ーヴェで腐海へ降りる。そこで、王蟲に出会う。クシャナも立ち会い、王蟲と交感す る姿にショックを受ける。 *王蟲は無言で立ち去るが、目が赤くなり、怒りに燃えた姿で、立ち去っていく。
→トルメキアの船の墜落、アスベルの蟲殺害、そしてとてつもないことが起き始めて
いる危機が、王蟲の大量移動を招いていた。 *腐海へ墜落したアスベルは、腐海の生き物を殺して、攻撃を受ける。
*ナウシカは、アスベルを助けようとして、共に腐海の深部(清浄な場所)へ墜落す
る。 →腐海の生まれたわけについてのナウシカの確信:世界をきれいにするために生まれ
た腐海。蟲は、その森を守っているという、確信。 →でもアスベルは、腐海が広がっては人間が生きていけないのだから、腐海の拡大を
止めるべきだという。 →ナウシカは、アスベルの考えは、クシャナと同じだと、言う。
*風の谷の近くでは、クロトワが、巨神兵の復活を見守っている。
→ペジテへ向かったクシャナの船団が、壊滅状態になり、クシャナの行方不明が伝え
られる。 *捕虜となったクシャナとユパの対決。
*ナウシカ・アスベルは、メーヴェを修理して、腐海を脱出し、ペジテへ向かう。
*ペジテは、王蟲に襲撃され、無惨に破壊。
→ペジテの生き残りが、蟲を使って襲わせたため。
*ナウシカはペジテの軍(残党)に捕らえられる。
*ナウシカにとっては、クシャナもペジテ軍も腐海の存在意味を知らない愚行。
*愚行を止め、風の谷を守るために、ペジテの船から脱出、風の谷に向かう。
王蟲の子を救出し、暴走する王蟲から風の谷を守るために、王蟲の進路に蟲の子と共
に降り立つ。
――死と再生。青き衣の者としての再生。
腐海の意味を知り、少なくとも人びとを破局から救う救世主=王。
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3、クシャナとナウシカの造形
a)クシャナ
:新国家建設の野望に燃えた軍人政治家(トルメキア帝国の意志の体現者ではない)。
:技術・軍事力によって人間の世界を取り戻そうとする。
:苦悩(陰影に富む)は孤独で人間的。争いは避けられない。
国家を創造しようとするものの責務と悲しさを持つ。
:内的な動機は、腐海から受けた傷痕。
b)ナウシカ
:少女。大人の女ではない。自然・共生。異能の持ち主。異界・異形のものとの交感。
:無駄な争いを避けようとする。――ただし、殺す少女でもある。
:〈青き衣の者〉としての役割。彼女の苦悩は、世界の救世主としてのもの。
→独力で、腐海の意味を探り、その核心に一人到達した者。強靱さと、悲哀。
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4、[愚行]と[特権知]―共生論の破綻
a)腐海の意味
*腐海の意味:無害な水を使った腐海の植物の栽培。汚れているのは、土なのだ!。
→腐海だけが汚れているのではなく、世界全体が汚染されている。人間は、その毒に
侵されている、ということ。ナウシカは、誰がこんな世にしてしまったのか、という問いを発することになる。
*トルメキアの飛行軍団を襲ったアスベルを救出しようとして、腐海深部の奥底に墜落
し、そこに有毒の瘴気とは無縁な清浄な場所を発見する。
→その体験が、確信へと導く。
*腐海は、文明が生み落とした有害な汚染物質を無害化して浄化する場。
b)止まない愚行
*相変わらずの戦争、対立、殺し合い。
*腐海の意味を理解せず、腐海と対立し、腐海を焼こうとする。
*蟲を人間に対立する生物、異様な生物として毛嫌いし、殺そうとする。
c)ナウシカの腐海認識の特権性
*ナウシカ:愚行を防がなければ(未然に阻止しなければ)、腐海は拡大し(大海嘯)、
人々の生活を飲み込んでしまう。
→ナウシカは、腐海の意味を独力で探求し、それは腐海深部に到達することで実証す
る。人々が腐海とどう向き合うべきかは、その「事実」「真実」から導き出されたもの。ナウシカに疑問の余地のない正当性が設定されている。
→クシャナは、腐海への怨念から、科学技術によって腐海を焼き払い、人間の世界を
取り戻そうとする。王道楽土を築きたいという「権力志向」者のまっとうな目論見なのだが、「真実」から見れば、愚劣な行為。世界の意味が分かっていない愚行なのであり、だから、「真実」さえ知れば、クシャナは方針転換しなければならなくなる、という必然を抱える。
*したがって、現象的には、腐海を焼き尽くすか、腐海の意味を認めて(正しく認識し
て)、共に生きるか、という二つの道の選択をめぐる争い、ということになる。
*だがこれは、意味を知っているか(特権知・独占知)、知らないか(無知)という違
いなのだから、結局は知の普及ということで、対立は解消せざるを得ない。
*ナウシカの行動・発言(他者との関係性)には、愚行の阻止者としての正当性が付与
されていて、したがってナウシカは、あふれる正義感をもち、しかしながら正義を理解してもらえない悲しみも体現する主人公として描かれることになる。また、ナウシカを取り巻く人びとも、ナウシカの感化を受けて成長する(真実に近づき、その真実に基づいた行動をとるようになる)、という構図に収斂される形で描かれることになる。
→ここには、
共生することは当然、という前提がある。ナウシカの「知」が正当であることは、決してゆるがない。では、人間は「愚行」から抜け出し、腐海が長い時間かけてつくりだした清浄の地で生きていくことが可能なのか。腐海の意味さえ知れば、人びとは「善良」になるのか。善良な人類が、清浄な地で、青き衣の者を王に戴いて平和に暮らしましたとさ、で物語は終わることができるのか。
d)腐海の意味再考
*未来には清浄の地が約束されている。
*腐海のほとりに住む人々の水をきれいにしているのは、森。その恩恵にあずかってい
る。
→つまり、人間さえ愚行を犯さなければ、住み分けは可能。将来は、清浄の地への移住
の可能性もある。未来への希望がある。
*現実には敵対性に満ちている腐海を、共存可能な森へと意味転換した。
*しかし、人々の愚行が止むという保証は全くない。腐海のほとりに住む人々は、相変 わらず緩慢な死、から解放されない。
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5、新たな〈ナウシカ〉へ―コミック版〈ナウシカ〉
*腐海の意味をめぐる対抗から、墓所の意味を問う物語へ。
*絶対的な正義、正当性を、安易に主人公に手渡さない。価値の相対化。同時に、思い悩
むナウシカの姿が前面に。
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| 学生レポート〈風の谷のナウシカ〉を解読する トップページへ 学生のレポートです。たいへん読みがいがあります。のぞいてみてください。 |
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