| PDFでも 見ること可 2006年11月18日 公開 |

| 00、開催にあたって |
| 01、自鋳金属活字による蘭書の翻刻事業−日本近代印刷史の快挙 |
| 付[史料紹介]、青木芳斉履歴書 |
| 02、在村文化の興隆と印刷物 |
| 03、小山田与清の著作 |
| 04、旅と多摩案内 |
| 05、情報伝達としての刷物 |
| 06、府中の印刷屋さん、成文舎渡辺活版所−自己主張するメディアの誕生 |
| 付、滑稽作家の活躍−武蔵野叢誌の記者・投稿者の作品 |
| 07、多摩郡小野路村小島家の出版活動 |
| 08、自由民権運動と刷物 |
| 09、八王子と青梅の印刷屋さん |
| 付、八王子と青梅で刊行された雑誌 |
| 10、町田の本屋さんと印刷屋さん |
| 11、武相銀行の印刷物 |
| 12、町田市内の銅版画 |
| 【00、開催にあたって】 |
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開館五周年を迎えた中央図書館は、図書館にふさわしい記念展示として、「多摩の書物と刷物」展をおこなうこととしました。地元多摩の、それも19世紀に限定して、著書の刊行や出版の事業、印刷技術発展への取り組み、日常を取り巻く広告・領収書・ちらし印刷の変遷などを、出版・印刷文化史の視点から展示構成いたします。
多摩では一九世紀の初頭から、上小山田村出身の国学者、小山田与清(ともきよ)の旺盛な執筆・出版活動が開始され、八王子の女性俳人榎本星布(せいふ)尼の俳句集の編集・出版、関戸村延命寺の学僧春登(しゅんと)による言語学・音声学の研究書の出版なども相次ぎます。学問的成果や知識・情報、文芸作品などが、書物の形で広く伝達されるようになったのです。この時期は、学問・文芸・たしなみなどが、農村の知識層に幅広く受け入れられる頃で、かれらの著作出版もこの動向と軌を一にするものでした。
この時期の印刷は、板に文字を彫り込む木版(もくはん)刷でしたが、1850年代には金属活字による活版印刷の試みが始められ、多摩でも1857年(安政4)から翌年にかけて、自鋳の金属活字によるオランダ語本の翻刻がおこなわれました。湯浅方斎(青木芳斎)と秋山佐蔵の二人による、日本印刷史に残る快挙でした。
また明治時代に入り、1880年代になると、府中の印刷所、成文舎が本格的な活版印刷による定期刊行雑誌『武蔵野叢誌(そうし)』を発行します。人びとの社会参加が進み、政治論議が活発化し、漢詩・俳句・狂歌・狂句などの文芸がより広く普及したことを背景に、政治的・社会的議論の表現媒体の役割と、地域社会の情報誌、文芸誌的性格を合わせ持つメディアが多摩にも登場したのです。
これらの事例は、多摩の出版・印刷文化史を画するエポック・メーキングな事件でした。日本の出版・印刷史に特筆される事例を含めて、出版や印刷にあらわれた多摩の文化創造の力量を、この展示で明らかにしたいと思います。
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