Death of Jezebel
ジェゼベルの死

ハヤカワ文庫(恩地 三保子 訳)

<あらすじ>

 帰還軍人のためのページェント(野外劇)が、にぎやかに幕を開けようとしていた。期待と興奮のうちに見守る観客の中には、気づかわしげなコックリル警部の顔も見えた。出演者の三人に不気味な脅迫状が届いていたのだ。単なる嫌がらせであってくれればいいが・・・ やがてライトを浴びつつ、出演者のひとり、悪評高い「ジェゼベル」ことイゼベル・ドルーが進み出た。そしてその体が前に傾き、張りぼての塔の上から落下した! 舞台の表では何千という観客、裏では錠の下りた唯一の扉の前に見張りがいた中、彼女は絞殺されていたのだ。。。

<コメント> (2000/03/19執筆)

 舞台設定がいまいちわかりにくく、何度か読み返したりしましたが、それを除けばおもしろい作品です。とにかく、複数の解決が次々に披露され、読む者を混乱の渦に巻き込む作風はブランドの他作品でも見られますが、トリックの隠し方はこの作品が最もうまいと思います。(ちなみに伏線の隠し方がうまいのは『はなれわざ』。)トリックというか真相自体は不気味ではありますが、冷静に考えれば予測はつきます。(負け惜しみか?)しかし、これでもかこれでもか、と仮説が提示されることで、何が何やらわからなくなったところへパッと真相が明らかにされることで、「おお、すごい。」と、そのトリックの衝撃がよりいっそう効果的に伝わってきたような気がしました。ただ星5つつけるには、なんとなく釈然としない気分が残りますので、星4つ★★★★

 しかし、コックリルは本当に真相を見抜いて最後にXXをやったんでしょうか? チャールズワース警部は思っていた以上には活躍していましたね。失敗もしていましたが、あれは彼の落ち度というより・・・。

 なお、「ジェゼベル」とは旧約聖書におけるアラブ王の后で、ここでは不道徳な悪女を意味しています。あと、「ブライアン・ブライアン」という登場人物のあだ名がなんで「ブライアン・トゥー・タイムズ」なのか始めよくわからなかったのですが、中頃でコックリルが言い間違えたので、理由がよくわかりました。でも、これって意外なところで・・・、いややめておきましょう(・_*)\