不法行為法とは何か 

このページは、一般の方たちにとって、馴染みの薄い「不法行為法」についての初級・入門編のつもりで作ったのですが、意外にも、大学の試験の対策やお仕事上の必要からご利用頂けているようです。ありがとうございます。なお、便宜上、2003/01/29 08:22 現在、読み易くするため若干加筆・訂正しております。


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 「不法行為法」とは、どんな法律だと思われますか。法律なんて縁がないとおっしゃらずに、ちょっと考えてみませんか。意外と、私たちを取り巻く生活環境において不法行為法は活躍しているんですよ。

   かく言う私も、交通事故の被害者になって初めて法律と関わりを持ちました。それまでは法律や裁判なんて一生涯自分には無縁のものと思っていました。しかし、実際交通事故に遭遇してみましたら、法律を知らないということは、加害者側・示談交渉員(保険会社)に有利に示談・訴訟が進みかねないことを思い知らされました。交通事故という事例を一つとってみましても、まるで常識であるかのようにまことしやかに言われていることが嘘であることを知りました。退院してから練馬警察署に調書作成のために出頭した折り、「大変でしたね。でも、あなたが自転車で現場道路上(=西武線の駅裏の商店街の細い道路)を走っていなかったら、加害者側もあなたを自動車ではねなかったのですよ。」と言われました。「おかしいなぁ。でも、確かにそう言われればそう言えなくはないなぁ。」と当時全くの法律の素人の私は思いました。当時何ら法律の知識をもたなかった私でも何か釈然としないものが残りました。これでは、まるで未成年者の運転する自動車にはねられた私に何らかの落ち度があったからこそ自動車にはねられたと言わんばかりの言い方ですよね。未成年者の前方不注意を問題とせず、現場を自転車で走行していた私に何か落ち度があるかのような言い方ですよね。

 今にして思えば、この警察官の発言は、悪しき「条件説」の当てはめです。たしかに交通事故が発生するには、加害者と被害者という両当事者がいなければならないのですが、担当警察官の発言はちょっとおかしくないでしょうか。積極的には民事介入しないという立場を採りながら、実は、こういった形で民事トラブルに介入しているのが実情なのではないでしょうか。一般国民が法律に素人であるが故の警察による間接的民事介入ではないでしょうか。一人一人の警察官が無意識にせよ、意識的にせよ、間接的に民事事件に間接的に影響を与えているのではないでしょうか。

 殺人事件を考えてみますと、なぜ殺人事件が発生したかを議論するときに、われわれは「被害者がいたから加害者が被害者を殺したのだ」だとか、あるいは「加害者の母親が加害者を生んだからこそ、加害者が殺人事件を起こしたのだから、加害者の母親も同罪だ」(「条件説」)などというという議論はしませんよね。

 交通事故も被害者側に発生した損害の賠償という形で終結する場合が多いものですから、その限りでは民事事件となりますから、その民事事件においては当事者に解決を委ねるべく、警察は中立・公正な立場にいなければならないはずなのですが、不用意にも加害者側の行為を正当化しかねない発言をしてしまったのです。しかも、「因果関係」における「条件説」を単純に当てはめることによってね。

 警察官は裁判官ではないのですから、誰が事故に対して法的責任を負うべきか、すなわち、事故の責任は誰にあるのかを判断したり、また、事故に遭遇した当事者(加害者・被害者)に予断を与えるような発言をしてはならないと思うのですが、私の担当警察官は、親切にも、その予断を被害者たる私に与えるような発言をしてしまったのです。

 事故当時正しい法律知識を持なかった私に対して、悪しき法律論をご披露下さったわけです。後日、弁護士を依頼して、相手方代理人(保険会社の担当者)と交渉しましたら、保険会社側が初めて全面的に加害者側の非を認めるに至ったため、訴訟には至らず解決しました。それまでは、私の損害額を実際の損害額の5分の1と認定していた保険会社が初めて私を被害者として扱ってくれるようになったのです。正しい法律知識を持たないということは、加害者や法律知識という武器を持った加害者の代理人(=保険会社の渉外係や弁護人)と素手で(=法律知識を持たずに)戦うようなものです。法律知識をもたない者は、警察にも、保険会社にも舐められ、相手方にとって都合よく扱われてしまうのだなぁ、という体験を通じて、法律の世界に入ることになったのです。

 不法行為法を考えてみようという趣旨は、われわれは@日常生活において生じている事件・事故にどのように対処したらよいのか、そして、さらにA現行の法制度を武器にして、進行しつつある環境破壊にどのように対処しうるのか、B対処できるとしてもその限界は何か、そしてC限界があるのなら諸外国の法制度を参考にしつつ新たな立法によって解決できるのか、D新たな立法がなされるまで被害者の保護をどのように図れば良いのか、を考えてみようというものです。

  これを病気と治療薬に喩えて言うならば、病名が正しく判断されたとしても、その病気に対して治療効果のない薬品の投与や副作用の大きい薬品の投与をしたのでは意味がありませんから、その病気の治療に効果があり、しかも副作用の極力少ない治療薬や治療法を知らなくては、その病気を治療することも、病人本人がもっている治癒力を手助けすることも難しいということです。そこで、まずは、治療薬(法律構成)とその薬効(法律効果)を探ってみようというわけです。

 

《 目 次 》

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1.「不法行為法入門」                       

 最終更新日:2000年08月06日

 

2.要件論(一般的不法行為)  

a.故意・過失  
b.権利侵害(違法性)   
c.因果関係  
d.損害  

3.効果論(一般的不法行為) 

   a.損害賠償請求 

   b.差止請求   

4.特殊的不法行為 

a.責任無能力者の監督義務者責任       
b.使用者責任                    
c.工作物責任
 
 「工作物責任」は、公害発生施設に対する損害賠償請求を通じて、公害発生に対する抑止力となり得ると考えられますから検討の必要があります。なぜならば、利潤を追求している民間企業の公害発生施設は、損害賠償請求訴訟を起こされますと、多額の訴訟費用がかかることや、敗訴しますと多額の損害賠償金を課されることになり、企業の存続そのものが危機に瀕する場合があるため、それを回避するために公害を発生させないようにと極力注意を払うことになり、結果的には、同種の施設に対しても公害発生を発生させないようにする抑止力になると考えられるからです。もっとも、われわれのかけがえのない健康を害してから、その後に、損害賠償請求訴訟を提起しても一度失った健康は元通りになるわけではありません。また、中・小の自治体のゴミ焼却事業につきましても、経済的な問題から、民間にゴミ焼却事業を委託する場合が多いことから、そのような民間企業に対し、工作物責任を根拠とする損害賠償請求をはじめとする不法行為訴訟は、公害発生の危険性のある施設に対して、有毒ガスを発生させないようにする抑止力として働く可能性があると考えられます。                        
d.共同不法行為

 

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工事中につきご迷惑をおかけしてます(「特殊的不法行為」は着工しております)。

 

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Revised: 2003/01/29 .