ダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)汚染問題について

最終更新日:2004/08/17 08:33

 2004/08/17 08:33の加筆・訂正箇所につきましては、便宜上、「青字」にて表記します。なお、強調点については「赤字」にて記します。

  市民団体、マスコミ報道などの努力の甲斐あってというべきでしょうが、わが国のダイオキシン対策も歩みは遅いものの前進しつつあるようです。

 自由民主党、民主党、公明党の三党が、1999年5月14日「ダイオキシン規制法案」の原案をまとめたことが報じられました。

 この法案は、@世界保健機関(WHO)が人が摂取しても健康に影響の出ない耐用一日摂取量として定める1ピコグラム/キログラム体重の基準値に非常に近づけた4ピコグラム/キログラム体重以下に定め、A大気、水質、土壌に含まれるダイオキシン類のそれぞれにつき環境基準を設け、これらの基準のうち大気の基準の達成が難しいと認められる地域については都道府県知事が総量削減計画を作成しそれに基づいた総量規制基準を定めることを義務づけ、B住民が知事に総量規制の地域指定の申し出もできることなどを盛り込む内容となっている。また、C都道府県知事は、国が特定施設に定めた事業者が基準値を超すダイオキシン類を排出している場合には、改善や操業停止を求めることができるとし、違反を続ける業者に対し、改善命令などを出さずに、直接罰することができる「直罰規定」も盛り込んでいる。このような内容に至るまでには、政党間の思惑があったようである。例えば、1999年1月に公明党が提出した法案を土台に三党間で法案作成作業をする段階では、民主、公明両党の主張では、一日耐容摂取量は1ピコグラム/キログラム体重であったが、法案成立を優先させるために自民党に譲歩し、今回まとまった原案の基準値になったようである。

【参考】  民主党「ダイオキシン類汚染対策緊急措置法案」、公明党「ダイオキシン類対策特別措置法案要綱」(要旨)

 

 そして、この度、参議院の与野党は平成11年8月5日、国会内で国対委員長会談を開き、有害物質のダイオキシンを規制する「ダイオキシン類対策特別措置法案」を同8月6日に参議院に提出することを決めたと新聞報道で報じられている。人が毎日取り続けても影響がないとされる耐容1日摂取量(TDI)を世界保健機関(WHO)基準並みの「4ピコグラム(ピコは1兆分の1)以下」と定めていることは前述のとおりである。同8月7日に参院で全会一致で可決され、今月中に成立する見通しとなった。同法の施行は法案成立の6カ月後となる。

 
与野党が共同で国会に提出した法案は、大気、水質、土壌それぞれについてダイオキシンの具体的な環境基準の設定を義務づけるものとなっていることは前述のとおりである。基準が決められれば、政府はその達成を迫られるため、規制の実効性が期待できるといえる。


最終的にまとまった法案の骨子は、以下のとおりである。

@法案は、耐容1日摂取量を具体的にどういう数値にするかについては政令で設定するよう求めているが、政府はその基準を守るために、大気、水質、土壌についての全国一律の環境基準を決定することになり、これを踏まえ、都道府県知事はダイオキシンの汚染状況を常に監視、調査測定するとともに結果を公表することになる。

A焼却炉が集中しているなど汚染がひどい地域については、都道府県知事が排出総量の削減計画を立て、総量規制基準を定めるよう義務付けている。悪質な排出制限違反の場合には、施行から1年の猶予期間を経た後、6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金を科す。

Bまた、規制対象施設に定められた業者が規制を超えて排出している場合には改善や操業の一時停止を命じるが、その命令に従わない場合は一年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。

C土壌のダイオキシン汚染への立ち入り調査規定について、都道府県だけでなく国も実施できる(これは、進展である)。



 ただし、この法案には、問題も多そうである。国民の関心が最も高い乳製品や魚、野菜といった食品への対策に関しては「科学的知見に基づいて検討し、必要な措置が講じられるものとする」との表現にとどまり、ドイツやオランダのような安全指針づくりまでは踏み込んでいない。
また、法案の文言の解釈上問題もありそうです。

 例えば、まず第一に、「住民が知事に総量規制の地域指定の申し出もできる」という規定を盛り込んでいるようですが、この規定は、解釈の仕方によっては、「住民は総量規制の地域指定の申し出ができるが、その申し出を受けて必ず地域指定とするか否かは別物である」という解釈、すなわち、「地域指定するか否かは行政の裁量であり、義務ではない」という解釈を導くことになってしまわないかという問題である。過去においてもこのような「ざる規定」は多々存在しました。

 第二に、「改善命令」や「操業停止」にしても、その「命令を下すも下さないも行政の裁量である」という解釈を導かないことを祈るばかりである。

 第三に、直罰規定を置いているが、その罰則の内容が適切か否かの検討が必要であるように考えられる。罰則ないようとして6ヵ月以下の懲役は別として、「50万円以下の罰金」が抑止効果のあるものかどうかの検討が必要であると思われる。われわれ、一般国民の財布にとっては、50万円は大金であるが、事業者にとって50万円という金額は意味があるのであろうか。

 ダイオキシンの規制に関して一歩前進したとは言えるが、以上のような問題点を含んでいるとしたら、ダイオキシン問題というのは、法律だけで解決できるものではないと考えられます。また、どんなにダイオキシン規制法が整備されたとしても、その規制法に対応できるだけの焼却施設が整備されなければダイオキシンの発生は食い止められないと考えられます。とすると、われわれ国民一人一人もダイオキシンを発生させないようその解決に向けて努力をしていかなくてはならないと考えられます。そこで、以下では、ダイオキシン問題を解決するための「われわれ一人一人の課題」、「企業の課題」、そして「行政の課題」という順に検討してみたいと思っています。

 

七、ダイオキシン対策

1.わたしたち一人一人の課題

 われわれは、科学の発達の恩恵を受けて、食生活、住環境を向上させてきたが、一方では、使い捨て時代に象徴されるように、不用になった物を大量に廃棄してきてしまった。そして、われわれの生活から出る大量のゴミがダイオキシンの主要な発生原因となっていることは否定できないであろう。とすれば、われわれは、ダイオキシン汚染の被害者であると同時に、直接・間接にダイオキシンを発生させている加害者でもあると考えられるのである。もちろん、生産効率を追求するあまり環境に対する影響への配慮を欠き、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染をしている企業やそのような企業の経済活動が環境にどのような影響を与えているのかという実態調査を怠っている行政にも責任があります。しかし、前述したように、このようにダイオキシン汚染問題が深刻になってきた背景には、環境問題に対する意識の高まりはあるものの、われわれ一人一人の環境問題に対する問題意識がまだまだ欠如しているのではないかと思えてならないのです。

 例えば、一つ例を挙げますと、われわれは資源の枯渇(有限性)・環境汚染問題の解決のために、リサイクル運動を実践していますが、リサイクルそのものを否定するつもりはないのですが、われわれは、リサイクルの過程でも、ダイオキシン汚染、環境汚染を引き起こしていることに意外にも気づいていないように思われるのです。ベルギー産の鶏肉と鶏卵のダイオキシン汚染が問題となっているが、1999年8月3日の朝日新聞の「主張・解説」によりますと、ベルギー産の鶏肉と鶏卵のダイオキシン汚染は、使用済みの食用油をリサイクルして作る油脂に、ダイオキシンが入ったポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入し、その油脂が鶏の飼料に混入したことによって発生したと報じています。このようにリサイクルの過程で異物が混入し、ひいては環境汚染・ダイオキシン汚染を引き起こしてしまっては何のためのリサイクル運動なのか分からないのではないでしょうか。

 横浜国立大学の中西準子(環境リスク論)は、リサイクルレベルではどうしても管理が甘くなる過程があることを指摘された上で、「リサイクルはいいことだ、そればかりではだめだ。食品や飼料に関係するときは特に危険で、細心の注意と品質低下を織り込んだ仕組みが必要になる」と説かれている。

 私自身も、リサイクルそのものを否定するわけではないが、われわれの目の届かないリサイクル処理過程だけに、その管理には企業側の努力、行政の監視体制の充実が急がれる。万全を期して欲しいものである。人間には、抗生物質の投与に厳しい基準があるのに、養殖魚、家畜などの飼料に混ぜる抗生物質の使用に対する基準が甘いのと同じ状況が、ダイオキシンに対する基準にも生じるおそれがあるのである。

 なお、平成11年11月21日午後11時30分からのテレビ朝日の番組「素敵な宇宙船 地球号」でダイオキシンを分解するキノコの研究が紹介されていました。詳しくは、テレビ朝日のホームページをご覧頂きたいと思っております。この番組は、キノコの中でも樹木を分解する腐生菌のグループの性質を利用して環境を汚染する化学物質であるダイオキシンを分解させる研究が進んでいると報じています。大いにこの研究を進めて頂くことを願いますが、科学とは素晴らしいものだと思う反面、実はダイオキシンを作り出してきたのも科学であるということを科学者に忘れて欲しくないと思っています。

 たしかに、将来科学の力によってダイオキシンを分解できる日が来るでしょう。そう願って止みません。でも、その日が来るまで苦しみ続ける人たちがいることを忘れてはならないと思うのです。その人たちが人間として生まれて来たからには、当然に享受できる自由や幸せを奪う権利は誰にもないのですから。われわれも、科学の副産物ダイオキシンは科学によって解決がつくと安穏としているのではなく、われわれ自身が知らぬ間に加害者になっているかも知れないという現実を直視しなければならないのではないでしょうか。今われわれが健康で幸せに暮らせていたとしても、われわれの体内に蓄積されたダイオキシンによって、われわれの次の世代(子どもや孫)にどんなダイオキシンの影響が出るか誰にも分からないのですから。

 

工事中につきご迷惑をおかけしてます

 

2.企業の課題  

3.行政の課題

                 

 

 

 

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