産業廃棄物(Industrial Waste)

最終更新日:2004/08/17 08:33

 2004/08/17 08:33の加筆・訂正箇所につきましては、便宜上、「青字」で表記します。重要個所につきましては「太字斜体」で表記します。

wpe1.jpg (1312 バイト)

一、産業廃棄物とは

 産業廃棄物といえば、瀬戸内海の豊島産業廃棄物不法投棄問題で大きくクローズアップされました。豊島は人口約千五百人、周囲二十キロ足らずの小さな島に一九七八年以来五十トンの産業廃棄物が不法投棄されてきました。ここでは言われている「産業廃棄物」とは、何を指すのでしょうか。なお、豊島に不法に投棄された産業廃棄物の撤去をめぐる問題は、このたび、豊島住民と香川県が、国の公害等調整委員会が示した調停文書に署名押印して最終合意が成立しました(2000年6月7日朝日新聞日刊)。しかし、これですべてが解決したわけではないので、今後の経緯を監視していかなくてはならないと考えられる。

 ゴミという場合、@家庭から排出される「生活系ゴミ」とA商店・事業所から排出される「事業系ゴミ」を合わせた概念である「一般廃棄物」のことを指します。そのほかB産業活動に伴って排出されるゴミを「産業廃棄物」といっています。これらの廃棄物の適正処理を規制している法律が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称「産業物処理法」)です。

 この「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称「産業物処理法」)の第二条一項によりますと、「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。」と定義しています。

 そして、この法律は、「廃棄物」を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」とに区分し、「産業廃棄物」を「事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」(二条四項一号)と特定の輸入廃棄物であると定義していることから、それ以外(=「産業廃棄物」以外の廃棄物)が「一般廃棄物」ということになります。

 

ゴミ(一般廃棄物)=@「生活系ゴミ」+A「事業系ゴミ」

 

B「産業廃棄物」=産業活動に伴って排出されるゴミ

 

 法律では、このように「一般廃棄物」と「産業廃棄物」とに明確に分けて規定していますが、ゴミの処理の実態を考えますと、「一般廃棄物」であるから安全とは言い切れないようです。そこに、われわれは騙されないようにしなければならないように思われます。「一般廃棄物処理場」だから、安全な処理施設とは言い切れないのです。

 

二、廃棄物処分場

 われわれが生活をするに伴って生ずる「一般廃棄物」の処理をする責任は、基本的には、市町村にあるのですが(ただし、東京都二三区は例外で、都にあります。)、広域的に処理したほうが経済的であるということから小さな自治体が集まって一部事務組合(地方自治法二八四条)という組織を作って一般廃棄物の処理を行うことも少なくありません。全国で、市町村全体の二七%がこのような形態で処理をしているようです。

 次に、このような処分場の形態についてふれてまいります。廃棄物処分場には、ゴミの性質に応じて@安定型、A管理型、B遮断型の三種類があります。

 @「安定型処分場」とは、大気汚染、水質汚染の危険性のないゴムくず、金属くず、廃プラスチック、ガラスくず、陶磁器くず、建設廃材を素掘りの穴に埋め立て処分する施設です。最も安全なはずの処分場ですが、廃棄物処分場にこれらの廃棄物を入れる前にこれら安定ゴミとそれ以外のゴミとがまったく分別がなされていないという問題があります。例えば、ハム会社に大量の返品があったとします。外側はプラスチック包装で、中身はハムですが、中身は管理型処分場に、包装は安定型処分場に、と分別されて廃棄されていないというのが現状であり、安定型処分場が安全であるということは言えないのです(高杉晋吾「産業廃棄物」〔岩波新書〕四二頁)。

 A「管理型処分場」とは、浸出水による水質汚染がないように浸出水の処理施設を備え、1.5ミリのゴム製の遮水シートを底と側面に敷き、そこに、廃油、紙くず、木屑、繊維くず、動物性残さ、動物の糞尿、動物の死体および無害なゴミ焼却場で焼却された燃殻、煤塵、汚泥、鉱さいなどを埋め立て処分する施設です。この施設のゴムシートにしても、竹の子がゴムシートを突き破ったという事件が多発していることから、その穴から有害物質が土中に浸出するという危険性が現実のものとなっています(高杉晋吾・前掲四四頁)。笑えない話です。

 B「遮断型処分場」とは、溶出試験の結果判定基準を超える有害物質を含む燃殻、汚泥、鉱さい、煤塵などを埋め立てるために、底と側面を腐食防止工を施されたコンクリートで囲み屋根をつけた処分施設です。

 

三、廃棄物処理法の問題点

1.具体例から考えてみましょう

 皆さんの中にも、東京都日の出町の廃棄物処分場問題について、テレビや新聞報道にてご存知の方もいらっしゃるでしょうし、また、不幸にしてその渦中の方もいらっしゃるかも知れません。この日の出町の廃棄物処分場問題は、全国の自治体においても起こりうる、あるいは現に起こっている問題ですので、この日の出町の廃棄物処分場問題を代表例として扱ってみることにします。

 一般廃棄物の処理の責任は、基本的には、市町村(ただし、東京二三区に関しては東京都にあります)にあります。また、民間に委託することは可能です。一般廃棄物の処分は各市町村にあるといいましても、財政的な問題からも、廃棄物を広域的に処理したほうが経済的であることから、全国では、市町村全体の約三割が、近隣の自治体と協力して、「一部事務組合」(地方自治法ニ八四条)という組織を作って一般廃棄物の処理を行っています。

 東京都多摩地域二六市一町の住民の排出する一般廃棄物のすべてが、今問題にしている日の出町にある「東京都三多摩地域広域処分場組合」(以下、「三多摩組合」という)が設置・運営する東京都三多摩地域廃棄物広域谷戸沢処分場(以下、「谷戸沢処分場」という)で最終処分されてきました。この谷戸沢処分場は、一九八四年に操業を開始し、各市町のゴミ焼却場から出る灰やプラスチックゴミなどを受け入れてきました。この谷戸沢処分場は、上で説明しました「管理型処分場」です。この管理型処分場は、正常に機能すればも、通常、何の問題も発生しないのですが、一九九二年に、有害な物質が溶出しないようにと設置されている遮水用のゴムシートに補修跡が発見されました。遮水用のゴムシートに補修跡が発見されたということは、破損個所から(ゴミから出る)有害物質が土中に溶出し地下水を汚染した可能性があることになります。その事実を知った周辺住民が、地下水の汚染があるか否かを知るために、処分場の地下集水官の水の電気伝導度データーの開示を求めて東京地裁八王子支部に仮処分の請求をしました。なぜ、周辺住民側が谷戸沢処分場の地下集水管の水の電気誘導データーの開示を求めたかと申しますと、谷戸沢処分場の遮水ゴムシートが破損し、廃棄物を原因とする塩素イオンや重金属類が地下水に混入しているならば、地下水の電気伝導度が上昇するからなのです。

 東京地裁八王子支部は、周辺住民側の情報開示仮処分請求を認めましたが、三多摩組合が仮処分決定に従わなかったために、住民側が、東京地裁八王子支部に、三多摩組合が仮処分に応ずるまで一日当たり十五万円(後に三十万円)の強制金を支払うという間接強制を申立て、強制金支払が命じられましたが、組合側はデーター開示を拒否しつづけ、同年七月までには、強制支払金額が約一七〇〇万円(しかもそれは税金から支払われることになります)にものぼり、その異常事態に社会的にも注目されるに至りました。また、谷戸沢処分場の残存容量が切迫し、一九九六年度には満杯になると予測されていたために、日の出町内に二〇〇八年までの処理が可能な第二処分場設置が計画されましたが、住民側は、一九九五年二月、谷戸沢処分場の操業継続と第二処分場の建設に反対し、三多摩組合を相手取り、第二処分場建設差止と谷戸沢処分場の遮水工破損により発生した周辺土壌除去や地下水汚染調査、遮水工補修、補修が完了するまでの廃棄物受け入れ禁止などを求めて東京地裁八王子支部に提訴するに至りました。

 

2.処分場の構造基準

 最終処分場の構造や維持管理に関する全国一律の基準があり、知事や政令市市長が処分場設置の許可をする際の基準として利用していますが、「廃棄物の保有水及び雨水等の埋立地からの浸出を防止することができる遮水工を設けること」と規定されているに過ぎず、具体的内容が示されないままなのです。素直に解釈すれば、「廃棄物の保有水及び雨水等の埋立地からの浸出を防止することができる…」程度の遮水工ということになりますが、知事や政令市市長が専門的にどの程度の基準を充たしていれば、最終処分場の構造として安全であるかを客観的に知りうるはずもありませんん。厚生省監修の解説書には、合成ゴム系シートの遮水工の場合には、厚さが1.5ミリとされているために、これが全国一律の基準とされており、この基準を最低限充たしている施設の申請であれば許可しなければならないという運用になっているようです。

 しかし、この基準を充たしていれば、処分場施設として絶対に安全なのかが問題となります。先ほども例としてあげましたが、竹の子によって遮水工シートが破れているという事故が多発していることを考えますと、安全と評価するには心もとない基準であるように思われます。また、鋭利な廃棄物によってゴムシートが破れたり、廃棄物処理作業をするブルドーザーによってゴムシートが破れるということも報告されています。現場の作業員は、ノルマに追われ、廃棄物処理場に到着した廃棄物を処理することで精一杯な状況で、鋭利な廃棄物の角を丸めたり、ブルドーザーがゴムシートを破らないように操作して作業するなど丁寧な処理作業をする余裕などないというのが実態だそうです。それを監視する人もなく、行政による立入検査も年に数回というのが現状だと聞きます。また、時の経過とともにゴムシートの材質の劣悪化もまた避けられないというのも事実です。谷戸沢処分場をはじめとする全国の処分場でも以上に挙げたような諸事情が原因で地下水汚染を惹き起こしていると考えられるのです。

 行政庁が行政目的を実現する過程において国民に一定の作為・不作為を要求する必要がある場合に、法の定める所に従って、正式に命令を発し義務を命ずるのが原則です。したがって、行政行為の形式で行政庁が国民に命令を発するには、予め法律または条例にその根拠が定められていなければなりませんが、現実には、新しい事態が発生したときに、これに対応する適切な法律の定めがない場合が少なくありません。また、根拠となる規定が存在する場合であっても、法律の規定の一律的な執行によっては発生した事態に的確に対応できない場合もあります。そこで、そのような場合に用いられる手法が非権力的な行政手段としての「行政指導」です。全国の自治体は、廃棄物処理業者に対しより安全性の高い施設を業者の負担で作るよう行政指導していますが、「行政指導」には法的拘束力がないため、業者が任意に指導に応じてくれなければ何の意味もありませんし、厚生省が上記基準で十分という態度をとっているために、条例によってより厳しい規制を上乗せすることもできず、知事としては許可せざるをえないというのが現状です。

 厚生省の示す基準が、廃棄物処分場の設置される場所の地理的条件を考慮に入れたものではない全国一律な基準でであって良いのかという疑問があります。各自治体がその事情に応じて条例によって規制の上乗せをする方が合理的なのではないのかという疑問があります。厚生省は、廃棄物処理法に条例制定を認める明文規定がないことを理由に都道府県の条例制定に消極的な立場をとっているものと考えられますが、学説上も、一定の規制があったとしても、地域的事情に鑑みてその規制では不十分な場合には、条例を制定できるとするのが通説であることを考えると疑問が残ります。また、専門家によれば、破損した個所から浸出液が漏出し、その浸出物質が検出される頃には、土壌は相当汚染されていると予想されるそうです。地下水から一定程度の濃度の有害物質が検出される頃には、地下環境中にはその何百倍もの量の有害物質が浸出することになるそうです。

 

3. 処分場の立地規制

 以上のことを考えると、廃棄物処分場から絶対に外部へ有害物質を出さないようにしなければならないのですが、万が一にも廃棄物処分場から有害物質が浸出することが絶対にないとは言い切れません。とすれば、万が一にも廃棄物処分場から有害物質が浸出した場合には、より危険性の少ない所に処分場を設置するということを考えなければなりません。しかし、廃棄物処理法自体、最終処分場の立地を規制する明文規定を置いておりません。日の出町の第二処分場は、水源のすぐ近くに立地が予定されています。彼らに言わせれば処分場の外部に有害物質は排出されないし、万が一にも遮水工が破損してもすぐに発見して措置命令(一九条の三)により改善させるから大丈夫であるというのでしょう。しかし、その発見の手段は何なのでしょう。地下水汚染調査がどのように行われるかによってもその精度に問題が出てきます。実際、地域住民による日の出町の処分場組合に対する地下水汚染調査データの開示請求事件においては、法廷で明らかになったことですが(東京高裁平成9年8月6日民二〇部判決)、処分組合は、計量法に基く資格を持った専門業者である株式会社環境管理センターに委託していたのですが、中央監視操作室の中央監視操作盤に設置された地下水伝導計に表示される数値を目視することによって電気伝導度の変化を監視していたほか、環境管理センターに対して毎月一回定期的に地下水を直接採取して電気伝導度を測定し、その結果を記録することを求めていたが、中央監視操作盤に設置されていた計器のうち地下水伝導計については測定器しか設置されておらず、更新された中央監視操作盤の操作機器や測定器類が稼動を始めた平成八年四月一日になってようやく記録紙の媒体による常時観測データ(二四時間連続測定)の記録が可能となったということから、日の出町の廃棄物処分場が操業を開始した昭和五九年四月から平成八年三月までの分は電気伝導度データは作成されておらず、存在しないことが判明しています。

 水源保護との関係で言えば、廃棄物処理法の中に水源保護地域という制度を設けて知事に地域指定させ、その地域ではそもそも立地を認めないということが考えられないであろうか。水は、われわれ命の源であることを考えるとこのような対策が早急に考えられるべきである。行政が処分場を設ける場合であろうと民間が処分場を設ける場合であろうと実態は変わらないのであるから、扱いに差を設ける合理的理由も見出せないのです。現に、自治体の中には、伊東市や津市のように水道水源保護条例を制定し、水源地域への産業廃棄物処分場の立地を規制しているところもあるのです。実に巧妙な手段であるかと思われます。

 

 

 

 

工事中(勉強中)につきご迷惑おかけしています。

 

 

四、産業廃棄物の処理

五、産業廃棄物をめぐる問題

 

 

最終更新日2004/08/17 08:33

 

Infoseek優れた検索エンジンです。様々な情報の検索にお役立て下さい。

Infoseek Japan キーワード入力:

wpe1.jpg (1312 バイト)

 

作成者情報
Copyright © 1998/01/27 [早稲田の杜]. All rights reserved.
Revised: 2002/12/01 .