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時事通信労働者委員会OFFICIAL

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団体交渉報告
2016年12月1−9日

冬季一時金、7年続く超低水準に抗議―労働者委
透明性欠く賃金・人事制度の撤回を重ねて要求

事通信労働者委員会は2016年12月1日と9日、社が2015年10月に労働者委の反対にも関わらず強行実施した人事・給与制度「役割等級制度」への対応や冬季一時金をテーマに団体交渉を行った。社はこの中で、今上期の業績について、依然として巨額の営業・経常赤字を続けたことを明らかにした。この結果、冬のボーナスは基本給の1.335カ月をベースとする超低水準にとどまった。

社はお手盛り賃金制度の強行により、幹部の給料を一方的にアップし、中高年を中心とする一般社員の所得を引き下げ、制度に反対する労働者委の声にも全く耳を傾けていない。労働者委は社の傲慢極まる態度に強く抗議した。

社によると、2016年9月中間決算は売上高がインターネット・サイト「時事ドットコム」の広告収入の回復などを受け前年同期比2.7%増収の89億円、営業損益は8億4400万円の赤字(前年同期は9億7300万円の赤字)、経常損益は2億200万円の赤字(3億100万円の赤字)だった。

社は保有する電通株を売却して17億円余りの特別利益を計上、純損益は13億5100万円の黒字(3億2200万円の赤字)だった。

超低額の一時金は7年続き、組合員の生活を強く圧迫している。到底容認できるものではなく、労働者委は抗議し、社員の努力により、わずかながら上期として2期ぶりに増収に転じたことを踏まえ、修正回答を行うよう求めた。


■人事評価過程の全面開示・労使交渉を要求

一方、社は今年11月、労働者委の荒木健次代表幹事と上仲保順代表幹事に対し、人事上の自己評価などを記載する「人事評価シート」を配布した。

労働者委は中高年の一般社員の賃金を大幅に引き下げ、生活を破壊する役割等級制度を一貫して反対してきた。自らの経営責任を棚上げし、社員の収入に格差を広げるこうした制度を強行してきた前西沢取締役会および現大室取締役会は文字通りの意味で「恥知らず」である。社は不当な不利益変更を強いる役割等級制度を即刻撤回すべきである。

労働者委が両日の団交で社と協議した結果、役割等級制度では、(1)人事評価シートに従業員本人が記載できるのは「就業状況」と「実績」に関する定性的な「自己評価、本人コメント」のみで、3次にわたる5段階評価の採点は直属の上司や幹部職制、取締役を入れた社の人事委員会が行う(2)人事評価シートは社に提出した後、まったく内容は開示されず、人事評価の結果だけが年度末に通知される--ことが判明した。

人事評価は、従業員の賃金および人事上の取り扱いを決定する、労働条件そのものである。労働条件は労使間の十分な協議によって決定せねばならず、社が一方的に決定することは許されてはならない。決定に至るプロセスすらも開示せず、労使交渉も拒絶する現行の人事評価制度は著しく不当であり、労組として到底受け入れられない。 

労働者委は「役割等級制度に基づく人事評価シートや面接は容認できない」と強調し、人事評価シートを社に返却した。その上で、人事評価については、少なくとも労使協議を経て決定するよう求め、労使協議の際に労働者委に戻し、内容を全面的に開示するよう要求した。


団体交渉報告
2016年11月2日
労働者委、不当労働行為問題などの解決を要求
大室社長、経営黒字化への道筋示せず
対話路線強調も不当人事制度の撤回拒否

事通信労働者委員会は11月2日、時事通信社との間で、6月就任した大室真生社長(前常務労務担当)の出席を伴う団体交渉を開催した。労働者委との今後の労使関係について大室氏は「皆さんとの対話を重視する姿勢に変わりはない」と表明した。労働者委は「賃金差別問題をはじめ社と我々の間にはさまざまな問題が存在しており、引き続き話し合いによる解決を切に求める」とし、労働者委に対する賃金差別や不当労働行為問題など山積する課題を解決するよう要求した。

労働者委はまず、社が昨年10月、労使協定を一方的に破棄し、重大な不利益変更を伴う新たな賃金・人事制度「役割等級制度」を強行したことに抗議し、人事制度に関する考えをただした。大室氏は「制度の円滑な運用と定着に努力する」とあくまでも制度を変えない傲慢な態度を示す一方で、「制度に関しご意見があれば真摯に耳を傾けていきたい」と述べる白々しい回答を行った。労働者委は「この制度には(社の)提案時から言ってきた通り多くの問題があり、やればやるほど時事の衰退を早める」と批判し、即時撤回を強く求めた。

また月刊誌「文藝春秋」が7月号で、「読売新聞が時事通信を吸収合併する」との可能性を報じたことについて、大室氏の認識と同誌への対応について質問した。大室氏は「(報道は)根拠のない憶測」とし、抗議など特段の措置は取っていないことを明らかにした。労働者委は「そうであれば社として行動し、公式見解として否定する必要がある。世の中から見れば、何も言わなかったとしか見えない」と指摘、社としての見解・姿勢を社内外に明確にするよう求めた。それでも大室氏は「論評に値しない記事」などとし、対抗措置を取らないことを正当化する言動に終始したため、労働者委は抗議した。

社は2016年3月期まで17期連続で営業赤字を続けてきた。大室氏は今期(17年3月期)について、売上高178億円、経常損益で5億円余りの赤字との見通しを示すとともに、「上半期の売上高は前年を上回ったとみられる」と述べた。さらに現在の進捗状況に関しては「大きな上振れ、下振れの要因が起きている状況とは認識していない」と説明した。

社の今期の営業損益は18億円の赤字の見通しだ。労働者委が「経営においては本業の営業損益を重視すべきだ」と指摘し、どう黒字化するのか方針を明確にするよう求めた。これに対し、大室氏は「最終的には通信社本業での黒字を示すべきだが、ハードルが高い。まず第1段階として会社総体として経常段階で黒字にすることを目指し、その達成後に営業黒字を目指したい」と述べるのがやっとだった。今後の経営については「既存事業を底上げし、新規事業にも取り組み、新しい通信社像を設ける」とし、ニュースや出版、映像、デジタルなど既存コンテンツを企業や自治体のニーズに合わせて組み合わせ、提供するサービスに力を入れるとしたが、その説明ぶりは具体性と力強さに欠けた。

大室氏は、本業以外で、東京・中野の社宅を賃貸住居として運営し始めたのに続き、中目黒で賃貸事業を始めるため、マンションを購入したとし、電通株の売却と借り入れを財源に充てたことを明らかにした。「総務局総務部が担当し、実務は大手不動産系の企業に委託する」と説明したが、社内に不動産の専門家はいない。労働者委は得意分野でもない事業に電通株を売ってまで参入しようとする社の姿勢に重大なリスクが想定されることから強い疑義を呈した。

今年6月の株主総会で退任した西沢豊・前社長はその直後に相談役に就任した。西沢氏は自身が社長在任中の今年4月に就業規則の「職制規程」を変更し、「相談役」ポストの設置を決めた。これは「お手盛り」と言われても仕方のない人事である。この判断について大室氏は「日常的にアドバイスをいただき、内外情勢地調査会の会長としても活躍いただいている」と主張。西沢氏を相談役にした理由について「経営の継続性担保と、直前までの社長としての知見を生かしていただくため」と語った。

しかし、西沢氏は社長在任時代に大きな営業赤字を残したのであり、2016年3月期の経常黒字も、電通の決算期変更に伴う配当回数の増加と増配という特殊要因によって起きたに過ぎない。労働者委がこの点を指摘したが、大室氏は「経常黒字を達成したのも西沢さん。特殊要因があっても黒字にならないことはある」と強弁した。笑止千万とはこのことである。大室氏の西沢氏に対するゴマスリぶりは異常というほかなく、自身が社長であるとの認識が希薄なのではないかと疑わしめる。時事通信の再建はますます遠のいたと言わざるを得ない。


団体交渉報告
2016年7月8日

社、夏季一時金1.335カ月を回答
労働者委、新制度による格差拡大と低額回答に抗議
「増収経営、必須」中村新労担が表明

事通信労働者委員会は7月8日、社と夏季一時金要求をテーマとする団体交渉を開いた。社は支給水準を基本給の1.335カ月(昨年1.3カ月)分をベースとする超低額回答を行った。一時金は長らく低水準が続き、社員が受忍できる限度を超えている。労働者委は低額回答に抗議し、修正回答を求めた。

社によると、支給総額は前年同期比900万円増の5億2100万円。社は昨年10月に強行実施した新賃金・人事制度の「役割等級制度」を今回から一時金にも反映させる。支給に際しては、評定結果が最高のSSから最低のEまでの7段階に応じて、SSとS=1.2、A=1.1、B=1.0、C =0.9、DとE=0.8の係数を乗じるとした。この結果、上位2ランクSSとSは、下位2ランクDとEの1.5倍にもなる。

制度上の係数はSS=1.4、E=0.6だが、今年度については移行措置として、社はSSとS、DとEをそれぞれ同じとし、1.2と0.8とした。社は来年度からは本来の制度に基づきSS=1.4、E=0.6とし、支給額に巨大な格差をつける方針を表明。そうなれば、最高ランクSSは最低ランクEの1.75倍にも達する。新制度によって、そもそも基本給に大きな格差が広がっており、一時金にまで強烈な格差をつける社の賃金政策によって、社内のモラルハザードが極限に達するのは必至だ。

一方で、社は2016年3月期まで17期連続で巨額の営業赤字を続けてきた。つまり、成果を全くあげられないばかりか、むしろ赤字により重い責任を負うべき社幹部が、裁量で社内の賃金格差を広げつつ、社内の富を自身により手厚く分配しているのだ。そこに一切の正当性はなく、制度の意義は根本から破綻している。

労働者委は、社が強行実施した、支給額の格差を広げる新賃金・人事制度に対し、「『働かない社員が多いせいで業績が悪く、彼らを徹底的に絞り上げることで業績が向上する』という考え方の上に成り立っている。そんなもので時事が良くなるか」と批判し、撤回するよう要求した。

これに対し、6月就任した中村恒夫取締役(労務担当)は「(社員を)絞り上げるという考え方は無い」と反論。今回の一時金支給水準について、2016年3月期にわずかに達成した売上高の増加を「社員に還元する」考え方に立ったと説明した。

また2016年3月期の決算で経常損益が黒字化した背景について「労働者委員会のホームページにも書かれていたが、(電通の決算期変更と増配に伴う配当収入の増加という)特殊な要因によるものだ」と指摘。「それが剥げると、経営の力不足で申し訳ないが、また経常黒字にするのは厳しい状況だ」と述べた。

中村氏は「今期以降に賞与支給額を経営悪化に伴い減らすことはできれば避けたい」とした上で、「当社のボーナスは業績連動型をはっきり組み込んでいるわけではなく、安定的な支給が考え方の底流にある」と理解を求めた。

さらに中村氏は社の経営について「ここ数年は過大な投資を圧縮し、収益を改善させることに努めてきたが、今後は投資するときには投資し、収入に力点を置いて危機的状況を脱することが必要だ」と強調した。「(危機を)脱することができなければ、厳しい将来が待ち構えている。労働者委が抱いている経営への危機感は、経営陣も共有している」とし、「(労務・総務担当兼務の取締役として)直接の事業(計画)には携わらないが、環境整備に取り組む」と語った。



団体交渉報告
2016年5月23日

社、格差広げる「役割等級制度」の廃止拒否
17期ぶりの経常黒字は電通株増配
続く巨額営業赤字に抗議=労働者委
大室労担の「定期昇給実施」は欺瞞的説明

事通信労働者委員会は5月23日、社と2016年春闘要求について団体交渉を開いた。労働者委は社が2015年10月に強行実施した新賃金制度「役割等級制度」を廃止し、「年齢別本人給」を基礎とする賃金体系に移行し、支給水準を引き上げるよう求めたが、社は拒否すると回答した。

社の回答は、役割等級制度の強行を続けるとともに、新制度に移行しても依然としてベアゼロ。大室真生常務・労務担当は回答で、2016年度給与について、「定期昇給を実施する」と説明した。

しかし、これは疑問だ。役割等級制度では、基本給は年齢に応じて一律に支払われる「年齢別本人給」と、1~7等級の区分に応じた「役割給」で構成される。年齢別本人給は40歳で昇給がストップし、役割給は自動的に昇格する4等級社員は42歳で上限(22歳入社の場合)を迎え、それ以降は定年まで据え置かれる。5等級に昇格した社員(主要記者クラブのキャップ級)でも定昇は51歳で終わる。それ以降も定昇があるのは、部長級以上の6、7等級社員のみである。

荒木健次、上仲保順の労働者委両代表幹事は、5等級社員と4等級社員にそれぞれ位置づけられ、各等級の内訳で上限となる40号俸に達し、昇給は既にストップしている。それどころか、上仲代表幹事の場合、2015年10月から強行実施された同制度に基づく賃金は、それ以前の職能資格制度に基づく社の2015年度賃金回答と比べ、月額約2万5000円、年間換算で約30万円もの大幅賃下げとなった。2015年度は移行措置による補てんで実質的な支給額は据え置かれたが、16年度は昇格がない一方、補てん幅は半分に縮小するため、昇給どころか、逆に名実ともに賃下げの実施となる。

社がこのように多大な不利益変更を伴う賃金制度を組合の反対を押し切って強行しながら、労働者委との春闘団交で「定期昇給を実施する」などと説明するのは著しく誠実さを欠いており、欺瞞にほかならない。労働者委は強く抗議する。

一方、社は2015年度の決算を説明した。それによると、売上高は前期比0.1%増の177億円と2期連続の微増となったが、本業のもうけを示す営業損益は16億3600万円の赤字(前期は16億5215万円の赤字)で、実に17期連続の巨額損失を計上した。

経常損益は3億3700万円の黒字(前期は16億円5200万円の赤字)となり、17期ぶりの黒字を計上、純損益は2億8200万円の黒字(前期は9億8900万円の赤字)となった。社が経常損失と純損失を避けられた理由は、保有する電通株式の配当収入増にある。同社が増配するとともに、決算期変更に伴い配当を通常の年2回から3回としたためである。時事通信の本業が改善したからでは決してなく、「他力本願」かつ一時的な要因で黒字になったに過ぎない。西沢豊社長以下の経営陣が手腕を発揮した成果では全くない。

巨額の営業赤字が続く社の経営は、いわば多量の出血が依然として続いている状態にあり、これを一刻も早く止めなければ死あるのみだ。にもかかわらず、大室労担は「経営は改善している」などと言い張り、危機意識の欠如を露呈して恥じることはなかった。

労働者委は「改善しているなどとはとんでもないことだ」と抗議した。このような経営しかできない社幹部を厚遇し、その裁量による評定で社内の賃金格差を広げる役割等級制度の強行は、暴挙というほかない。社は同制度の実施を即座に停止し、労働者委の要求に基づき、年齢別本人給を基礎とする賃金体系に移行すべく、労使協議の場を設けるべきである。


団体交渉報告
2016年2月10日

労働者過半数代表者、1年不在明らかに
社、意見聴取なしで人事制度の改悪強行
順法精神欠如に強く抗議−−労働者委


事通信労働者委員会は2月10日、社と団体交渉を開催した。社はこの中で、昨年4月から時事で働く従業員を代表する「過半数代表者」が不在だと明かした上で、今年2月24日から3月2日にかけ、代表者の選挙を社内の電子メールシステムを通じて実施することを提案してきた。社は昨年10月、給与格差を広げる新人事・給与制度「役割等級制度」を、労働者委の反対にも関わらず強行実施し、既に4カ月以上が経過した。労働基準法は、企業に対し、給与制度改定などに伴い就業規則を変更する場合、過半数代表者の意見を聴取し、労基署への制度変更届け出に添付するよう義務づけている。しかし、社はそもそも代表者が存在しないのを承知で、制度変更を強行していた。

労基法が定めるのは、企業が賃金規定など就業規則の変更を実施した場合、(1)労働者の過半数で組織する労働組合、またはこれが存在しない場合は労働者の過半数の代表者の意見を聴いた上で、(2)労働基準監督署に届け出るとともに、労働者に周知する——ことだ。

時事通信には現在、労働者委と、もう一方の時事通信労働組合という2つの労組があるが、いずれも過半数組合ではない。社の説明によると、過半数代表は、前任者の任期が昨年3月までの1年間で切れており、その後、不在状態となっている。社は労基法の規定を守ることができないことを認識しながら、制度変更を実行していたことになる。

そもそも労働者委は今年1月8日の団交で、社が新制度実施後も労基署に意見書を出していないことを確認した上で、労基法違反だと指摘した。これに対し、大室真生常務・労務担当は「(労基法を)順守している」「提出しないと言っているわけじゃなく、提出すると言ってますから」などと言い放った。ところが、労基法で義務づけられている、意見聴取の対象者である従業員代表の不在を知りながら、社員に多大な不利益変更をもたらす賃金制度の変更を一方的に実施したことが明らかになった。

この態度のどこが労基法を「順守している」ことになるのか。これでは違法行為の確信犯である。社の順法精神の欠如は甚だしく、全くもって論外だ。

労働者委は団交で「新人事制度を労基署に届ける際、意見を添付すべき従業員代表がいなかったということだ。いないことがわかっていながら、なぜ放置したのか」と質した。社は「準備ができれば極力早く選び、意見を出してもらうつもりだったが、想定より遅れてしまった。やろうとしたが、できなかったのが実態だ」と釈明した。労働者委は「従業員代表が居なくていいという認識は全くおかしい」と追及し、社の法軽視を強く批判した。


■秘密投票、守られず

また社は今回実施する過半数代表選挙について、空白状態を生じにくくするため、任期を前回の1年から改め、今年3月3日から18年3月2日までの2年と引き延ばすと説明した。

選挙方法については、各部の部長が記者クラブを回るなどし社員に投票を促した前回の「持ち回り方式」を廃止し、社が災害発生時に社員の安否を確認するため導入済みの電子メールシステムを使うとした。労務部が務める選挙事務局が、従業員宛ての社業用アドレスなどに投票用サイトのアドレスが掲載されたメールを送り、従業員が同サイトを通じて立候補者の信任・不信任を選び、送信する方法。有権者は役員を除く全従業員。立候補資格者は有権者のうち管理監督者を除く者で、5人の有権者から推薦署名を得た者。推薦人の氏名と立候補者の所見を社内公文書「全同文」で公表するとした。

前回のように、各部の部長が出先の記者クラブにいる社員記者ら1人ひとりを訪ね、用紙への記入を促すといった方式とは異なる。しかし、労務部が管理するシステムである以上、民主的な選挙に不可欠な「秘密投票の原則」は守られないことになる。

労働者委が「秘密投票が守られないのは問題ではないか」と疑問を呈したのに対し、社は「秘密投票が絶対要件とは解釈はされていないし、挙手などの方式も(一般的に)認められている」と述べ、問題はないとの認識を示した。

労働者委は、少なくとも投票の秘密を守るため、社が目的外閲覧を行わない旨誓約することや、制度上の工夫を行うよう要求。社は「システム上、難しい」と述べ、これを拒否した。

また社が前回選挙の際と同様、立候補の要件とした5人の推薦人について、労働者委は、少数派労組の立場から「必要ないのではないか」と改めて質した。しかし、社は「乱立を防ぐためだ」とし、推薦人を要件とするとの立場を崩さなかった。


2016年1月28日
社、新賃金制度の変更、労基署に届け出ず
労働者委の違法性指摘に「法順守」と居直り
新人事制度の非合理性を斬る

事通信労働者委員会は1月8日、社が昨年10月から一方的に強行実施した賃金・人事制度や春闘要求に関する団体交渉を開いた。社はこの中で、「役割等級制度」の導入に伴い変更した就業規則を基準監督署に届け出ていないことを明らかにした。就業規則を変更した場合は労働基準法で届け出が義務づけられており、明らかな違法状態であり、社の順法精神欠如を強く物語る事実だ。労働者委が「違法行為だ」と指摘すると、社は「(労基法に)何カ月以内ということは書いていない」「(労基法を)順守している」と居直りの姿勢に終始した。

労基法は、常時10人以上労働者を働かせる企業に対し、賃金規定など就業規則の変更を実施した場合、(1)労働者の過半数で組織する労働組合、またはこれが存在しない場合は労働者の過半数の代表者の意見を聴いた上で、(2)労働基準監督署に届け出るとともに、労働者に周知する——ことを義務づけている。

違法だとの指摘に対し、社は「日程的に決まっているわけではないが、速やかに届け出る」と釈明した。労働者委が「既に3カ月以上が経っている」とし、「今は法律を守っている状態なのか」と追及すると、大室真生常務・労務担当は「そうです」と答え、「提出しないと言っているわけじゃなく、提出すると言ってますから」と開き直った。

社が就業規則の変更を届け出られないでいる理由は、はっきりしている。社は2013年度に新制度を提案した当初、14年度からの実施を目指すとしていたが、いったん先送りした。その後、15年度にも2度目の見送りを余儀なくされた。職場の理解を得られなかったからだ。15年10月にやむなく強行実施に踏み切ったが、制度の必要性、妥当性が説得力を持たないために、労働者委が反対していることはもちろん、もう一方の時事通信労働組合も、制度変更同意を機関決定しておらず、社は従業員代表の意見を添付することができていない。

労基法は、過半数労組または職場の過半数を占める労働者代表が反対する場合、企業はその意見を添付して変更届とともに提出しなければならない、と定めている。職場の理解を得られていない給与制度を奴隷に強制するように社員に命令で押しつけて、望ましい効果が期待できるわけがないのは普通の頭で考えれば、理解できることだ。まして時事通信は人権を何よりも擁護しなければならない報道機関である。社は自身のつくった制度が社員の賛同を得られていない現状があまりに恥ずかしく、労基署に制度変更を届け出ることができないでいるのだ。

労働者委はこのような社の対応について「法令に違反するようなことをやっちゃいけない。しかも、われわれの賃金に関することで、そういういい加減なことしかできないような制度の実施の仕方をしておいて。正式に組合の同意を取っていないからだ。とんでもないことだ」と抗議した。


■非科学的な評価の仕組み

社は新制度で、年度ごとの人事評定の結果を示す「総合評語」を以前の5段階から7段階に細分化し、全体に占める割合をそれぞれSS(5%)、S(10%)、A(20%)、B(30%)、C(20%)、D(10%)、E(5%)とした上で、賞与への反映度合いを拡大するとした。既に指摘した通り、その年度の個々の社員の働きぶりや、全体でみた仕事ぶりがどうであっても、常に評価結果を同じ割合に分布させる、という非現実的な設定であり、給与格差の自己目的化というほかない。

実際に学校で学力テストを実施するような場合でも、点数が上位から5%、10%、20%、30%、20%、10%、5%−−といった具合に分布するわけではない。それは職場においても同じだ。さらに、チームワークによって同業他社と競い、成果を出す報道機関の仕事にあっては、個々人の仕事を機械的手法で点数化し、賃金反映することは実質的に不可能である。


そもそも役割等級制度強行前の「職能等級制度」で導入した5段階評価自体に無理があった。社は評価が真ん中のCに集まる傾向を「中心化、寛大化」だとし、問題にした。

しかし、事実は逆である。実際には、社員の働きぶりと制度が想定する分布との乖離が著しかった。評価制度自体に無理があるため、現場で評価に携わる職制が運用によって評価を中心に近いところに集め、実態とかけ離れた制度の弊害を緩和してきたのだ。

大室労担は労働者委との2014年10月の団交で、新制度について「現実に立脚した評定制度を運営する」と強弁したが、労働者委が「現実に即すると何故、こういう数字になるのか。実態ではなく、作られた分布なのではないか」と疑問を呈すると、説明に窮して全く答えられなくなった。

社は非科学的で説明のつかない評価の仕組みを強行するため、昨秋以降、部長らと社員による面談まで実施することを決めたが(労働者委は人事制度自体について労使協議中であるため、面談への対応を留保)、これもさらなるウソの上塗りに過ぎない。社員にとっても、1次評価に携わる中間職制にとっても、雑務が増えるだけである。ただでさえ皆、忙しいのに、制度を正当化するために、評価される側とする側双方で無駄な仕事を増やし、全体の生産性を低下させているのだ。何たる愚行であろうか。

大室労担がひとつ覚えのように繰り返すのは、「仕事に報いる制度」というお題目のような「理念」。だが、5段階を7段階に細分化すれば、制度と実態とのかい離は一層大きくなる。このような非科学的仕組みで社員に正しく報いることができるわけがない。

そもそも記者1人ひとりには「良い記事を書いて世の中に貢献したい」「問題の本質に迫る新しい事実を誰よりも早く知り、人々に知らせたい」というアニマル・スピリットが宿っている。社に必要な施策があるとすれば、これを解放すること、これ「のみ」であると言ってよい。仕事に報いるためには、社員のライフ・ステージに応じた収入を長期的に保証することだ。記者も営業マンもエンジニアも、それによって「今、頑張ろう」という気持ちになるのだ。そして労使の不断の努力により、賃金水準を、仮に少しずつであっても、上げていくことが望ましい。労働者委が長年にわたって要求している「年齢別一律給」を基礎とする体系が報道機関には最もふさわしいのである。


■違法状態での強行が組織を破壊する

役割等級制度の強行実施は、就業規則よりも労働協約が優先することを定めた労働組合法や労基法などに違反するだけでなく、中高年の一般社員に対する常軌を逸した賃下げの不利益変更を伴う点で、労働契約法にも明確に違反している。言うまでもなく、このような違法性は偶然に起きるわけでも、軽視してよいわけでもない。

米国のジョージ・W・ブッシュ政権は2003年のイラク侵攻を前に、フセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っていると主張し、武力行使のお墨付きとなる国連安全保障理事会の決議を得ようと画策した。その背景には、中東の中心に位置するイラクの政権を打倒し、民主化と市場主義経済を根付かせれば、それがドミノのように中東一帯に広がり、イスラム主義テロを撲滅できる、という新保守主義(ネオコン)による「理念」があった。しかしこの「理念」自体が実態からかけ離れた絵空事であったばかりか、米政権はそれを実現するための戦略と実力を欠いており、開戦理由と位置づけた大量破壊兵器疑惑も十分な証拠を示すことができなかった。そもそもの開戦自体に理由が乏しかったため、多くの国が賛同せず、米国は国連決議を得られなかった。

ブッシュ政権は決議なしで英国など「有志連合」を率いて強引にイラクに侵攻し、フセイン政権は打倒されたが、その後、現地側でも、有志連合側でも多数の命が犠牲となったことは周知の通りである。米国は巨額の戦費を費やした挙げ句に目的を達成できず、国民の疲弊と自信喪失を招いた。さらにイラク周辺地域は真の意味で混沌に陥り、イスラム過激組織によるテロは拡散し、今日に至っている。

翻って時事通信の現状を見る。賃金制度は労使関係の要諦だ。「仕事に報いる」という理念がもし仮に正しいとしても、「役割等級制度」がそれをもたらすと信用できる理由はどこにもない。社が職場の理解を得られないのは、このためだ。違法な制度の強行は、社の将来に大きな禍根を残すこと必定である。社はいったん新制度の実施を凍結し、労使で納得いくまであるべき仕組みについて協議し、制度内容を再構築し直した上で、実施し直すべきである。


◆社の中間決算は減収、営業損10億円 「お手盛り」賃金制度の矛盾露呈
(2015.12.25)
◆幹部に厚く、非職制中高年を攻撃 1万円刻みの減収幅分布判明
(2015.11.26)
◆社、「大量採用世代の給与重荷」苛烈な賃下げ正当化に躍起
(2015.10.27)
◆新制度衝撃の実態 40~50代前半の7割が基本給減、下げ幅最大月10万円超
(2015.10.19)
◆不利益変更に反対を 強行実施は労組法・労契法違反
(2015.10.15)
◆改定人事制度の強行実施に文書で抗議、開示要求項目提示
(2015.10.8)
◆改定人事制度の一方的実施・賃下げ通告に抗議
(2015.09.30)
◆沖縄巡る不適切質問で西沢社長の責任追及
(2015.08.02)
◆社、夏季一時金1.3カ月の超低額回答
(2015.06.19)
◆ベアゼロ、「お手盛り人事」に抗議・春闘団交
(2015.04.20)
◆社、人事制度案の4月実施断念
(2015.03.26)
◆社、冬季一時金で5年連続の最低水準回答
(2014.12.09)
◆人事制度案「人件費」「評価の正統性」に疑義
(2014.10.15)
社長出席団交春闘追加要求
(2014.07.01)
◆春闘要求を提出
(2014.05.08)
◆非民主的な従業員代表選出に抗議
(2014.03.25)
◆人事・賃金制度改悪案に抗議
(2013.12.02)
◆13年春闘要求を提出
(2013.08.13)
◆荒木代表幹事の人事問題決着
(2013.07.08)
◆春闘要求2を提出
(2012.12.25)
◆社、賃金制度改定めぐり話し合い否定 西沢社長と初団交
(2012.12.19)
◆社、3年連続で最低水準の冬季一時金回答
(2012.12.11)
◆社、「4週8休」隠れみのに労働強化提案
(2012.10.18)
◆「不当労働行為問題ない」大室取締役の認識に重大な誤り
(2012.09.06)
◆西沢社長の所信表明求め団交要求
(2012.08.08)
◆夏季一時金、金額のみ妥結通告
(2012.08.08)
◆編集ミス発生に飛びつき戦線逃亡の中田社長辞任に抗議
(2012.06.27)
◆夏季一時金、3年連続の超低額回答
(2012.06.06)
◆夏季一時金要求を提出/年齢別一律給に基づき要求する理由
(2012.06.04)
厚労省が指導、「時事健保の保険料引き上げは無効」
(2012.04.24)
◆社が11年連続の賃上げゼロ回答も居直り
(2012.04.18) 
◆社、次長級に時間外手当支給、最大1.2億円のコスト増要因に
(2012.3.07-24) 
◆社、故山口代表幹事の解雇撤回、健保組合の不正資金運用問題など全面拒否
(2012.02.24) 
◆事実上の大幅賃下げ、撤回を
(2012.02.14)
◆中田社長、不当労働行為是正を全面拒否
(2011.12.22)
◆超低水準の冬季一時金回答に抗議 頼みの電通株、3分の2が担保に・団交
(2011.12.06)
◆11年春闘要求2を提出
(2011.11.30)
◆社、シニア嘱託制の団交協定違反で初の謝罪、脱退干渉事件も勝利的和解
(2011.10.20)
◆為替介入めぐる記事の一方的訂正に抗議
(2011.08.31)
◆春闘要求へのゼロ回答に抗議
(2011.05.20~06.15)
◆山口代表幹事の名誉回復求め春闘要求提出
(2011.05.16)
◆西沢取締役が挑発言動で団交妨害
(2011.02.03)
◆冬季一時金1.20カ月分の急減回答
(2010.12.10)
◆冬季一時金要求、早期退職で団交要求
(2010.12.06)
◆早期退職募集などで緊急団交要求
(2010.11.16)
◆訃報・山口俊明さん死去
(2010.11.06)
◆超低水準の夏季一時金3次回答を拒否、ビジョンなき居直り経営に抗議・団交
(2010.10.13~20)
◆長期の夏季一時金修正回答拒否に抗議
(2010.09.22)
◆労基法違反の是正闘争、都労委に説明 「準備書面(第2)」 「準備書面(第3)」
(2010.08.01)
◆過去最低水準の1.1カ月、夏季一時金の回答に抗議
(2010.07.07)
◆夏季一時金、春闘修正回答、暴言への謝罪求め文書提出
(2010.07.01)
◆社、09年度に過去最悪の赤字更新 西澤取締役が組合代表に暴言
(2010.05.25) 
◆「定期昇給の半年凍結」回答に抗議・春闘団交
(2010.04.19)
◆2010春闘要求を提出
(2010.04.15)
◆社、シニア制度の改革をまたも拒否・団交
(2010.01.15)
◆「修正回答なしの前提なら団体交渉」不誠実極まる対応に抗議 抗議書
(2010.01.14)
◆社、低水準のボーナス回答、シニア嘱託制改革を拒否 団交
(2009.12.04)
◆シニア嘱託制見直し拒否、都労委救済申立への会社暴言に抗議・団交要求
(2009.10.30)
◆社、シニア制度見直し全面拒否、不誠実の極み 団交
(2009.09.30)
◆社にシニア嘱託制度の抜本見直し要求 機関紙
(2009.09.28)
◆都労委に準備書面を提出 全文
(2009.09.24)
◆シニア嘱託制度めぐる組合差別で都労働委員会に救済申し立て 機関紙
(2009.06.18)
◆08年度の営業・経常赤字、過去最悪に 団交
(2009.04.07)
◆「上から腐る」時事の腐食を食い止めよ 09春闘要求提出
(2009.04.06)
◆中間決算の赤字幅は過去最大、社員にツケを回す人件費削減に反対 団交
(2008.12.02)
◆中間決算の赤字拡大に抗議、企業年金の改悪に反対 団交
(2008.11.07)
◆社屋買い戻し撤回の要求無視に抗議 団交
(2008.06.12)
◆社、250億円の電通株売却で社屋買い戻しを表明 団交
(2008.05.21)
◆赤字責任者を厚遇する企業年金・退職金改定案に異議 団交
(2008.04.25)
◆ベアゼロ回答に抗議、赤字経営の責任追及春闘団交
(2008.04.15)
◆スタグフレーション到来危機に対応求める春闘要求を提出
(2008.04.09)
◆中村克代表幹事の追想文集が完成
(2007.12.27)
◆長沼賃金差別事件行政訴訟断念等に関する声明全文
(2007.06.13)
◆中労委の不当命令に抗議=緊急声明全文
(2007.05.30)
◆07春闘要求書を提出全文
(2007.03.12)
◆海外出張問題で社の修正提案を拒否抗議書
(2007.03.08)
◆中村代表幹事の葬儀しめやかに報告
(2007.01.07)
◆中村克代表幹事が死去・訃報
人権擁護の闘い、「生涯一記者」貫いて【評伝】
(2007.01.02)
◆労基法違反事件で抗議・要求書
(2006.10.25)
◆基本的人権求め闘い抜く!中労委不当命令で声明
(2006.10.19)
◆社、労基法違反の謝罪拒否・機関紙(下)
(2006.09.12)
◆社、労基法違反の謝罪拒否・機関紙(上)
(2006.09.08)
◆海外出張者に時間外手当を支払い、労基法違反を謝罪せよ・要求書
(2006.08.25)
◆海外出張者に時間外手当支払うと確約・団交
(2006.08.18)
◆「海外出張者に時間外手当支払え」労基署が是正勧告・機関紙
(2006.08.02)
◆8年連続の赤字必至、若林社長を追及・株主総会
(2006.07.14)
◆時事が筆頭株主の「日本メディアーク」整理へ・団交
(2006.05.11)
◆2006春闘要求を提出 全文へ
(2006.03.31)
◆05春闘要求(II)提出 全文へ
(2005.12.28)
◆冬季一時金回答2.23カ月、修正回答を要求団交
(2005.11.29)
◆社、次期システム「フェニックス」完成を断念・団交
(2005.08.16)
◆デリバティブ解約違約金1億円以上を特損処理・団交
(2005.07.22)
◆職場環境の劣悪化で報道の質低下・総会報告(下)機関紙IMAGE
(2005.07.14)
◆フェニックス失速、不適正支出8億円・総会報告(中)機関紙IMAGE
(2005.07.08)
◆わずか0.02カ月上積みの夏季一時金2次回答・団交
(2005.06.30)
◆デリバティブ商品取引で責任追及・株主総会報告(上)
(2005.06.30)機関紙IMAGEへ

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