The Second Shot
第二の銃声

国書刊行会(西崎 憲 訳)

<あらすじ>

 探偵作家ジョン・ヒルヤードの邸で作家たちを集めて行われた殺人事件の最中、被害者役の人物が本物の死体となって発見された。パーティには彼、エリック・スコット-デイヴィスの死を願う人物がそろっていた。。。

 事件の状況から窮地に立たされたピンカートン氏は、その嫌疑を晴らすため友人の探偵シェリンガムに助けを求めた。また彼はかねがね持っていた自身の興味から、この事件を密かに手記に残すことにしたのだった・・・。

<コメント> (2000/07/30執筆)

 国書刊行会から配本されている「世界探偵小説全集」の第2巻。ハードカバーだから高い、高い! 文庫本だったら4,5冊は変えてしまいますからねぇ。・・・

 ・・・、しかし、この本はそれだけお金を払っても読む価値のある本です。バークリーらしい皮肉な展開は相変わらずですし、なんといっても登場人物が生き生きと描かれていますね。読んでいくとその世界に徐々に引きずり込まれてしまいました。「性格描写や作品の雰囲気について思案を凝らす」というのはこの作品でバークリーがやろうとしたことの一つなので、当然といえば当然でしょう。なお、これをさらに発展させて完成の域に達した作品がアイルズ名義の『殺意』であり、またバークリーの集大成といわれる『試行錯誤』でも堪能できます。

 ところで、この作品でバークリーがもう一つやろうとしてたのは「あの作品」のトリックの欠陥をクリアすることにあったと思いますが、確かに欠陥は解消されていると思います。ただ、その分「犯人当て」という観点からすると、ちょっと見え見えになってしまうので弱いかなという気はしました。(私は参考文献3を読んでしまっていたので、ある程度読めてましたし・・・。) えっ、「あの作品」って何か、ということですか? それはネタ晴らしになるので言えません。非常に有名な作品ということだけは書いておきましょう。(このHPにも書評してます(^o^))

 まあ、でもこの作品については「犯人当て」はやっぱり付随的なものでしょう。シェリンガムが登場してくるあたりから、どんどん喜劇的になっていくのが読んでて楽しいです。で、ちょっと甘いけど星5つ★★★★★

(なお、この作品のある部分には『毒入りチョコレート事件』の重要人物の名前もサラリと触れられていて(もちろんシェリンガムは除く)、思わずニヤリとしてしまいました。興味のある方はお探しあれ。)