時事通信労働者委員会

WORKERS' COMMITTEE OF JIJI PRESS

 

 

2012年4月24日
「時事健保組合の保険料率引き上げは無効」
厚労省が指導、適正欠く互選議員選挙やり直しへ
またも不祥事、社の違法体質が露呈

  社は4月24日に開いた時事通信労働者委員会との団体交渉の席上、厚生労働省が同月11日、時事通信社健康保険組合に対し、2011年8月実施の従業員代表である互選議員の総選挙と今年1月の補欠選挙で公示が行われず適正手続きを欠いたとして、選挙の無効とやり直しを求める行政指導を行ったことを明らかにした。厚労省は、2012年度から保険料率の本人負担割合を引き上 げるなどとした組合決議の認可も取り消した。

 今回の不祥事は、昨年から行われた厚労省関東信越厚生局の監査で明らかになった。この監査では、社が出向させた健保組合の常務理事が厚労省の指導に違反して外国債券を運用し、巨額の含み損を出した問題も発覚した。 社は2010年4月から約1年半にわたり、36協定を締結せず従業員に時間外・休日労働を行わせるなどこれまでに数々の労基法違反を繰り返しており、違法体質が改めて明らかになった形だ。

 労働者委は今回の不祥事も含め、重ね重ねの破廉恥極まる違法行為に強く抗議した。社は団交で、取り消された保険料率の改定を再び実施する考えを示したが、労働者委は従業員の実質的な大幅賃下げとなる保険料の本人負担率引き上げに反対する。社は健保料引き上げ決 定をまず撤回し、違法な実質賃下げを原状に復すべきである。

 にもかかわらず、西沢豊取締役労務担当はこの日の団交で、「混乱を与えたことは申し訳ない」としつつも、「そもそも団交マターではない」と居直った上、「料率引き上げそのものは認可されていた」と言い張り、やり直し総選挙後の組合会でも「同じ料率が決まるだろう」との見通しを示した。厚労省が健保料率の引き上げ認可を取り消したにもかかわらず、「認可されていた」とはなんという大嘘であろうか。

 健保組合の理事長 は社幹部の総務局長が兼務する形で運営されている。つまり健保組合は実質的に社の支配下にあり、その責任が社経営陣にあることは明白である。

 昨年の互選議員の選挙では、公示について社内文書を通じた広報や社内掲示が行われていなかった。さらに、健保組合は、2月17日の組合会で財政の悪化を理由に2012年度の保険料率を現行の5.3%から7.1%に引き上げる決定を行った。同時に事業主の保険料負担割合を現行の72%から66%に下げる一方、従業員については 28%から34%に高めるとした。これにより、従業員は平均で年間約6万円の値上げ、つまり実質的に年間約6万円の大幅な賃下げを強いられる格好だ。

 西沢取締役の発言は、社が公示もせずに事実上、選んだ互選議員が、従業員の実質大幅賃下げとなる保険料率アップや従業員 の負担割合引き上げを決めたという根本的な問題への反省をまったく欠いたものだ。

  労働者委が「また同じ料率が決まるなどとなぜ言えるのか」と疑義を呈し、「手続きの瑕疵(かし)を指摘された問題を軽視し過ぎている。もっと謙虚であるべきだ」と批判すると、西沢取締役はようやく「(今後の料率決定の見通しは)私の個人的見解」とし、「新しい体制での決定に予断を持たせたなら取り消す」と答弁した。

 そもそも団交とは、労働者の代表と経営者が意思疎通を図り、労働条件などを決定する公式の場であり、個人の私的見解を披露 するおしゃべりの会合などではない。社を代表する取締役労務担当がそれを認識していないこと自体、不見識極まるのであり、西沢取締役の見解は、労働組合を代表して交渉に臨む交渉委員と組合を愚弄し、なめ切っているとしか言いようのない暴言である。

 西沢取締役は取り消された違法決議に基づく保険料の引き上げを4月分の給与では既に実施したと説明した。さらに、これに伴う値上げ分は直ちに返還するのではなく、今後発足する健保組合の新しい組合会が、今年2月決議したのと同様の保険料率引き上げ決議を行い、7月から実施するところ、それを1カ月後ずれさせ、8月から実施することで代替する意向を示した。

  しかし、これはまさに「新しい体制での決定に予断を持たせた」発言である。労働者委は値上げ分を直ちに返還するよう要求したが、西沢取締役はこうした形で値上げ分を返還するのが「厚労省の指導だ」と強弁し、正当化した。

 労働者委はあくまでも違法決議に基づく保険料徴収分の速やかな返還を要求する。4月分から実施した行為は明らかに違法であり、時事通信の健保組合は、少なくとも再選挙後に正式発足するまでの期間についての「引き上げ額」分 を全従業員に返還しなければならない。予算は確定後に執行されねばならず、確定以前の時期に遡って執行するのは違法である。 健保組合の財政は被害を受けるが、その被害額つまり赤字額相当分は時事通信の健保組合の理事と、健保組合を実質支配、管理してきた 社の取締役が弁償するのが当然だ。

 今回の厚労省の指導では、事業主が選定する選定議員についても再度の選出が求められた。保険料率の本人負担割合の引き上げ決定など少なくとも昨年8月以降に組合会で議決された案件はすべていったん無効となり、やり直し総選挙後の組合会で議決し直す必要がある。

  保険組合は互選議員のやり直し選挙のスケジュールに関し、4月26日公示、5月17日投開票を軸に調整中だという。互選議員の参加で選ばれた理事会も資格を失うため、当面は前の理事長、理事が暫定予算の編成、総選挙の実施などの手続きを進めるというが、この際、健保組合のあり方全体について根本的な議論と改革が必要であることは論をまたない。

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