And Then There Were None

そして誰もいなくなった

クリスティー文庫(清水 俊二 訳)


<あらすじ>

   小さな兵隊さんが十人、ご飯を食べにいったら
   一人がのどをつまらせて、残りは九人
   小さな兵隊さんが九人、夜ふかししたら
   一人が寝ぼうして、残りは八人
   ・・・・・
   小さな兵隊さんが一人、あとに残されたら
   自分で首をくくって、そして、誰もいなくなった (クリスティー文庫 青木 久惠 訳より抜粋)

 デヴォンの海岸沖にある兵隊島(旧訳:インディアン島)に一週間滞在するよう、初対面同士の十人の男女が、これまた知る者のいない島の持ち主のオーエン氏から招待された。十人の招待客しかいないその島で、マザーグースの古い童謡に見立てた連続殺人が次々と起こり、食堂のテーブルに飾られていた10個の兵隊の陶器の人形が一つ、また一つと減っていく・・・。島に閉じこめられた人々の運命は!

 ハヤカワ・ポケットミステリの表紙。
ハヤカワ文庫(旧版)の表紙。

<コメント> (2000/06/11執筆、2004/03/20一部追加)

 言わずと知れたこの作品。今さら紹介する必要もないですが、まあここは一つ。

 私は昔、有名な作品の最後の部分を立ち読みするという癖があり、そのせいで数多くの名作のネタを、作品全部を読むことなく知ってしまった苦い経験があります(‥ゞ。この作品もご多分に漏れずそうした行動をやっていたのですが、幸いなことに最後の「種明かし」を解説だと思って読まず、その前の部分でやめていたため、この作品はサイコホラーかと思っていました(--;) そういう意味ではこの作品のネタは正確には知らなかったのです!

 しかし、後になってこれを最初から読み返したのですが、読んでる途中に本がパラリと手元から落ち、その「種明かし」の部分のタイトルが目に入ってきたのです。それを見て、「あれ、ひょっとしてこの作品の犯人は・・・では。」と思ってしまい、結局そうだったのでいまいち「おーっ」という感動が弱かったのです(;_;) みなさん、本はきちんと持って読みましょう。。。

 ただ、世の中には私と似たような経験をした方もいるようで、参考文献7には、この作品の最後の数ページを破って友人に読ませた、いたずら好きの男が紹介されていました。そして、破ったページがないほうがよかった、と。。。確かに、この作品とカーの『火刑法廷』は、結末の数ページがあるかないかで作品の印象が大きく変わりますね。なくても作品としては成立する、、、その上で最後に根底をひっくり返すんですね、この2作品は。

 少々本筋からそれましたが、いずれにしてもこの作品はなんといってもおもしろいので必読です。で、星5つ★★★★★

 なお、以前夏樹静子さんの原作でこれをモチーフにした『そして誰かいなくなった』(「も」じゃなくて「か」)をTVでやっていましたが、こちらは非常に日本的な結末になっていました。

(2003/05/05追加) この前、この作品の映画版で1975年のピーター・コリントン監督作品をレンタルしました。そのビデオは吹き替え版でしたが、リチャード・アッテンボローとか出演している作品です。舞台はイランの砂漠の真ん中にある無人のホテルに変更されてはいましたが、まあまあ原作に忠実なのかなぁ・・・と見ていました。が!!! なんやねん、あの結末は!!! (一言、原作を根底から覆すエンディングとだけ述べておきましょう。)
(2004/03/20追加)もっとも、参考文献8によると、映画版の結末はクリスティー自らが結末を変えて戯曲化した作品を下敷きにしているらしいですね。ただ、それを踏まえてもピーター・コリンソン版(と言うらしい)の結末は、ある意味あっけにとられます。