The Spotted Cat and Other Stories
ぶち猫 コックリル警部の事件簿

論創社(深町 眞理子・吉野美恵子・白須清美 訳)

<コメント>(2007/11/16執筆)

 日本では、傑作「招かれざる客たちのビュッフェ」に続く、クリスチアナ・ブランドの第2短編集。
 この短編集は、原書の"The Spotted Cat and Other Mysteries from Inspector Cockrill's Casebook"(2002)のうち、「招かれざる〜」に収録されている4作(『事件の後に』、『血兄弟』、『婚姻飛翔』、『カップの中の毒』)を除いて再構成されたものです。
 ショート・ショートあり戯曲あり、と内容は多彩ですが、いずれもコックリル警部が登場します。

 これは小説ではなく、評論家のオットー・ベンズラーの依頼によって何人かの作家たちに自分たちの創造した探偵のプロフィールを紹介するという企画の研究本から採録されたエッセイ。
 ブランドは、「たった二千語で書けというのだろうか?」とぼやきながらも、そこはブランド。コックリル警部について素敵な要約を描いています(^^)v

 「ぼく」はパムと結婚したかった。だが金がなかった。そこで、お金持ちのエレン叔母さんを殺して、その罪をいとこのピーターになすりつけようと画策した。犯罪は成功したように見えたが・・・。

 小説家の青年が書いた供述書、という形で物語が展開する倒叙小説です。青年の犯行がなぜコックリル警部には分かったのかは、ラスト1ページに書かれている、いわゆる"Finishing Stroke" ?「最後の一撃」ですが、・・・これは現代では分かりにくいですね。まあ、仕方がないです。

 人嫌いのアデラおばさんが殺された。遺産相続人のフランカが疑われるが、彼女には「遠い親戚」のロバートがいるらしい。。。

 「遠い親戚」Kissing Cousinとは、「キスをしてもいいくらい」、すなわち「結婚が許されないほどの近親ではない」親戚のこと。洒落た言葉ですね(#^_^#) サスペンス・タッチなストーリー。

 15年前、コーンウォール沖にあるセント・マーサ島で起こった不可解な殺人事件。?3人の女性が、互いの頭を中心に、三つ葉のクローバーのように広がって銃殺された殺人事件。3人のうち誰かが撃ったことには間違いないのだが・・・。15年の時を経て、作家のミス・トランブルはその事件のあらましを公爵夫人とコックリル警部に語り始める。。。

 これは、発表された作品の中ではブランドが最後に執筆した作品のようですが・・・。この作品は、分かりにくかったですね。最晩年の作品のせいか、文章がやや支離滅裂気味で・・・。最後の1文にはブランドらしさが表れていますけど。
 ところで、私立本格推理小説「風読人:ふーだにっと」によれば、ここに出てくる「公爵夫人」は次の作品↓に出てくる公爵夫人と同一人物のようですが・・・。そうなると、作品の配列順が逆??? (それならば、次の作品のラスト1文とも整合するし・・・。もっとも、本短編集の原書もこの順番で掲載されているようですが`s(-・-;) )

 いつも「自殺する。」と言っていた暴君の公爵が、今度は本当に自殺したように思われた。舞台は雪の降り込められた番小屋。公爵は番小屋のドアのほぼ真ん前で、至近距離からの銃弾からの即死。「密室」状態での公爵の死は、たった1つの点を除いては、自殺であるように見えた。・・・凶器の拳銃がどこにもないことを除いては。

 本短編集の中では、「もっともブランドらしい」一作です。で、星4つ★★★★にしたのですが、これはかなり甘い評価なのでご容赦をf^_^; ブランド・ファンとしては少々物足りなさが残りますが(というより欲求不満)、それは過去の傑作に比べると「切れ」がいまひとつだからであり、容疑者が目まぐるしく変わっていく本作は短編としては「贅沢」な作品。

 昔のちょっとしたことで細君持ちの男を恐喝していた浮気女が殺された。殺ったのはその精肉店を営む男、パーキンズにちがいない! だが、彼には鉄壁のアリバイがあった。。。

 たった4ページのショート・ショート。本作はミステリ・マガジンNo.586(2004/12)にも掲載されており、Yuseumはそれでこの作品を読みました。
 タイトルは間違いではなく、「へべれけ」に酔っぱらったコックリルが出てくるので、「アリバイ」ではなく「ア
バイ」由\(@_+ ) ヒック! ブランドの創造したシリーズ・キャラクターの1人、チャールズワース警部も登場するのもファンとしては嬉しいですね。ということで、星4つ★★★★
 まあ、そんなに唸るほどスゴイ作品ではないですがf(^ー^;、ショート・ショートとしてはなかなかの出来ではないでしょうか?

 本邦初紹介の戯曲です。ただいま読書中…(__).。oO