◎損害賠償(金銭賠償)
最終更新日:2004/08/17 08:33
便宜上、2004/08/17 08:33 の加筆・訂正箇所につきましては、青字で表記しています。重要な個所は赤の太字体で表記します。
一、不法行為の効果
「不法行為法入門(不法行為の効果)」でも述べましたが、不法行為法の本来の機能は、被害者に生じた損害を填補することによる被害者の救済にありますが、損害の填補の方法としては、@「金銭賠償」とA原状回復に代表される「非金銭的救済」の2種類があります。
通説は、A「非金銭的救済」が、不法行為の効果として認められるのは、特に法令の定めのある場合であると解していますが、さらに、722条1項が準用している417条が、「別段ノ意思表示ナキトキハ金銭ヲ以テ」と規定していることから、賠償請求者と賠償義務者との特約があれば非金銭的救済も可能であるとも解釈できることになります。民法723条は、名誉毀損の場合に、「他人ノ名誉ヲ毀損シタル者ニ対シテハ裁判所ハ被害者ノ請求ニ因リ損害賠償ニ代ヘ又ハ損害賠償ト共ニ名誉ヲ回復スルニ適当ナル処分ヲ命スルコトヲ得」と規定し、裁判所は、被害者の請求により損害賠償に代えて名誉を回復する処分を命ずることができるとしていますし、不正競争防止法も類似の規定を置いています。これは、名誉あるいは信用が毀損された場合、生じた損害を金銭に評価することが困難であるばかりではなく、金銭賠償が認められたとしても、一旦傷つけられた名誉や信用は回復し難いことを考慮して、名誉・信用の毀損の場合には原状回復を認めたのだといわれています。
日本民法の母法であるドイツ民法典においては、原状回復を原則としていますが(前田達明「民法Y2(不法行為)」260頁)、わが民法は、原則として、「金銭賠償」を予定しています(民法722条1項による417条の準用)。わが民法が、この「金銭賠償の原則」を採用した理由としては、@原状回復を認めてしまうと、多額の費用を要する場合に加害者に不可能を強いることがあるとか、A損害の多くは金銭で計量して評価することが可能であり、貨幣経済・商品経済の浸透した現代社会においては、金銭賠償の方が合理的であるということ等が挙げられています。
不法行為の効果として、金銭賠償、原状回復のほかに、侵害行為の停止・排除を求める差止請求が認められるかで違憲の対立があります。差止請求を認める立場は、生じた損害賠償を認めるだけでは被害者の救済に不十分であるという考えを根拠にしています。生じた損害に対する損害賠償請求が認められたとしても、当該侵害行為が継続している場合には、被害者側とすれば、継続している侵害行為によって損害が生じるたびに繰り返し損害賠償請求を起こすことしかできないとするのでは、何らの問題の解決にもなっていないことになりますから、損害の原因である継続している侵害行為を停止・排除する請求権が認められてしかるべきだと考えられます。しかし、現行法上、不法行為の効果として差止請求権を認めることについては、通説は、否定的です。
二、金銭賠償原則

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Revised: 2002/12/01
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